アイ潜IF外伝   作:四季の歓喜

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例のアレで御座います。

因みに、手に負えなくなるので彼女の交友関係は変更しました。もしかしたら、IF未来として二人による世界征服編やるかもしれませんが…




その日の亡霊たち…

 

 

某国某所のとある施設のホールにて、物々しい雰囲気を漂わせた一団が一堂に集まっていた。誰も彼もが殺気立ち、互いに牽制を兼ねた睨みを利かせている。挙句の果てには自身のナイフや銃をチラつかせるものまで出る始末だ…。

 

 

 

「は~い、お集り頂いた紳士淑女の皆さんご注も~く!!」

 

 

 

 そんな物騒なここの上ない場所で、随分と陽気な声が響いた。その場に居た全員が声のした方へと視線を向けると、そこには一人の軽そうな感じの男が立っていた。そいつはこの日の為に貸切にしたホールのステージ上でワザとらしくも仰々しく両腕を広げながら声を張り上げる…。

 

 

 

「さて、取り敢えず自己紹介を……私は今回の進行役を務めさせて頂きます、フォレストチーム所属の『流れ星(メテオラ)』と申します。以後よろしく…!!」

 

 

「テメェのこと知らない奴なんてここには居ねぇよ!!」

 

 

「くだらないことやってないで、さっさと始めろ馬鹿野郎!!」

 

 

 

 丁重な名乗りに対する返事は無数の罵詈雑言である。それでもメテオラは少しも気にしない…。

 

 

 

「はいはい熱烈な声援どうも!!そんな元気の有り余ってる皆様方に注意事項です…ここは亡国機業の息が掛かった施設とは言え、いつもの支部とかアジトじゃございません。前回みたいに、はしゃぎ過ぎて設備を壊したり乱闘騒ぎはご遠慮下さいね~?」

 

 

「「「「「「「知ったこっちゃねぇ!!」」」」」」」」

 

 

「因みに、オイタが過ぎた人はティーガーさんと丸一日組手してもらいます」

 

 

「「「「「「「調子乗ってすいませんでした!!」」」」」」

 

 

 

 

 生身でISと戦えると噂される程の男、フォレストチームの『ティーガー』…彼の名前が出た瞬間、その場にいた全員がジャンピング土下座をかますという驚異的な光景が出来上がった…。

 

 

 

 

「物分かりの良い方ばかりで嬉しい限りでございます。では前座はここまでにして、そろそろ始めましょうか…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――チキチキ!!第7回『IS少女・ファンクラブ』☆オークション大会をッ!!

 

 

 

 

 

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」」」

 

 

 

 この場にセイスが居たら間違いなく頭痛に苛まれたことだろう。犯罪組織のメンバーが施設貸切にしてやることが、自分が命がけで記録した対象の写真や映像のオークションなのだから…。

 

 でも残念…ここに彼に代わってツッコミを入れてくれたり、憤慨してくれるよう人物は居ない…。

 

 

 

「はぁい!!では記念すべき一品目は~これだ!!」

 

 

 

 メテオラがパチンと指を鳴らすと、ステージの一ヶ所スポットライトが当てられた。ライトに照らされたその品を見た紳士達(変態共)からどよめきの声が上がる…。

 

 

 

「シャルロッ党の皆さんが血眼になってでも求め、そして全力でオランジュに要求したその写真……長かった、仕入れるまで本当に長かった…」

 

 

「ま、まさか…」

 

 

「アレなのか…!?」 

 

 

 

 メテオラの言葉に、その写真が何なのか確信したシャルロッ党のメンバー達は言葉では言い表せない高揚感に襲われた。オランジュの口から伝えられ、多くの党員達(やっぱ変態)が妄想しては悶絶した例の姿…。その姿を収めた写真が、ついに目の前に現れたのだ……。

 

 

 

「商品番号1番!!『シャルロット・デュノアの猫パジャマ姿』!!」

 

 

 

「「「「「よっしゃああああああああああああああああああああ!!」」」」」

 

 

 

 巻き起こる歓声は、ホール全体を揺らすほどの威力を持っていた。それに反して他の党のメンバーは、自分達のシンボルでは無かったことに少し残念そうでだった。が、次の瞬間……一部の者達が態度を180度反転させる…。

 

 

 

「しかも、今なら『ラウラ・ボーデヴィッヒの猫パジャマ姿』と『二人の猫姿ツーショット』も一緒に付属します。ていうか三枚組でワンセット!!」

 

 

「「「「「「黒兎に栄光あれ!!」」」」」」

 

 

「買うっきゃねぇ!!」

 

 

