東方酒呑錄   作:aodama

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待 た せ た な!!(cv: 大塚明夫)


という訳で、第三話どぞー


第三話

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

 

「“ギュ”として“ドカーン”!」

 

 

フランちゃん、尽く扉を破壊して突き進んでるけど·····別に最初の地下以外には結界はついてないと思うから普通に開ければいいと思うんだど·····ああー、修理代とか幾らかかるんだよこれ? 俺知らへんで。

 

 

「確か! この部屋だったと思う! お姉様のお部屋!」

 

 

可愛い人差し指でさした方向には明らかにほかの部屋とは違う造りがされていた。確かに、他の部屋とは違って扉には装飾が施されており、上品な雰囲気が醸しだされて「“ギュ”として! “ドカーン”!」·····本当に俺知らへんで。

 

 

「お姉様! いるんでしょ!?」

 

「残念やけど、此処には居ぃひんみたいやな」

 

「その通りでございます。」

 

「「ッ!」」

 

 

部屋の中を軽く物色し引き返そうとすると、後ろから俺たちの会話を肯定する返事が帰ってきた。

 

 

「··········咲夜」

 

「妹様、困ります。パチュリー様が張っていた結界を破壊するなど·····さぁ、地下室へお戻りください。」

 

「やだ! 私はもう戻らないよ! お姉様に私の思いをぶつけるんだもん!」

 

 

メイド服に身を包み銀髪銀眼が特徴的な人物である咲夜と呼ばれる人物が現れる。

 

 

「(十六夜咲夜、確か“時を操る程度の能力”·やったな·····厄介やな。能力を使われる前に、落としとこか。)」

 

 

アサシンの特性である“気配遮断”を意識して、と·····ゆっく~り後ろに回って、首筋に·····天誅ゥッ!

 

 

「(? あの侵入者は何処に·····?)·····がッ!?」

 

 

一撃で意識を刈りとることに成功、うむ。上手くいってよかった。

 

 

「堪忍してくれやぁ、ウチら今急いでんねん」

 

「もしかして、しゅてん? しゅてんがやったの?」

 

 

·····あ、そうか“気配遮断”中だから分かんないのか。じゃあ、取り敢えず解除して、っと

 

 

「しゅてん!」

 

「ほな、行くで」

 

「咲夜は?」

 

「意識を刈り取っただけやで、別に死んどらんよ」

 

「·····ありがとう。でも行くって何処に?」

 

 

弾幕ごっこができる広さを持ち、且つ吸血鬼であることを最大限生かせる場所と言えば·····

 

 

「屋上に決まってるやさかい」

 

 

そうと決まれば、迷う必要は無い。急いで外へ·····屋上へと向かう。そして1番最初に目に入ったのは、普段の何倍も大きく見える赤い月と蝙蝠の様な羽根を大きく広げこちらを見下ろす、紅い眼だった。

 

 

「·····貴様。咲夜をどうした?」

 

「あのメイドはんか? ちぃとばかし、眠ってもろうてんで」

 

「ッ、イレギュラーめ、やはり運命は見えない、か·····」

 

 

? 独り言なのか、ブツブツと何か呟いているが、全く聞こえない。

 

 

「お姉様!」

 

「フラン、どうして地下室から出てきてしまったの? 」

 

「お姉様の言いなりになるのはもう嫌! 私は·····お姉様を倒して外に出るの!」

 

「·····そこのイレギュラーに唆されたのね。フラン、これは貴方の為でもあるの。地下室へ戻りなさい。」

 

「やだっ!」

 

「·····聞き分けのない子には、お仕置きが必要ね。」

 

 

その言葉を皮切りに、2人は戦闘を始めてしまう。片方は焔の剣を、もう片方は妖力で編んだであろう槍を。お互いがぶつかり会う度に余波が此方にも届いてくる。

 

 

「酒呑。アンタ何処で油売ってたのよ。」

 

「あら? 誰かと思うたら、霊夢はんちゃうか。あんさんが置いてったんやん。」

 

