BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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第2話 お前の希望は背後に迫る

 

 

〜現世〜

 

 

「血は出ないからキミはゾンビにならないかもしれないけどさぁ。」

 

「この数の聖兵(ゾルダート)をどう処理するの?」

 

 

ジゼルの背後に現れた100をゆうに超える滅却氏の雑兵が彦禰に襲いかかろうとした時だった。

 

 

三火(さんか)三水(さんすい)(なら)びて連なれ。」

 

焱淼(えんびょう)双連(そうれん)!」

 

解号と共に、彦禰の後ろから熱気と水気を帯びた霊圧が広がった。

 

「三火三水双連大砲!」

 

赤髪の少女から放たれた三つの巨大な火球と、水球が滅却師達をなぎ倒していく。

 

「彦禰!私も加勢する!」

 

「苺花さん!」

 

 

 

 

〜現世・六車サイド〜

 

 

「良かったのか?阿散井の娘を戻して。」

 

砕蜂が柄にも無く冷や汗を流しながら六車に問う。

 

「仕方がねぇだろ、、、あいつらはまだ若い、、、」

 

「だが、悔しいが奴らの卍解は大きな戦力となる。」

 

「んなこたぁわかってるよ。」

 

「じゃあなんだ?隊長副隊長が揃っていながら、三席にも満たってない席官に、俺たちじゃ勝てないかもしれないから残ってくださいって言うってか??」

 

「これは俺たち隊長格の意地だ。」

 

「それよりもこいつをどうするか考えることにしようぜ。」

 

六車達の前に仁王立ちしていたのは、滅却師のジェラルド・ヴァルキリーだった。

 

 

 

〜現世・彦根サイド〜

 

 

二人の若い死神を前にジゼルは苛ついていた。

 

「ムカつくなぁ。こんなガキンチョ達に僕の相手が務まると思われたのかぁ。」

 

「あの六車って隊長さん、僕のゾンビだったくせにさ。」

 

 

何かぶつぶつと独り言を言っているジゼルをよそに苺花は彦禰のもとへ駆け寄る。

 

「彦禰、今六車隊長達のところにも滅却師が!」

 

「しかもかなり手強いやつみたい、、、!」

 

複数人の隊長格を相手取って劣らない相手・・・・

 

思い当たる滅却師は一人しかいない。

 

「ジェラルド・バルキリーですか。」

 

「だから、早く終わらせよう、、、!!」

 

そう言い終えると苺花は若い死神とは思えないほどの霊圧を放ち始める。

 

 

ーー躊躇わず卍解を使えーー

 

 

彦禰は六車に言われた言葉を思い出した。

 

 

苺花は十五席とは思えないほどの霊圧を発している。

 

「卍、、、、、」

 

苺花が卍解を発動させようとした矢先に、彦禰は六車の言葉と真逆の判断を下す。

 

「苺花さん、、卍解は、、、なるべく使わない方向でいきましょう。」

 

 

 

「、、、かっ、、、、なんでよ!」

 

苺花に集中していた霊圧は空中へと霧散した。

 

 

「もしかするとメダリオンを持っているかもしれません。」

 

「戦況的に見て、苺花さんの卍解が奪われるのは今後の戦況に大きく響きます。」

 

彦禰は自身の持つ斬魄刀に目をやった。

 

「僕の卍解は始解が使えないと効果が発揮できませんから相手に使われたところで問題はありませんが。」

 

「ただそれでも奪われるのは痛いです。」

 

 

しかし苺花も食い下がる。

 

「でもさ!早く倒さないと六車隊長達が!」

 

「六車隊長達ならきっと大丈夫です。だから今は僕を信じてください。」

 

苺花は一呼吸置くと、ムスっとした表情で霊圧を降下させた。

 

「はいはい、分かったって、錆面()()。」

 

「怒らないでくださいよ。」

 

彦禰はいつものとおりわかりやすく怒りを露わにする苺花に苦笑を浮かべる。

 

「怒ってないって!!」

 

苺花はぷいっとそっぽを向いた。

 

 

「苺花さんは分かりやすいですから、気づかないのは一勇君くらいですよ。」

 

 

「はぁ?なんで一勇が、、、」

 

「ほらっ!来ますよ!」

 

彦禰はそう言うと上空へと飛び立った。

 

