BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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第4話 仇敵(きゅうてき)憎し海淵(かいえん)の如し

 

 

 

〜アーロニーロ迎撃地〜

 

 

「朽木。久しぶりだな。」

 

「その顔で、その声で喋るな、と言ったはずだ。」

 

ルキアの目は冷たく殺気を漂わせている。

 

「つれねぇなぁ。せっかく隊長になったから俺も祝ってやろうと思ったのに。」

 

「お前に祝われる筋合いはない。」

 

 

ルキアは心の中の感情を吐露した。

 

「私はお前が憎い。海燕殿を愚弄するお前が、、、、」

 

「私はお前を斬る。」

 

「斬れるならな。さぁ志波海燕に殺されるか、僕ニ殺されルカドッチがいい?」

 

海燕の容貌から縦長の試験管を逆さにしたような()へと変化する。

 

「貴様は海燕殿にはなれない。どんなに顔を似せようとも。」

 

 

「それはどうかな?」

 

アーロニーロは海燕の斬魄刀を解放させた。

 

「水天逆巻け、捩花(ねじばな)!」

 

 

「舞え、袖白雪(そでのしらゆき)。」

 

以前虚夜宮(ラス・ノーチェス)で闘った時は相討ちだった。

 

ルキアにとって悔しすぎる結末。

 

「今度は負けられない。海燕殿が着るはずだったこの羽織を着ておるのだ。」

 

 

「おらぁ!行くぜ朽木!!」

 

片手首を軸とした回転を中心とする槍術。

独特な舞を思わせる。

 

やはり海燕そのものなのが悔しくてたまらない。

 

アーロニーロは大きく水流を巻き上げるとルキアに向けて飛ばす。

 

ルキアは縦に一閃すると、水流はルキアを避け左右に分かれてルキアの後ろへと飛んでいった。

 

「ほぉ、斬った一瞬で凍らせたのか。やるじゃねえか、朽木!」

 

「前と同じ私だと思うな。能力も覚悟も桁違いだ。」

 

「特にお前に対してはな!!」

 

ルキアが斬魄刀を振るうと、一瞬で大規模な氷がアーロニーロを包み込んだ。

 

まるで波に呑まれたかのような形で凍っている。

 

「その程度では効かんぞ。」

 

海燕のものとは違う野太く低い声が響き渡る。

 

氷からは湯気が上がり辺りは水蒸気に覆われた。

 

 

「なんだ?熱か、、、?」

 

「ソウだよ。地獄デ生きてイタんだ。コレくらイノ氷、屁でもナイよ。」

 

合成音声のような声がそう言い切ると、水蒸気をかき分けるようにアーロニーロが現れる。

 

アーロニーロは海燕ではなく、元のカプセル状の顔に戻っている。

 

 

「っと、まぁそういうことだ。」

 

そしてまた海燕の顔へと変化させた。

 

 

「おらおら!」

 

アーロニーロが捩花を大きく振り回すと、大きな渦が発生しルキアを巻き込んだ。

 

 

「くっ、、また凍らせ、、」

 

水流で前が見えなくなった一瞬の隙だった。

 

「!!?」

 

アーロニーロの持つ捩花の切っ先がルキアの左頬を掠める。

 

「やるじゃねぇか。今ので顔面抉り取るつもりだったのによぉ。」

 

「黙れ、、、!」

 

アーロニーロを睨みつけるルキアの頬からは鮮血が流れている。

 

 

ルキアは深く息を吐くと体温を下げ始めた。

 

頰の血も凍り傷口は白く固まっている。

 

 

「絶対零度。」

 

今度はアーロニーロの周囲だけを凍らせ冷気を集中させた。

 

アーロニーロは瞬間凍結され、白い人形のようになっている。

 

しかし、それもほんの数秒だけのこと。

 

すぐさま水蒸気を上げながら氷を溶かしていく。

 

「残念ダね。何度ヤッテモ同じだ。」

 

アーロニーロはまた元の姿に戻っている。

 

 

「なるほど。冷気には強いようだな、、、、」

 

 

