ロウきゅーぶ!のハイ勢がロウだった頃+オリ主の話(仮)   作:緑茶わいん

81 / 108
流行ってるのでやりたくなった、特に意味のないネタです。


ending??.硯谷打倒タイムアタック

 気がつくと、私は自分の部屋にいた。

 見下ろすと、小さな自分の身体。身体の起伏もろくにない、男の子みたいだった頃の私。

 

「……うん」

 

 一つ頷くと、私は部屋を出て、とてとてと廊下を歩いていく。

 母さんは和室にいた。

 詰め将棋の本と将棋盤を険しい顔で睨んでいる彼女の服を引っ張り、見上げる。

 

「どうしたの、翔子?」

 

 私が小さかったからか、この頃の母さんは将棋を邪魔してもあんまり怒らなかった。

 

「あのね、お母さん。……わたし、バスケットボールがしたい」

 

 お母さんは目を丸くして呟いた。

 

「ね、翔子。もう一回『私』って言って」

「そっちか」

 

 わかっていたのに、私は思わずツッコミを入れてしまった。

 

 

  ☆   ☆   ☆

 

 

 高校の卒業式を終えた直後、私は『神様』に出会った。

 自称『バスケの神様』であるそいつは、私に人生のリトライを求めてきた。

 

「私は慧心女子ミニバスケットボール部の可能性が見てみたい。彼女達の最高最良の状態がどれほどのものか、是非私に見せてくれないか」

「嫌です。いいから私を帰してください」

「へー。そういう態度を取るんだ。いいのかなー。私がその気になれば、お前なんかこの世界に永遠に閉じ込めておくこともできるんだけどなー」

「申し訳ありませんでした。是非やらせてください」

「わかればいいのだ」

 

 こいつ絶対バスケの神様じゃないな、と思いつつ、私は神の導きにより再度『鶴見翔子』として生まれ変わり――『最高の慧心』目指して何度も何度も試行錯誤をすることになった。

 そう、何度も。

 無数に繰り返すうちに精神が擦り減って、わけわかんないことになったりしつつも……私は、この世界の法則と、それを限定的に操る術を見つけ出した。

 

 筋道も立てた。

 試行錯誤といっても元の世界を改変するわけじゃなく、自称神様が作った仮想世界を使うらしいので、それほど心も痛まない。

 っていうか、やらないと帰れないんじゃ仕方ない。

 

 後は、実践あるのみである。

 

 

  ☆   ☆   ☆

 

 

 神から出された条件は、慧心女子ミニバスケットボール部がバスケで硯谷女子を打倒すること。

 それも、可能な限り最速で。

 

 ――最速って言ってもなあ。

 

 愛莉ちゃんたちが硯谷と初めて戦ったのは夏休みの合宿時。どんなに早めたってここが限界だろうし、そもそも、この時点で硯谷に勝つのは現実的じゃない。

 当初はそんな風に途方に暮れたものだが、今は違う。出された条件に穴があることは突きとめている。

 

 すなわち、対決に至った経緯およびメンバーは指定されていないこと。

 

 愛莉ちゃんたち五人が結成した慧心女バスが多恵の伝手で合宿に行く、という流れは必須ではない。極論、慧心の女子ミニバスケットボール部であれば、あの五人が一人も含まれていなくても構わない。

 

 なので理想は、私と葵を慧心初等部に揃えることなんだけど……無数に試行してみた結果、これは不可能とわかった。

 あまりにも条件が整わなさすぎる。

 もちろん葵の才能は群を抜いているし、周回を重ねた私もそこそこ凄いけど、当時の慧心初等部には女子のバスケ部すらない。当然顧問もいない(美星姐さんはまだ教師にもなっていない)。にもかかわらず、硯谷側の選手のスペックはそこまで大きくは落ちない。

 確率に打ち勝ち、ギチギチにフラグ管理をしてもなお、届かない。

 部の結成をショートカットした上で、祥とさつきと多恵を集められるなら話は別なんだけど……あの三人は好感度を十分稼がないとバスケに興味を持ってくれないし。

 

 結論。

 

 智花ちゃん、真帆ちゃん、紗季ちゃん、愛莉ちゃん、ひなたちゃん、そして竹中姉妹と雅美ちゃん、かげつちゃんの全員を鍛えて六年生の一学期に勝つ。

 ぶっちゃけ六年生組の五人以外は必須じゃない。

 ただ、合宿より前に硯谷と練習試合を組むには、慧心女バスがある程度の実績と知名度を得ていなければならない。愛莉ちゃんたちが五年の時点でこれらが規定値に達してしまうと、今度は六年生との軋轢イベントが発生してしまう。これは愛莉ちゃんたちの能力が高いほどデメリットが大きくなる「引いてはいけないイベント」なので、ならば六年時まで待つ間に五年生組を加えてしまう。