「わかってる、、、、よ!!!」

 

そして二人は迫りくる滅却師の雑兵を次々と斬り捨てていく。

 

 

「ふ~ん、、、」

 

その様子を表情を変えずに凝視するジゼル。

 

 

「ちょっと貸して。」

 

ジゼルは後ろに控える滅却師の持つ軍刀を奪い取ると、自らの腕に切れ込みを入れた。

 

「これでぶっかけちゃえばいいんだ。」

 

 

ジゼルの挙動を注意深く観察する彦禰に苺花が声をかける。

 

「なに見惚れてんのよ、彦禰。」

 

「女の子なら血をかけられても満更じゃないって思ってたんでしょ?」

 

「え?」

 

苺花の斜め上を行く質問に彦禰は呆気に取られてしまった。

 

「あんたも一勇みたいになっちゃったわけ?」

 

「すぐ鼻の下伸ばしてさ。」

 

しかし彦禰は苺花の言葉に、まるで頭上に疑問符を浮かべたような顔になる。

 

「苺花さん、あれは女の子ではありませんよ?」

 

 

その言葉にいち早く反応したのはジゼルだった。

 

「何言ってんの〜?同じ女性が《女の子》って言ってるんだからさぁ。女の子に決まってるじゃん。」

 

「あなたは女性ではありません。」

 

「何を根拠にそんな酷いこと言ってんの〜?ありえな〜い。」

 

「苺花さんがいる前で言うのは憚られますが、、、その、、、僕は鼻が利くのですが、、、」

 

「なんというか、、、男独特の匂いがするので。」

 

「このマセガキが。」

 

額に怒りの血管を浮かべたジゼルは飛廉脚で彦禰の背後に回ると自身の血を振り撒いた。

 

「っく、、、!瞬歩でも避けきれ、、、!」

 

しかし彦禰の前に円状の水の盾が現れる。

 

「彦禰!油断しすぎ!!」

 

「苺花さん!」

 

ジゼルの血は苺花が出現させた水の盾に吸収され、水と共に地面に染み入っていった。

 

 

「ほんっとにムカつくなあ!!」

 

一度は声を荒げたジゼルだったが、「ふぅ」と深く息を吐き、怒りを抑え込んだ。

 

 

「はぁい、ここでお姉さんからムカつくガキンチョ達にクイズを出してあげるよ。」

 

突然のクイズに彦禰と苺花は呆気に取られる。

 

「ナジャークープとボクたちは繋がってたわけだけど、そのナジャークープはノヴァディオ一行でした〜。」

 

「そこでナジャークープはノヴァディオから()()()()をもらってました〜。」

 

その言葉に彦禰の眼光が鋭くなる。

 

「では問題です!ボクももらっているその恩恵とはなんでしょ〜うか?」

 

 

そして彦禰がある答えを紡ぎ出した。

 

「魂魄の境界の除去、、、ですか、、、」

 

 

「せいか~い♪」

 

 

ジゼルは血が流れる腕の傷口に口を当てると、じゅるじゅると音を立てて血を啜った。

 

そして口元から血液を滴らせながら解号を唱える。

 

黄泉(よみ)(がえ)れ、死者(ゾンビオ)!」

 

倒れていた死神(ゾンビ)が次々と立ち上がると、続いて上空の空間が裂け、巨大虚(ヒュージホロウ)の軍勢がボトボトと地に落ちる。

 

そして立ち上がるとまるでゾンビのように一心不乱に彦禰達に襲いかかった。

 

 

「これでも卍解使うなって、、、?錆面五席、、、」

 

「ギリギリまで始解でいきましょう、、、」

 

痛点付設(つうてんふせつ)!」

 

彦禰が後退しながら刀を振るうと、鋒から紫色に光る霊圧の欠片が放出され、前方横一列に配置された。

 

血不染道(ちぶぞめみち)痛線連道(つうせんれんどう)!」

 

 

横一列に配置された欠片は線となり、半透明で紫色の壁を出現させる。

 

しかし死神や虚のゾンビ達はその壁を何事もなく通り過ぎる。

 

「ちょっと!何も起きてないじゃん!!」

 

その様子を見た苺花が彦禰に詰め寄った。

 

「あれ?普通なら激痛で走れないはずなんですが、、、」

 