「なら、これに耐えられるか?」

 

ルキアは絶対零度を維持したまま奥の手を使う。

 

 

「卍解、白霞罸(はっかのとがめ)。」

 

一瞬にして辺りは凍りつき、アーロニーロを骨の髄から凍らせる。

 

はずだった。

 

 

「だから無駄だと言っただろうが!」

 

アーロニーロは全身に炎を纏い強力な冷気を防いでいる。

 

 

「まずい、、、!」

 

ルキアの卍解は自分自身も氷となっているようなもので、強力な冷気と引き換えに脆い体となっているのだった。

 

「くっ、、、」

 

昔は全く動けなかったが、修行を経て普通に走る程度なら出来るようになっていた。

 

しかし瞬歩はできないため簡単に響転(ソニード)で追いつかれてしまう。

 

「木っ端微塵にシテやるヨ!!」

 

アーロニーロは元の姿から海燕へと変貌し、霊子を集めた捩花を大きく振りかぶった。

 

 

志波式射花戦段(しばしきしゃかせんだん)旋遍万花(せんぺんばんか)。」

 

 

アーロニーロは突然の火薬玉に不意を突かれ、空中で体勢を崩してしまう。

 

 

そしてそこには大猪に乗る大男の影があった。

 

 

 

岩鷲(がんじゅ)!」

 

 

「おい、朽木よぉ。お前周りに味方がいねぇときに卍解使うなって言ったろうが!」

 

 

「すまぬ、つい、、、。」

 

岩鷲に諫められたルキアは肩をすくめる。

 

 

「でもおめぇの気持ちはよくわかるぜ。」

 

岩鷲は目の前にいる()を見ていた。

 

 

「よぉ!岩鷲じゃねぇか!」

 

 

岩鷲は思い切り歯を噛み締めアーロニーロを睨みつけた。

 

「あんな感じで兄貴を侮辱されたんじゃぁよ。」

 

 

しかしアーロニーロは実の弟に会うかのように岩鷲に話しかけ続ける。

 

「久しぶりだな、なんでお前がここに、、」

 

 

それを遮るように岩鷲は大声を発した。

 

「てめぇには初めて会うから自己紹介しといてやる。」

 

 

岩鷲は愛猪(あいいのしし)のボニーちゃん5号の背に足をかけ親指で自身を指差す。

 

「俺は十三番隊副隊長、志波岩鷲!自称・西流魂街の真紅の弾丸にして、自称・西流魂街のアニキと呼びたい人126年連続ナンバーワン!そして自称・西流魂街一の死神嫌いだった男よぉ!」

 

 

「そんでもって自他共に認める誇り高き志波海燕の弟だ。」

 

 

「てめぇ如きが兄貴を名乗るんじゃねぇ。振りもすんじゃねぇ。」

 

 

岩鷲は斬魄刀を手にし解号を唱えた。

 

「石に波立て、石波(せっぱ)!」

 

斬魄刀は長方形の刀身をしている。

 

 

「岩になぁれ!石波!」

 

岩鷲が地面に左手をつけると辺りのコンクリートがめくれ上がり岩となってアーロニーロに襲いかかった。

 

アーロニーロもすぐ様水流を飛ばし対抗する。

 

岩と水流がぶつかり、細かな瓦礫と水が雨のように降り注いだ。

 

 

「やるじゃねぇか。流石はおれの弟だ。」

 

「俺は志波海燕の弟ではあるけどよぉ、てめぇの弟になった覚えはねぇぜ。」

 

 

「これはどうだ!?防げるか!?」

 

アーロニーロはいくつもの水弾を周囲に浮かべ、槍で岩鷲の方を指し示した。

 

すると水弾は物凄いスピードでルキアや岩鷲の方へと飛んでいく。

 

 

「朽木!下がれ!!」

 

 

岩鷲はルキアを背後に下がらせ再度地面に手をついた。

 

「壁になぁれ!石波!」

 

ビルの壁が波打ち始め岩鷲達の前と押し寄せる。

 

()()()()()()。この大地はお前の力だったな。」

 

 