 

「攻略開始」

 

 私に与えられた権能は、確率的な事象をある程度、任意に選択するもの。

 バスケの試合には使えない制限がかかっているので、これで試合結果を良くすることはできないんだけど、

 

「まず、これで私の小学校を慧心初等部にします」

 

 私の学校は数種類からランダムで選択される。低確率だけど、その中に慧心も含まれている。

 

「次に、昴と葵との出会いイベントを済ませます」

 

 これは、昴と智花ちゃんを「幼少期に出会わせないため」。

 そう。私もこの仕事(?)をするようになってから知ったけど、あの二人って小さい頃に会ってるのだ。しかも、この出会いが智花ちゃんがバスケットボールにハマるきっかけになっている。

 その流れで行くと、智花ちゃんは慧心じゃない小学校に入って、エンジョイ勢のバスケ部でガチプレーしていじめられることになるので、二人の出会いはばっさりカット。

 智花ちゃんと会う前に私が昴と出会っておけば、昴の行動パターンが変わるため出会いイベントはおきない。

 

 この分岐は次のイベント操作と併せて重要になる。

 

「さらに、母さんにねだって日舞を習います」

 

 この近辺で日舞と言ったら当然、花織さんのところだ。

 母さんに見学に連れて行ってもらい、こんな小さい子が珍しい、という話から智花ちゃんを紹介してもらって仲良くなっておく。

 智花ちゃんが小学校にする入学前に済ませるのがポイント。

 こうすると、母親同士の会話で「お子さんはどちらの小学校に?」「うちは慧心なんです」という会話が発生し、智花ちゃんの進学先決定テーブルに慧心が追加される。

 

「日舞を習い始めたら、すずらん通り商店街組とも会っておきます」

 

 日舞の送り迎えによって、あの方面に目が向きやすくなる。

 ランダムイベントテーブルに「帰りにお好み焼き(orお寿司)を食べる」が追加されるため、これを発生させる。片方発生させればもう一方の噂も聞けるので、紗季ちゃん、雅美ちゃんとの面識をゲット。

 このお好み焼き(orお寿司)美味しい! とアピールすることで、和食大好きの母さんはたまに連れて行ってくれるようになる。

 これで、二人の好感度も稼ぐことが可能。

 

「ここからは準備期間です」

 

 智花ちゃん、紗季ちゃん、雅美ちゃんとの好感度を稼ぎつつ、慧心のクラスメートにそれとなくバスケに布教していく。

 焦らず、最初は私の趣味を伝える程度から始めて、私が小六の時に女子バスケ部結成に持っていく。部員集めに必要な好感度は、夏陽くん的な男の子が因縁をつけてくる「男子との対決イベント」によって稼ぐことが可能だ。

 私が硯谷に勝つ必要はないので、部の活動はエンジョイ中心で。

 六年時の球技大会で活躍することで、他クラスや五年生以下の目にも留まり、部員数を増加させることができる。後輩が入ってくれれば、私が中学生になっても部は存続する。

 

 

  ☆   ☆   ☆

 

 

 初等部に女子バスケ部を設立済み。

 智花ちゃんとは日舞のお稽古の度にお話する仲、紗季ちゃん・雅美ちゃんとも顔見知り以上の間柄。

 昴たちとも週に何日かはバスケしていたので、美星姐さんとも顔合わせ済み。私の学校が慧心だと、姐さんの勤め先は確定で慧心になる。

 

 中等部にはもともと女子バスケ部がある。

 目立って強い学校じゃないけど、私と友達が入部したことで人数が増えて活気は出た。私が硯谷に(以下略)なので、ここでもガチすぎる練習は控えめにしておく。

 

 ――うん、万全。

 

 それじゃあ、そろそろ。

 

()()()と顔合わせをしておこうかな」

 

 慧心の初等部と中等部は同じ敷地にあるため、見知った子と顔を合わせることはたまにある。

 紗季ちゃんと学校内で話していれば、当然、真帆ちゃんと知り合う機会ができる。そうすると更に芋づる式に、ある子が引きずり出されて来る。

 

「竹中夏陽()()()

 

 夏陽くんの性別はごく低確率で変わるので、女の子にする。

 バスケをしている同性同士、すぐに仲良くなれるので、その流れで椿ちゃん柊ちゃんとのコネクションもゲット。

 

 私が中学二年生になる頃には智花ちゃんたちも四年生。

 たまに一緒にバスケをしていた智花ちゃんは当然、バスケ部を希望し、夏陽くん……もとい、夏陽ちゃんもそこに加わる。

 この年に女バスの顧問は美星姐さんに切り替わるので、私が「たまに練習を身に来たい」と言ったら快く受け入れてくれる。そうしているうちに、知り合いが入っている部、ということで真帆ちゃん、雅美ちゃん、紗季ちゃんの順で加入。

