BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
〜浦原商店地下・勉強部屋〜
「後悔しなや。」
平子が一勇を精神世界へと誘った。
これから一勇は斬魄刀との対話、或いは戦闘をすることとなる。
「で、なんであんた達も来てんだよ!」
意識を失った一勇の横には岩陰からぞろぞろと出てきた隊長格が横一列に並んでいた。
平子の他に、四楓院夜一、砕蜂、朽木白哉が立っている。
「儂はもともと喜助に用があったからのう。」
「ほんでちょうど俺と会って、ほな一緒に行こうかて言うてたんや。」
「私は夜一様をお守りするためにお伴したのだ。」
「ほんで穿界門とこ向かってたら白哉に会って、、」
「朽木家の当主として姪の卍解修得は見届けねばなるまい。」
「ネル達といいお前らといい、、、、」
〜虚夜宮〜
「という訳だ。あの荷物を見るところ彼女は戻るつもりは無さそうだね。」
ザエルアポロがモニターを前に説明をしている。
「なるほど、、、。彼女がまた勝手な行動を。次やれば消すと脅したのにやりますね。」
「あなたもいたのになぜ止めなかったのです?蟹沢ほたる。捕虜まで逃して。」
ノヴァディオと呼ばれる首領は蟹沢に厳しい語気で問い質した。
「あなたの命令には従うとはいいました。しかしあの時はあなたの命令はありませんでしたので。」
ザエルアポロはやれやれと手を挙げながらノヴァディオに進言した。
「シュリーカーにでも行かせればいいじゃないか。」
「彼は黒崎一勇の所へ偵察に行っています。」
「だからこそじゃないか。同じ空座町だろう?」
「ならキミガ偵察に行けよ。アノ敵の巣窟ノ中へ。」
アーロニーロが口を挟む。
「あんなに危険な所に重要な戦力は行かせられません。なんのためにシュリーカーを選んだと思っているんですか?」
「なら僕が連れ戻してくるよ。」
ザエルアポロの分身とも言えるシエンが自ら茜雫回収に名乗り出た。
大方強者と戦えると思っているのだろう。
そしてその思惑を悟ったかのようにノヴァディオは釘を刺した。
「シエン、確実に、そして穏便に頼みますよ?今黒崎一護の周りには破面達もいますからね?」
「分かってるよ。まぁけど正当防衛なら仕方ないけどね。」
「頼みましたよ。彼女は我々の計画にとって重要な存在ですから。」
〜現世〜
夕焼けの中、茜雫は織姫を連れて歩いていた。
先に竜燕を石田家に送ってから織姫を自宅まで送っていたのだ。
「茜雫ちゃんはなんであそこにいるの?」
「分かんないんだけどさ〜。気づいたらあそこにいたの。」
「けどな〜んか考えが合わないし、楽しくないから元々今日抜けるつもりだった!そしたら織姫さん達が来たから丁度良いや!ってね!」
「今日はあそこに来てから千日目だから。決めてたんだ、千日目に出ようって。」
「なんで千日なの?」
「“せん”なだし!」
茜雫は屈託のない笑顔を見せた。
「でもいいの?あっちからしたら裏切りなんじゃ、、、、それにあのほたるちゃんって娘だって友達じゃないの?」
「ほたるは、、、友達になれてたのかも。今日初めて喋ったんだ。」
「え?」
「ほたるは最近
「完成?」
人間には使わない“完成”という言葉を聞き織姫は目を大きく見開いた。
「あたし達強魂魄は集められて、魂魄を改造されてるの。」
「だからあたし達はどの種族でも死神、虚や破面、滅却師の力が使える。」
「まぁこの体結構強いからいいんだけどさ!」
茜雫は右手で力こぶを作るような素振りを見せた。
「けどそれ関係で心残りなこともあって、、、、斬魄刀は元々の解号じゃないらしいんだ。」
「今は
茜雫は鞘に収まった斬魄刀を悲しそうな目で見つめた。
「覚えてないの?」
「あたし記憶がないんだ。」
「え?それって、、!」
織姫の言葉を遮るように看板を指差し示す。
「ここじゃないの?黒崎医院って書いてあるよ?」
「う、うん、、、ここだよ。ありがとう、、、。あれ?鍵がかかってる?」
ガラス戸を引く織姫だったが、ガタンと音を立てただけだった。
「夫も一勇もいないみたいけど、ちょっと上がっていかない?」
「お邪魔するのも悪いし気持ちだけで!」
「でも、、、。」
「まぁあたしのことは気にしなくていいから!」
織姫は渋々納得したように引き下がった。
「うん、、、本当にありがとう!茜雫ちゃん。」
「いいっていいって!一勇によろしくね!」
「ばいば〜い!」
織姫と別れた茜雫は夕日を浴びながらどこへともなく歩き始める。
この街を歩いていると懐かしい、茜雫はそう感じていた。
そして思い出せなかったはずの記憶が突如頭へと流れ込んできていた。
土手道に立つサラリーマンの父。
ビールを片手に微笑んでいる友人。
頭巾で頭を守りながら避難する人々。
次々と流れて込んでくる記憶に困惑しながら歩いていると、いつのまにか陽もすっかり暮れてしまった。
静かで人影も車さえも見当たらない。
黄色の点灯信号、その近くには40kmの速度制限の標識。
こんな時間から点灯するなんて人通りが本当に少ないんだ。
そんなことを考えていた時だった。
ふと目を横にやると棟門のような和式の門があった。
塀に囲われている。神社だろうか?
