アイ潜IF外伝   作:四季の歓喜

26 / 66
宴会前半戦です。温泉は、やっぱ最後にとっときます…


IF未来 続・学園編 その4

「おぉ見ろセヴァス!!この刺身、鮃だぞ!!」

 

 

「知ってる、裏で捌いたの俺だから…」

 

 

「なにぃ!?」

 

 

 

 日もすっかり沈み、今は夜。夕食の為に生徒達が集った宴会場は、例年通り…いや、例年以上の盛り上がりを見せていた。希少な男子が増えたということもあるが、何だか今年の料理やサービスのグレードが上がっている気がするのだ…

 

 出てきた料理に使われた食材は、高校生が口にするようなレベルの代物では無く、しかもその全てがお代わり自由。宴会場は4クラス分の人数が丸々納まる程に増築され、去年は設置されて無かったカラオケセットが配備された……今はのほほんさんが明日斗とデュエットで熱唱中である…

 

 何があったか知らないが、金かけ過ぎだろう…

 

 

 

「つっても、一昨年はカワハギが出てたんだっけ…?」

 

 

「贅沢者どもめ…そんなんじゃ舌がすぐに肥えるぞ……」

 

 

「三ツ星レストラン常連客のお前が言うな」

 

 

 

 生徒達がズラリと並ぶ正座席…その列の内の一ヶ所に、セヴァスとマドカの二人は居た。何故か居たスコール達と再会したあの後、休憩時間が終わりそうだったので何か釈然としないもののセヴァスは旅館に戻っていった。今まで厨房に籠り、夕食の仕込みを手伝っていたそうだ。セヴァスは料理に関する味付けや火の扱いは人並み程度で一夏以下だが、包丁捌きだけは一流であると自負している。因みに今回の夕食に出された刺身の盛り合わせは、全て彼の手によるものである。

 

 そして夕食の準備の手伝いを終わらせた彼は、次の仕事に取り掛かるべく張り切った。しかし、その前に軽く休憩を取らせて貰おうと思ったのだが…

 

 

 

『あぁ六道君、六道君』

 

 

『はい?』

 

 

『今日の君の仕事、さっきので終了だよ?』

 

 

『…え?』

 

 

 

 休憩時間を貰うどころか、もう仕事から解放されてしまった。一瞬だけ自分が旅館の人達に不興を買うような真似をしたのかと思って焦ったがそうでは無く、元から夕飯時になったら終わる予定だったらしいのだ。むしろ短時間だったとはいえ、かなり役に立ったと言って貰えた…

 

 というわけで、今は皆に混じりながらマドカの隣で夕飯を御一緒させて貰っているのである…

 

 

 

「マドカが三ツ星レストラン常連客?」

 

 

「それ、本当…?」

 

 

 

 さっきの会話が聴こえたのだろう、マドカの隣に座っていた一夏が話しかけてきた。今はマドカを挟むようにしてセヴァスと一夏が座っており、一夏の隣には簪が座っている。本当は一夏の隣に誰が座るのかでまたラヴァーズが揉めたのだが、昼間の様に彼はまたオランジュの隣に逃げたのだ。その時に簪が浮かべた表情を一言で例えるのなら、こうだろう…

 

 

―――計・画・通・り!!

 

 

 彼女の為なら三回廻ってワンもやりかねないオランジュのことだ、彼女の目が『お願い、席代わって』と言ってたら動くに決まっている。反対側に座る簪と目が合った瞬間、オランジュは既に立ち上がっていた。そして簪は他のラヴァーズが唖然とする中、悠々と一夏の隣に座ったのである…

 

 何でこうも簪には従順なのかオランジュに訊ねた事があるのだが、彼は教えてくれなかった。のほほんさん曰く、去年のゴタゴタの最中に何かあったらしいのだが……はたして…

 

 

 

「ふ、本当だ。私はお前と違って、高い店に行き慣れているのだ!!どうだ羨ましいか!?」

 

 

「マジで!?買い物行くとやたら値の張る食材ばっか買おうとすると思ったら、それが原因か!?」

 

 

