BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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第12話 雷鳴の彼方へ

 

 

――()(はら)羽搏(はばた)け、燬鷇王(きこうおう)――

 

 

何故お前は山本重國に負けた。

何故お前は私を解放したまま燃え尽きた。

 

そのおかげで私は......

 

 

――斬魄刀が消滅したぞ!!――

 

――今あるのHA浅打100万本、これがギリギリDA――

 

――鬼道衆準備整いました――

 

――封印せよ!!――

 

 

山本元柳斎重國。

流刃若火。

 

いつか必ず......

 

 

 

 

燬鷇王(きこうおう)迎撃地~

 

 

「残火の太刀・東、旭日刃(きょくじつじん)。」

 

乱菊の卍解によって、火火十万億死大葬陣(かかじゅうまんおくしだいそうじん)が破られた燬鷇王は、刃先に熱を集中させる旭日刃を繰り出した。

 

 

「これですべてを斬り伏せるのみよ。」

 

 

「行け!アヨン!」

 

アヨンは雄たけびを上げながら燬鷇王に殴りかかる。

が、横に一閃。

アヨンは動きを止め沈黙してしまった。

 

そして肉の焦げた匂いがあたりに立ち込める。

 

アヨンの腰は斬られたのではなく、細胞単位で()()()()()()のだ。

 

 

「さぁ次はお前達だ。」

 

燬鷇王は瞬歩でアパッチの前まで移動すると、斬魄刀を振り上げた。

 

燬鷇王は霊圧を感じさせない特殊な霊骸に入っていたため誰も反応することができなかった。

 

「アパッチ....!」

 

ハリベルも探査神経(ペスキス)による霊圧覚知が追い付かず接近に気付くのが遅れ、アパッチに向け手を伸ばすことしかできなかった。

 

「くそっ......」

 

アパッチが死を覚悟した時だった。

 

 

突然現れた影。

 

白髪で、どこか西洋を思わせる死覇装を着た人物が残火の太刀を受け止めていた。

 

 

雀部(ささきべ)副隊長......?」

 

乱菊は目を丸くしてその人物、前一番隊副隊長、雀部長次郎を見つめている。

 

 

「旭日刃を受け止めただと?」

 

燬鷇王は突然割って入られたことよりも、旭日刃を受け切ったことに驚きを隠せないでいた。

 

「やはり......それは残火の太刀だな?」

 

 

元流斎殿の卍解。

 

元流斎殿は卍解の鍛錬を欠かさなかった。

ユーハバッハを討ち損ねた自責の念からか、はたまた門下生にその姿を見せるためかは分からない。

 

――聞いたか?元流斎殿は卍解を変化させたらしい――

 

――残火......ですか?――

 

――奴は文字通り血反吐を吐くほど鍛錬し、残火という名を聞いたのだ――

 

 

かつて元流斎殿に卍解で挑んだときに、《赤子のような卍解》と言われたのは、元流斎殿自身まだまだ卍解に改善の余地があったからだということを知った。

 

そして私自身も血反吐を吐くまで卍解の鍛錬を欠かさなかった。

 

その鍛え上げた卍解をもう一度元流斎殿にお見せしたかった。

 

 

 

京楽殿から滅却師との戦いの顛末を聞き驚いた。

 

あの滅却師が元流斎殿に対して、私の卍解を使ったのだから。

 

 

元流斎殿が私を弔うために、我を失い刀を振るってくださったのは何事にも代えがたい幸せであることは間違いない。

 

しかし、そのせいで元流斎殿が卍解を奪われ、ユーハバッハに討たれる原因を作ってしまったのなら......

 

私が卍解を奪われ討ち死にしたことは悔いしかない。

 

 

雀部は燬鷇王の刀を振り払うと、霊圧を高め解号を唱えた。

 

穿(うが)て、厳霊丸(ごんりょうまる)。」

 

雀部の斬魄刀はレイピアのような形に変形し、フェンシングのように燬鷇王の胸めがけて突きを繰り出した。

 

燬鷇王は咄嗟に流刃若火で防御するが、うまく受け流せず左肩に突きを受けてしまう。

 

すると左腕がビクンと大きく震え始めた。

 

「これは......電流か......!」

 

燬鷇王はかつて自分の主がこの攻撃を受けていたことを思い出した。

 

 

「邪魔だな。」

 

そう言うと燬鷇王は何の躊躇いもなく、自身の左腕を斬り落とした。

 

 

「さっきは受け止められたが、これならどうだ?」

 

再度霊圧を感知させない瞬歩で雀部の目の前まで移動し、斬魄刀を袈裟斬りの形に振り上げる。

 

天地灰尽(てんちかいじん)!」

 

燬鷇王は残火の太刀・北、天地灰尽を渾身の力で振り下ろした。

 

が、その斬撃はまたもや雀部に止められてしまう。

 

「な....なぜ......!」

 

 

雀部は偶然か必然か、敬愛する師と同じ言葉で“燬鷇王の振るう残火の太刀”を否定した。

「元流斎殿の磨き上げた卍解は......この程度では断じてない!!」

 

残火の太刀を跳ね除け、厳霊丸を燬鷇王の胸へと突き刺した。

 

 

「卍解、黄煌厳霊離宮(こうこうごんりょうりきゅう)!」

 

 

胴体に電流が流れ麻痺状態の燬鷇王に巨大な雷が襲う。

 

逃れることもできず、1秒ごとに何発もの(いかずち)に焼かれ続けた。

 

 

雷鳴が止むと、顔から右肩までしか残っていない燬鷇王が地面に横たわっていた。

 

 

()()()()なんぞに....敗れるはずがない......」

 

《雷の小僧》という呼び名を聞き、かつて流刃若火に並ぶ焱熱系斬魄刀を持つ死神を思い出した。

 

――雷の小僧、お前では私には勝てん――

 

――長次郎、奴は儂が討つ――

 

――重國!私の燬鷇王の前に散れ!――

 

「そうか、あの方の.....燬鷇王か。」

 

「あの時双極の丘で、京楽殿と浮竹殿によって消滅させられたとばかり思っていた。」

 

ルキアが処刑される際、京楽と浮竹によって消滅させられたが、燬鷇王自身もまさか復活するとは思っていなかった。

 

「私もだ......」

 

燬鷇王の体はゆっくりと燃え、すでに首元までが灰に帰していた。

そして消えそうな声で言葉を紡ぐ。

 

「私はもう山本重國に......流刃若火には負けない......」

 

「そうだろう....?叡哲(えいてつ)....」

 

 

【挿絵表示】

 

 

雀部は、静かに消えていく燬鷇王に言葉を返す。

 

「案ずるな、お主は一度しか元流斎殿に敗れておらん。今回は私に、厳霊丸に敗れたのだから。」

 

「そうか..........そうだな......」

 

無表情ではあるものの、声は笑っていた。

 

「雷の小僧に負けるのも癪だが、流刃若火に負けるよりはましか......」

 

「焔を司るこの燬鷇王が燃え尽きて没するとは......皮肉もいいところよ......」

 

そう言い終わると同時に燬鷇王は燃え尽きた。

 

そして灰が風に乗って飛ばされていく。

 

 

そこには割れた義魂丸のようなものが残っていた。

 

 

 

――ですからこの先生涯を賭け、この卍解がノ字斎(えいじさい)殿のお役に立つよう磨き上げて参る所存です――

 

 

「やっとこの卍解がお役に立ちました。」

 

十字斎(じゅうじさい)殿。」

 

 

 

To be continued......

 

 

 

 

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