BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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第6話 Swear by the honor of the Quincy

 

 

 

〜ナナナ・ナジャークープ迎撃地〜

 

 

「陛下を裏切り死神側につくとはお前誇りはないのか?」

 

ナジャークープは雨竜に問いかけた。

 

「確かに僕は星十字騎士団(シュテルンリッター)としての誇りはない。」

 

雨竜は弓を引き絞っている。

 

「僕はお前を殺す。()()()の誇りにかけて。」

 

 

「やってみな!」

 

ナジャークープがそう言い放ったと同時に雨竜は矢の雨を浴びせる。

 

ナジャークープは矢の雨を避けながら滅却十字(クインシークロス)に手をかけた。

 

「死神や破面みたいで解号は嫌いなんだけどなぁ。仕方ねえ。」

 

 

「刀を下ろせ!無防備(センデペンダ)!」

 

解号を唱えるとナジャークープは光に包まれ霊子の風を放った。

 

 

光が晴れるとナジャークープの背後には黒く大きな目玉のようなものが浮かび上がり、黄色い瞳が雨竜を見つめている。

 

さらに右手から右肩にかけ8連のミサイルランチャーのような銃器が担がれていた。

 

 

「お〜、見える見える。今まで以上にお前の急所が!これならチキンの足を捥ぐよりラクショー!」

 

ミサイルランチャーから水色の霊子の矢を放つ。

 

 

雨竜は霊子の矢の動線から外れるが、矢はUターンして雨竜に襲いかかった。

 

「追尾能力があるのか!!」

 

雨竜は追尾する矢を避けきれず直撃を許してしまった。

 

雨竜の体の各所に霊圧の針の様なものが光を放ちながら刺さっていく。

 

「あの時は陛下に力を奪われてたからな。それにノヴァディオに改造してもらったからよ。今はもっと強力だぜ!!」

 

 

その刺さった光の矢を何者かが口のようなもので喰らい去った。

 

「なっ、、、!この攻撃は、、、!」

 

ナジャークープは予想外の相手側の助っ人に驚いている。

 

 

そして後方から女性の声が響く。

 

「滅却師の矢を食ったのは初めてだが、案外味無いんだな。」

 

「君は、、、!?」

 

雨竜の横を通り前へと出たその人物は、金髪でおかっぱ頭の少女だった。

 

 

「よう、元ポストユーハバッハ。」

 

 

THE GLUTTON(食いしん坊)』のリルトット・ランパード、星十字騎士団の一人だった少女だ。

 

 

「浦原に無理言って容量いけそうなグラサンのおっさんのところにねじ込んでもらったぜ。」

 

「キャンディスはこっち着いた途端どっか行っちまったがな。」

 

 

すでに体からナジャークープの矢が消えた雨竜は撃ち込まれたところを押さえながらリルトットに問いかけた。

 

「なぜ君が、、、?」

 

「元はと言えば俺たちのとこの者だからよ、ケジメつけに来たってわけだ。」

 

「それに尸魂界はまだしも、こいつらに虚圏や現世壊されたんじゃ今の仕事が無くなっちまうからな。」

 

 

雨竜と話をしているリルトットを見てナジャークープは蔑むような目をしている。

 

「なるほど、てめぇら死神側についたっての本当だったのか。」

 

 

「それは違うな。ユーハバッハ側から離れたんだよ。てめえはまだユーハバッハの野郎に着いてくつもりなのか?」

 

 

ナジャークープは極当たり前かのように言い返した。

 

「陛下あっての滅却師だろ。それに俺だけじゃないぜ?陛下の復活を望んでるのは。」

 

 

「なんだと?」

 

ナジャークープは嫌にニヤつきながらわざとらしくリルトットに問いかけた。

 

「お前とキャンディスはなんでジゼル、ミニーニャと離れた?」

 

 

リルトットはそれを気味悪がりながらも答える。

 

「はぁ?あいつらはユーハバッハを復活させるだの訳の分からない話を、、、!」

 

答えている途中にナジャークープのその笑いに気づいた。

 

「繋がっていたのか、、、!」

 

 

ナジャークープはさらに続けた。

 

「やっぱりあいつらしくじったんだな。」

 

「しくじっただと?」

 

「だからあの時言ったろ?()()()()()って。」

 