「……いや、適当に選んだのがそれだっただけなんだが…」

 

 

「なん…だと…?」

 

 

「味さえ良ければ、食材なんて特に気にしないよなセヴァス…?」

 

 

「まぁ、な…」

 

 

 

 俺を基準にしちゃいけない気もするけど。人里から離れた土地に放り出された二年間は、川魚と獣と果物で食い繋いだ。火を起こすなんてことは出来なかったから、料理と呼べる代物を口にした記憶は無い。だから一時期、『店の料理』=『火の通った料理』と思ってた時があったぐらいだ。せめて骨やら内蔵やら食えない部分を取り除く事はしてたので、その過程で食材の下ごしらえと捌くのだけは上達したが…

 

 

 

「……何か、泣けてきた…」

 

 

「何故に?」

 

 

「だったらその涙を拭ってあげる…!!」

 

 

「え…?」

 

 

 

 俺の右隣…マドカが座る左隣とは逆の方からそんな言葉が聴こえてきたと思ったら、誰かがハンカチで半ば強引に俺の涙を拭ってきた。言い忘れたが俺の隣には現在、マドカと…

 

 

 

「よし、これで大丈夫ね…!!」

 

 

「ど、どうも…?」

 

 

「ふふふふふふ……セヴァス君の涙が染み込んだハンカチ…」

 

 

「ちょっとそれ返せや、ティナ」

 

 

 

 何故か俺の事を好きになってしまった、ティナ・ハミルトンである。潜入時代は楯無同様、CIA所属の彼女とは幾度となく激闘を繰り広げる羽目になった。ISとガチで殴り合い出来る俺と最後まで生身で戦い続けた猛者であり、何だかんだ言って実力に関しては一目置いてる。この変態的な面が無ければ…

 

 

 

「あんたセヴァスが関わると本当に壊れるわね…」

 

 

「鈴にだけは言われたく無いわよ」

 

 

「うぐッ…」

 

 

 

 ティナの隣に座ってた鈴がぼやくが、そこだけはティナの言葉に同意する。一夏の事で良い事があると(ぬか)喜びのあまりトリップ状態に入り、傍から見ると危ない人に見えたのは一度や二度では無い。寮でくつろいでいる時、最も独り言が多かったのは彼女だったりする。因みに、二番目はシャルロット… 

 

 

 

「……それはさておき…」

 

 

「逃げたわね、ツンデレ酢豚」

 

 

「五月蠅いわね!!あんた、いい加減にセヴァスのこと諦めなさいよ。」

 

 

「だが断る!!」

 

 

 

 彼女が俺に恋心を抱いていた事を知ったのは、マドカと恋人宣言をした後である。まさか、遭遇する度に殺人パンチと鉛弾の応酬を繰り広げていただけの彼女が俺に惚れているとは思いもしなかった。まぁ、知った所で俺はマドカを選ぶことに変わりないけど…

 

 

 

「どんなに勝ち目が薄かろうが、私は諦めない!!それにこうやってアピールを続けていれば、いつかきっとセヴァス君だって心変わりして……」

 

 

「ゴメンナサイ」

 

 

「ぐはぁ!?……いいや、まだよ!!まだ終わらないわ!!セヴァス君が居る限り、第二第三の…」

 

 

 

―――シュパッ!!

 

 

 

「もきゃあああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

 

 

 

 何か黄緑色の物体が俺の鼻先を通り過ぎたと思ったら、そのままそれはティナの口の中に入った。その瞬間、彼女は悲鳴を上げながらジタバタとのたうち廻り始めた。まさかと思って反対側に顔を向けると、マドカが態々箸を左手に持ち替えて何かを投げたかのような体勢をとってた…

 

 

 

「あああああああああああああああああああ水うううううううううぅぅうぅぅぅぅぅ!?」

 

 

「……放り込みやがったな、ワサビの山を…?」

 

 

「ふん、人の彼氏を本人の前で狙う方が悪い…」

 

 

 

 めっちゃ良い笑顔を浮かべてやがる。オランジュは昔、調子乗りすぎてチューブ丸々一本分のワサビを鼻にぶち込まれたらしいが……くわばらくわばら…

 

