BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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一心が空鶴の伯父貴なのを失念しておりましたので改変させていただきました。


第8話 Pride of nobility

 

 

 

「空鶴!」

 

 

「一心も来たのか。」

 

空鶴の傍には一護の父、黒崎一心も立っていた。

 

「可愛い姪が来い来いうるせぇからよ。」

 

「おっさんの顔で可愛い姪とか言うな!気持ち悪い!」

 

いい歳したおっさんにいい歳した自分が“可愛い姪”と呼ばれ、心底気持ち悪いと感じた空鶴は思い切り一心の顔面を殴り飛ばした。

 

「痛っ!」

 

 

痛がる一心を傍目に空鶴は斬魄刀を解放させた。

 

「いくぜ伯父貴。」

 

()げ、風車(かざぐるま)!」

 

空鶴の斬魄刀は刃とは逆方向に渦巻いた柄をしたパイレーツソードの様な形に変形した。

 

 

「殴っといて“いくぜ”はねぇだろ、、、」

 

「燃えろ!剡月(えんげつ)!」

 

 

鬼白峯は久々に一心の解放した姿を見て、彼が十番隊隊長をしていた時のことを思い出した。

 

 

そして一心に吐き捨てるように罵倒した。

 

「隊長の座を捨てて滅却師と一緒になりおって、貴族の面汚しが。」

 

 

「今は志波家名家に戻ってますう〜。しかも俺分家だし、もう黒崎家だから関係ありませ〜ん!」

 

一心の護神大戦での活躍、空鶴の零番隊復帰、一心の系譜である一護の外世部隊長就任、そして岩鷲の十三番隊副隊長就任により志波家は名家に返り咲いていた。

 

 

「それにあの霞大路家とかいう小娘のところも四大貴族に入りおって。」

 

 

(わらわ)がなんじゃ?」

 

金色のポニーテールにカチューシャをつけ着物を着た女性、霞大路瑠璃千代が空鶴達の後ろから現れる。

 

 

「おやおや、これは。代々女系当主だったのにも関わらず、菅ノ木(かんのぎ)家の坊主に家を取られそうになった霞大路家の瑠璃千代殿ではないか。」

 

菅ノ木家の坊主とは、瑠璃千代の夫として霞大路家に婿入りした菅ノ木(しゅう)のことだ。

 

 

「当主は男だろうと女だろうとどちらでも良い。それに(しゅう)は元々当主の座を欲していなかった。」

 

 

「昔、犬龍(けんりゅう)猿龍(えんりゅう)が付き人として妾を守ってくれたように、、、今度は妾が次期当主を、、、我が娘を自分の手で守る!」

 

「尸魂界は滅ぼさせんぞ!」

 

瑠璃千代は着物の帯に携えている脇差を抜き取った。

 

 

「身を挺せ、楯結璐守(じゅんけいろしゅ)!」

 

 

10枚の黄色く光る長方形の盾が瑠璃千代を囲み周りを回っている。

 

 

「夜一といい、あんたといい盾が能力とは、、、自分を守ることで精一杯みたいだね。」

 

 

「破道の九十一、千手皎天汰炮(せんじゅこうてんたいほう)。」

 

瑠璃千代の6枚の盾が鬼白峯を放った破道を防ぎ、それと同時に残った盾で鬼白峯を攻撃した。

 

 

鬼白峯が飛んでくる盾を躱すと、盾は地面に次々と刺さっていく。

 

「ただ守る盾ってわけじゃぁなさそうだね。」

 

 

「ならこれはどうだい?破道の百、破。」

 

鬼白峯は光り輝く手を合わせ衝撃波を飛ばす。

 

 

「気をつけろ!あれは全てを消滅させるぞ!」

 

夜一が大声で皆に警告する。

 

 

「月牙天衝!」

 

一心は真正面から斬撃を飛ばし相殺させようとするが、引き裂かれたように消え失せた。

 

 

「どけっ!伯父貴!」

 

空鶴が一心を鬼道の動線から無理やり退かせると斬魄刀を前に突き出した。

 

 

「吹き上げろ、風車!」

 

空鶴の放った突風は鬼白峯の攻撃の軌道をずらした。

 

「鬼婆のその《破》って鬼道は漂う霊子や空気は消してねぇ。真空になってないからな。」

 

「ってことは風による攻撃は十分有効ってこった。」

 

 

「ならこれはどうだ?縛道の百、(ばく)。」

 

また鬼白峯の手が光り始める。

 

鬼白峯が両手で何かを捕まえるような仕草をすると、一心の左右に巨大な光り輝く手が現れ、その手に包み込まれた。

 

 

鬼白峯が手を開くと、一心はありとあらゆる縛道で拘束されていた。

 

 

「負担がデカイからな、、、耐えてくれよ!」

 

「卍解、琰鎖剡月(えんさえんげつ)!」

 