そう言われリルトットはナジャークープがヨーロッパに現れた時のことを思い出した。

 

 

「お前の言う通り俺はキルゲを介して奴らと通じてたのさ。」

 

 

THE JAIL(監獄)』のキルゲ・オピー。

虚圏狩猟部隊(ウェコムンドヤークトアルメー)の統括狩猟隊長として一護とも戦ったことがあり、グリムジョーに討たれた星十字騎士団の一人である。

 

 

「キルゲから陛下を復活させるって聞いてよ。俺はお前ら5人も戦力にしたかったんだが、、、。」

 

さらにナジャークープは続ける。

 

「お前ら2人は反対すると思ってな、キルゲは先ずジゼルに話を持ちかけた。そうすりゃバンビエッタも付いてくるからな。そしてジゼルがミニーニャに話をつけて、次はお前らだった。」

 

 

ジゼルとは『THE ZOMBIE(死者)』のジゼル・ジュエル、ミニーニャとは『THE POWER()』のミニーニャ・マカロンのことで、リルトットと共にいた五人の女性滅却師グループの内の二人だった。

 

そしてバンビエッタとはジゼルによってゾンビに変えられた『THE EXPLODE(爆発)』の

バンビエッタ・バスターバインという星十字騎士団員だ。

 

 

「そしたらお前らが拒否して決別したってわけだ。」

 

 

リルトットは唾を吐くと嫌悪感とともにナジャークープに言い返した。

 

「ユーハバッハにまた付き従うってことだろ?冗談じゃねぇ。」

 

「てかまず奴はもう霊王になって意識が無えだろ?死んでんのと一緒だ。」

 

 

一呼吸置くとナジャークープは今までとは違い、低く真剣な声で答える。

 

「いや、まだ生きているさ。現世でな。」

 

 

「なんだと!?」

 

雨竜がその言葉に反応する。

たしかにあの時一護達とユーハバッハを斃したはずだったからだ。

 

 

「ちょっと喋りすぎたか?とにかくお前らの霊圧は解析済みなんだよ。いや、お前だけじゃない!隊長格も零番隊も全員だ!」

 

ナジャークープは高密度の霊圧を纏い、再び相手を麻痺させるモーフィーン・パターンを打ち込もうとしている。

 

 

 

そのとき赤黒い霊子の光線がナジャークープの元へ飛んでくる。

その光線の霊圧は虚そのもの。

 

 

ナジャークープは不意の攻撃を避けるとその出所に目を向けた。

 

「虚閃か!?誰だ!!」

 

 

3階建のアパートの屋上に一つ、そして遅れてもう一つ影が立つ。

 

 

一つは紅葉のような頭をした者。

 

「なるほど、それで俺たちが呼ばれたってことか。」

 

 

もう一つは息を切らせている丸々とした巨体の者。

 

「ちょっと、、、走るの早いデス、、、」

 

 

そして二人とも虚のような仮面をつけていた。

 

 

「誰だ?」

 

ナジャークープは下から上へと舐める様に観察している。

 

 

雨竜はその人物を目の当たりにし思わず声を上げた。

 

「あなたたちは!」

 

 

緑のジャージを着た紅葉のような髪型をした男が雨竜に呼びかけた。

 

「あんたんとこの竜燕、強くなったぜ。」

 

 

 

第二陣として来たのは仮面の軍勢(ヴァイザード)として知られるラブこと元七番隊隊長の愛川羅武(あいかわらぶ)とハッチこと元鬼道衆副鬼道長の有昭田鉢玄(うしょうだはちげん)だった。

 

 

雨竜の方からナジャークープの方へ向き直ると、ラブは斬魄刀に手をかけた。

 

 

「打ち砕け、天狗丸!」

 

斬魄刀を解放させアパートの屋上から飛び降りながら針の付いた棍棒を振り上げる。

 

「行くぜ!火吹(ひふき)小槌(こづち)!」

 

天狗丸から火が吹き出し振り降ろすと巨大な火柱を立てた。

 

 

辺りには煙が立ち込める。

 

 

「ゴホッゴホッ、いきなりだな、、、。」

 

ナジャークープは灰を吸い込んでしまい咳き込んでいた。

全身には薄っすらと静血装の紋様が浮かび上がっている。

 

