BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
苺花の卍解によって右の肩から脇腹、右腕が吹き飛んだ滅却師のジェラルド。
ジェラルドの肉体を吹き飛ばした苺花に周囲が驚愕している中、彼女はさらに霊圧を上げている。
「阿散井の娘、すげぇっすね……」
大前田が絞り出したような声でそう呟いた。
力を消耗していたとはいえ自隊の隊長でも吹き飛ばせなかった相手をまだ100歳ほどしかいっていない若い隊士が大ダメージを与え、さらに隊長格の霊圧を放っていることに、大前田は驚きを隠せなかったのだ。
砕蜂は大前田の言葉には応えず、途轍もない霊圧を放っている若者の背を見つめていた。彼女は悔しさとも、安堵ともとれないような表情を浮かべている。
そして砕蜂は苺花のある変化に目を凝らしていた。
苺花の背に羽のように浮かぶ2本の刀。
一本は氷のような物でできた半透明な刀で、もう一本は炎でできた刀だった。
「あれが阿散井の娘の卍解の能力か…?」
「まだまだいくよ!
苺花の新たな解号とともに、手に持つ2本の斬魄刀の鋒からそれぞれ炎の球体と水の球体が発せられる。2つの球体は苺花の頭上に並行して浮いていた。そしてさらに彼女の背に浮かんでいた2本の刀、炎と水の刀からも同じように球体が発せられ、頭上へと上がっていく。
炎と水の球体計4つが一つに集まり融合しながらさらに上へと上昇していく。苺花が左手に持つ斬魄刀を振り上げると、一つになった球体を冷気で凍らせた。
「待ってください!苺花さん!!」
彦禰が慌てた様子で苺花を制止するが、彼女は全く気づいていない。
「
凍った球体は水蒸気を上げながら雲のように平らに広がっていきジェラルドの頭上を覆った。
「いけぇ!!」
苺花の大声と共に平らに広がった雲からジェラルドに
光を反射してダイヤモンドダストのように幻想的な景色を生み出すが、その刹那、轟音とともにジェラルドの体が至る所で大爆発を起こす。
「なっ、なんだ!?」
爆風による砂煙を左手で遮りながら、拳西が目を細めて叫ぶ。
煙が晴れるとジェラルドの体上部の至る所が抉られ、焼きただれていた。
「苺花さん!!まだ霊圧を腐敗させてないから逆効果ですよ!!」
「えぇ!?先に言ってよ!逆に強化させたってことでしょ!?」
「あれだけ説明したから、状況から判断して分かってくれていると思ってましたけど……」
彦禰は呆れたように肩を落とす。
「なによ!あいつを吹っ飛ばせばいいんでしょ!?私はまだまだいけるから!」
「阿散井隊長みたいに勢いで乗り切ろうとするのは悪い癖ですよ!」
彦禰は斬魄刀を構えながらジェラルドへと近づいた。
「あぁ!父様に言いつけてやる!」
「いいですよ。僕はお母様の方に報告しますから」
「せっこい!!」
苺花と彦禰が言い争いをしている間にジェラルドの抉られた部位はボコボコと肉が隆起し、さらに巨大になっていく。
「おいおい…倍近くになりやがったぞ……?」
拳西はさらに巨大化したジェラルドを見上げている。
「ほら!苺花さんの判断ミスで相手が強化されたじゃないですか!!」
苺花を諫めながら隣へと着地する彦禰。
「次はちゃんとやるってば……」
不貞腐れながら肩をすくめる苺花。
「頼みますよ…!手を先にと思いましたが、足を先にしましょう!」
彦禰は斬魄刀を居合の形に構え直す。
「
斬り抜いた広範囲の水平な斬撃がジェラルドの両足をすり抜け、ドス黒い紫色の斬痕が宙に残存する。
「苺花さん!吹き飛ばすのは膝下までですよ!?再生しますから!」
「分かってるって!!」
「
苺花の四振りの刀から大規模な氷が発せられ、ジェラルドの両足を呑み込み凍らせると、続いて巨大な火球が射出された。
火球は直撃すると凍ったジェラルドの膝下を粉々に吹き飛ばす。ジェラルドは達磨落としのように体が地に落ち、うつ伏せとなって倒れた。
「やった!」
思わず彦禰が叫ぶ。
「太腿の霊子は腐ったまま!その先の足は再生できません!」
大前田が期待を込めた表情を浮かべて呟く。
「強ぇ…!これならあの化け物に勝てる…!」
「苺花さん、大丈夫ですか?」
彦禰が声をかけると、苺花は息が上がった様子で額の汗を拭った。
「大丈夫…だって…!」
「苺花さんの卍解は体に負担がかかるのでしょう?」
彦禰は彼女の体への負担を懸念していた。
「ハァ…いけるってば……」
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▽▽
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霊王宮で卍解を修得した苺花。彼女の前に立つ3人の死神が彼女の卍解について説明をしていた。
「よいか苺花。おんしの卍解は恋次やルキアと同じ系統の一撃に特化した卍解ではない」
「その通り。どちらかというと黒崎一護の卍解に近い代物だヨ」
白塗りの派手な格好をした禍々しい死神は何が嬉しいのかニヤついている。
「黒崎一護は卍解を発動させる際、その大きな霊圧を発するために衝撃波を放っている。これは朽木六番隊隊長の報告からも判明していることだ」
「マユリが言うには、それと同じことがおんしにも起きておるらしくてのう。それが先ほど放った火球やらだ」
「さらに!興味深いのがイチカガールの卍解にHa!ギアがあるってことSa!」
「“ぎあ”ってなんですか?」
「段階的な身体能力や霊圧の強化。喜べ苺花。おんしの憧れる黒崎部隊長と同じ…いや、それをも超える卍解になる」
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深呼吸をする苺花。彼女の背後に浮かぶ炎と氷の刀は2本ずつの計4本に増えていた。
「さて…もう一段階“ギア”を上げましょうか…」
「いくよ、彦禰…!」
〜石田総合病院〜
「どうした、一勇?へばっているように見えるが卍解を使わなくていいのか?」
ーーまだだ、一勇
融月が一勇の心に語りかける。
「使いたいのは山々だけど、親父相手じゃ使えねぇだろ!」
一護の体を乗っ取ったユーハバッハにそう吐き捨てると一勇は鬼道を発動させた。
「詠み入れろ、融月!!縛道の八十一!
縛道で発生させた半透明の長方形の盾が一勇の斬魄刀の鋒に付着し、盾となる。
その盾で四方から迫り来る霊圧の矢を次々に防いでいく。
「その言い方は見過ごせんぞ、一勇。」
「まるで一護の体に傷をつけることができるから卍解を使いたくないと……私に傷をつけることができるから卍解を使いたくないと聞こえるが?」
「しつけぇな…!だからそうだって言ってんだろ!」
ーーもう少し、もう少しだ、一勇
ーーまだ少し滅却師の力が足りていない
「ったく、めんどくせぇ卍解だな!!マジで!」
一勇は左手で斬魄刀の刀身に触れた後、自身の胸へと左の手のひらを当てた。
「滅し護れ!
「どうした?卍解を残す割には防戦一方か!?」
ユーハバッハは不敵な笑みを浮かべている。
「ギアを上げてるとこだ…!黙って待ってろユーハバッハ!」
ーー溜まり切った、いくぞ一勇
To be continued.....