炎を纏った一心がまとわりつく縛道を焼き払った。

 

 

「流石は元流斎を唸らせたほどの炎よな。」

 

鬼白峯も一心の放つ炎に感心している。

 

 

「月牙天衝!」

 

炎の月牙天衝が鬼白峯を襲う。

 

 

「確かに賞賛に値する霊圧だが、、、、」

 

鬼白峯は目の前に異空間を開く。

そして月牙天衝は異空間に吸い込まれると、空鶴の前に現れた。

 

 

「なんだと!?」

 

空鶴はまともに月牙天衝を受け大きな炎に包まる。

 

 

さらに一心は月牙天衝を放った態勢で止まっていた。

 

「これは、、、」

 

一体何が起こったのか理解ができない瑠璃千代は一心と空鶴を交互に見ていた。

 

 

「時間停止と空間転移か!」

 

夜一は禁術と呼ばれるその鬼道を見るのは二度目だった。

 

 

「猫娘は握菱(つかびし)のを見たことがあったんだったな。ここまで完璧ではないだろう?なんせ握菱は儂が教えたんだからな。」

 

 

 

そのとき懐かしいような、悲しいような霊圧が流れた。

 

「(この霊圧、、、、兄貴の卍解か、、、?)」

 

炎に包まれ意識が朦朧とする中、空鶴はこの世にいるはずのない兄、海燕の霊圧を感じ取った。

 

「(なんだよ兄貴、、、、卍解しろっつってんのか、、、?)」

 

 

 

鬼白峯の後ろで空鶴を包んでいた炎が燃え上がる。

 

「なんだ?」

 

 

そして炎はさらに大きくなりながら竜巻の様に渦巻いていく。

 

 

「兄貴がまだくたばんなってよ、、、!」

 

 

「卍解か。」

 

斬魄刀の刀身に龍の刻印が刻まれている以外変わったところはなかった。

 

「いくぜ、風華龍風車(ふうかりゅうかざぐるま)!」

 

 

 

鬼白峯は空鶴の卍解に驚くこともなく、破道を発動させようとする。

 

「破道の九十五、、、ん?霊子の流れが、、、」

 

 

「始解は空気の流れを、卍解はそれに加えて霊子の流れも操る。止めるのも動かすのもこいつ次第ってわけだ。」

 

 

「なるほど。なら大気の霊子を使わなければいい。」

 

そういうと鬼白峯は上空から地上へと降りた。

 

「裏破道の七、樹生輪転(じゅせいりんてん)。」

 

鬼白峯の体から樹木の根の様なものが地面に伸び始める。

 

「大地の霊子を使う。」

 

 

大地から供給された霊子を使い霊圧を上げていく。

 

すると突然空が曇天へと変化した。

 

 

「破道の九十五、雷霆斧頭(らいていふとう)。」

 

雷が空鶴達をランダムに襲っていく。

 

 

「瑠璃千代!盾じゃ!儂も卍解を解く!」

 

恋華聖壁(れんかしょうへき)!」「楯結璐守(じゅんけいろしゅ)!」

 

夜一と瑠璃千代が何重もの盾を屋根の様にして雷を防いだ。

 

 

「これならどうだ!!」

 

空鶴が空気を操り鬼白峯の周りに竜巻を発生させる。

 

 

「閉じ込めたつもりかい?空鶴や。」

 

「破道の九十八、羽黒帝猘(はくろていけい)!」

 

羽黒帝猘は竜巻を突き破り空鶴を狙って直進する。

 

 

「夜一!!」

 

「恋華聖壁!」

 

空鶴の呼びかけに応え、夜一が恋華聖壁で阻むが勢いは衰えない。

 

 

「これでどうじゃ!」

 

瑠璃千代が二枚の盾で羽黒帝猘を挟み潰した。

 

 

 

「まだまだ撃てるぞ!?」

 

鬼白峯は再度手のひらから禍々しい黒色の霊圧を構築し始める。

 

 

「破道の九十九、五龍転、、、め、、、」

 

突然鬼白峯の言葉が止まる。

 

「鬼婆、そんなに喋っちゃ酸素なくなるぜ?」

 

 

「なる、、、ほど、、、、そういう事、、、か、、、」

 

 

鬼白峯は樹木を体から切り離すと、竜巻から抜けるため上空へと高く飛んだ。

 

 

その先に待っていたのは刀に炎を纏わせた一心だった。

 

「待ってたぜ、鬼婆!月牙天衝!!」

 

一心は鬼白峯に大きな一太刀を浴びせる。

 

 

「高等破道ばかり撃ちすぎて俺への時間停止がなおざりになってたぜ?」

 

 

鬼白峯は炎とともに地上へ落下していく。

 

 

地面に叩きつけられた鬼白峯は回道で回復し立ち上がろうとするが空鶴によって霊子を乱され力が入らず立てなかった。

 

