BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
〜六番隊隊舎〜
「白哉坊、悪かったのう。夕四郎を借りて。」
「隊長、夕四郎ただ今戻りました!」
「斬魄刀を取りに行っていたのか。」
白哉は夜一の背中にある斬魄刀に目をやる。
「貴様が斬魄刀を使うとはな。」
「めんどくさいから使いとうはないんじゃが、喜助が使えるものは使えとうるさくてのう。」
「それに素手ではちと手こずりそうじゃしな。」
「で、夕四郎はどうじゃ?」
ーーー4年前ーーーー
真央霊術院の廊下を歩いていた白哉は突然呼び止められた。
「おい、白哉坊!」
「なんじゃ儂に会いにでも来たのか?」
白哉を呼び止めたのはここで講師をしていた夜一だった。
「そうかもしれんな。」
「ふん、丸くなりすぎてつまらんわい。大方今年の卒業生の出来を見て引き抜きにでも来たのであろう。」
「今年は一人すごいのがおっての。」
「
あの事件の後この二つの名が一括りで語られることが多かった。
「今は
「上が五月蝿うなるじゃろうと京楽が名字を変えさせた。」
「これなら上が検索した時でも引っかからん。」
「残念じゃが奴は檜佐木の十二番隊に行きたいと言っておるし、檜佐木も手元に置きたいようじゃ。」
「そうか。」
「それはそうと白哉坊、ちと頼みごとがあるんじゃが。」
「断る。」
白哉は面倒ごとになると思いすぐにその場を離れようとした。
「まぁそう言わずに。今二番隊にうちの夕四郎がおるじゃろう?六番隊の副隊長として取ってくれんか?恋次が抜けてから副隊長をおいておらんじゃろう。」
「砕蜂だと夕四郎を甘やかし過ぎる。やつの為にもならん。どうじゃ?やつは実力、席次ともに申し分なかろう。」
「断る。」
ーーーーーーーーー
「ではいくぞ、夕四郎。」
白哉は振り返ることなく歩き始め、その後ろを慌ただしく夕四郎が付いていく。
「朽木隊長!!待ってください!!」
「なんやかんや上手くやっておるではないか。」
夜一が2人の背中を見ながら腕組みをした時だった。
「四楓院先生、斬魄刀を持っているなんて珍しいですね。」
そこには坊主頭でたらこ唇、そして顎の左側に傷跡のある男が立っていた。
「おう!
檜佐木の同期である青鹿は四番隊から中央霊術院に異動していた。
高い回道能力が認められ教鞭を執るのとになったのだ。
「今回は攻撃面ばかりではキツそうじゃからのう。」
「ノヴァディオとかいうやつらですか。」
青鹿は目を伏せた。
「喜助が言うには滅却師共と同じくらいの犠牲を出す可能性もあると。」
「また争いですか、、、檜佐木も出るんですよね?」
「奴は隊長じゃからの。間違いなく最前線に立つじゃろう。」
青鹿はふぅ、とため息をついた。
「あいつも誘って墓参りに行くか、、、。」
「墓参り?」
「ここにいた時の同期です。六年生の時に虚にやられて死にました。」
「護神大戦の間にも一度行ったんですが、そしたらどっちも生き延びることができて。」
「きっとあいつが、、、蟹沢が守ってくれたんです。」
「今日は月命日ですから。」
一通り話を聞いた夜一はなにか閃いたように声をあげた。
「よし、今から檜佐木を連れて行ってこい。」
「え?」
「授業は儂に任せろ!ほら行けっ!」
夜一は青鹿の資料を奪い取ると、わっはっはと笑いながら廊下を歩いて行った。
〜十二番隊〜
「隊長、どうするんですか?」
「どうもこうもねぇ!やるわけないだろ!」
「でも総隊長命令ですよ?」
副隊長の吉良イヅルは隊長であり、先輩でもある檜佐木にお茶を淹れていた。
「そんなことはわかってる!」
檜佐木は思わず机を叩いてしまい、その衝撃でお茶が少しこぼれてしまった。
ーー彦禰君に卍解を習得させたいんだーー
ーー戦力としてだよーー