「クソッ、後半まで金とっときたいのに…!!」

 

 

「えぇい!!出し惜しみは無しだ!!」

 

 

 

 熱狂するシャルロッ党にブラックラビッ党の者達が加わり、まだ始まったばかりだと言うのにオークションは初っ端から大盛り上がりである。まさに最初からクライマックス状態である…。

 

 

 

「ではでは、最初は5千円からスタートでさせて頂きます!!皆さん、金額の提示をお願いします!!」

 

 

 

 メテオラのその言葉と同時に、ギャラリー達は一斉に声を張り上げた。

 

 

 

「6千円!!」

 

 

「6千5百!!」

 

 

「何の、7千円!!」

 

 

「ハッ!!貧乏人共がッ!!1万円だ!!」

 

 

「……1万2千円…!!」

 

 

「何!?」

 

 

「現在1万2千円!!他におりませんか?」

 

 

「「「「……。」」」」

 

 

 

「2万円だああああああああッ!!」

 

 

 

「「「「「何ッ!?」」」」」

 

 

 

「出ました2万円!!これ以上の金額を出すって人は居ますか?居ませんね?…はい、一品目落札!!」

 

 

 

「おっしゃああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 一品目の写真を手に入れたのは、やはりというかシャルロッ党メンバーだった。他の党員及び、ブラックラビッ党の恨み妬み憎しみの視線を笑顔で受け流し、そいつはホクホク顔で写真を受け取った……彼、帰り道に襲われそうで不安だ…。

 

 

 

「はい、どうぞ。では次の商品へ移ります!!二番目の御品は、コレ……『凰鈴音の音声記録』!!」

 

 

 

 

―――再度ホールが歓声で揺れた…

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 まともな奴が碌に居ない故に、次第にこの空間が混沌さを増していったのはある意味必然だった…。

 

 

 

「次、『セシリア・オルコットの水着姿』!!」

 

 

「「「「「いくらでも出してやらぁ!!」」」」」」

 

 

「クッ、もう軍資金が無い…!!」

 

 

「俺ちょっと来月の給料を前借りしてくる…」

 

 

 

 

―――まともに参加する者も居れば…

 

 

 

 

「割り勘しね?」

 

 

「……この前、お前が手に入れたラウラの『お姉ちゃん発言音声データ』と交換なら…」

 

 

「なぁなぁ、金貸してくれよ…今度の給料日に返すからさ……?」

 

 

 

 

―――互いに利用し合い、協力し合う者も居り…

 

 

 

 

「おい!!誰だ俺の財布パクッた野郎は!?」

 

 

「その写真を寄越せえぇ!!」

 

 

「断固拒否する!!」

 

 

「ぬっ殺すぞテメェ!!」

 

 

「やるのかゴラァ!?」

 

 

 

 

―――最早ルール無視の強奪戦を繰り広げる者も居た…

 

 

 

 

 

 

 上層部や幹部が見たら、間違いなくこめかみを抑えて呻いていただろう。けれども彼らが自重することは最後まで無かった…。

 

 

 

 

 

 

―――そう、最後に彼女が来るまでは…

 

 

 

 

 

 

「はぁ~い、皆さん!!遂にこれが本日最後の御品になります!!この短い時間で何人もの方が、財布の中身を激減させたと思います…しかし!!この最後にお出しするモノは、いっそ借金してでも買い取りたくなること間違いなしのとっておきで御座います!!」

 

 

「何なんだ…?」

 

 

「もうやめて!!俺の所持金はもうゼロよ!!」

 

 

「俺も…」

 

 

「俺なんて既に借金確定なんだけど…」

 

 

「でも、そこまで言うってことは……よっぽど凄いのか…?」

 

 

 

 既に財布も心も軽くなった彼らに対して大見得を切るようなセリフを放ったメテオラ。その言葉に期待と不安感の両方を抱いた面々だったが、そんな彼らを余所にメテオラは懐から音声録音機を取り出した……そして、その再生ボタンのスイッチを入れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『私は貴方のことを、心から愛しています…』

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「ッ!!!!????」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 音声機から流れたのは一人の少女による告白の言葉。彼らは全員、この声の持ち主に心当たりがあった……しかし彼らは自分達が思い浮かべたその声の持ち主は、絶対にこんな事をこんな口調で言わないとも思っていた。故に、彼らの驚愕は計り知れない…。

 

 

 

「こ、ここここここの声は…!?」

 

 

「篠ノ之箒…だと…!?」

 

 