そしてそこへ夜一達が集まる。

 

 

「鬼婆、なぜ鬼白峯家を名家から下ろしたのじゃ?」

 

 

鬼白峯はゆっくりと起き上がりあぐらをかいてその場に座った。

 

「鬼白峯家は子宝に恵まれなかった。孫である珠正(しゅせい)の代で鬼白峯家は止まったのじゃ。珠正は子供が作れなかったのだ。」

 

「さらには護神大戦で珠正は滅却師に殺され、、、、それにもう儂も長くない。」

 

「残った孫の嫁だけでは、、、、さゆりはお茶会ばかりしておった戦いとは縁のない娘。」

 

「そんな娘に鬼白峯家が背負えるか!!押しつぶされるだけだ!」

 

鬼白峯は思い切り右手を振り上げ地面を叩いた。

 

 

 

「お茶会ばかりする、、、さゆり、、、?」

 

瑠璃千代は“さゆり”という名に反応した。

 

 

 

ーー私はもうすぐ嫁ぐことになっているんですーー

 

ーー私たちもう一生会えないかもしれないからーー

 

 

 

「まさか、、、さっちゃんのことか、、、?」

 

 

かつて霞大路家がまだ四大貴族に入っていなかった頃、雲井尭覚(くもいぎょうかく)という実質霞大路家の実権を握っていた老人がいた。

 

雲井は瑠璃千代を暗殺し、彼女の今の夫である菅ノ木(かんのぎ)(しゅう)を傀儡の当主としてまつりあげようと画策していた。

 

そのため瑠璃千代の付き人である犬龍と猿龍が彼女を現世へと引き連れ、一護をはじめとする現世組と共に守っていた。

 

 

その際、瑠璃千代は一人で勝手に尸魂界に戻ったことがあった。

 

それは“さゆり”という貴族の友人が開いた茶会に出席するためで、それはさゆりが政略結婚で嫁ぐこととなったため一緒に過ごせる最期の茶会だった。

 

 

「鬼白峯殿、さっちゃんは、、、、」

 

 

瑠璃千代が問いかけると鬼白峯は今までの殺気が嘘だったかのように穏やかな顔をして答えた。

 

「幸せそうだった。政略結婚にしては珍しくお互いに愛しておった夫婦だった。」

 

「だから、、、だからこそ只でさえ珠正が死んで抜け殻のようになっておるのに、あやつに鬼白峯を背負わせるのは(こく)すぎる。」

 

 

空鶴は腕を組んだまま問うた。

 

「鬼婆、あんたは孫の嫁を自由にして、珠正の後を追いたかったんだな?」

 

「さぁな。」

 

 

「でもなんでわざわざ今回みたいに敵について尸魂界を攻めようとしたんだ?」

 

白哉、一心、瑠璃千代の心を代弁するように空鶴は続けて尋ねた。

 

 

その質問に答えたのは夜一だった。

 

「追放されたかったんじゃろう?」

 

「上流貴族でしかも鬼白峯家ともなれば、仮に尸魂界にあだなしたとしても処刑はありえん。」

 

「その中に崩玉があって藍染が居れば別かもしれんがの。」

 

白哉はルキアが処刑されそうになった時のことを思い出した。

 

 

「となればあり得るのは追放。」

 

 

夜一は斬魄刀を鞘に収めながら続ける。

 

「大方鬼白峯家の者たちを何のしがらみもない現世にでも逃がそうとしたのじゃろ、なぁ鬼婆?」

 

 

鬼白峯は図星だったのか目を伏せている。

 

 

夜一は空鶴達の方に向き直ると補足した。

 

「鬼白峯家が現世に移り住むなど分家が絶対に許さんじゃろうから、強制的に移り住む方法を選んだということじゃ。」

 

 

鬼白峯は柄にもなく夜一に力強い眼差しを向け懇願する。

 

「浦原のガキに頼もうと思っておったが、、、猫娘、、、頼むから、、」

 

 

「言われんでも追放するわい。喜助にも伝えておく。」

 

 

そして瑠璃千代の方を向き力強い声を発した。

 

「おい!霞大路家の小娘!現世に、、、さゆりに会いに行けよ、、、。」

 

「言う通りにせんかったら化けてでるからな。」

 

 

「鬼白峯殿に言われんでもそうする。」

 

 

「まぁ若造どもはまだまだじゃが、、、これからが楽しみじゃわい。」

 

 

「鬼の歩く道もこれで終いじゃ。」

 

鬼白峯の体が眩く光を放つ。

 

赦道(しゃどう)、、、」

 

そう言い終わると、鬼白峯の体は端から光の灰となっていく。

 

 

 

「鬼白峯家を、さゆりを頼んだぞ。四楓院、朽木、志波、霞大路、、、、」

 

 

 

 

 

 

To be continued......

 

 

 

 

 

 

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