 

「静血装、、、直撃しねぇと傷はつけられねぇか、、、ハッチ、お前も解放しろ。」

 

ラブは後方のアパートの上にいるハッチに呼びかけた。

 

 

「はいデス。」

 

ハッチは両手のひらの間にピンク色の結界を出現させる。

 

手のひらを離していくにつれその結界は伸びていき、その中には斬魄刀が入っていることが確認できる。

 

 

ハッチは結界に手を入れ斬魄刀を掴み取ると解号を唱えた。

 

 

(たっと)()らせ、天照銅鐸(てんしょうどうたく)。」

 

 

ハッチの左右と頭上に一つずつ、計三つの縄文模様のような模様の銅鐸が浮かんでいる。

 

銅鐸は鮮やかな紅色でバスケットボールほどの大きさだった。

 

 

「行きマスよ!」

 

「縛道の七十五、五柱鉄貫(ごちゅうてっかん)!」

 

ナジャークープの体に五本の柱が打ち込まれる。

 

ハッチが縛道をきめた後、右手を前へ振りかざすと、三つの銅鐸は水平に円を描く様に回転しながらナジャークープの方へ飛んで行った。

 

 

「なんだ?」

 

ナジャークープの後ろの目玉がギョロリと動き、銅鐸の動きを観察している。

 

 

銅鐸は回転を止め、中心にある比較的大きな円の模様から赤いレーザーを発した。

 

「なんだ!?」

 

ナジャークープは縛られていたこともあり高速のレーザーに対応できず、右肩に三つ小さな穴を開けられてしまった。

 

 

「オラァァァァァ!!」

 

ナジャークープが声に気づき上を向くとラブが飛び降りながら棍棒を振り下ろそうとしていた。

 

ラブが思い切り棍棒を叩きつけると先程よりも大きな火柱が立ちナジャークープを包み込む。

 

 

「やったか!?」

 

 

しかしその火柱に霊圧の針が撃ち込まれ、まもなくして火柱は崩れ鎮火した。

 

さらにラブを飛び越えハッチの体に釘の様な霊子が撃ち込まれ、ハッチはその場にゆっくりと倒れた。

 

「ハッチ!!」

 

 

煙が晴れると羽が生え、頭上には天使の輪の様なものが浮かんだナジャークープが現れた。

 

死の麻酔師(アネステジー・デス・トデス)。」

 

 

ラブは聞きなれない言葉を真剣な面持ちで言っているナジャークープをつい突っ込んでしまった。

 

「なんだそりゃ。」

 

滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)って技だよ。」

 

「ワカンねぇよ、何語だよ。分かりやすくジャンプで説明してくれ。」

 

「ジャンプ?どうやってジャンプして分かりやすく説明すんだよ?」

 

お互い知らない言葉が出てきたためうまく会話が噛み合わない。

 

 

「まぁお前らを倒すために俺自身がパワーアップしたってとこだな。」

 

 

ラブは少し考え、自分にわかりやすい例えを考え出した。

 

「なるほど、、、スーパーサイヤ人的パワーアップてとこか?俺にはパワーアップ系はこの虚化しかねぇからよ。必殺技で勘弁してくれ。」

 

 

言い終わるとラブは上空へと飛び上がった。

 

 

 

 

「ウォォォォォォォ!!」

 

 

 

 

「卍解、光焔天狗丸(こうえんてんぐまる)!」

 

 

ラブが棍棒を振り上げると天が赤く染め上がる。

 

 

「なんだ?」

 

ナジャークープは赤くなった空を慌てて観察している。

 

 

「行くぜぇ!光焔天狗丸!」

 

ラブが上空で棍棒を振り下ろすと、赤く染まった天から火柱がナジャークープに向かって勢いよく落ちた。

 

 

「あぶねっ!」

 

火柱を間一髪で避けたナジャークープだが、どんどんと火柱が落ちてくる。

 

「なるほど!火柱が追いかけてくるわけか!だが上に気をつけていれば余裕だぜ!!」

 

 

攻略法を見つけたと思い、注意して上を見ていた時だった。

 

「なっ、、、」

 

避けたはずの火柱がナジャークープの背中を掠めた。

 

縦に伸びた火柱からさらに横方向の火柱が伸びてきたのだ。

 

