BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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お盆ですね、暑いですね。
迎撃戦も佳境に入る22話。
涼しい部屋で寝転がってみて下さい。


第22話 Can't Fear My Own World

 

 

 

〜藍染との戦闘地から少し離れたところ〜

 

堅空(けんくう)!」

 

青鹿の能力により張られた空気の壁はいとも簡単に破られた。

 

「ぐはっ、、、」

 

「青鹿君!」

 

吹き飛ばされ、地に伏す青鹿に蟹沢が駆け寄る。

 

青鹿達の前には全身が白い外殻に覆われた女型破面が佇んでいた。

 

「さ、、さがっていろ、、、蟹沢、、、!」

 

 

「そんな雑魚に構っていては、あなたはいずれ死ぬ。」

 

女型破面の非情な声に、青鹿は抗う姿を見せる。

 

「悪いが、、、俺は教師だからな、、、!だからお前を、、、!」

 

「撃ち込め!堅空!」

 

青鹿が斬魄刀を破面へ向けると、鋒から空気の銃弾が放たれた。

 

空気の銃弾は直撃するも、破面はびくともしていない。

 

「そんな攻撃で私の鋼皮(イエロ)を破れるとでも?」

 

破面は右腕を左腕で支えながら蟹沢に向けて、刀剣のような腕を放撃する。

 

「蟹沢!」

 

青鹿は蟹沢の前に瞬歩で移動すると、空気の壁を何枚にも重ね出現させた。

 

そして破られることを見越し、蟹沢を蹴って後退させた後、タイミングを合わせ破道を打ち込む。

 

「破道の七十三!双連蒼火墜!!」

 

 

青鹿は大きな爆発に包まれた。

 

 

破面は倒れる青鹿に問いかけた。

 

「なぜそこまでしてその女を守る?」

 

「くっ、、、、」

 

 

 

〜藍染との戦闘地〜

 

「ええの?彼一人で。」

 

一通りの治療を受けたものの、なおも満身創痍のギンが恋次達に問う。

 

「仲間が危ないならボクらも行ったほうがいいんと違う?」

 

「いいんすよ。あれは先輩達の問題っすから。」

 

イヅルと雛森の鬼道による治療を受けながら恋次は答えた。

そして恋次の言葉にイヅルも続く。

 

「僕たちが手を貸すことが必ずしも先輩達の為にはなりません。」

 

恋次はギンの心配を晴らすようあえておちゃらけた様子で続けた。

 

「大丈夫っすよ!檜佐木さん、、、さっきの死神は、友達も少なくて毎日一人でギターかバイクか料理してるような人ですけど、、、」

 

()()死神っすから。」

 

「必ず()()します。」

 

 

 

〜藍染との戦闘地から少し離れたところ〜

 

 

「なぜそこまでしてその女を守る?」

 

「くっ、、、、」

 

受けた傷によって声を発することができない青鹿の言葉を、特徴的な斬魄刀を構えた男が代弁する。

 

「俺たちにとって大事な人だからだよ。」

 

そこに現れたのは命を刈り取る刀を持った死神だった。

 

「檜佐木、、、」

 

「檜佐木君!」

 

 

「大事?自分を差し置いて守るほどに!?」

 

破面は感情的に檜佐木の言葉を問い質す。

 

「あぁ、かつての蟹沢がそうしたようにな。」

 

 

破面はさらに続けた。

 

「それで自分が死んだらどうする。」

 

「本望だ。」

 

檜佐木は躊躇うことなくそう告げた。

 

 

「何が本望、、、!何が大事!」

 

破面の怒りはさらに増長していく。

 

「死ぬときになって後悔したって遅い!」

 

「結局は力を持たない者は何もできない!」

 

感情を顕にする破面は、蟹沢へと視線を向けた。

 

「現にその学生の女もあなたたちの足手纏いになっている!」

 

檜佐木は悲しそうな目で破面に問いかける。

 

「だから()()()()を作り出して、()()()()を消そうとしたのか?」

 

「そんなに昔の自分が許せないか?」

 

「蟹沢。」

 

檜佐木の言葉に青鹿も目を伏せる。

 

そして青鹿は苦しそうに蟹沢に問うた。

 

「蟹沢、、、なぜ、、、こんなことを、、、。」

 

 

破面の蟹沢は力強く言い放つ。

 

「それは争いをなくすためよ。」

 

「中央四十六室や、死神界の上流に佇む貴族たちを浄化しなければ、いつまで経っても無駄な争いは絶えない。」

 

「だからこそ、四十六室に侵攻するノヴァディオに加勢した。」

 

「尸魂界の歴史を知る檜佐木君ならわかるはず。」

 

檜佐木は蟹沢の言葉に言い返す言葉はなかった。

蟹沢の言う通りだったからだ。

 

「彼らの存在こそが害悪で罪なのよ、檜佐木君。」

 

「そしてそれを守るというのなら、、、貴方達も同罪!」

 

「刀を抜いて!私を殺さなければ、私が貴方達を殺す!」

 

破面の蟹沢は刀剣となった腕で檜佐木に斬りかかる。

そして両者は鍔迫り合いとなった。

 

「刀を引け!蟹沢!」

 

「どっちにしたって、あなたは選択をしなければならない。」

 

「選択、、、?」

 

「この卍解を解くには、核を破壊しなければならない。」

 

「その核がお前の中なあるってのか、、、」

 

「そう。その後ろの《私》にね。」

 

「なんだと、、、?」

 

その瞬間、破面の蟹沢は腕の刀をずらし、檜佐木の斬魄刀を受け流すと水平に檜佐木の腰を斬った。

 

しかし檜佐木は読んでいたのか、その斬撃を後退して避ける。

 

