BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

47 / 74
第18話 集いゆく星々の為の幻想曲

 

 

〜蟹沢ほたる迎撃地〜

 

 

蟹沢ほたるは目の前に立つ2人の男に目を向ける。

 

「檜佐木君、青鹿(あおが)君、、、」

 

そして蟹沢はその後ろに控えている恋次、吉良、雛森の3人を一瞥する。

 

「それにあの時の後輩達、、、」

 

 

「この面子。あの時の演習を思い出すね、、、。」

 

蟹沢は苦しそうな笑顔を見せた。

 

 

「蟹沢!!本当にお前が、、、!」

 

京楽からの敵情報を、檜佐木は信じることができなかった。

 

蟹沢はあの時の演習で虚に殺された。

目の前で。

 

仮に何らかの方法で生き返ったとしても、尸魂界にあだなすことをするはずがない、と信じていた。

 

だからこそ、それを確かめるためにここへ来たのだ。

 

「本当に蟹沢なのか?」

 

蟹沢は檜佐木の言葉に目を伏せる。

 

「誰かが蟹沢を乗っとって、、、」

 

そして檜佐木の言葉を遮った。

 

「檜佐木君。私は私。私の意思であなたと刃を交えようとしてる。」

 

「そうか、、、分かった。」

 

「なら、俺も手加減はしない。護廷十三隊の隊長としてお前を止める。」

 

 

「うん、、、」

 

蟹沢は左腰から斬魄刀を引き抜くとともに、静かに解号を唱える。

 

「思い起こせ、老典(ろうてん)。」

 

彼女の斬魄刀はまず二本に分かれた。

一振りは浅打の様なシンプルな刀、もう一振りは大きな魔道書の様な形に変わる。

 

 

「なんだあれ、、?」

 

恋次は見たことのない種類の始解に目を凝らしている。

 

 

「探りを入れてみましょうか。」

 

雛森は斬魄刀を中段に構え、小さく振りかぶった。

 

「弾け、飛梅!」

 

蟹沢はおもむろに魔道書を前に突き出す。

 

「あの本は盾?」

 

雛森はさらに驚くこととなる。

彼女の放った火球は蟹沢の持つ魔道書に吸い込まれた。

 

すると魔道書は光を放ち始め、蟹沢は解号を唱える。

 

「弾け、飛梅!」

 

蟹沢の浅打は飛梅に変化し、さらに切っ先から火球を放つ。

 

「模倣の能力!?」

 

 

「刈れ、風死。」

 

檜佐木は命を刈り取る形をした鎌状の斬魄刀、風死で火球を斬り伏せた。

 

「鬼道系能力はダメみたいだな。」

 

檜佐木の後ろから恋次が前へと躍り出る。

 

「檜佐木さん、おれが行きます。吠えろ!蛇尾丸!!」

 

恋次が蛇尾丸を振るうと蟹沢に向け一直線に伸びていくが、またもや蟹沢は魔道書で蛇尾丸を防ぎ、解号を口にした。

 

「吠えろ、蛇尾丸。」

 

蟹沢の浅打は蛇尾丸に変わり恋次に向かって伸びていく。

 

「くそっ、、物理系もかよ!」

 

 

「まてよ?ってことは攻撃しなけりゃ、反撃も受けねぇんじゃ、、!」

 

恋次のその言葉を聞いた蟹沢は、浅打を前へ突き出すと、切っ先に赤黒い霊球を発現させる。

 

王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)。」

 

「ウソだろ!?」

 

咄嗟にイヅルが恋次と王虚の閃光との間に割って入った。

 

「縛道の九十八、霊減割拒(れいげんかっきょ)!」

 

轟音とともに、白煙が立ち込める。

 

「あんなのも撃てるのかよ、、、ありがとな吉良。」

 

 

「檜佐木さん、どうしますか?」

 

イヅルは自身の隊長である檜佐木に指示を問うた。

 

「俺が卍解する。その後は頼んだ。」

 

 

「わかりました、、、。ですが斬れるんですか?蟹沢さんを、、、」

 

「斬るしかねぇだろ。」

 

檜佐木は隊長羽織を翻し、前へと進んでいく。

 

 

「卍解、風死絞縄(ふしのこうじょう)。」

 

檜佐木の持っていた二振りの斬魄刀を繋ぐ黒い鎖が上空で絡み合い、黒い太陽を形作った。

 

そして、その黒い太陽から何本もの鎖が檜佐木と蟹沢に伸びていく。

 

しかしその瞬間、蟹沢の霊圧が急激に上昇し、辺りを暗く冷たい空気が包んだ。

 

「卍解、、、」

 

蟹沢の魔道書から“黒い霧”が溢れ出す。

 

古鏡老典(こきょうろうてん)。」

 

 

そして檜佐木たち全員を包み込んだ。

 

 

 

 

あたりの黒い霧が晴れると、檜佐木の卍解は解除されていた。

霊圧も減っている様子はない。

 

 

「確か蟹沢も卍解を、、、って、、、」

 

檜佐木が辺りを見回すと、そこは忘れることのできない景色だった。

 

「ここは、、、。あの時の、、、!?」

 

「蟹沢がやられた演習地じゃねぇか!!」

 

 

To be continued.....

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。