ソードアートオンラインにTASさん(らしきもの)をぶち込んでみた   作:無玄

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第10話

月夜の黒猫団のメンバーと親交を深めたキリトは、彼らのレベリングのための洞窟探索に付き合うことになった。初めて出会ってから既に3日ほど経っている。

 

「待て、慌てるなこれは孔明の罠だ。」

 

キリトは今まさに宝箱を開けようとしていたメンバーに注意を促す。

 

「もっとも、100匹程度湧くくらいだし開けても構わない。」

 

続くキリトの言葉に、それじゃあ遠慮なくと言わんばかりに蓋を開ける。途端、周囲は真っ赤に染まった。

 

「流石キリトさんの読みやでぇ。」

 

「攻略組はやっぱ違うなぁ。」

 

周囲を敵Mobに囲まれたというのに余裕なメンバーたちの様子を見て、キリトは呆れたような表情を浮かべる。

 

「警告したのに開けたってことは、全員狩り尽くすって認識でいいんだよな?」

 

「「「当然!」」」

 

各々が武器を構える。キリトは真っ先に敵陣に向かって飛び出し、一薙ぎで3匹を屠る。

 

「イヤッフゥーーーッ!」

 

メンバーの一人は空中にきりもみ回転しながら槍を突き出し、ドリルのように敵陣を突破していく。

 

「ポポポーン!」

 

あるものはメイスを野球のバットのように振り、敵一体を飛ばす。当然飛ばされた先にいる敵は巻き込まれてダウンする。

 

「ッシャァ!」

 

飛ばされてダウンした敵に追い打ちをかけるようにダガーで切り刻む男は、先程から一切地上に降りていない。敵を踏んでジャンプし、また次の敵の位置へと繰り返しているためだ。

 

「もっと切り刻まれたいか?アァン?」

 

そして、この戦場で(キリトを除いた場合)最も敵を多く倒しているのが……。

 

「まずは三枚おろし~♪続いてミキサーにかけま~す♪」

 

盾と剣を構えてダブルラリアットのようにくるくる回っているサチという少女であった。他の面々もそうだが、キリトに会ってからの変貌は彼女が一番酷く、色々な人が口を揃えて『あんな奴だったかな?』と呟くほどだった。

 

 

 

 

 

ところ変わって例の路地裏。

 

「ボス!面白いことがわかったっす。」

 

「Oh?言ってみな。」

 

「この前の黒ずくめの剣士とつるんでる奴らの正体がわかったっす。『月夜の黒猫団』という弱小ギルドっす。」

 

「良いな、人質にするなり、次の獲物にするなり、できそうだ。」

 

「このまま舐められてたんじゃ示しが付かないしな。」

 

やる気が出てきたとばかりに立ち上がる面々。

 

「それじゃあ行ってみよう。イッツショータイム!」

 

 

 

 

 

「よう、お前何匹?」

 

「32匹。」

 

「お前は?」

 

「26。」

 

「キリトさんは?」

 

「108匹。」

 

「かぁー。やっぱ桁が違うわー。」

 

というわけであの後トラップによって湧いた敵を全滅させた。所要時間は20分程度、上々である。そして今は、それぞれのスコアを確認し合っている最中であった。

 

「そろそろ帰ろう。ケイタがギルドのホームを用意し終わった頃だろうからさ。」

 

「そうだな。」

 

「No!そうはいかないのよ。」

 

そこに響く男の声。この声に聞き覚えのあったキリトは、オレンジに染まった名前を見てとりあえず警戒する。

 

「初めまして。『ラフィン・コフィン』のリーダー、プーdeath✩」

 

「ご丁寧にどうも。『攻略組』の……ナンバー4くらい?のキリトです。」

 

「Wow!挨拶ができるとは。最近の子と違ってマナーが良いネェ。」

 

変なところに感心するプー。ポンチョのフードで顔が見えないが、おそらく笑っているのだろう。

 

「それじゃあお願いがあるんだ。君達の中で何人か、死んでくれないかねぇ?悲しいことに拒否権は無いんだけどね。」

 

その一言を合図に、周囲から数人の男たちが出てくる。

 

「やっておしまい。」

 

「「「キエェェェェェェェェェ!」」」

 