 

 

『あぁ~マイクテス、マイクテス。』

 

 

「ん?オランジュか…」

 

 

「何してんだアイツ…?」

 

 

 

 何時の間にか宴会場のステージの上にオランジュがマイク片手に立っており、それに気付いたのとほぼ同時に照明が消されて真っ暗になる。しかし、すぐにステージの部分だけに明かりが点いた。

 

 

 

『へぇい皆さん、お食事中失礼するぜぇ!!只今より、スーパーお楽しみタイムを開催するッ!!』

 

 

「……何をする気だ…?」

 

 

「良い予感はしないな…」

 

 

 

 オランジュの言葉に俺を含めた全員がざわめき始める。もの凄くノリノリな分、恐ろしく不安である。亡国機業の忘年会でも、碌な目に遭った記憶が無い…

 

 

 

『それではまず、これを見ろい!!』

 

 

 

 オランジュがそう言うや否や、彼の背後に巨大なモニターが現れた。そしてそこに映し出されたのは、やけに豪華で高そうなレストラン。そこで一人で食事を摂ってる黒髪の少女…その少女は、やたら落ち着きなくキョロキョロと視線を彷徨わせている。時折席を立とうと思っては座り、立とうと思っては座りを繰り返すところを見るに、食欲と羞恥の板挟みに遭っているようだが……

 

 

 

「待てえええええええええええええええぇぇぇぇいッ!!」

 

 

 

―――隣のマドカが思いっきり叫んだ…

 

 

 

「消せ!!いますぐにその映像を消せえええええぇぇぇぇッ!!」

 

 

『皆さん、確保~』

 

 

「「「「「「は~い」」」」」」」

 

 

「うわ、何するコラ!!放せ馬鹿ども!!」

 

 

 

 即座に立ち上がってオランジュに殴りかかろうとしたマドカだったが、目前でノリの良い一組一同に抑えれてしまう。彼女の反応であの映像が何なのか大体分かってしまったのだが、それだけにマドカは大焦りだろう。少し涙目になってるし……しょうがない、ちょっくら止めてくるとしよう…

 

 

 

『まぁまぁ、落ち着けよマドカ。この映像を流したら……の映像を流すからさ…』

 

 

「……本当か…?」

 

 

『モチのロンよ』

 

 

「……ちゃんと流せよ…」

 

 

『応よ』

 

 

 

 あれ?オランジュに何かを囁かれた途端、急に大人しくなった。そしてそのまま拘束を解かれ、スタスタと元の場所に戻ってくる。何を言われたのか知らないが、腹を括ったようだ。

 

 

 

「おい、良いのか…?」

 

 

「構わん!!掛かってこいオランジュコノヤロー!!」

 

 

 

 

―――両耳を塞ぎ、両目を固く閉じて言われてもなぁ…

 

 

 

 恥ずかしいのに変わりは無いようだが、そりゃそうだ…あの映像は見る分には微笑ましいが、本人からしたら黒歴史に他ならない。ましてや、ついさっきその話題を口に出したばかりだというのに……

 

 

 

『よぉし、本人のOKは貰ったぁ!!それでは、続きを再生!!』

 

 

 

―――自称・高い店に行き慣れてるマドカの、初めての三ツ星レストラン映像なんて…

 

 

 

「織斑さん…」

 

 

「マドカちゃん…」

 

 

「見るな!!私をそんな温かい目で見るなああああああぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 とは言ったものの、皆がそうなるのも仕方のない事だと思う。まるで親からはぐれた子犬の様にせわしなく視線をキョロキョロさせ、店の雰囲気に呑まれたせいで身体はカチカチと震えている。御冷を持てばその震えのせいで水が波打ってしまい、グラスに口を付けても碌に飲めて無かった…

 

 

 

「あ、料理が運ばれてきた…」

 

 

「流石食いッ気に定評のある織斑さん…目がキラキラしてる……」

 

 

「ぬああああッ…」

 

 

 