「話に聞けば、黒崎くんと阿散井くんの子供達も卍解を修得するために浦原さんのところで修行つけてるらしいですよ。」
檜佐木はこぼしたお茶を布巾で拭いている。
「けどあいつらの子は戦力じゃなく、身を守るためだろ?」
「それが本音か建前かは分かりませんけど、危険な方法で卍解を修得しようとしてるのは変わりませんよ。」
イヅルは一口お茶を口に含み飲み込んだ。
「檜佐木さん。僕は彦禰君の件、賛成です。」
「卍解は5〜10倍の能力上昇です。修得するに越したことはない。」
「今や隊長以外で卍解を使える隊士は松本さんと僕だけです。」
「この戦いで何人の隊長格が減るかもわからない。」
檜佐木は湯呑みを持ち上げると、目を閉じてフリーズした。
何かを考えているのだろう。
「わかった、、、。だが俺が稽古をつける。」
ガチャッ
「話し中だったか、すまない。休憩中と聞いたもんだから。」
「青鹿!」
「青鹿さんお久しぶりです。」
イヅルは青鹿の方に向き直り一礼した。
「おう、吉良。元気(?)そうで何よりだ。」
「檜佐木、今日は月命日だ。終務後墓参りに行かないか?」
彼ら3人はかつて実習中に虚の軍勢に襲われ、檜佐木と青鹿の同期だった蟹沢という少女は虚に殺されてしまった。
そしてその後藍染達に助けられたことがあった。
しかしそれもすべて藍染の策略だったのだが。
そんなこともあり檜佐木、青鹿は、その当時自分たちと共に戦った後輩、吉良イヅル、阿散井恋次、雛森桃を自分たちと重ね気にかけてきた。
「俺も誘おうと思ってたところだ。」
「僕も行ってもいいですか?」
「勿論だ。後輩が来れば蟹沢も久々に先輩風吹かせるからな。」
〜集合墓地〜
「なっ、、、」
「蟹沢の墓が、、、!」
3人が墓地で目にしたものは信じられないものだった。
蟹沢の墓が暴かれていたのだ。
「青鹿、お前一ヶ月前も来たよな?」
「ここ半年は現世出張があったから来てなかった。いつからこうなっていたのかは分からん。」
「一体誰が、、、」
〜虚夜宮モニター室〜
「何やってんの〜?」
「あなたは、、、紅葉の紋章の、、、」
「茜雫でいいよ!」
「で、何やってんの?え〜っと、、、」
「蟹沢ほたるです。」
「ほたるね!で、なんだっけ?」
「ここの映像の場所、私の1度目の人生が終わった場所なんです。」
蟹沢はモニターに映された映像を見ていた。
「え?」
そこには3人の人影を先頭に、大勢の人が追従していた。
「後輩たちを連れて実習に来てたんです。」
「優秀な同期2人と一緒に。」
すると彼女達の元に何体もの
「けどそこで虚に襲われて、、、」
蟹沢は鋭い爪を持った虚に切り裂かれ吹っ飛ばされていた。
短髪の男も爪で切り裂かれ、さらにもう1人の男も攻撃を受けていた。
「うわっ、、、今の人顔切られたけど、、、」
虚との生々しい戦いを初めて見た茜雫はなんとも言えない恐怖を感じた。
「実は私死ぬまでに意識があって、2人の同期は助かったのは見えたんです。勇気ある後輩のおかげでね。」
その言葉通り、間一髪のところで2人の青年と1人の少女が虚の攻撃を止めた。
「よかったって思った。自分が死ぬのに変ですよね。」
「けど後悔もあった。自分の気持ちを伝えてればよかったって。まさかあの日が最後だなんて思ってもなかったから。」
蟹沢は映像の中の男を見つめる。
「その時に、なんでこの世界ってこうやって争いがあるんだろうってふと思ったんです。」
「虚も滅却師も死神同士でも。」
「争いがなければ、、、あの日死ななければ檜佐木くんにも思いを伝えられたかもしれない。」
蟹沢は悲しそうな顔をしている。
「ほたる、その檜佐木ってのが好きなんだね。」
「でも檜佐木くんは今や護廷十三隊の隊長ですから。敵同士です。」
「抜け出しちゃえばいいじゃん!」
蟹沢は両手を握り胸に押し当てた。
