ソードアートオンラインにTASさん(らしきもの)をぶち込んでみた   作:無玄

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やっちまった感がある、しかし、反省はしていない。





prologue

1人の少女がいた。

 

シュバ!シュバ!シュバ!シュバ!

 

その少女は左手を何度も何度も振り払っている。何故かは分からない。いや、今この場にいる殆どの人間がこの行為の意味は知っている。

 

シュバ!シュバ!シュバ!シュバ!

 

この行動が200回ほど繰り返されたあるとき……

 

シュバ!シュバ!シュ

 

不意にその動きが止まった。そして……

 

ギィィィィ

 

音を立てて扉が開かれる。中は暗く、少女が立っている位置からでは何も見えないだろう。しかし、少女はある一点目掛けて駆け出す。まるで部屋内の敵がどこにいるのか予め判っていたかのように。

 

「彼女に続いて全員突入!」

 

一人の男が号令をかけたその瞬間、全員が部屋になだれ込む。そこに居るのは……

 

「なんだありゃ!?牛か!?」

 

第1層のボス<イルファング・ザ・コボルド・ロード>は二足歩行する牛のような姿をしていた。手には斧を持ち、もう片方の手には盾を携えている。

 

ガァァァァァンッ!

 

先ほど勢いよく駆け出した少女は、全員が部屋に入るまでの時間、たった一人でボスのHPをゲージの1割程を削っていた。

 

「……一人では時間がかかる。」

 

少女は呟いた。

 

 

 

 

 

「了解だ、全員攻撃開始!派手に愉快にボスの首を取って今夜の酒のネタにするんだ!」

 

「「「オオォォォォーーーッ!!」」」

 

少女の呟きを聞いた男は、仲間に指令を出す。仲間達は声を上げ、ボスの取り巻きである<ルイン・コボルド・センチネル>に攻撃を加える。

 

「とっとと片付けて彼女の援護に行くぞ!」

 

「<タス>さんハァハァ。」

 

「俺、この戦いが終わったら<タス>さんにお酌してもらうんだ。」

 

「俺は<タス>さんのパインサラダを食う為にここに来たんだ。」

 

「俺なんてボス戦があるからって<タス>さんのステーキ食いそびれちまったんだぞ!」

 

「そういえばこの前彼女ができたんだ!名前はテュッテ……」

 

「お前ら真面目にやれ!後、無駄にフラグ立てるのやめろ!特に一番最後の奴、それは別のゲームだ。」

 

などと言ってる間に取り巻きが全滅し、残りはボスのみというところで異変が起きた。

 

「噂の武器交換か!全員一度散れ!まずは回避を優先して攻撃パターンを確認する。」

 

事前の情報通り<イルファング・ザ・コボルド・ロード>はHPが減少すると武器を変えた。しかし……

 

「話が違うじゃないか!?」

 

仲間の一人が叫び声をあげた。理由は明確。事前情報と今の状況の食い違いだ。HP減少によって武器を交換し、攻撃パターンが変化するというのは情報通り。だが、交換後の武器は事前情報では<曲刀>となっていたのに対し、現在ボスが装備しているのはどう見ても<刀>である。

 

「落ち着け!まずは状況整理だ。」

 

「はい!えーっと……ボスの<刀>が<センチネル>を装備すると思っていたらいきなり<キバオウ>さんを抜いて」

 

「なんでや!」

 

「落ち着けと言っている!」

 

全員が混乱している中、1人でボスの相手をする少女。しかし、攻撃パターンが変わったためか攻撃は殆どしていない。たまに放つ攻撃も、刀によって弾かれている。

 

「ん?刀に弾かれてる?……あの刀の形状からして……もしかしたら。」

 

「何一人で納得しとるんや!まさかこの状況を何とかする手があるんか?」

 

「あるかもしれない……今思いついたんだが。」

 

「なら、それを早く教えてください!」

 

青い髪の青年<ディアベル>がその手段を聞いてくる。しかし……

 

「あるにはある……がほぼ賭けな上、下手すると行動自体無駄かも知れない。」

 

「取り敢えず教えてください。」

 

「ああ……実はな……。」

 

即席攻略組リーダー<アルタ>はその考えを口にした。

 

 

 

 

 

ガンッ!ガンッ!

