BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
「
平子の逆撫に似た形をしていた。
柄の先の大きな円には小さい輪っかがいくつも付いており、ジャラジャラと金の擦れる音を発している。
弥勒丸という斬魄刀を逆にしたような形状だ。
それ以外特に変わったところは見られない。
「これで万全だ。」
「なんだか分からねぇが、行くぜ!」
剣八は男に斬りかかるが同じように躱される。
しかし今の一太刀が男の左上腕に入ったかのような感覚、デジャヴに近い感覚を覚える。
「おっと早速薬が切れてきたか。」
男は間合いをとると注射器を取り出し腕に打っている。
「あぁ?なんだそりゃ?」
「超人薬だよ。昔少し失敬した物でね。」
「あの涅の野郎が作ってたやつか。」
「おれの振りに反応できるのは素の力と思っていたが、それで避けてやがったのか。」
「
「やはり解放しておいてよかった。」
男は左腕を見ながらさすっている。
「何をごちゃごちゃと訳わかんねぇことほざいてんだ。」
「まだまだいくぜ!」
しかし剣八の攻撃は当たらない。
空を切るばかりである。
「くそっ、当たらねぇんじゃつまらねぇ。攻撃もしてこねぇし、、、」
興が冷め始めて面倒臭くなってきたときだった。
「更木隊長!」
リーゼントにグラサン、七番隊の隊長羽織を着た男が更木の横に空から着地する。
「おう、射場!こいつお前にやるよ。」
「え?」
「こいつ躱してばっかでつまんねぇんだよ。」
「は、はぁ。」
王印奪還部隊でもない七番隊隊長射場鉄左衛門は、大先輩である平子の
逆骨の更木見てきてぇな!
というお願いを律儀に聞いて来たのであった。
さらに元上司の更木が言うのだから射場は引き継ぐ他なかった。
「仕方がないですのぅ。更木隊長が言うなら。」
更木はもうすでにその場にはいなかった。
射場はため息をつきながら斬魄刀を抜き、始解する。
「押し切れ、
解放すると斬魄刀から枝分かれしたかのように小さく刃が生える。
「いくで!」
射場は連続で斬りかかるが、全て綺麗に躱される。
「本当に当たらんのぉ、、、なら、、、」
「縛道の三十、嘴突三閃。」
射場は嘴突三閃を皮切りに次々と縛道を繰り出していく。
「縛道の六十二、百歩欄刊。」
「縛道の六十三、鎖条鎖縛。」
「縛道の七十五、五柱鉄貫。」
「縛道の七十九、九曜縛。」
「縛道の九十九、禁!」
この間約10秒。男は縛りに縛られ身動きができない状況になっている。
「これで避けられはせんじゃろう。」
男は焦りこそないが驚いた顔をしている。
「お前の縛道本来のものと違うな?」
「おうよ、儂は大前田希ノ進殿から直々に応用鬼道を教わっとるけぇのぉ。」
前二番隊副隊長大前田希ノ進は、夜一が隊長業務から逃げるのを防ぐため自身で研究を重ねその鬼道を磨いて来たのだ。
そのため嘴突三閃と百歩欄刊には追尾能力が、鎖条鎖縛には麻痺効果が、というように各鬼道が強化されている。
「さぁ終わりじゃ!」
射場が大きく跳躍し斬りかかった瞬間だった。
「父上!」
青年が間に入り射場の刀を受け止めた。
「なんじゃ?この坊主は。」
髪を結った線の細い少年は射場に対し啖呵を切る
「お前ごときの力で父上を斬れると思うな!護廷隊など父上の足元にも及ばんわ!私で十分だ!」
「それはどうじゃろうのぉ?」
射場が一度剣を引き、次は突きを繰り出す。
が、その突きはまたも止められることとなる。
「致命的な突きだな!」
「お前の枝分かれした刃に引っかければいとも簡単に防ぐことができるわ!」
お互いの斬魄刀越しに射場を見ると、少し口角が上がっている。
「そこに疑問を抱かんところがまだまだ坊主なんじゃ。」
「こいつの能力はのぉ!」
射場は両手でしっかりと柄を握ると止められた刀を思い切り押し込む。
ピシッ
鉄が断ち切れる音がし、砂の上に鉄片と化した刀が落ちた。
青年の斬魄刀は見事真っ二つに折れてしまった。
いや、斬られたと言われた方が腑に落ちる綺麗な斬り口だった。