 

「どこまでも追うぜ、天狗丸は。」

 

避ければ避けるほど火柱が縦に横に伸び、どんどんと避ける隙がなくなっていた。

 

 

碁盤の目のように張り巡らされた火柱は赤く光を放ちながら膨張していく。

 

「さぁ!弾けろ!光弾爆焔(こうだんばくえん)!」

 

「く、、、そっ、、、!」

 

 

火柱の網は大爆発を起こし爆炎を吐いた。

 

 

「観察の余裕がねぇのにこんな大技、、、。」

 

黒く焦げたナジャークープは爆炎の中から這い出て来た。

 

「隊長格でもないのに、、、お前ら一体何者なんだ、、、?」

 

 

ラブは棍棒を振り上げると右肩に乗せ答えた。

 

「隊長格だよ。尸魂界の時間で言うと二百年くらい前のな。」

 

 

「どおりでか、、、。」

 

ナジャークープは納得した様に小さく笑った。

 

 

ナジャークープの前へリルトットが駆けつける。

 

「ユーハバッハの野郎をどうやって復活させるつもりだ?」

 

 

「おれはここまでみてぇだし、、、もういいか、、、。」

 

ナジャークープは観念した様に話し始めた。

 

 

()()()の中にいる陛下の魂を呼び起こして、、、復活させる。」

 

「今度は完璧な陛下になる、、、滅却師と虚の力を併せ持ったな。これなら滅却師の弱点がない。」

 

「だがそいつの中の滅却師の力は、、、配分が小さくて本来の力には、、、遠く及ばない。」

「そこで見つけたのが、、、滅却師と虚の力の二つのみを持つ者だ。」

 

 

「キルゲ達が今そいつらの所に向かってる。」

 

 

「わかるだろ?」

 

ナジャークープは雨竜の方に顔を向ける。

 

 

「黒崎一勇と石田竜燕だよ。」

 

「なんだと?」

 

それを聞いた雨竜もナジャークープの前まで移動した。

 

 

「黒崎一勇の中にいる陛下の魂の欠片を石田竜燕に移植する。」

 

 

「そうか、、、黒崎を残して正解だったよ。」

 

「彼は仮にも外世部隊の長だからね。僕が来るべきでない、と言ったんだ。」

 

 

「そうか、、それは、、、よかったなァ!!」

 

ナジャークープは不意をつき最大級のモーフィーン・パターンを雨竜に打ち込んだ。

 

「トドメを刺さないとは甘いぜ!!!」

 

 

雨竜はまともにナジャークープの攻撃を受けその場に膝をつく。

 

 

「このモーフィーン・パターンは普通に麻痺するだけじゃねぇ!生命活動自体を麻痺させる!」

 

「つまり!お前は死ぬ!お前も道連れだ!!」

 

そうナジャークープが吐き捨てた時だった。

 

 

「がっ、、、」

 

突然ナジャークープが苦しみ出したと同時に雨竜は立ち上がる。

 

 

完全反立(アンチサーシス)か、、、そうだったな、、、こんな簡単なことを忘れてたぜ、、、」

 

 

「君が霊子を集めているのは分かっていたからね。わざわざ僕が目の前まで行ったんだ。」

 

 

「くそっ、、、。さすがは陛下が認めただけあるぜ、、、。」

 

 

リルトットがナジャークープに近づいていく。

 

「お前の生命活動が終わる前に同じ星十字騎士団のおれがトドメを差してやる。」

 

 

「そりゃ光栄だ、、、。」

 

 

そう言い残しナジャークープはリルトットの大きな口に飲み込まれていった。

 

 

 

「お前やキルゲほどユーハバッハに忠誠を誓ってたやつはいねぇぜ。そこだけは褒めといてやる。」

 

リルトットは口を拭きながらそう呟く。

 

 

戦いが終わったものの雨竜の表情は未だ晴れていなかった。

 

雨竜はキルゲが子供達のところへ向かっているということが気にかかっていたのだ。

 

「竜燕はきっと大丈夫だ。一護達もいる。」

 

ラブは雨竜の曇った顔を見て声をかける。

 

 

「えぇ。頼んだぞ、、、!黒崎、、、!」

 

 

 

 

 

To be continued......

 

 

 

 

 

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