「はい、その通り!!先日、女口調の練習を試みた篠ノ之箒が最後の最後に発したこのセリフ!!彼女の性格を考えるに、おそらく再びこれに匹敵するようなモノを仕入れることは難しいでしょう…。故に希少価値は圧倒的と自信を持って言わせて頂きます!!」

 

 

 

「「「「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオッ!!」」」」」」」」」」」」

 

 

「今日のトリはマジでパネェ!!」

 

 

「やっべぇ!!ファース党としてこれは譲れねぇ!!」

 

 

「赤字?借金?上等だオラァ!!」

 

 

「おっしゃ行くぞ野郎共!!」

 

 

 

 まさかのダークホースに今日一番の盛り上がりを見せるオークション会場。この瞬間、彼らが貸し切った施設を中心に微弱な地震が観測されたそうな…。

 

「これは期待して良いですか?良いですね?…ではでは、スタート額は1万円とさせて頂きます!!皆さんの気前の良さに期待しましょう!!それでは本日最後のオークション、開始です!!」

 

 

 

「おっしゃあ!!まずは2万円だッ!!」

 

 

「ならば、3万円!!」

 

 

 

 開始と共にボルテージマックスな野郎共による狂宴が始まった。当分、この馬鹿騒ぎは続くだろう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「50万円~」

 

 

 

「「「「「「「「え…?」」」」」」」」

 

 

 

 

―――この言葉が無かったらの話だが…

 

 

 

 

「あれ、足りない?じゃ、100万円で~」

 

 

「え…あ、いや…その……え…?」

 

 

 明らかに次元の違う金額を提示されたため、さっきまで大盛り上がりだった会場は一瞬にして水を打ったような静けさに包まれる。誰も彼もがポカンと呆けたツラを晒すしかなかった…。

 

 

 

「ん?どうしたの~?」

 

 

「いや…あるの?100万……」

 

 

「は~い」

 

 

 

 声の持ち主は観客達の群れから腕を伸ばし、メテオラの疑問を嘲笑うかのように分厚い札束をドドンと掲げた。その場に居た全員が声を失ったことは言うまでもない…。 

 

 

 

「あ、あるのなら…構わないんだけど……一応尋ねますが、他に居ます…?」

 

 

「「「「「「……。」」」」」」

 

 

 

 千円単位で争っていた奴らが100万も持ってる筈が無く、誰一人として口を開こうとしなかった…。

 

 

 

「で、では百万で落札です!!御品を渡しますんでこっち来てください…」

 

 

「はいは~い」

 

 

 

 随分と抜けた感じの声を出しながら、謎の勝者は人混みを掻き分けながらメテオラの居るステージへと向かっていった。そして、本人が段上へと上がることにより、その人物の姿を皆は見ることができた。

 

 その途端、あちこちから疑問やざわめきの声が広がっていった。しかし、ステージに上がって来た本人と向き合ったメテオラが一番混乱していた…。 

 

 

 

「……すいませんが…」

 

 

「ん~?」

 

 

「貴方、誰…?」

 

 

―――癒し系オーラを漂わせ、のほほんとした“着ぐるみの白兎”に、思わずそう尋ねてしまった…

 

 

 

 

「んふふ~秘密~~♪」

 

 

「いやいや、そうはいかないから!!……御嬢さん、いったい何処から入って来たのかな?」

 

 

 

 ここは自分たちが貸切にした筈…部外者は入ってこれない筈なのだが……

 

 

 

 

「気にしない、気にしな~い♪」

 

 

「いや、だから…」

 

 

「私は~みんなのプライバシーを守りにきたので~す!!」

 

 

「は…?」

 

 

「要するにね~」

 

 

 

 意味不明なことを言われ、頭に疑問符が大量に出現させざるを得ない。だが、次の瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「女の子の敵にお仕置きしにきたの~」

 

 

「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その言葉と同時に、オークション会場が崩壊を始めた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

『被害報告』

 

 

・死者ゼロ

 

・負傷者多数(うち数名がトラウマを抱えた模様…)

 

・施設完全崩壊(賠償金の請求が来てます)

 

・篠ノ之箒に関する全商品の盗難(ファース党のメンバーは血涙を流して悲しみに暮れたとのこと)

 

 

備考・どういう訳か、襲撃者に関する目撃証言の内容が全員ぶっ飛んでいるため(変な翼を生やしていた、複数に増えた、か○はめ波を撃った等…)、人物の特定は限りなく難しいと思われる…。

 

 尚、現在IS学園に潜入中のセイスとオランジュは何かを知っている模様。しかし問い詰めてみると、顔を青くしながら『何も知らない』の一点張りなので、此方も当てになりそうにない…。




次回は本編を更新しようかと…
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