「それはできません。仙波の言う争いのない世界が今の私の目指すべきところですから。」
「敵同士かぁ、、、。」
「まぁ敵とか以前に、思いを言葉にするのって怖いよね。」
「あたしもな〜んかうっすらと誰かに思いを伝えられなかったような記憶があるんだけどさ〜、、、。」
ーー.........が......ぬのが........なんだよ!ーー
「似たようなことは言ったけど素直には言わなかったような、、、、?」
「自分のことじゃないですか!」
曇っていた蟹沢の表情からやっと笑みがこぼれる。
その時。
ガタッ
蟹沢はすぐ様音のした方向を確認する。
「あなたたちは、、、捕虜!」
蟹沢は織姫と竜燕を敵として補足すると、致命傷にならない程度の攻撃を放つ。
「虚閃!」
蟹沢の虚閃を皮切りにその場の雰囲気が戦闘のものへと変わった。
「夕闇に誘え、
茜雫は解放すると竜巻を織姫達に向けた。
「ヒナギク、バイゴン、リリィ!三天結盾!!私は拒絶する!」
織姫は素早くヘアピンに手を当て能力を解放する。
「なにあの能力?死神でもないし、、、。」
織姫は盾で茜雫の攻撃を阻むと、すぐさま攻撃へと移った。
「シュンオウ、アヤメ、ツバキ!!」
「三天
双天帰盾のオレンジ色の盾がツバキを包み込む。
茜雫の前に蟹沢が瞬歩で移動し、相殺するための虚閃を放った。
虚閃がツバキにぶつかるが、虚閃を物ともせず距離を詰めていく。
「止まらない、、、!!?」
虚閃を押しのけ蟹沢の腹部にツバキが激突した。
「固え、、、!」
ツバキは鈍い手応えを感じ、すぐ様織姫の元に戻る。
「危なかった、、、、。」
蟹沢は間一髪で静血装を使用していたのだ。
「自分自身が回復する刃だとは、、、」
以前の織姫は双天帰盾で盾舜立花を治すことはできなかった。
しかし有昭田鉢玄との絶え間ない修行によりある程度の傷なら治すことが可能になっていた。
織姫の攻撃を見て厄介ではあるものの、致命傷にはならないと判断した蟹沢は竜燕に狙いを定める。
「破道の五十七、
織姫と竜燕の手前に向け岩を飛ばし土煙で姿を隠した。
その隙をついて縛道を浴びせる。
「縛道の七十五、五柱鉄貫。」
相手の行動が見えなかった織姫は反応が遅れ身動きを封じられてしまった。
「これハッチさんがよく使う、、、!」
「君臨者よ、血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ。轟火と戦火、、、、」
その時織姫は詠唱の声の向きで気づいた。
この攻撃は自分に向けたものではないと。
「竜燕くん!逃げて!!」
「破道の七十一、
「
「
竜燕は緑杯の衝撃で轟天赤火砲の威力を弱めようとするが、威力はそのままに竜燕へと命中する。
「くっ、、」
土煙が晴れ、五柱鉄貫から解放された織姫は竜燕の元に駆け寄った。
「竜燕くん!」
「威力は弱めておきました。捕虜ですから殺すわけにもいきませんしね。」
「ヒナギク、バイゴン、リリィ、シュンオウ、アヤメ!」
「五天
「無駄です。」
オレンジ色の盾が竜燕を包み込んだのを見て、蟹沢は間髪入れず追撃した。
「破道の四、
バチッ
白雷は盾に当たると上方へとはじかれた。
「防御の盾に回復ですか、、、。」
「さすがは黒崎織姫。大した攻撃はされないと思い後回しにしましたが、先にあなたを攻撃しておくべきでした。」
茜雫は蟹沢の言った言葉に反応した。
「黒崎?」
茜雫は、竜燕を庇いながらこちらを睨みつける織姫に話しかける。
「あんたもしかして一勇の家族かなんか?」
すると織姫の顔は一瞬ほぐれ対話に応じた。
「一勇を知ってるの?」
「うん、クレープおごってもらったし逃してもらった。」
その様子を見た蟹沢も戦闘態勢を緩めた。
「知り合いですか?」
「ん〜、まぁ巡り巡って?」
To be continued......