ソードアートオンラインにTASさん(らしきもの)をぶち込んでみた 作:無玄
キリトのトラウマ(ブレイカー)編はっじまるよー。
なんかテンションがおかしい気がする。
いつもどおりのレベリングを終えたタスは攻略組の拠点、正確には最前線の層で取った攻略組共通で利用する宿に戻る。日は落ちるどころか一巡回って昇り始めており、タスの顔を仄かに照らしている。
「……早く帰らないと。」
呟きながら街へ戻ろうと駆け出す……ポーズをして小刻みに動いて空を飛ぶ。一度高度を稼いでしまえばエンカウントもしないため、最近の攻略組では密かにブームになりつつある。もっとも実際に飛べるプレイヤーはほとんど居ない上、使い方によっては危険であるため出来ても使わないプレイヤーも多い。現状使用しているのはタス、アルタ、キリト、アスナ、豹虫、キバオウと最近になって攻略組入りしたヒースクリフというプレイヤーだけだ。
「……あれ?」
ある程度高度を稼いだのでふと前を見ると、キリトが空を駆け回っていた。
「……どこかに朝駆け?」
「お、タスか?丁度いい。」
と言ってキリトがタスの方に近づいてくる。
「すまない、こいつをアルタに届けてくれないか?」
非常口ポーズの突き出された方の手に握られた紙を渡してくるキリト。
「ラブレター?」
「(うほ。」チートON
「豹虫!?どこから湧いた!?そしてラブレターじゃないからな。」
いきなり現れた豹虫を気にせず、タスは渡されたその紙を広げて読む。
『拝啓 アルタ殿 攻略の勢いもつき、新戦力や新技術が開発される最近の出来事に心躍る日々の中、周りの事を考えずこの様な真似をする私を許していただきたい。ついては予てより申していた、このデスゲーム攻略に関する悩みを解消すべく、暫くの間お時間を頂きたい。勝手なことは重々承知しておりますが、何卒ご容赦ください。 敬具』
「……文が滅茶苦茶だね。」
「ほっとけ。こんな改まった文なんて書いたことないからしょうがないだろ。とにかく任せたからな!」
タスは中身がおかしい(と言っても豹虫のセリフ程ではないが)手紙にツッコミを入れ、そのまま去っていくキリトを見送る。
「……まだ了承してないのに。」
それでも頼まれた以上は仕方ないと、渡された手紙を握り締めて再び移動を始める。
「……そういえば、アスナはどうするんだろ?」
タスの不安は後に悪い意味で的中することになるのだった……。
「文が滅茶苦茶だな。」
キリトからの手紙を読み、タスと全く同じ感想を述べるアルタ。すると突然不穏な気配を感じる。読み終えた手紙を机の上に置き、タスとアルタは気配のする方向……すなわちアスナのいる方向に視線を向ける。
「ねぇなんでキリトくんは出て行ったの?しかも私に何にも言わずに私を置いて今から下層に乗り込んでキリト君をしらみつぶしに探して私だけを見て私無しじゃ生きられない体にして私の……。」
「……えい。」
キリトからの手紙を読んで無表情かつ虚ろな目をしながらブツブツ何かを呟きだしたアスナにチョップをかますタス。
「ハッ!私は何を!?」
色々とやばい状態になっていたアスナを元の状態に戻し、話を続ける。
「とにかく、キリトはしばらく攻略を休むということだな?」
「……そうみたい。」
「アイツが抜けるとかなり攻略に支障が出るぞ。」
今やソードアートオンラインのトッププレイヤーの一人であるキリトが攻略から外れるということは、それだけで戦力も士気も低下してしまう。最悪タス一人でもボス攻略はできるが、かかる時間はいるいないでかなりの差がついてしまう。
「今日は攻略を完全に休みにするか?しかしそんなことをすれば『はじまりの街』で待っている一般人に申し訳ない。」
「……名案がある。」
アルタが考え込む横で、タスはアルタに耳打ちする。二人は身長差がそこそこあるため、アルタは少ししゃがむような形になって話を聞く。
「よし、それでいこう。」
ニヤリと悪い笑みを浮かべて何かを決断したようにアルタは立ち上がり、現状攻略組で幹部と呼ばれるプレイヤーを集合させる。
「俺達は今まで攻略ということで、上の層を常に見てきた。が、それだけじゃダメなようだ。たまには下を見てみようと思う。」
「というと?」
「要は内政だ、戦略シミュレーションでお決まりのアレ。」
早速計画を立てるアルタ。その様子を見ていたディアベルとキバオウは、何かを閃いた様子であった。
(何だ!?とてつもなく嫌な予感がする。)
タスに手紙を渡してから数時間後、キリトは行くあてもなく街中を彷徨っていた。
(とりあえず家出に近い形で出てきてしまったが。)
今更になって攻略組を出てきたことを後悔するキリト。とはいえ出て行って数時間で戻るというのも気が引ける。行くあてはないがレベルとコルだけはあるので、極端な話一週間ほどニートになっても問題はないだろう。まぁそこまではしないだろうが。
(適当にぶらぶらしてるか。)
結局、外に向かうキリト。もう攻略組としての習慣が体に染み付いてしまっているのだろう。普段はソロで活動しているだけあって、迷うことも無い様子で門を出て行く。