「·····そ、それはアンタが着いてこないのが悪いわ。」

 

「いや、目ぇ逸らしやな」

 

 

せめてこっち見て話さんかい。

 

 

「だ、だって仕方ないじゃない。あんなこと言われたら居ても経っても居られなくて·····」

 

「はぁ·····ま、気にしてもしゃあないわ。それに、今そないな事言うとる場合でもななったしなぁ」

 

 

いつの間にか、戦闘(喧嘩)を終えたのか、仲良く手を握りながら此方に近づいてくる2人。

 

 

「姉妹喧嘩は終わったんか?」

 

「うん。 ありがとうしゅてん。どうやら私、お姉様の事勘違いしてたみたい。」

 

「当たり前じゃない。私にとってフランは大切な家族なんですもの。」

 

 

「さて」「よいしょっ」っと、2人は体制を整えこちらを向く。

 

 

「改めて、名乗りましょう。紅魔館当主であり誇り高き吸血鬼、レミリア・スカーレットよ。」

 

「妹のフランドール・スカーレットです。よろしくね、しゅてん。」

 

 

レミリアは優雅に、フランは無邪気に、反対に思える反応だが、俺には2人は本当に姉妹なんだなぁとしか思えなかった。

 

 

「さて、1対1が2対2になった所で別に勝利は揺らがないわ。」

 

 

··········ん?

 

 

 

「なぁ、霊夢。」

 

「何かしら? 言っとくけど拒否権ないから。」

 

「いや、ウチはスペルカードを持ってへんから弾幕ごっこは出来へんで。」

 

「·····はぁッ!?」

 

「せやから、2対2ちゃうくて、2対1」

 

「それは·····正直キツいわね。」

 

 

それでも勝てないって言わないあたり。霊夢はどんだけ自信があるんだよって思うわ。·····なんて思っていたら弾幕ごっこが始まっちまってるじゃねぇか。傍観に徹しよ。

 

 

「ほらほらぁ! どうした博麗の巫女!? その程度の実力なのか!?」

 

「ちっ! 煩いわね! ちょっと黙ってなさい!」

 

 

 

やはり、2対1という状況のせいか、普段の力を出し切れない霊夢がじわじわと追い詰められていってるな。これは·····少しまずいか?今の所は紙一重で避け続けてるが、これも時間の問題だろう·····。

 

 

 

 

 

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

 

 

 

「っ!? もう、しつこいわね!」

 

 

流石に、2対1という状況の弾幕ごっこは初めてだ。しかも、相手は大妖怪2人。慣れない状況も相まって、防戦一方になる。

 

 

捌いて

 

 

避けて

 

 

捌いて、避けて

 

 

捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて、捌いて、避けて。

 

 

 

気が遠くなるような量を捌いて避けて、そして

 

 

「残念だけど、これで終わりよ!」

 

「ーーーあっ·····」

 

 

遂に、弾幕に追いつかれる。スペルカード·····間に合わない。ここから導き出せることは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詰み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「··········えっ?」

 

「よっ! 霊夢! 弾幕ごっこなのに私の存在を忘れてもらったら困るなぁ!」

 

「魔理沙·····」

 

「おう! “普通の魔法使い”霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)さんだぜ!」

 

 

弾幕が当たる直前に、私の前を流星が·····、いや、流星の様な弾幕が通り、当たるはずだった相手の弾幕は掻き消された。

 

 

「おいおい、負ける寸前まで追い詰められるなんて霊夢にしては珍しいな。」

 

「煩いわね。·····でも、助かったわ。ありがとう。」

 

「·····熱でも有るんじゃないか霊夢? お前が私に素直にお礼を言うなんて。」

 

「本当に煩いわね!?」

 

 

白黒の服にエプロンを付けたいかにも『魔法使い』と言わんばかりの格好に三角帽に大きな白いリボンを付け、そこから覗く金色のウェーブのかかった長髪は同性の私でも見惚れるぐらい綺麗だが、性格で損をしてしまっているとしか思えない。·····こんな奴にお礼を言うんじゃなかった·····

