ソードアートオンラインにTASさん(らしきもの)をぶち込んでみた 作:無玄
一度間違えて投稿してしまいました。申し訳ありません。
「……やっぱりダメだ。」
241回目のシミュレートを終えたタスは溜息をつきながら呟く。
「……今のツールじゃクナイドは倒せない。」
いつもどおり無表情なタス。しかし、所々から悔しさが感じられる雰囲気をまとっている。
「……しょうがないかな。」
タスはある決断をする。それは、ソードアートオンラインの前提を覆しかねない行為であった。
攻略組全員でのレベリング中、タスは先程決めたことについて全員に宣言した。
「「「えぇ!?」」」
「「「マジっすかぁ!?」」」
「そんな馬鹿な!?」
タスの突然の宣言を聞いた攻略組の一同は驚いた。
「ふーん。」
アルタを除いて。
「……驚かないの?」
「これまでの行動を見て、大体想像は出来てたからな。」
全く動じる様子がないアルタに、タスは少しだけ不機嫌になる。
「とりあえず了解した。こっちはかなりキツイ事になると思うから、なるべく早く終わらせてくれよ?」
「……速さなら自信がある。」
胸を張って答えるタス。
「お土産期待してるぜ。」
「気をつけてね。」
「早く帰ってこいよ。」
攻略組の面々から声がかけられる。
「……それじゃ。」
タスは右手に持った剣で自分の胸を突き刺した。HPは0になり、消滅エフェクトが発生する。
「行っちゃったよ。」
「本当に大丈夫なんだろうな?」
「本人が言うんだから間違いないだろ。」
タスを心配しながら見送る面々。
「まさか一度現実世界に戻ってツールを追加してくるなんて……。」
「なんでもタスさんはナーヴギアを改造してマイクロウェーブの発生装置とかを取り外したから、ゲーム内で死んでも大丈夫らしいぜ。」
「なにそれこわい。」
タスの非常識な行動(今更だが)に呆然となる一同。そんな中……。
「ん?アレ?ひょっとしてタスが居ない間は俺が乱数調整してないといけないのか?」
今更になってその事実に気付くアルタであった。
「……ただいま。」
一人現実世界に帰還したタス。周辺を見回すとかなり暗いが病室のようだった。しかし、深夜ということもあって誰もいない。いや、厳密には他のソードアートオンラインに囚われた人々がベッドで眠っている。
「……よいしょ。」
少しふらつきながらベッドから降り、病室を抜け出す。監視カメラに見つからないように、かつ医者や看護師に見つからないように慎重に行動する。
「……行くならジャンク屋かな?」
目的地を決めたタス。しかし玄関まで来たところで問題が発生する。鍵がかかっていた。
「……ハッキングすれば行ける?」
近くにあった起動済みのPCを操作し、扉のロックを解除する。この間わずか42秒。
「……これで良し。」
ソードアートオンライン攻略のため、タスは深夜の街を駆け回る。なお、自分の恰好に気づくのは帰ってきた後であった。
「おりゃあぁぁぁぁ!」
「うおおおぉぉぉぉ!」
「頑張ってキリト君!アルタさん!」
その頃、攻略組ではアルタとキリトが必死に乱数調整をしていた。アルタは儀式によって、キリトは同じ場所を行ったり来たりしながら。
「タスゥゥゥゥ!早く帰ってきてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
アルタの切実な願いが、絶叫となってアインクラッド中に広がった。
(やっぱりアップデートしよう。)
隣でヒースクリフはそんなことを考えていた。
「……なんか呼ばれた気がした。」
必要な道具と材料は買ったので、病院へ戻るタス。先程ロックを解除した際にちょっとしたオマケをつけたため、苦も無く病院に再侵入できた。
「……まるでスニーキングミッションだね。」
某蛇のような気分になりながら、病院内を移動する。時にはロッカーに隠れ、時にはダンボールに隠れ、いすの下に潜り込み、ハッキングでセキュリティの一部を無効化しつつ病室へ戻った。
「……あとはこれをつければ。」
凄まじいスピードでナーヴギアに色々なモノを追加していく。最終的に出来上がったその形は、どこかの六人の英雄の一人である悪を滅する白いお侍さんが着けていた仮面のような形となっていた。
「……原型ってどんなのだっけ?」
本来の設計から外れたそのナーヴギアは、本来の仕様から外れたソードアートオンラインの惨状を表すかのような形となっていた。
「……まぁいいや。リンクスタート。」
タスは再びゲームへと戻る。タスが現実世界へと帰還してから、既に3時間が経過していた。余談だが、一夜にしてタスのナーヴギアの形状が変化したことに気付いた看護師達が、ナーヴギアには変形機能がついているなどと噂したため都市伝説として広まってしまったという話がある。現実世界帰還後にその話を聞いた攻略組一同は苦笑するしかなかったという。
