BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

12 / 74
第11話 The Battle

 

 

 

それは10年前のこと。

 

自身の尊敬する上司、卯ノ花烈が更木剣八に斬術を教えることとなった。

 

 

分かっていた。

卯ノ花烈は還らないと。

 

 

だが気持ちの整理ができなかった。

頭では理解できても感情が追いつかなかったのだ。

 

 

理解しなければ、そう思っていた矢先だった。

 

 

自分の事務机の上に置かれた手紙。

読まなくても分かっていた。

 

 

それは遺書だと。

 

 

 

 

 

「姉さんまだ読んでないの?」

 

 

「なんか、読んじゃうと完全に卯ノ花隊長が消えちゃうみたいで、、、。」

 

 

その時ガラガラっと四番隊隊長執務室の扉が開いた。

 

「やぁ、姉妹揃って仲がいいなぁ。」

 

「京楽隊長、、、どうされたんですか?」

 

 

「君の元には卯ノ花隊長の遺書があるだろう?けどまだ怖くて読んでいないよね?」

 

 

「だから僕はそれを読んでもらうために卯ノ花隊長の遺言を伝えにきたんだ。」

 

 

「遺言、、、?」

 

 

京楽は無間で聞いた通りの言葉を勇音に伝える。

 

「《私が死んだ後、本当の剣八の名を継ぐのは更木剣八。》」

 

 

「《四番隊隊長の名を継ぐのは勇音、あなたです。だから勇気を出して読みなさい。あなたは“勇ましい”のだから。》」

 

 

「だってさ。僕の更木隊長に斬術を教えるっていう提案に対する卯ノ花隊長の条件が、戦争が終わればこの遺言を君に伝えることだったんだ。」

 

 

 

「卯ノ花隊長、、、、」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

勇音へ

 

 

あなたは優しく、勇ましく、正しく、真っ直ぐで純粋な人です。

 

私が穏やかに、優しく有ることができたのも、勇音と共に居たからでしょう。

 

あなたは隊長に相応しい人材です。

 

 

 

ただ一点を除いては。

 

それは優しすぎるところです。

 

無闇矢鱈に敵を傷つける必要はもちろんありません。

 

しかしいざ戦いとなれば相手を殺すつもりで挑まなければならない時もあります。

 

私の知る限りではあなたは唯の一度も殺気を放ったことはありませんでしたね。

 

隊長となる以上、自分でしか斃せない敵を殺すことも責務の一つです。

 

私の背中を見てきた勇音なら分かるはずです。

 

 

殺す気で戦わなければならない時を。

 

 

良い隊長になりなさい。四番隊を頼みましたよ。

 

 

今までありがとう。

 

 

元四番隊隊長 卯ノ花烈

 

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「なんだと?」

 

 

「更木隊長、私と殺し合いをしてください。」

 

 

「やっぱ隊長の仇でもとりに来たってか?」

 

 

「いえ、そうではありません。」

 

 

「山本前総隊長がお亡くなりになり、卯ノ花隊長を越える方は唯の1人も居ないと思っていました。」

 

 

「しかしあなたが越えたのです、更木隊長。」

 

 

「私は四番隊隊長になります。そのためには卍解の習得が必要です。」

 

 

 

「いち早く卍解に至るには、生半可な鍛錬、気持ちでは無理だと考え、命を賭してあなたに挑みます。」

 

 

「面白え。死んで後悔すんなよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、、、が、、、、」

 

巨大化したアルファラは何十本、何百本にも及ぶ氷の槍により串刺しとなっている。

 

 

「反撃の間は与えませんよ。あなたがどれだけ強大な力を持っていようと、使わせなければいいこと。」

 

 

 

「相手に反撃する間を与えない。これこそが相手を殺す戦いの全てです。」

 

 

さらに勇音は雲を操り、串刺しになったアルファラを包み込んだ。

 

 

そしてその雲を瞬時に凍結させ、アルファラを包む大きな氷塊を作り出す。

 

 

さらにそこへ何百本もの細く、鋭利な槍を突き刺した。

 

 

 

「ドミノ、、、、、さ、、、、ま、、、」

 

 

 

 

 

〜技術開発局〜

 

 

「ほらね?言ったろう?」

 

 

「あの破面は決して弱い訳じゃあない。」

 

「むしろ並みの隊長格でも苦戦するほどの霊圧だ。」

 

 

「ただ運が悪かったね。殺すための戦い方を知り、殺傷能力の高い卍解を持つ隊長が相手で。」

 

仙波の知っていた虎徹勇音とは違っていた。

そのまでの戦闘能力があったとは。

 

「あれほどの破面が、やつが一瞬でだと、、、?」

 

 

「さぁて、こちらも決着をつけようかねぇ。」

 

 

「そうだな。お前を殺し私が決着をつける。」

 

 

京楽は辺りの霊圧を覚知する。

 

「運がいい。ここのあたりはどうも局員がいない、倉庫の近くみたいだ。」

 