アーロニーロの覚えているかのような口ぶりにルキアは怒りを抑えられない。

 

「海燕殿の真似事をするな!!!」

 

ルキアは悔しさを刀に乗せ、冷気を振るった。

 

しかしアーロニーロは再度炎を纏い冷気を退けようとする。

 

「何度ヤッテも無駄!!」

 

 

「砂になぁれ!石波!」

 

岩鷲が斬魄刀を地面に突き刺すとアーロニーロの周りのビルが砂となり降りかかった。

 

「朽木!」

 

 

「あぁ!卍解、白霞罸!」

 

ルキアは再度卍解をし、覆い被さった砂ごとアーロニーロを凍らせた。

 

 

「岩になぁれ、石波!」

 

岩鷲はさらに岩を何重にも被せる。

 

「溶かせるもんなら溶かしてみやがれ!まぁそんなことすりゃお前が蒸し焼きになるけどな!」

 

岩鷲はこれを狙っていた。

 

いかに炎を体から出すことができ、炎に耐性は持ってようとも、熱気による体の芯への攻撃は効くと踏んでいたからだ。

 

 

 

 

「喰いつくせ、喰虚(グラージョ)!」

 

 

 

 

解号とともに弾け飛ぶ岩。轟音を立てながら地面へと落ちていく。

 

 

砂煙から巨大な蛸のような姿をしたアーロニーロが現れる。

 

その巨体の上には海燕の上半身のみが飛び出ていた。

 

 

「ここまで解放させるたぁ流石だ朽木、岩鷲。()()()()()()()()()()。」

 

「海燕殿、、、、?」

 

 

アーロニーロの巨体から炎が揺ら揺らと発せられ始めた。

 

「おらっ!」

 

アーロニーロは捩花から巨大な火球を放つ。

 

 

「壁になぁれ!石波!」

 

岩鷲が岩の壁を作るもいとも容易く火球に撃ち壊されてしまう。

 

勢いは弱まったものの火球はそのままルキア達を襲った。

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

 

岩鷲は20メートル程吹き飛ばされ瓦礫の中に埋もれてしまった。

 

ルキアは火球から見て右方向に吹き飛ばされ、岩鷲が捻じ曲げ垂直になっていた地面に打ち付けられる。

 

 

地面に伏していたルキアをアーロニーロが触手で持ち上げた。

 

「虚夜宮の時と同じだな、朽木。」

 

 

「同じではない、、、。」

 

 

()の舞、白繭(しらまゆ)。」

 

袖白雪の切っ先から冷気が糸のように漂いアーロニーロを包み込んだ。

 

 

(つい)の舞、浄白(じょうはく)。」

 

ルキアが斬魄刀を上空へ向けると冷気の繭も上空へと浮かび上がる。

 

ルキアは刀で触手を斬り脱出した。

 

 

そしてアーロニーロが熱で出てくる前に上空から地面へと落下させる。

 

冷気の繭はすでに氷となっており、地面に落ちると割れアーロニーロの巨体もバラバラになっていた。

 

 

しかしバラバラになった氷の破片は水蒸気を上げながら集まっていく。

 

 

 

「この、、、超速再生が無ければ、、、、やられていた、、、ところだ。」

 

かなりの重傷を負っているアーロニーロはカプセルの顔へと戻り、低い声でそう告げた。

 

 

ルキアがアーロニーロにとどめを刺そうと斬りかかるが触手で袖白雪を止められてしまう。

 

そして斬魄刀ごと掴み上げられる。

 

「くそっ、、、」

 

 

アーロニーロの体から炎が立ち、袖白雪を伝って地獄の炎がルキアの腕に燃え移った。

 

「氷使いノお前デハ炎に勝てナイ!」

 

 

「確かに、、、私は氷使いだ、、、」

 

炎に包まれているルキアの右腕が赤い光を放ち始める。

 

「だが、、、炎はお前だけの専売特許ではない!!」

 

 

「破道の九十六、一刀火葬!!」

 

巨大な刀身型の炎がアーロニーロを呑み込んだ。

 

 

