BLEACH 〜Higher Than That Moon〜 作:虹捜索隊
「一護くん!」
「織姫!」
「来たな、石田雨竜!」
「チルッチ・サンダーウィッチ、、、!」
とりあえず4人は遊園地に入って何に乗るかを決めることにした。
「さぁ、何から乗ろうか!」
一護がそんなことを言っているそばで喧嘩が始まっていた。
「早く勝負しなさいよ!根性なし!」
「何だと!?こっちはわざわざ来たんだぞ!?なんだその言い方は!!」
織姫と一護は顔を見合わせる。
「これはお化け屋敷だな。」
「うん!」
「で、なんで僕がこの女となんだ?」
「何すんの?これから?」
雨竜とチルッチは2人並んでポカンと口を開けている。
「これは、、、勝負だよ!先に怖がったほうが負け!ね?一護くん!」
「そ、そうだ!根性試しだ!」
根性試しという言葉を聞いてチルッチは鼻で笑った。
「ふん、そんなのやるまでもない。この根性なしが負けるに決まってるでしょ?」
「何だと?僕に負けたくせによく言えるな!」
織姫が言い争う2人の背中を押し、入口へと押し込んだ。
「はいはい、先に入って!」
「何名様ですか?」
織姫がドンッと2人の背中を押す。
「2人ずつです!」
一護と織姫は恋人繋ぎでスタッフに手を挙げてみせる。
「カップル様ですね。ではそちらの2名様も恋人繋ぎをお願いします。」
「何だって!?」
「はい!早くする!」
織姫と一護によって無理やり手を繋がせられる。
「ではバンダナで結んで固めさせていただきます!」
「これが解けずに出て来られれば景品がありますので!」
「それでは行ってらっしゃ〜い!」
雨竜はチルッチに聞こえないよう小さく呟いた。
「和風か、、、。」
実はこの男、和風のホラーが大の苦手だったのだ。
「(まずいな、、、なんとか悟られないようにしないと。さすがに男が怖がるのも、、)」
「、、え!ねぇってば!」
「うあぁぁぁぁ!」
「きゃっ、な、何?ああああんたビビってんの?」
「き、君こそ声が震えてるぞ!」
「当たり前でしょ!あたしはこういうの経験ないの!だから仕方ないの!!」
そんな2人を嘲笑うかのように女性の不気味な笑い声が響いた。
ふふふふっ
あはははっ
「何今の女の声!」
「知らないよ!!」
え、それって、、、、
あたしのことぉ?
2人は恐る恐る同時に振り返った。
「うぎゃぁぁぁぁ!」
「あんた何とかしなさいよ!誇り高き滅却師なんでしょ!!」
「うるさいな!君こそ最初の威勢はどうしたんだ!それでも破面か!!」
「てかあんた手汗すごいのよ!」
「それは君の手汗だろ!!」
「あ、あの、、、」
お化け役のお姉さんも流石に止めに入るが、、、
「「うるさい!!!」」
出てきた雨竜とチルッチはぐったりとしていた。
「おう!お前ら早かったな!」
「こ、こいつが走って逃げるもんだから!」
チルッチが雨竜の背中を叩く。
「なんだと?君悲鳴をあげながら僕の背中に隠れてただけじゃないか!!」
「よし、いい感じだな。じゃあ次はジェットコースターだ!」
「へ?」
「どこまで上がんのよ!これ!」
「うるさいな!そんなのあそこまでに決まってるだろ!」
「これ脱線とかしないんでしょうねぇ!!」
「だからうるさいし知らないって!!」
「うわあああああああ!」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
大したことないジェットコースター。
子供たちも悠々と乗っているにも関わらず、大の大人カップルが悲鳴をあげていた。
「おぇ、吐きそう、、、」
雨竜は手を膝に当て今にも吐きそうな様子である。
「あたしたち飲み物買ってくるね!一護くん行こ!」
腕組みをしたチルッチが雨竜をこれ見よがしにからかっている。
「あんたやっぱ大したことないわね!これくらいで吐きそうだなんて。」
「じ、自分だって思いっきり叫んで、怖いって言ってたじゃないか、、、!」
「あんたらの所為でしょうが!」
「あのシロアリみたいなやつが変な液体で足元滑らせて落ちちゃったから高いところ怖くなったのよ!」
かつて雨竜とチルッチが戦った時、ペッシュが吐いた
そのときのことがトラウマになっていたのだ。
雨竜はあの時の戦いを思い出す。
ーー二度と元には戻れないわーー
ーー自ら腕を焼ききるのと同じことよーー
「あの時、捨てた体の一部は治ったのか?」
「治るわけないでしょ。もう破面としては中途半端よ。」
「これも全部あんたの所為。特にあんたが鎖結を射抜いたのが大きいのよ!?責任とりなさいよ!ほんと、、、」
チルッチはうつむいて話を続けた。
「その所為で今や骸部隊とか言われて、自由もなくてこき使われて。」
「こんな風に自由にできるあんたが羨ましいわ。」
「自由なもんか。いつも何かに追われて、、、」
「なんだっけ?医者?」