学生姿の蟹沢は、間合いをとって後退した檜佐木の名を呼んだ。

 

「檜佐木君、、、」

 

 

破面の蟹沢は檜佐木に向かって叫ぶ。

 

「あなたは、《私》を止めるために、あなたの救えなかった《私》を斬らなければならない!」

 

 

「斬らねぇ、、、絶対に、、、!」

 

「斬りなさい、、、!!じゃなきゃあなたは私に斬り刻まれる!!」

 

破面の蟹沢は檜佐木に斬りかかるため飛び上がった。

 

「それでも俺は方法を探す!!!」

 

破面の蟹沢は、檜佐木の首元で刀を止めた。

 

 

 

一滴、また一滴。

 

 

白い仮面から流れ落ちる大粒の涙。

 

「どこまで、、、お人好しなの、、、」

 

 

檜佐木は斬魄刀を下ろしており、殺気も感じられない。

 

すると檜佐木の後ろに立っていた学生姿の蟹沢が檜佐木を押し除けた。

 

そして破面の蟹沢が持つ刀を優しく、そして力強く掴む。

 

「なにを、、、」

 

学生姿の蟹沢は掴んだ刀を勢いよく自身の胸に突き刺した。

 

「なっ、、、!」

 

自分の作り出した幻影の予想外の行動。

破面の蟹沢は理解が追いついていなかった。

 

すると学生の蟹沢は包み込むような微笑みで、もう一人の、未来の自分に語りかけた。

 

「わかるよ、、、。」

 

「あなたは、、、私だから、、、」

 

「本当は救いたいんでしょ、、、檜佐木君達を、、、!」

 

「本当は許せないんでしょ、、、今のあなた自身を、、、」

 

「だからあなたである私(斬魄刀)が、あなたを止めます。」

 

二人の蟹沢周辺の空間が揺らめき始めた。

 

「なんで、、、!」

 

 

学生姿の蟹沢はなおも微笑んでいる。

 

「理解や屈服をさせずに斬魄刀の能力を得たことが、こんな風に役に立つなんて、、、皮肉ね。」

 

学生姿の蟹沢は檜佐木と青鹿の方に振り返り別れを告げた。

 

「檜佐木君、青鹿君、()()()()

 

全ての空間が歪み、光に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

光が収縮すると、檜佐木と青鹿の目の前には蟹沢が倒れていた。

 

 

ーー死ぬときになって後悔したって遅いーー

 

 

この言葉は、責任感の強い檜佐木と青鹿を必ず追い詰めることになるだろうと分かっていた。

だからこそ、檜佐木達が蟹沢の言葉を誤解し、この先苦しまないよう、彼女は最後の力を振り絞る。

 

 

 

「私の後悔は、、、」

 

「檜佐木君や、、、青鹿君と、、、共に人生を、、、送れなかったこと、、、」

 

「最後まで、、、私を救おうとしてくれて、、、」

 

「ありがとう、、、」

 

「私は、、、あるべき姿に、、、戻るね、、、」

 

 

そう言い残し、蟹沢は淡い光となって天高く舞い上がっていった。

 

 

 

 

 

 

〜ノヴァディオ迎撃地〜

 

 

「勝負がついてきたっスねぇ。」

 

あっけらかんと言う浦原の目の前で、ノヴァディオと呼ばれる男は片膝をついていた。

 

「そのようですね、、、」

 

 

「いやぁ、けど斬魄刀なしの鬼道だけでよくそこまで戦えるもんだぁ!」

 

「斬魄刀どころか鬼道すら使っていない君が言っても些か説得力に欠けるがネ。」

 

すると、おちゃらけていた浦原の態度は急転し、相手を見透かすような鋭い目でノヴァディオを睨みつける。

 

「さすがは()の息子です。」

 

 

「いつから気づいていたのですか?」

 

その言葉を聞いたマユリは嘲笑している。

 

「君が私の前に現れたときだヨ。」

 

 

「アナタは100年前の断界での爆発で、大きくずれた時間に飛ばされたようですね。」

 

「それも過去に。」

 

 

「ねぇ?仙波麓源(ろくげん)さん?」

 

 

 

 

〜過去・断界〜

 

 

ーー父上、これを。補肉剤ですーー

 

 

 

ーーこうなったらお前らもろとも死ぬのみよーー

 

ーーあと15秒で爆発を起こすーー

 

ーー断界内で爆発を起こし、現世と尸魂界の時間軸をずらすーー

 

ーー肉体は時流についていけなくなりバラバラだーー

 

ーー卍解、観音開紅姫改メーー

 

ーー縛道の七十九、九曜縛ーー

 

ーー早くそれぞれの出口へーー

 

 

ーー待て、、、浦原、涅ーー

 

 

ーー父上!!!ーー

 

 

そして時流の爆発に飲み込まれた。

 

 

 

 

〜流魂街〜

 

 

「ここは、、、?」

 

「父上、、、?」

 

麓源の意識が戻ると、そこは荒野だった。

 

周囲に霊圧は感じない。

いや、感じることができなかったと言ったほうが正しいのかもしれない。

爆発によって体の器官が一部一時的な機能障害を起こしていたからだ。

 

そして麓源が立ち上がろうと全身に力を入れたときだった。

 

「あれは、、、!?」

 

瀞霊廷の上空に突如現れた巨大な隕石。

 

そしてその隕石に向かって小さな光が飛び上がっていく。

 

 

その光景を見て麓源は、今がいつの時間軸なのか理解した。

 

 

霊王護神大戦の真っ最中。

 

 

隕石は花火のように砕け、宙を舞い落ちていった。

 

 

麓源は痛む体を無理やり起こし、駆け出した。

 

「ということは、、、父上は今あそこに、、、!」

 

 

To be continued......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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