 

 私が中三になると、身長が十分に伸びてくる。

 

「私の身長も、あの子の身長も……ね」

 

 俯きがちに歩いているところへ優しく声をかければ、愛莉ちゃんと仲良くなれる。

 私を介して智花ちゃんたちと引き合わせれば、自然とバスケ部の輪に入っていく。彼女の心の問題は解消に時間がかかるけど、元の世界以上に賑やかな女バスは愛莉ちゃんに力を与えてくれる。

 そうしているうちに真帆ちゃんがひなたちゃんを誘い、夏陽ちゃんにつられた竹中姉妹が加入し、ひなたちゃんを追ってかげつちゃんが参加。

 

 こうして、転校時期をずらせないミミちゃん以外の面子が集結する。

 

 後は簡単。

 愛莉ちゃんたちが五年生のうちに幾つかの大会で実績を上げるだけ。智花ちゃんと夏陽ちゃんという次期エースを加えた女バスは決して弱いチームではない。六年生との軋轢イベントを避けつつ、できるだけスペックを底上げしているので、硯谷の目に留まるのも難しくない。

 

 というか、私が麻奈佳先輩の目に留まった。

 元の世界同様に断ったけど、初等部に私が目をかけていることは伝えた。これで来年、先輩が硯谷女バスに関わるようになった時に影響が出る。

 このため、麻奈佳先輩の怪我は阻止できない。

 

「さあ、後は仕上げだけ」

 

 高等部ではバスケ部に入らない。

 七芝で「部長ロリコン事件」が起こるため、昴に付き合うという名目も使える。私は美星姐さんに「初等部のバスケ部を指導したい」と言ってコーチの役目を獲得。

 昴の同好会に出席しつつ、本格的に智花ちゃんたちを鍛え上げる。

 

 負けず嫌いの真帆ちゃん、夏陽ちゃん、紗季ちゃん、雅美ちゃんに、智花ちゃんの秘められた負けん気も開花、それにあてられるように他のメンバーも才能を発揮していく。

 そして六年時の一学期中盤。

 

「来た。硯谷からの練習試合」

 

 本番がやってきた。

 

 

  ☆   ☆   ☆

 

 

 勝ちました。

 

 硯谷側のメンバーは元の世界での十人から怜那ちゃんと綾ちゃんを抜いて、代わりに五年生を二人加えたもの。

 未有ちゃんは普通に参加しているものの、この時点では覚醒イベントを経ていないために詰めが甘い。

 そうでなくとも時期的に練度は高くなく、反面、こっちの面子は元の世界より早くバスケに触れているため、練度が上がっている。

 夏陽ちゃんはミミちゃんに決して見劣りしないので、こちらからすれば同格の相手が飛車角二枚落としているようなものだ。

 

 ――それに、みんなのやる気は考えられる限り引き上げておいた。

 

 結果は、序盤から拮抗しつつ徐々にリード。

 ふてくされた未有ちゃんが調子を落としたところで五年生組+夏陽ちゃんにバトンタッチすると、差は更に広がった。

 エースの崩れた硯谷に逆転の目はなく、そのまま危なげなく慧心が勝利した。

 

「……やってみれば、あっけないな」

 

 世界の全てに味方してもらっての勝利。

 もちろん、勝ったからって意味なんてないけれど。

 このまま進んだら、みんなで全国優勝できちゃったりするかもしれない、なんて思いながら、みんなの勝利を労っていると、

 

「「翔子さんっ!」」

「「「翔子おねーさん」」」

「つるみん!」

「「「鶴見さん」」」

「おー、おねーちゃん」

 

 十人の子達が異口同音に、私に言ってくる。

 

「ご褒美!」

「……え」

 

 みんなのやる気は考えられる限り引き上げた。

 やる気は大部分が好感度に比例するため、一緒に遊びに行ったりプレゼントをあげたり、電話やラインでコミュニケーションを取ったり、やれることは全部やって好感度も上げた。

 もし勝てたらご褒美あげる、とも言った。

 

 でも、なんで頬が赤い子が何人もいるんだろう?

 

 これはあれか。

 自分では平静を保っていたつもりで、延々続く試行錯誤のうちに冷静さと余裕を失っていたらしい。

 

 冷めた目で好感度を数値として見る一方、癒しを求めてみんなを愛でまくった結果、やばいことになっていたようだ。

 

「おいロリコン。責任取れよ」

 

 ぽん、と、肩に手を置く美星姐さんの目が怖い。

 

「女同士だから許してやるけど、大きくなる前に手を出したら通報だからな」

「……あはは」

 

 バスケの神様(自称)、早く元の世界に戻してください。

 みんなに笑顔で答えながら、私は心の中で必死に祈った。




多分夢オチ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。