プーの一言で男たちはキリト及び月夜の黒猫団のメンバーに飛びかかる。何の躊躇いもなく飛び込んでくるその姿は、普通の人間なら殺されるかもしれない恐怖か、何が起こったのかわからない戸惑いで動けないだろう。そう、普通の人間なら。

 

「「「フッ!」」」

 

全員が鼻で笑うように武器を構え、鍔迫り合いになる。当然飛びかかってきたラフィン・コフィンのメンバーは空中に居るわけで、地面に足をつけている黒猫団のメンバーにそのまま吹き飛ばされる。

 

「うぎゃあ!」

 

「ぐえー!」

 

「ミハ兄ー!」

 

吹っ飛ばされたラフコフメンバーは、壁にぶつかるか他のプレイヤーにぶつかるかしてそれぞれ悲鳴をあげる。

 

「おい!?どの辺が弱小だって?」

 

「すみません!でも確かに情報では弱小って……。」

 

「バカヤロウ逃げるぞ!」チートON

 

「おい!お前こっち側だろう!」

 

何故か混ざっていた豹虫に、思わずツッコミを入れるキリト。

 

(まずいな……。出口が完全に塞がれてる。このまま中央突破してもいいが、もし途中で止まってしまえば後ろから切られる。俺の予想よりレベルが高ければ死人も出かねない。なにかアイディアはないか?それこそアルタのような奇策は……?)

 

飛んで逃げようにも洞窟なので頭をぶつけかねない。加えて少数とはいえギルドをひとつ抱えたこの状況で、最善策を思いつく頭はキリトにはなかった。ただ無双していればいいソロとの違いに、頭を抱えるキリト。

 

(黒猫団のレベルは腕に比べてかなり低い。仕方ない、一か八かだ。)

 

キリトは決断する。

 

「俺が殿で一気に敵陣を突破する。俺が合図をしたら一気に走り抜けろ。先頭はサチ、お前だ。」

 

「うん。」

 

「「「了解!」」」

 

簡単に指示を出すと同時に、いざという時の保険としてある人物にメッセージを飛ばす。

 

(まだあと少し。こちらに意識が傾いたその瞬間……今だ!)

 

「今だッ!」

 

「「「うおおおおおおおお!」」」

 

黒猫団メンバーは一斉に駆け出す。動揺したラフコフメンバーをものともせず、一気に出口まで走り抜ける。

 

「逃がすな!追え!」

 

「させるか。」

 

一瞬面食らったような表情を見せたプーも、すぐに落ち着いて指示を飛ばす。しかし殿として残ったキリトに足止めされ、追いかけることができないラフコフメンバー。

 

(洞窟なのが幸いしたな。ここで足止めしていればいい。)

 

舞うようにドゥエりながら、次々とプレイヤーに攻撃を加える。当然、既にオレンジ判定の出ているラフコフメンバーに攻撃しても、キリトがオレンジになることはない。

 

(張飛の長坂仁王立ちってやつか?)

 

三国志の英雄と重なるキリトの姿に、ラフコフメンバーも気圧されていた。

 

 

 

 

 

「もうすぐだ!」

 

ようやく出口が見えてきたところで、黒猫団メンバーの足が止まった。彼らが見たものは、先程の倍近いオレンジプレイヤーの軍団だった。

 

「ボスの、言った、通りになったな。」

 

読まれていた。黒猫団が中央突破で来ることも、キリトが殿を務めることも。

 

「お前ら!やっちまえ!」

 

「「「おお!」」」

 

「くっ!」

 

出口を取り囲むオレンジプレイヤーの軍団。サチは盾を構え、壁役になる。少しでも時間を稼ぐために……。

 

 

 

 

 

キリトが月夜の黒猫団を先に逃がしてから15分経った。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

二刀流を解禁し、やってくる敵に対して狭い洞窟内で思うがままに暴れまわるキリト。一人も死者を出していないのは流石の腕前というべきか。

 

「ハハッ!やってくれるね黒光り君!」

 

「褒められても嬉しくないな。」

 

武器を振る腕を止めずに会話するキリト。

 

「でもいいのかなぁ?出口まで逃げた仲間が心配じゃないのかなぁ?」

 

「!?」

 

その言葉に一瞬動揺してしまうキリト。そして、その隙を見逃すほど甘くはないオレンジプレイヤー。

 

「しまった!」

 