「儂と同じでのぉ、こいつは止まっても押し切ると、何でも押し斬れるんじゃ。」
「なっ、斬魄刀が、、、、!」
その時突然射場の頭上に黒腔が開く。
そして闇の中から顔の右側には刺青のはいった短髪でメガネをかけた男が現れた。
「おいおい、やられそうじゃねえか。」
その男は挑発気味に縛道で拘束されている男に話しかけている。
「お前こそ、子供相手に尻尾を巻いて逃げ帰って来たんだろ?」
「仕方ねぇだろ!黒崎一護と朽木ルキア、浦原喜助に石田雨竜だぞ?」
「あれだけ黒崎一護はおれが斃すと息巻いていたではないか。」
「そうだ、だから確実に斃せるときに斃すんだよ。」
かつて全く情報がないときに黒崎一護と対峙し、惨敗したことがあった。
それからずっと自分の手で倒す日を待っていた。
が、それはこの前の戦いではなかった。
「お前は誰じゃい!?」
射場は耐えきれず、新たに現れた男に問いただす。
「あん?なんだてめぇは。」
「おれは
「与えられた能力は
〜現世、浦原商店〜
「フゥ、呼び出されたと思えば研究を手伝えとは。」
「私はもう元局長殿の部下ではないのだがネェ。」
マユリは皮肉をたっぷりと込めた言葉を向ける。
「わぁ何この人?すごい顔だね!」
「こら一勇!この方は十二番隊隊長殿だぞ!」
無邪気にマユリの顔の感想を言う一勇に苺花は怒鳴りつけた。
「なんだネ?このガキどもは。」
「君も死神なの?」
マユリそっちのけで一勇は横にいた同い年くらいの少女に話しかける。
「はい、そうです!!!」
「何度も言っているだろう。声が大きいヨ!」
「遊びに行こうよ!」
「マユリ様、この方たちと遊んで来てます!」
ポンポンと話が進み、この子もマユリそっちのけで一勇達と商店の外へと駆け出ていく。
「全く、七號と何が違うのか見当もつかないネ。」
一勇、苺花、その女の子は瞬歩で公園まで移動する。
「やっぱり苺花ちゃん速いなぁ。」
「そうだ、君の名前は?」
「わたしは涅ネムです!よろしくお願いします!」
ネムは深く頭を下げた。
「ネムちゃんか〜。よろしくね!」
一勇はにっこりと微笑んでいる。
「僕は黒崎一勇でこっちは阿散井苺花ちゃん!」
「よろしく。」
反対に苺花はしかめっ面をしている。
「苺花ちゃん怒ってるの?」
「うるさい!」
苺花は一勇からプイッと顔を背けた。
「ねぇ、瞬歩鬼ごっこしよう!」
「楽しそうです!!」
ネムは大賛成、といった様子で両手を挙げ飛び跳ねている。
「それおれも入れてくれよ。」
「!!?」
後ろには虚のような怪物が立っていた。
腰には刀が差してある。、
「虚!?破面!?」
苺花は斬魄刀を抜き臨戦態勢に入る。
「どっちでもねぇよ。俺はかつてシュリーカーとか呼ばれてたが今となっちゃなんでもいい。」
「おれは
かつて人間だった頃、小さい子供に靴紐を引っ張られたことが原因で高所から転落死したからだった。
「いやしかしおめぇの目を見てると思い出すぜぇ。」
「おれが地獄に行く羽目になった女をよぉ。」
手に赤いグローブを着けた制服姿の女性だった。
「そんでもう1人の野郎にも似てやがんだ。そっちの坊主は。」
オレンジ色の髪に目つきの悪い死神、一護のことだ。
「あれから地獄を抜け出し探しに探してみりゃ、、あの女今や護廷十三隊の隊長になってるらしいじゃねぇか。」
「それ多分母上。」
「何!?」
「ハッ!こりゃぁいい!てことはおめぇを取っ捕まえれば母上殿も出てくるってわけだ。」
「捕まえられるならね。」
「苺花ちゃん、、、!」
一勇は心配そうに苺花とシュリーカーのやり取りを見ている。
「じゃあおれが鬼で始めだ!!!10は数えねぇぞ!!!」
シュリーカーは腰に据えてある斬魄刀様なものを抜く。
「堕ちろ!
同時に苺花も斬魄刀を解放させる。
「
苺花が斬魄刀を手放すと宙に浮き凍り始めその上から炎が包む。
氷は溶け水となり、滴り落ちるとともにもう一対の斬魄刀を形作る。
そして燃える一対と、水滴る一対を手に取りシュリーカーへと向ける。
「
To be continued.....