 

 

「あら、新しいお友達かしら?」

 

「おう! 霧雨魔理沙! 普通の魔法使いだぜ! あ、狡いとか言うなよ。お前らだって2人なんだからな!」

 

 

吸血鬼に対して強気に指摘する魔理沙。コイツ、心臓に毛が生えてるんじゃないかと思うのよね。

 

 

「·····えぇ、言わないわ。そんな事。」

 

「それに! お姉様と私だったら負ける心配ないよ!」

 

「おう! 望むところだぜ!」

 

「魔理沙。何相手をやる気にさせてるのよ。」

 

「大丈夫だって!私と霊夢が組めば敵無しだって!」

 

「·····ちゃんと合わせなさいよ。」

 

 

此処からは、順調に進めれた。私が弾幕で牽制し、魔理沙が狙いを絞り、追い詰める。時には、逆に魔理沙が牽制し私が詰める。

 

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」「禁忌『レーヴァテイン』!!」

 

「恋符『マスタースパーク』!!!」「霊符『夢想封印』!!!」

 

「ぐぅぅ、っ」「う、うぅ·····」

 

「「うあぁぁぁぁ!!!!」」

 

 

拮抗は一瞬。決着は直ぐに着いた。

 

 

「私達の!」「勝ちだぜ!」

 

 

 

 

 

★☆ ☆★ ★☆ ☆★

 

 

 

 

激しい戦闘が終わり、此方に降りてくる2人、勝った方がボロボロで負けた方がまだ余裕があるというなんとも言えない終わりとなってしまった。でも本人達が納得してるからいいのかな?ちなみに魔理沙とはお互いに挨拶し終えたところだ。

 

取り敢えず、霧は止めてもらい。2人は人里の医者に寄って行くらしい。·····私には先に博麗神社に向かっておいて欲しいと言われたが·····場所知らんねんけど。

 

 

「取り敢えず向かいましょうか。」

 

「あら、どちらまで?」

 

「そんなん、博麗神社に決ま·····って·····」

 

 

待て? 俺は今誰と話している?ゆっくりと振り返ってみると·····

 

 

「こんばんわ、小さな鬼さん?」

 

 

··········アイエエエ!!! ユカリサン!? ユカリサンナンデ!?

 

 

「幻想郷の管理者である 八雲 紫 (やくも ゆかり)と申します。」

 

 

はい、存じております。

 

 

「今回、ワタクシが気になったのは貴方ほどの大妖怪が何故? 今このタイミングで幻想入りを?」

 

 

何故って言われても知らんがな·····

 

 

「·····そやねぇ、この世界を見て回りたいと思うたのと、現代に飽いたって理由やな。」

 

「····················」

 

 

む、無言の圧力ゥ〜

 

 

「·····貴方の目的は分かりました。ようこそ、幻想郷は全てを受け入れますわ」

 

 

お、おー良かったわぁ消されずに済んだぁ·····あ、そうだ

 

 

「ウチは酒呑童子っちゅう者や。ところで、一つ聞いてええか?」

 

「·····何でしょう?」

 

「博麗神社への行き方を教えてくれへんか?」

 

「ッ!? ·····いいでしょう。折角なので、送っていきますよ。」

 

「ほんまに? そりゃおおきにな」

 

 

そう言って空間にスキマを開き、中に入っていく紫さん。 うぇぇ、目玉がぐるぐる·····気持ち悪ぃ。行くしかないか·····。

 

 

「ほな、失礼な」

 

 

スキマを抜けた先には知識にあるような博麗神社が目と鼻の先にあった。振り返ってスキマを確認すると、既に閉じた後なのか、博麗神社の鳥居だけが大きく目に写っていた。

 

 

 

 

 




まず、一言。咲夜ファンの皆さんごめんなさい!(土下座)

咲夜さんは後から出番あるからそこで活躍させる予定なので今回は残念な子に·····。じゃないと魔理沙の影が薄くなっちゃうねん·····許してやぁ。


※タグを短編から連載に変えときました。



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