その場所はどこか寂しそうで、静かで、でも温かくて、、茜雫はその門へと惹きつけられた。
門を開け敷地内に入る。
手を離すと門はキィィと音を立てて勢いよく閉まった。
墓地だ。
茜雫はしばらく墓地を見回しながら歩いていた。
「!!?」
その時突然また記憶が思い起こされる。
さっきのどの記憶よりも鮮明に。
「あたしのお葬式、、、?お父さん、、?お母さん、、?」
僧侶を先頭に、夫婦が泣きながら自分の遺影を持って墓の前に立っている。
それだけではない。
「ここ、、、、。なんだか懐かしくてあったかい、、、。」
誰かと触れ合っていた温かい記憶がうっすらと浮かんできた。
ーーあたし、絶対生きてたよ、、、、この街でーー
「誰かがあたしを負ぶって、、、?」
その時まるで何かがぶつかったような鋭い衝撃が頭を襲う。
ーー.......が死ぬのが嫌なんだよぉ!ーー
「誰、、、?」
ーー茜雫!!!!ーー
何者かに囚われている自分の眼の前に現れるオレンジ色の死神。
「一護、、、、?」
「あたしここで一護って人に、一勇の父親に会ってる、、、?」
茜雫はそこでやっと気づいた。
ショッピングモールでなぜ一勇を一護と呼んでしまったのか。
ーーなんだか目が霞んじゃって、、、ーー
ーーある、、、?ーー
ーーあぁ、あるぜーー
「あたしの墓、、、?」
茜雫はその先に自分にとって重要な何かがあることは分かっていたが、どうしても行くのが怖かった。
「この記憶は誰の、、、?」
「
茜雫の背後から男の声が聞こえてきた。
「どうしたんだい?そんな浮かない顔をして。」
「シエン、、、!!」
「さぁ戻ろうか。頼むから変な気は起こさないでくれよ。穏便に済ませたいんだ。」
「絶対いや。」
「戻らないなら、黒崎織姫と黒崎一勇を殺す。」
シエンは織姫と一勇がいるであろう方向を見ている。
「あんた、、、!」
茜雫は殺気を含んだ霊圧を放った。
はぁ、と大きなため息をつくとシエンは手を後頭部に当て、如何にもどうしたものか、という素振りを見せた。
「感づかれるから穏便に、と言ったのにさ。」
〜浦原商店地下勉強部屋〜
「この霊圧は、、、、茜雫、、、、なのか?」
一護がいち早く反応した。
「黒崎さんこの霊圧を、敵サンの思念珠の事を知ってるんですか?」
「浦原さん何言って、、、、!そうか、俺以外は忘れてたのか、、、。」
「なんで奴らの中に思念珠がいる事を教えてくれなかったんだ!?」
浦原は肩をすくめ弁明した。
「あの時はまだ解明できてなかったので報告書には『正体不明の霊圧』と書いていました。すみません、、、。」
「くそっ、行ってくる!浦原さんは一勇を頼む!」
一護はそう言い残すと瞬歩でその場を後にする。
浦原商店を出たところですぐ横に霊圧を感じた。
「白哉!?」
「私も行こう。以前戦った霊圧だ。」
一護と白哉は霊圧の出所へと向かう。
そこにはもう1人強大な霊圧を持つ者がいるとも知らずに。
「茜雫、、、!!」
To be continued......