 前菜が運ばれてきた瞬間、ほんの一瞬だけ映像の中のマドカの表情が明るくなった。流石は亡国機業きっての食いしん坊、美味い物には目が無いようだ。食欲が緊張感に勝り、ちょっとは落ち着いたみたいだ。ところが…

 

 

 

「あれ?動きが固まった…」

 

 

「料理と食器をガン見してるけど、何で…?」

 

 

「……もしかして、どの食器を使えばいいのか分からない…?」

 

 

「「「「「それだ!!」」」」」

 

 

「……。」

 

 

 

 その通りだった。複数あるフォークやナイフを取っては使うのを躊躇い、何度も持ち直したり置いたりしていた。再び緊張感と焦りが生まれ、今度は震えだけでなく冷や汗まで流し始める始末だ…

 

 

 

「あ、ISのハイパーセンサー使った!!」

 

 

「他の客の様子を見て確かめようとしたんだわ!!」

 

 

「おぉ、正しいナイフとフォークを選んだ!!」

 

 

「あの幸せそうな顔!!試練を乗り越えて美味しさも二倍なのね!!」

 

 

「……もう、いっそ死なせてくれ…」

 

 

 

 その後も自称『行き慣れてる』人の記録映像は、本人を恥ずかしさで殺しかねないシーンを幾つも流した。料理が来る度に幸せそうな表情を見せ、一品食べ終わる度に追い込まれた小動物のように落ち着きが無くなる。思わずナイフを床に落とした時なんて『ヒッ!!』と随分可愛い悲鳴を上げ、デザートを食べ終わった時なんてまるで超難関任務を成し遂げた時のようなドヤ顔を浮かべていた…

 

 そして支払いを済ませたマドカがヨロヨロと覚束無い足取りで店を出て、合成で『よくできました!!』と大きな文字が映し出されてその映像は終わった……その結果…

 

 

 

「何かあれだね…」

 

 

「うん、そうだね」

 

 

「とりあえず、織斑さんは…」

 

 

 

「「「「「「「「「とっても微笑ましいね!!」」」」」」」」」」

 

 

 

「ぬうわあああああああああああああああああああああああああああああああああッ……!!」

 

 

 

 顔を真っ赤にして叫んだ挙句、宴会場の隅っこに逃げて丸まってしまった。今は敢えてそっとしといてやろう、それが彼女の為である……実はさっきの映像、持ってるんだよね。姉御に貰ったから…

 

 

 

「おい、大丈夫かマドカ…?」

 

 

「お、思い出したくない思いでなんて皆さん一つや二つ持ってるモノですわ…」

 

 

 

 割と近かった箒とセシリアがマドカを慰めようとするが、彼女はすっかり塞ぎ込んでしまった。こうなると分かってたろうに、何で許可したんだ…?

 

 

 

『おぉいマドカ、良いのか?約束通り例の映像、今から流すけど…』

 

 

「ッ!!」

 

 

「例の映像…?」

 

 

「ふはははは!!何をしているオランジュ、さっさと流せ!!」

 

 

 

 いきなり笑い出したと思ったら、箒たちが呆気にとられのにも構わず一瞬で戻って来た。どうやら、例の映像とやらが理由みたいだが……ちょっと待て、この流れでマドカが喜びそうなものって…

 

 

 

『さぁ、次の映像はコレだ!!』

 

 

 

―――モニターに映し出されたのは雨の中、段ボールに入れられた子猫と傘を持った一人の少年…

 

 

 

「オランジュテメェこの野郎おおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

 

『ラウラさ~ん』

 

 

「了解」

 

 

「ぐッ、AICだと!?」 

 

 

 

 うわああぁぁぁヤバイヤバイヤバイヤバイ!?誰にも見られてないと思ってたのに、何でそんな映像が残ってやがるんだ!?何としてでも阻止しないと俺の精神的ライフが即死してトルネードした後にビッグバンするっていうかパニクッて自分でも何言ってるんだかわけ分からん!?

