BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
〜仙波麓源迎撃地〜
「停滞せよ、
麓源が移動すると、分裂するようにもう一人の麓源が佇んでいた。
「成る程。それは斬魄刀の能力だったのかネ。」
「余りにもお粗末な物だから義骸かと思っていたヨ。」
マユリは麓源の分身に目をやった。
「動くわけでもなく、攻撃を発するわけでもない。」
「君の父上の方がまだマシな斬魄刀だったヨ。」
麓源は不気味な笑みを浮かべる。
「それはどうでしょうか。」
浦原は斬魄刀を抜き、帽子を押さえた。
「何かまだ隠してますねぇ。」
麓源は再度笑みを溢す。
「さぁどうでしょう?」
「どうなんですかねぇ、、、!切り裂き紅姫!」
麓源はすんでのところで斬撃を躱す。
その躱した隙をマユリは逃さなかった。
「こちらがガラ空きだヨ。」
マユリの腕はロケットのように打ち出されると、その伸びた腕で麓源を斬り裂いた。
麓源の体は二つに裂かれ崩れ落ちる。
「今回は
佇んでいた麓源の分身からマユリを皮肉る声が響いた。
「なるほど。死ぬほどの致命傷を負ってもその分身から再開できるのか。」
「では、これはどうかネ?」
マユリは現れた分身を斬り付けていく。
「さぁ、実験の時間だ。」
「神経信号が切断された分身体から再開するとどうなるのか。」
そう言うと、マユリは意識のある本体の麓源を斬り裂く。
すでにマユリによって腕を斬られた分身から再開した麓源は、マユリの仮説を立証する結果を呈した。
「くっ、、、腕が、、、」
「全く、、、。他愛もないネ。」
「黙れ、外道が。」
「貴様が行なってきた非道の数々。」
「実験と称して滅却師を虐殺し、石田雨竜と対峙した際には部下を人間爆弾とし、、、」
「そのような外道に言われる筋合いはない!!」
麓源は動く左手で自身を貫き、別の個体から再開した。
「おっとおっと、君の認識には間違いが二つある。」
「一つ目は私は外道ではなく、脊髄に慈愛が生えて歩いているような聖人だヨ。」
「そして二つ目は、私は滅却師の実験は行っていない。」
「出たら目を!!」
「石田雨竜にも、肉塊となった祖父の写真を見せていたそうではないか!!」
「君はもう少し賢い人間だと思っていたが、やはり仙波の息子だネ。」
「石田雨竜との戦闘で、私が滅却師の実験写真を持っていたのが偶然だとでも言うのかネ?」
「あれは命令だヨ。」
「四十六室のネ。」
「まぁ私が滅却師の小僧と戦っていたときにはすでに四十六室は全滅していたわけだが。」
「何が言いたい!?」
「つまり涅サンは他の人の実験の責任を負わされたんス。」
「なぜ責任を負う必要がある?四十六室なら揉み消すこともできたはずだ。」
「そう。その通りだ。しかし揉み消さなかった。」
「奴らは私の存在が気に入らなかったようでネ。」
「君が滅ぼそうとしている四十六室は、皮肉にも君の父上と同じ考えだったということだ。」
「蛆虫の巣出身というのはどうにも高貴な存在には受け入れ難いそうでネ。」
「だからこそ、局長責任として仙波が実験をした滅却師、石田雨竜の祖父の写真を、
「名残惜しいが、そろそろ楽しいお喋りも終わりにしようじゃないかネ。」
「卍解、金色疋殺地蔵、、、」
マユリの持つ斬魄刀から紫色の瘴気が漂い始め、マユリの背後が見えなくなる。
そして引き戸が勢いよく開いたような音と共に、瘴気が晴れていった。
赤ん坊の泣き声と共に、新たな金色疋殺地蔵が姿を表す。
「
卍解によって形作られた廟堂の中に、異形の赤ん坊が座していた。
顔は正面左右の計3つ、さらにそれぞれの目から腕が生えているが、胴体に腕は付いていなかった。
するとその異形の金色疋殺地蔵がのそのそと廟堂の外へ出て、麓源の方へと向かっていった。
麓源は分身を増やし続けるが、金色疋殺地蔵の目から生えた腕が伸び、麓源の分身を次々と喰らっていく。