すると京楽からは黒く、冷たい霊圧が流れ出始めた。

 

 

 

「卍解、、、花天狂骨枯松、、、」

 

 

仙波は天井に向け球状の装置を投げると、半径1メートル程の円状にそれは爆発し繰り抜くように天井が崩れ落ち土煙に包まれた。

 

 

煙が晴れると仙波は誰かを左腕で背後から押さえ、首元に刃を当てていた。

 

 

 

「京楽、、、隊長、、、、?」

 

 

仙波に捕らえられていたのは技術開発局局員の壺府リンだった。

 

 

「うっ、、、!!!」

 

 

壺府リンは突然頭の中で()()()()()()()()()()を覚える。

 

()()()()()()床が崩れ転落死する感覚だ。

 

 

「うわあああああああ!!!」

 

あまりの脳への衝撃で壺府は発狂している。

 

 

そして京楽自身も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に陥った。

 

 

「これでも卍解をするか?こいつを巻き込んでしまうぞ?」

 

 

「一体、、、、、」

 

京楽も脳への衝撃で冷や汗を流している。

 

「一体、()()()()()()()んだ、、、?」

 

 

 

「千以上かな?」

 

「なかなか範囲が広くて逃げれなくてね。人質を探すことにしたんだ。」

 

 

「そうしたらこの建物の屋上に1人だけいるじゃないか。」

 

 

「霊圧遮断衣を着て呑気に菓子を貪っていたやつが。」

 

 

「ピンポイントで天井に穴を開けるのは苦労したよ。」

 

「しかも運良く途中でシーツに包まれ落ちてこないと転落死してしまうからな。」

 

何度も転落死させてしまい、その度に時間を巻き戻した。

 

 

「彼は700回程死んだのでは?」

 

 

 

「まぁ()()()()()()()()()からこそ今がある。感謝しなければ。」

 

 

京楽は卍解するための霊圧を弱めていく。

 

 

「なるほど、、、、始解の回数制限はなくなってるわけか、、、。」

 

 

 

「それだけではない!!」

 

 

「これは、、、!?」

 

 

仙波は京楽が繰り出した廻天不精独楽を再現させる。

 

京楽の笠は強風に飛ばされて竜巻に飲み込まれてしまった。

 

「霊子の時間を戻し、その現象をやり直させることができる。」

 

 

 

「何回でも、、、ね。」

 

 

何本もの竜巻が京楽に近づいていっていた時だった。

 

 

「月牙十字衝!!」

 

声とともに、薄暗い空間の中に十字架の斬撃が光を放ちながら竜巻にぶつかる。

 

 

 

「京楽さん!」

 

 

「一護君、、、なぜ、、、?」

 

 

「十三番隊が襲撃されたってんで、ルキアとこっちに来たんだ!」

 

「ルキアは1人でいいから、京楽さんのとこに行けって。」

 

 

「黒崎一護。待っていたよ。これで安心して戦える。」

 

 

「なんだと?」

 

「なんでも撃つといい。月牙でも虚閃でも、滅却師の矢でも。」

 

 

「一護君、挑発に乗っちゃダメだよ。彼は霊子の時を遡って再現できるからね。技を与えるのと同じだからね。」

 

 

 

 

「そこの3人。ここで何をしている?ここは我々十二番隊の敷地なんだがネ。」

 

「涅隊長!元に戻ったのかい?」

 

「お陰様で。まぁまだこの有様だが。」

 

マユリはいつもの派手な格好をしておらず、短髪の、いたって普通な姿だった。

ただ耳がないことを除いては。

 

 

「涅!!貴様、霊王の欠片を盗みおったな!」

 

 

「なんの話をしているのかさっぱりわからんが、、、元上司に会えて余程興奮しているようだネ。」

 

「ほざけ!貴様を殺すためにここまで来たのだ!」

 

 

「研究だけではなく、斬術まで三流の君にそんなことができると思っているのかネ?」

 

 

「貴様こそそんな病み上がりのような格好で私に勝てるとでも思っているのか?笑わせるな!」

 

仙波はマユリに挑発され頭に血が上りきっていた。

 

 

「おっとおっと、これだから野蛮人は怖いヨ。私のようなか弱い存在が直接戦うなどと考えようものなら脳髄まで震えがとまらなくなってしまうからネ。」

 

 

「これを使うことにするヨ。」

 

マユリは胸元から手のひらサイズの四角形の機器を取り出した。

 

「なんだそれは?」

 

「これはついさっき完成したものでネ。」

 

 

「死神、虚や破面、滅却師の全ての霊圧を持つものを消滅させる薬品と、その散布機器だヨ。」

 

 

「これを使えば君はおろか、その部下や軍勢も一網打尽というわけだ。素晴らしい。」

 

 

仙波は驚くどころか笑っていた。

 

「だろうな。そのためにわざわざ十三番隊を襲撃させたのだ。」

 

「そうすれば朽木ルキアに情報が伝わり、黒崎一護と共にこちらに来るだろうからな。」

 

 