麻痺効果を持つピックが直撃し、キリトは状態異常に陥ってしまう。この瞬間を待っていたとばかりにキリトを取り囲んで切り刻むラフコフのメンバー。

 

「これでThe end?」

 

「クソ!」

 

キリトは悪態をつく。早く麻痺回復のポーションを飲まなければとウィンドウを開くが、体が思うように動かない。

 

「いいね!その姿、実にいいぜ!」

 

レベルも防具も自動回復のスキルもあるので、このままでも数分は持つと思われる。しかしキリトは焦っていた。

 

(仕方ない。)

 

ようやくの思いでポーションのボタンに手が届き、すぐにそれを飲み干す。たちまち麻痺は回復し、キリトは周りの敵を払い除けて出口の方へ走る。

 

「wow!敵前逃亡なんて萎えるじゃないか。」

 

後ろでプーの声が聞こえるが、そんなことお構いなしに月夜の黒猫団の元に向かう。

 

(無事でいてくれ!)

 

例によって後ろ向きに。

 

 

 

 

 

キリトが出口にたどり着いた時に見たものは、死屍累々という言葉がよく似合う場面であった。

 

「クッ……。」

 

逆光で影しか見えないが、出口の外に誰か立っているのが見える。おそらくこの状況を作り出した人物なのだろう。

 

「ここまでか……?」

 

近づいて来るプレイヤー。キリトは自らの死を覚悟した。が……。

 

「……久しぶり。皆はうまく逃げ切ったよ。」

 

その正体はタスだった。

 

「タス!ってことは間に合ったのか。」

 

最初に出した、アルタに宛てたメッセージのことなど頭からさっぱり抜けていたキリトであった。

 

「アルタは?」

 

「……?すれ違わなかった?」

 

タスから話を聞くと、アルタは洞窟の中に入っていったという。しかし、道中でアルタと出会っていないキリトは首を傾げる。

 

「いや、見かけてないな。」

 

 

 

 

 

「おいおい、これはシャレになってないぜ。」

 

「だろうね、本気だから。」

 

プーの首筋に剣を突きつけるアルタ。ラフコフの他のメンバーは既に全員麻痺状態にしてある。

 

「ここで俺を殺すのか?」

 

「殺す訳無いだろ?俺はお前らとは違うんだから。」

 

そう言ってアルタは、プーを剣で一度斬る。たちまちプーが麻痺状態になり、もはやこの場で動けるプレイヤーはアルタ一人となっていた。

 

「しばらくそこで反省してろ。」

 

アルタは踵を返す。足にプーの最後の抵抗である麻痺ピックが当たるが、あらかじめタスに乱数を調整してもらっていたので麻痺状態にはならなかった。

 

「バイバイ、ゴミムシ野郎。」

 

最後にお返しとばかりに後ろ向きにピックを投擲する。全く狙いをつけずに投げたそれは、プーの眉間にしっかりと直撃した。

 

「このインチキ野郎。」

 

お互いを貶す言葉が、薄暗い洞窟の中に響き渡った。




没ネタ25

キリト「攻略組のナンバー4かな?」

タス「ナンバー1の座は渡さない!その機体は緋色に塗られるべきだった。」

アルタ「もうすぐ僕は死ぬだろう。その前にフェアリオンのモーションデータを……。」

アスナ「フリフリの服って可愛い。」

ユイ「地球を封印します。」

キリト「ゲームが違う。」


没ネタ26

タス「……マグロイベントうまうま。」

アルタ「改造手術?定期検診の間違いだろ?」

キリト「未来予知打法は最低限のスキル。」

ヒースクリフ「練習後は神社で特訓。」

アスナ「スローボールのど真ん中一択。」

クライン「お前ら絶対おかしいぞ。」


没ネタ27

サチ「キャッチボールしようぜお前ボールな。」

プー「え?うわ!」

キリト「キャッチ&リリース!」

プー「へぶっ!」

サチ「地面に思いっきり叩きつけないでよ。」


没ネタ28

クライン「よう、アルタマン。クラインキングだ。ラフコフアジトを襲撃する。付き合わないか?」

アルタ「よし、MOONLIGHTとコジマキャノン持って来い。」

タス「じゃあ私は3連ロケットとKIKU。」

キリト「やる気満々だなお前ら。」
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