(夜まで適当に稼ぐか。)
「おいアルタ、ウチは確かに商売をやってる。それなりに店同士のコネもある。けどな、いきなりポーションの無料配布なんて出来るわけないだろう。しかも『はじまりの街』のプレイヤー全員を対象になんて。」
「やっぱりダメか?」
内政といえば米のバラマキということで、代用としてポーションを配布しようと考えたアルタはエギルの店に来ていた。店といっても規模は小さく最低限の物しか売っていない。しかし、最前線で仕入れた掘り出し物を売る数少ない店として、攻略組や中層プレイヤーにとってはかなり人気のショップとなっていた。
「まぁ攻略組としても協力してやりたい所ではあるがな。実際タスとお前のおかげでこうやって店を開くことができたんだ。その借りを返すという意味でなら……。」
と言ってエギルはどこからかソロバンを出す。どうでもいい話だが、スキンヘッドの大男がソロバンを弾く光景はなかなかシュールなものがある。
「回復量が少ないものなら8万、多いものなら5万、状態異常回復に2万本までならそれぞれ出す余裕がある。」
「いや、普通に出しすぎだろう。そんなに出して大丈夫なのか?」
「攻略組は羽振りがいいからな。」
実際、タスの乱数調整とシステム外スキル開発によって攻略組の戦力は異常なレベルだ。彼らが1時間ほど迷宮区に篭るだけで、下手をすると10万単位で稼いでくる。その帰りにエギルの店に寄れば稼いだ金を一部アイテムに引き換えることができる。要はパチンコ屋の景品交換システムのようなものだ。
「成程。」
「最近はお前さんの訓練を受けた攻略組プレイヤーの数も増えてるだろう?だからプレイヤーの質も上がってきているわけだ。そんな奴らが一日のレベリング後にここで買い物をすると……後はわかるな?」
「うわぁ、ボロい商売だな。俺も教官辞めて商人になろうかな。」
「それだけはやめてくれ頼む。」
若干涙目になりながら頼み込むエギル。アルタが教官を辞めたらプレイヤーの質が落ちて収入が減り、残った客も全員持って行かれそうな未来しか見えない。
「じょ、冗談だよ。」
エギルに知り合いの店にも話をしてみてくれとだけ伝え、アルタは店を後にするのだった。
一方のタスは、アスナと共にレアな食材を求めて森の中に来ていた。……レア食材といってもタスの乱数調整にかかれば5分で所持数限界まで入手できるのだが。
「……戦略シミュレーションの内政は、いくつかの項目に分けられる。兵士の練度、住民の幸福、技術の開発、商業の発展、他にも将の抜擢や他国との交渉といった具合に。」
「へぇー。」
タスはゲームについてあまり詳しいわけではないアスナに、休憩時間を利用して様々な講義をしていた。もっとも、攻略組のプレイヤーから選ばれた食材調達班を待つという意味合いが強いが。
「……今回の場合は兵士の練度はアルタの訓練が、商業の発展はエギルさんの店がそれぞれ現状最高の状態にしている。技術の開発はエクストラスキルの取得条件やシステム外スキルの発見が担っている。将の抜擢や交渉はこのゲームではほとんど意味がない。」
「確かに交渉も抜擢も特にする理由がないわね。」
「……つまり今回の目的は住民の幸福。一般的な戦略ゲームは米や食料を配給する形で幸福度が上がる。」
「それでアルタさんはポーションを調達しに行ったのね。」
タスの説明を受けて納得したように呟くアスナ。
「……アルタがポーションという形で配るためには、何かしらの口実が必要になる。どうせならそれも思いっきり盛大なものにしてしまえと考えた結果がこれ。」
「レア食材で料理をしてのお祭りってことね。」
「……そういうこと。」
水筒に入れたお茶をカップに注いでアスナに差し出す。
「それで、後どれくらい調達すればいいの?」
「……後14016個くらい?」
タスの言葉を聞いたアスナは表情を暗くする。乱数調整ができるタスの力を持ってしても、所持限界という壁は破ることができない。既に5回ほど往復してかなりの量が街に運ばれているが、未だ姿を見せない食材調達班がこのまま来なければ、タスとアスナは何度も森と街を往復しなければならなくなる。
「お願い早く来て。」
その後問題なく駆けつけた調達班(空を飛べないため大幅に遅れた)によって食材調達は予定通りに終わり、祭りの準備は最終段階に入るのだった。
とある街の人目につかない路地裏に不思議な雰囲気を纏った男達がいた。彼らは自らの武器を弄って遊びながら何かを話し合っていた。
「連中は中々クールな事してるな。」
「どうやら、盛大な祭りを、するらしい。」
「俺達も俺達で祭りを始めるか?」
男達は心底楽しそうに笑っている。これから悪戯を仕掛ける少年のような無邪気さと心底憎い相手を打ちのめして愉しむような残虐さを併せ持って。
「いやぁ折角だから俺たちも参加するのさ。」
雨合羽を着た男は、その中でも一層楽しそうな声で叫ぶ。
「レッツパーティー!」
暗闇で棺桶は笑う。
犠牲者が増えるよ!←もっとやれ! やったねたえちゃん!←おいやめろ!
没ネタはお休みです。
やっぱりテンションが(ry