 

 しかし、必死に抵抗する俺に反してラウラの拘束はビクともしない。しかも動きを止められたタイミングが最悪なせいで、モニターの真正面を向いた状態で固まってしまった。これじゃ目を背ける事も出来やしない…

 

 

 

「ははは、諦めろセヴァス!!私に続いてお前も晒せ晒せぇ!!」

 

 

「マドカてめぇ!!」

 

 

 

 何で素直に自分の黒歴史を見せるの容認したんだろうと思ったら、そういうことか畜生!!って、うわああああぁぁぁ!!本格的に始まりやがったあああああああぁぁぁ!?

 

 

 

「六道君…後ろ姿も格好いい…」

 

 

「見てみて!!しゃがんで子猫を撫で始めた!!」

 

 

「猫も気持ちよさそうだけど、六道君も何か幸せそう…」

 

 

 

 ぐああああああああ!?確かコレって二年前の六月、食料の買い出しに行った時のだ。現在の俺が悶えてる事を知らない映像の中の俺は、傘を片手に子猫を優しく撫でている…

 

 

 

「傘を猫の段ボールに立てかけた!!ていうか、猫にあげた!?」

 

 

「そしてどっか行ったね…」

 

 

 

 あぁ…確かこの時、近くにコンビニがあったから、つい……

 

 

 

「戻って来た、そして何か持ってる…」

 

 

「ん~?……あ、牛乳と猫缶だ!!」

 

 

「子猫の為に買ってきたのね!!」

 

 

 

 だんだんと周囲から送られてくる視線が温かくなってきた。だが、ここまではまだマシだ。本当に見せたくないのは、この後である。最後の抵抗とばかりに身体に力を加えるが、AICが解除される気配は一切ない……畜生!!もう好きにしやがれぇ!!

 

 

 

「お!!六道君が猫を抱き上げた!!」

 

 

「どっちも嬉しそうだね…」

 

 

「あれ、六道君が何か囁き始めたよ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『ははは、まるでマドカみたいな奴だな…』

 

 

―――『にゃ~』

 

 

―――『何か不満そうだな…お前、あれだぞ?マドカって本当は凄く可愛い奴なんだからな?いつもは意地張ったりしてるけど、本当は御茶目で癒し系な女の子んなんだぜ?』

 

 

―――『うにゃ?』

 

 

―――『おうよ、本当だとも。A○B48とか少女○代とか人気だけど、マドカには勝てないね。俺の中では『マドカ=世界一可愛い』の図式が出来てるくらいだ。つまり、今のは俺にとって最上級の褒め方というわけだ!!』

 

 

―――『にゃん』

 

 

―――『おぉ分かってくれたか!!よしよし、良い子だ…』

 

 

―――『にゃ~♪』

 

 

―――『おや?……ははは、やっぱり良い子には良い事が起きるもんだ…』

 

 

―――『にゃ?』

 

 

―――『ほら…あそこに居る人、お前を連れ戻しに来た飼い主さんじゃないか?』

 

 

―――『にゃあ~!!』

 

 

 

 

 子猫が飼い主の元に駆け寄っていったところで映像は終わり、それと同時に皆の視線が俺へと集まって来た。ある者はこっち見ながらニヤニヤしており、ある者は顔を赤くし、ある者は何故か悔しそうに泣いていた。日頃皆の前でいちゃついているが、俺もマドカも『それが昔から普通』みたいな態度を取っている。それだけに、こういうド直球なのに対して俺達自身に免疫が無い。精々、意地張るのをやめて互いに告白した時ぐらいじゃ無いだろうか、こういうのは…

 

 気不味くなり、マドカの方へと視線を向けてみる。すると彼女は人一倍顔を真っ赤にしており、恥ずかしさ半分嬉しさ半分な表情を浮かべて固まってた。そして俺と目が合った瞬間に慌てて目を逸らしたが、やがてポツリと言葉を紡ぎ出した…

 

 

 

「…え、っと……そのう、何だ…………ありが、とう…嬉しい、ぞ…?」

 

 

 

―――照れながらもそう言ってくれた彼女を、もの凄く抱きしめたくなりました…

 

 

 

 

 




さて、次は宴会後半戦に加えて日程二日目……ちょっぴりシリアスです…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。