「まだか?まだ来ないのか?」
「そろそろ限界だぞ?」
タスがいない間ずっと乱数調整を続けていたアルタとキリトは、そろそろ限界を迎えそうだった。
「む?」
ふとアルタが手を止める。
「アルタ?」
「どうやら帰ってきたようだ。」
突然乱数が安定(常に調整されているほうが安定。ここ重要。)したため、アルタはタスの帰還を悟る。
「……ただいま。」
タスが逆さまの状態で落ちてきた。
「今度はなんだぁ!?」
「……ログイン時に地面を思いっきり蹴ると、錐揉み状態で吹っ飛んでいくのを利用した。多分ログインした瞬間は座標がぶれるんだと思う。その状態でジャンプの行動を起こすと、ランダムで変な方向に吹っ飛ぶ。それを乱数調整して飛ぶ方向を設定すれば、あとは空中歩行の応用で何とかなる。」
「それは盲点だった。」
ヒースクリフが何かを呟いているが、とりあえず無視しておく。もっとも正体に気付いているタスやアルタから見れば、その呟きに納得してしまうのだが。
「……これでデスルーラが解禁。」
「デスゲームでデスルーラって……。」
冗談になっていない行動に、唖然となるキリト。
「それで?ちゃんと奴を倒すための条件は揃えたんだろうな?」
「……勿論。」
その時、アルタはタスのアバターが微妙に変化していることに気付いた。右目と比べて左目の色が薄くなっている。
「……更新完了。」
タスさん(更新版)が、アインクラッドに降り立った瞬間であった。
おまけ1
「プーです。」
「クナイドです。」
「「二人合わせてクーです。」」
決めポーズをとりながら、二人はうーんと唸る。
「やっぱり名乗りを上げるならそれなりにかっこいい名前にしたいよな。」
「まったくだ。」
「なんだよクーって。鳥か?ハムスターとか魚とかと一緒にピンクボールを助けるのか?どうでもいいがハムスターはほっとこハ○太郎。」
「ジュースかもしれないぞ。」
わいわい騒ぎだす二人。似た者同士だからなのだろうかかなり意気投合しているようにも見える。
「プナイドとかかっこ悪いし、プークナとかカップリングみたいで嫌だし。」
「名前改名したほうがいいんじゃないか?」
こうして彼らの夜は過ぎていく。ちなみにこれはあくまで彼らなりの気分転換である。
「なぁクナイドよ。」
「あん?」
「人を殺すのって難しいな。」
「言うな。」
殺人ギルド(笑)の現状に、頭を悩ませる二人であった。
おまけ2
時間は少し遡って、タスが更新される数日前。
「……大変。」
いつも通りに無表情。しかし、焦った声でタスは呟いた。
「……アップデートが来る。」
「は?」
ソードアートオンラインは文字通りオンラインゲームだ。本来、オンラインゲームにはアップデートがつきものである。しかし、今まで来ることがなかったアップデートに驚く一同。
「……来ることがわかっていても内容がわからない。」
「つまり、俺たちが今やっている変態起動やら何やらが修正されて使えなくなる可能性があるってことか?」
「……その可能性がある。」
事態の深刻さを理解するアルタ。
「今すぐヒースクリフを呼べ!大至急だ!」
「……駄目、もうヒースクリフはログアウトしてる。」
非常にまずい状況に頭を抱えるアルタ。とうとうヤケになったのか、いきなり立ち上がって叫ぶ。
「お姉様、アレを使うわ!」
「……ええ、よくってよ。」
「「
「ハッ!私は何をしようとしていたのだ?」
端末の前でヒースクリフが呟く。
「とうとう私も年か?ええと……そうそうアップデートだったな。」
一つ一つ作業を進めていく。
「うーむ、それでも何か大事なことを忘れているような気がするのだが……。」
結局、本人が忘れたために変態起動の修正はされなかった。
没ネタ33
ディアベル「さすらいの賞金稼ぎ、ディアベル。」
キバオウ「剛練のキバオウ。」
コーバッツ「オルケストル・アーミーのリーダー、コーバッツ。」
シノン「凍鏡のシノン。」
アルタ「無限の開拓地でやれ。」
没ネタ34
タス「あ、田中わび助。」
ディアベル「Uノザワシンだ。」
タス「奥義暗黒吸魂輪掌破。」
アルタ「未帰還者か……他人事ではないのだがゲームが違う。」
没ネタ35
アルタ「暇なのでゲームを作ってみた。」
キリト「えーっと、TAS鬼?」
アルタ「ブルーベリーみたいな色したタスが追いかけてくるホラーゲームだ。」
キリト「逃げ切る自信がない。」
没ネタ36
プー(アニメ)「アイムシンカートゥートゥートゥートゥトゥー。」
プー(ゲーム)「ハハッ!見てたよルーキー。」
アルタ「どっちもイカレてる人だ。本来ならはまり役だったのだろう。しかしこの小説では……。」