一護自身も疑問がなかったわけではない。

なぜ十三番隊だけが襲撃されたのか。

夜一は各門に敵襲と言っていたのに。

 

 

「黒崎一護は死神、虚、破面、滅却師の霊圧が混ざっている、謂わば我々の同類だからな。」

 

 

「一緒にすんじゃねぇ!」

 

 

「黒崎一護、お前は私の盾になるのだよ。」

 

 

「涅隊長、一護君がいる今、それは使わないよねぇ?」

 

京楽は少し焦りを見せた顔でマユリに尋ねかける。

 

「そいつがどうなろうと私は知ったこっちゃないヨ。」

 

 

「待て!涅隊長!」

 

 

マユリは機器の上面にあるスイッチを迷うことなく押してしまう。

 

 

仙波はまさかの事態に狼狽する。

 

「うぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そして技術開発局を中心に青い光が広がっていく。

 

 

 

 

 

〜白道門〜

 

 

「なんやあの光は!?こっち向かって来よるで!」

 

虚を斬り伏せながらもリサは同心円状に広がる青色の光に目をやる。

 

「光がこっちに来るぞ!」

 

隊士達も慌て始める。

 

「みんなオラに隠れろ!」

 

兕丹坊は迫り来る光の壁から隊士をかばって覆いかぶさった。

 

光は兕丹坊の体を通り過ぎたが何も起こってはいなかった。

 

効果があったのは周りにいた虚の軍勢だった。

 

 

「敵が消滅していくぞ!」

 

 

「マユリのやつやな、、、使う前にどんなんか言えや、、、!」

 

 

 

 

 

〜懺罪宮前〜

 

 

「あの光は!?」

 

勇音は両手で顔を隠す形で自分の身を守るが、光に直撃してしまう。

 

「何も、、、ない?」

 

そしてアルファラの方に向き直ると異変が起こっていた。

 

氷の槍で串刺しとなっていたアルファラは、光が当たるとまず氷が砕け、蒸発するように消滅していった。

 

 

 

 

 

〜技術開発局〜

 

 

「一護君、なぜ、、、?」

 

京楽は最悪の事態となっていなかったことに安心しつつも驚きを隠せなかった。

 

 

「だから言ったはずだヨ。君の虚の力は何かと邪魔だと。」

 

 

「あんた、、、、。」

 

あの時マユリが虚の力を奪ったのは自分を救うためだったことを知る。

 

 

 

「く、、、ろつ、、、ち、、、」

 

 

「オヤオヤ、私としたことが、、、完成とは言わず試作品と言っておけばよかったかな?」

 

消滅はしていなかったものの、仙波は地に伏し瀕死の状態だった。

 

「サァ、仙波三流研究員。終わりにしようじゃないか。」

 

 

「父上!!」

 

仙波の息子、麓源がマユリと仙波の間に入り、機器を使いポータルのようなものを開いた。

 

 

「こちらです!」

 

麓源は仙波を担ぎ、そのポータルの中へと入っていく。

 

 

「断界に逃げたようだネ。」

 

 

 

 

 

〜断界〜

 

 

「クソ、、、、。」

 

仙波は麓源に担がれながら意識朦朧としていた。

 

「父上、これを。補肉剤です、少しは回復します。」

 

仙波は補肉剤を打ち回復するが、歩けるようになった程度で戦うには不十分だった。

 

 

 

「待て!」

 

一護、京楽、マユリが仙波を追い詰める。

 

仙波は分かっていた。

もう逃げ場も勝ち目も無いと。

 

 

「こうなったらお前らもろとも死ぬのみよ!」

 

仙波は胸元から小型のタイマーのような物を取り出した。

 

「あと15秒で爆発を起こす。」

 

「断界内で爆発を起こし、現世と尸魂界の時間軸をずらす!」

 

「そうすればお前らがどちらに戻ったとしても肉体は時流についていけなくなりバラバラだ!!」

 

 

一護達と反対側、仙波の背後から光が差し込んだ。

 

 

「間に合った!」

 

「浦原さん!!」

 

 

仙波は浦原という男の名を聞き、頭に血がのぼる。

 

「浦原ーーーーーーーー!!!」

 

 

「卍解、観音開紅姫改メ。」

 

浦原の背後には巨大な黒髪長髪の女性が前屈みに出現した。

 

すると仙波の持つ時限爆弾を大きな二つの手が包み込んだ。

 

「時限爆弾の配線を組み替えました!あと1分は稼げます!」

 

 

「縛道の七十九、九曜縛!」

 

浦原は縛道で仙波を縛り上げた。

 

 

「早くそれぞれの出口へ!」

 

 

「黒崎サンこっちです!」

 

 

一護と浦原は現世へ、京楽とマユリは尸魂界へと駆けて行く。

 

 

 

「待て、、、、!」

 

「浦原!涅!」

 

 

 

 

 

 

「くそっ、、、、」

 

 

仙波は縛道で縛られたまま爆発に呑み込まれた。

 

 

 

To be continued.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。