彦禰は《おかしいな》と言わんばかりに首を傾げている。

 

「だ、か、ら!!あれはゾンビなんだって!!」

 

苺花は鬼の形相で彦禰の胸ぐらを掴み上げた。

 

「ゾンビ?」

 

「あんた!現世にいてゾンビも知らないってどういうことなの!?」

 

「生物の授業で習いましたっけ?」

 

「習うか!!」

 

苺花は彦禰の襟元を放す。

 

「あいつらは痛みを感じないの!!」

 

「そうなんですか。」

 

彦禰は《へぇ〜》と感心した表情を浮かべている。

 

「しかも噛まれたり、血を浴びたら、そいつもゾンビになるの!!」

 

「なんと。」

 

「では、僕の血不染道とは相性が良かったり悪かったりですね。」

 

彦禰は始解を解除すると静かに納刀した。

 

「破道の七十三、双連蒼火墜(そうれんそうかつい)!」

 

彦禰の放った鬼道はゾンビ達に直撃するが、何事もなかったかのように立ち上がった。

 

「なるほど、、、厄介ですね。」

 

苺花は何か手がないか思案していた。

 

そして先程一度は死神のゾンビ達を封じ込めた者の存在を思い出す。

 

「そうだ!さっきの人形!毒ヶ峰さんなら!」

 

苺花は後方にいるリルカの元へと瞬歩で移動する。

 

「毒ヶ峰さん、さっきの人形にあいつらを!!」

 

「無理よ。さっきアイツの解放で死神が甦るときに人形は破られた。」

 

「今はもう入れる器がない。」

 

 

「じゃぁどうすれば、、、」

 

わかりやすく落ち込む苺花にリルカは声をかけた。

 

「だから()()って言ったでしょ?」

 

「そろそろ来るはずよ。」

 

 

「ほら。」

 

 

 

ププーーーー、プーーーーー

 

クラクションの音と共に黒塗りの高級車が猛スピードで後方から迫ってくる。

 

そして急ブレーキでけたたましく停車した。

 

 

後部ドアから出てきたのは、金髪にスーツを着た若い男性で、次に運転席から出てきたのは、長身で色黒な女性だった。

 

「あっぶなっ!!電柱に当たりそうだっただろ!事故なんて会社のイメージ下がるじゃないか!」

 

スーツを着た若い男性、雪緒・ハンス・フォラルルベルナが怒りの声を上げる。

 

そして運転手である色黒の女性、ジャッキー・トリスタンも負けじと言い返した。

 

「だから当ててないだろ!」

 

「それにさぁ、もう少し丁寧に止められないかな?」

 

「うるさいね、急いでたんだから仕方がないだろう。」

 

 

雪緒は彦禰達を一瞥すると、やれやれと手を挙げた。

 

「まったくさ、リルカから連絡があったから仕方なく来てみたらガキのお守りだなんて。」

 

「あんたもガキでしょうが。」

 

「しかもこいつとの対談のタイミングで、、、、」

 

雪緒の視線は後部座席へと移る。

 

すると後部ドアから何とも奇妙な格好をした男が現れた。

 

「ボハハハハハーー!」

 

「きっとそのリルカガールとやらも、このドン観音寺と共にいる時期を狙ったのだろう!!」

 

そしてそのドン観音寺は、持っていたステッキをジゼルに向け、声高らかに宣言した。

 

「ボーイズエンドガァールズをいじめるそこのバッドガール!!」

 

「このドン観音寺が正義のスピリットを教えてやろう!!」

 

 

「ド、、ドン観音寺、、、?」

 

ジゼルはその人物の名を知っていた。

ナジャークープから貰った、ノヴァディオの資料に載っていたからだ。

 

「現世の主要人物の中にいた、、、」

 

黒崎一護、石田雨竜、浦原喜助、握菱鉄裁、、、、

 

その次に記されていた名前。

 

観音寺美幸雄(みさお)、通称ドン観音寺。

 

 

「藍染と対峙して生き残り、痣城剣八を打ち負かした人間、、、!」

 

 

 

「私のことを知っているようだなバッドガール!!」

 

 

「スピリッツ・アー・フォーエバー・ウィズ・ユー!!」

 

 

 

 

To be continued......

 

 

 

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