轟音と灼熱の炎が約10秒間に渡りアーロニーロを焼燬(しょうき)する。

 

 

「コんな、、、コんなコトが、、、」

 

アーロニーロは焼け焦げ、帰刃(レスレクシオン)前の人型の姿で地に伏していた。

 

 

「死神如きに、、、たかが小娘如きに、、、!」

 

低い声の方のアーロニーロがそう言葉を発しながら辛うじて立ち上がる。

 

 

「モウ終わリだよ。」

 

突然もうひとりの方のアーロニーロがそう告げた。

 

「何を言っている?」

 

低い声のアーロニーロは驚いた様子でもう一方に聞き返している。

 

 

「マズイよ、、、だから何度も言っ、、、アイツが、、、」

 

 

明らかに様子がおかしいことはルキアが見ても一目瞭然だった。

 

 

「どうしたんだ!?一体なに、、がっ、、、」

 

低い声のアーロニーロが声を発した途端、胸のあたりを押さえて悶え苦しみ始めた。

 

 

「なにが起こっているというのだ、、、。」

 

ルキアも突然の異常に目を見開いている。

 

 

しばらく苦しみの声を上げ、まもなくして静まり返った。

 

「ふぅ。やっと隙を見せたなアーロニーロ。」

 

苦しみから解放された様子のアーロニーロは海燕へと再度姿を変える。

 

 

明らかにさっきと雰囲気の違う敵にルキアは問うた。

 

「何を言っている、お前がアーロニーロではないのか?」

 

 

ただ俯いたまま返答はない。ルキアは語気鋭く問い質した。

 

「おい!お前は何者だ!?」

 

 

俯いていたアーロニーロはルキアの方に顔を向ける。

 

「なんじゃ、娘?この儂、メタスタシアのことを言うておるのか?」

 

 

「メタスタシア、、、?」

 

そして海燕の姿をしたアーロニーロは不気味に口角を上げる。

 

「そんなに儂を呼んで、そんなに儂が愛しいか?小娘!?」

 

 

 

ーー何故そう何度も儂の名を呼ぶ?ーー

 

ーーそんなに儂が心配か小娘?ーー

 

ーーそんなに儂がーー

 

 

 

 

その言葉を聞きルキアは相手が誰なのかを悟った。

 

 

「貴様っ、、、!!」

 

 

「誰かと思えば、、、儂を殺した小娘ではないか。」

 

「いや、自分の上司を殺した哀れな死神ではないか!」

 

メタスタシアは嘲るように言い直した。

 

 

「貴様がいなければ、、、!海燕殿は、、海燕殿は!」

 

悔しさ、憎しみ、怒り、、、

 

ルキアの心は負の感情によって支配されそうになっていた。

 

「今頃隊長になって皆を守っておられたのに!!」

 

 

そんなルキアの叫びを無視するかのようにメタスタシアは虚閃(セロ)を放った。

 

メタスタシアの攻撃は割って入った岩鷲の岩壁によって防がれる。

 

「これが虚閃(セロ)というものか。一度撃ってみたかったのよ。」

 

 

攻撃が防がれたことに驚くこともなくルキアに呼びかけるように叫んだ。

 

「朽木ルキア!儂を殺した女よ!儂は絶対にお前を喰ろうてやる!」

 

 

「ふざけるな!」

 

ルキアが霊圧を上げたためメタスタシアも動こうとするが、アーロニーロの体はボロボロで思うように動くことができなかった。

 

「ちっ、体は動かんか。」

 

 

その隙を逃さずルキアは残った左腕で鬼道を浴びせる。

 

「破道の七十三、双蓮蒼火墜(そうれんそうかつい)!!」

 

ルキアの放った双蓮蒼火墜はメタスタシアに直撃し、文字通り弾き飛ばした。

 

 

そしてメタスタシアはビルを何棟も貫通していく。

 

 

 

「儂は、、、まだ死なぬ、、、死なぬぞ!!朽木ルキア!!」

 

 

「なんやあいつは?」

 

 

 

 

To be continued......

 

 

 

 

 

 

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