 

少女……<タス>は先程までの回避に専念した動きから一転して攻めに回っていた。手に持った初期装備の剣が繰り出す斬撃は、幾度もボスの刀によって防がれる。

 

「…………。」

 

しかし、タスは表情を変えない。……元々無表情ではあるが。

 

「……火力が足りない。」

 

「なら手伝うぞ。……スイッチだ。」

 

合図に合わせてタスがソードスキルを発動し、その隙を埋めるようにアルタと入れ替わる。

 

「こっちは任せろ!」

 

「こっちもOKや!」

 

「準備完了!」

 

それぞれの部隊から合図が来る。即ち準備が完了したということだ。

 

「これからする事は解ってるよな?」

 

「……。(コクリ)」

 

タスは頷き、それを見たアルタはニヤリと悪い笑みを浮かべる。

 

「全員攻撃開始!狙いは……奴の持っている刀だ!」

 

武器破壊……アルタが思いついた策。一部の人間は情報の食い違いによって混乱している状況だ。ならばその元を断てば良いと考えた。しかし、敵モンスター……ましてやボスの持っている武器に対して武器破壊が可能なのかどうかは分からない。それでもこの作戦に踏み切ったのには理由がある。

 

「第一の要素として、刀という武器の特性がある。」

 

刀は……脆い。斬ることに特化しすぎた刀は、普通に斬っても数回で刃こぼれしてしまうほどだ。

 

「第二の要素は、このゲームはゲームとしての最低限の条件を満たしつつも現実的だということだ。」

 

魔法というRPGに欠かせない要素を捨て、武器による攻撃をメインとするこのゲームに於いて、物理的な現象は起こり得る可能性があると判断したからだ。

 

「決め手となった最後の要素はタスの行動だ。」

 

全ての攻撃を刀に攻撃を弾かれていたタスの行動は、アルタにとって違和感をもたらした。あのタスが攻撃をしくじる事など有り得ない。と。

 

「以上の事から武器破壊の可能性は高くなり……」

 

アルタの剣が光を纏う。ソードスキル発動時の光だ。

 

「破壊後の士気は……」

 

ガギィンッと音を立てて刀が折れた。やたら耳に残る金属音とともに、先程までこちらを苦しめていた刀の刃が地面に刺さる。

 

「上がる。」

 

「「「オ゛オ゛ォォォォーーーッ!!」」」

 

武器を失った<イルファング・ザ・コボルド・ロード>は硬直する。そして……

 

「行けぇぇぇぇぇぇ!」

 

軽装の少年とフードで顔を隠した人物がその硬直時間を利用してボスを斬りつける。

 

「スイッチ!」

 

フードの人物が叫んだその瞬間、フードが外れて中から素顔が現れる。美少女だった。

 

「もう一度スイッチだ!」

 

少年が叫び、少女と入れ替わったところでソードスキルが発動し、ボスのHPはゼロになった。

 

 

 

 

 

ソードアート・オンライン第1層ボス攻略:死者0名、攻略班リーダー<アルタ>、ラストアタックプレイヤー<キリト>、ゲームシステムを逆手にとった奇抜な策によって死者ゼロという快挙を成し遂げた。その中で最も大きな働きをした人物<タス>。彼女はウィンドウの開閉によって、味方の攻撃の全てがクリティカルヒットになるよう乱数調整していた。

 

 

 

 




小説自体久々に投稿するので色々おかしな点があると思いますが、ご指摘いただけるとありがたいです。

また、プロローグということもあって、TASさんの動きはまだまともです。まだ……ね……。




以下挿絵

タスさん

【挿絵表示】


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