しかし麓源の増殖の速度についていけていなかった。
「オギャアァァァァァァ!!!」
金色疋殺地蔵は泣き叫ぶと廟堂へと戻っていく。
「卍解が尻尾を巻いて逃げるとは。」
「これは戦略的撤退だヨ。」
金色疋殺地蔵が廟堂の中へ入ると戸が勢い良く閉まった。
「まだ何かあるのか。」
「だから言っているだろう。戦略的撤退だと。」
「さぁ、新たな金色疋殺地蔵の誕生だヨ。」
廟堂の戸が開くと、胴体から腕が片方で4本、目から生えた手からさらに4本ずつの腕が生え、計16本の腕を持つ金色疋殺地蔵が座していた。
金色疋殺地蔵が恐ろしい速度で廟堂から外へ出て行く。
そしてそれぞれの腕が麓源の分身を喰らっていく。
「なるほど、、、」
「私の能力を知っていてその卍解を使ったのか?」
「なんだと?」
「流石の涅マユリと浦原喜助でも私の能力を知らないという訳だ。」
「何かあるようッスねぇ、、、」
「進化せよ、分限摂理。」
麓源は浅打に手をかけると霊圧を上げた。
しかし目に見えて何かが変わったわけではなかった。
「何か変わったとでもいうのかネ?やれ、金色疋殺地蔵。」
マユリの指示通り、金色疋殺地蔵は麓源の分身に手を伸ばし、口に運び呑み込んだ。
すると少しして金色疋殺地蔵の腕がもげ落ち始める。
「なに?」
「これが私の能力だ。」
金色疋殺地蔵は体のあらゆる部位が破壊され始め、見る見るうちに体は朽ちていった。
「なるほど、細胞を破壊する毒かネ。」
マユリは顎に手を当て得られた情報から現状を分析をしている。
そして麓源はその答えとなる能力をあえてマユリに伝えた。
「そう、この斬魄刀の能力はお前の手口と同じ。敵の能力に適応するよう進化する能力だ。」
既に左足だけになった金色疋殺地蔵が体をうねらせ這いながら廟堂へと戻って行く。
廟堂の戸が閉まると、数秒して再度戸が開いた。
次の金色疋殺地蔵の胴体に手脚は付いておらず、目から生えた手で這出た。
そして何よりその金色疋殺地蔵は首が長く、その首も五分節に分かれていた。
「サァ、食事の時間だヨ。」
金色疋殺地蔵は腕を伸ばし、再度麓源の分身を掴むと口へ運んだ。
しかし金色疋殺地蔵の体は破壊されていない。
「なるほど、抗体を手に入れたということですか。」
「それだけじゃあない。」
マユリは瞬歩で麓源の背後に回り、首を断ち斬った。
「何がしたいのか理解に苦しむ。」
マユリは嘲笑いながら手を上げた。
「なぜ君が理解できないのか理解に苦しむヨ。」
「外道の考えることなど理解できるはずもない。」
金色疋殺地蔵の三顔の口から毒霧が吹き出される。
「この抗体に適応する毒を持つ物を逆に破壊する毒だヨ。」
毒霧に触れた麓源の分身がどんどんと朽ちていく。
「進化し続ける能力が仇となったようだネ。」
朽ちていく分身を見た麓源は焦るそぶりも見せず、斬魄刀に手をかけた。
「退化せよ、分限摂理。」
麓源が別の解号を唱えると同時に分身の崩壊が止まる。
「成る程。」
マユリは目を細めそう呟いた。
「進化するために一番必要なことが何かわかるか?」
「適応だ。」
麓源はさらに続ける。
「では適応した末に滅亡するしかない運命が待ち構えていたら?」
「敢えて退化することができれば、もはやそれは進化だとは思わないか?」
「進化できないのなら、前に、、、過去の自分に戻ればいい。」
「ホゥ、、、」
〜シュリーカー迎撃地〜
「サァて、俺んとこの死神はこれで最後か?」
「全くよぉ、、、誰もいないと思やぁ、いきなり現れるんだからナァ。」
「ザコ副隊に普っっ通の隊士。」
シュリーカーの前には、小椿仙太郎、虎徹清音、大勢の隊士が倒れていた。
「当初の予定とは少しズレたが、現世に行って奴らと合流すっか。」
「こんだけやられちゃ霊王の方はもう無理だろ。」
「あいつの言う通り、現世から世界を壊してやるよ。」
To be continued.........