「そんなのどうでもいいじゃん、あんたがやりたいって思うならやればいいし、やりたくないならやらなきゃいい。」
「それが選べる自由が羨ましいって言ってんの。」
「あれぇ?ケンカ〜」
そこに絵に描いたようなチンピラ達が現れる。
「外人さんじゃん!めっちゃ美人!こんなメガネ君じゃなくて俺たちと遊ぼうぜ!」
男の1人がチルッチの腕を強引に掴み引っ張った。
「何よあんたたち!」
「(義骸だから力が全く出ない、、、)」
「その子から手を離せ。」
「おいおい、なんだよ。彼氏君いきがるじゃん!」
「ぐふぉっ」
雨竜の掌底が男の顔面にクリーンヒットした。
男は血の滴る手で口元を押さえている。
そして地面には赤く染まった歯が3本転がっていた。
「次のやつは4本折るぞ。」
「ひ、ひふひょう!!ほぼえへろ!!」
男たちは一目散に逃げていった。
「な、何カッコつけちゃってんの!?」
「あんたに助けてなんて頼んでないでしょ!」
「あんなやつあたしの力で、、、」
「僕のせいで力がなくなったんだろ?責任を取れと言われたからそうしただけだ。」
「お待たせ〜!」
織姫と一護が4人分の飲み物を買って帰ってきた。
「ありがとう井上さん!」
「石田俺にはねぇのかよ。」
「なんで君に言わないといけないんだ!」
チルッチは一護と言い合いをしている雨竜を見つめていた。
「カッコつけないでよ、、、。」
〜尸魂界〜
遊園地から1週間。
織姫は地獄蝶と護衛隊士ともう1人、大事な友人と共に尸魂界へと走っていた。
「ついた!!」
織姫たちは女性死神協会と看板が掲げられた部屋にたどり着いた。
ガラガラツ
「ごめんなさい!」
慌ただしく部屋に入った織姫は開口一番に謝罪した。
「リルカちゃんも来てくれることになったんで、迎えに行ったら遅くなっちゃいました!」
「いいのよぉ〜、座って座って!」
松本乱菊が手をひらひらと振り、2人に座るよう促した。
「では、女性死神協会定期会議を始めます。」
伊勢七緒が参加者全員の着席を確認し、定期会議なるものを始めた。
実際は定期会議と言う名の井戸端会議のようなものだった。
まず発言したのは織姫とリルカが来る前から隣を気にしていた乱菊だった。
「で?この娘って破面の娘よね?」
「チルッチさんって言って石田くんの彼女さんです!あたしが誘いました!」
「誰が彼女よ!」
チルッチは織姫の言葉に激しく反応した。
「石田さんってあの滅却師の!?」
彼女という言葉に虎徹勇音もかなり驚いている。
「恋次は朽木、一護は織姫、石田は破面ってなんか、、、」
乱菊が下を向いて体を震わせていた。
「燃えるじゃないの!!」
「あんた頑張んなさいよ!」
乱菊は隣に座るチルッチの背中を思い切り叩き鼓舞した。
「痛っ、なんなのこの流れ!!」
「でも実際難しいんじゃ、、、。」
虎徹清音が顔を曇らせている。
難しい理由はみな分かっていた。
「涅隊長よね、、、」
「というより、まず四十六の決定を経て作られた部隊ですから、また四十六室の許可が必要なのでは?」
次々と2人を阻む問題が見つかっていく。
「そこはお任せください。私がなんとしてでも京楽隊長に許可を得させます。」
「七緒どうしたの?こういうのはいっつもお堅いタイプなのに。」
七緒は乱菊の質問に答えず肩をすくめモジモジしていた。
すると思いもよらぬところからフォローが入ったのだった。
「わかるわ。禁断の恋って応援したくなるわよね。」
ウェーブのかかった長い黒髪。太い眉毛に分厚い唇。
浅黒く彫りの深い顔。そして割れた腹筋。
その女性?の破面は、分かるわ、と言わんばかりに頷いている。
「ちょっと待ってくれ。こいつは男ではないのか?」
「やぁね!ルキアちゃん!あたしもレディみたいなもんよぉ!」
「けど、許可が降りてもあの涅のところから連れ出すのは至難の業よぉ?」
ガラガラッ
突然扉が開くと、逆光で2人の黒いシルエットがそこに立っていた。
「心配ない。」
「そこは儂らに任せろ!」
「砕蜂隊長に夜一殿!」
「夜一様と私にかかれば破面1人くらい連れ出すことなど造作もない。」
前任、現任隠密機動総司令官の頼もしい言葉にわぁっ、と歓声が上がる。
チルッチただ1人を除いては。
「あたしの中には監視装置や電撃装置があるから無理よ。」
「もしかしたらこの様子も見られてるかも、、、。」
すると砕蜂と夜一の背後から浦原喜助が顔を出した。
「心配いりませんよぉ〜。アタシが今無効にする電磁波を出してますから。」
「あと体内の装置に関しても問題全くなしです!!」
すると浦原は腰巾着からビー玉の様なものを取り出した。
「まずこの義魂丸を飲みます。すると2日かけてあなたの魂や記憶がこの中に入ります。移動が完了すれば意識はなくなります。」
「そしたら次にあなたのそのボロボロな肉体を燃やし、義魂丸を取り出します。」
「あとは義骸に義魂丸を入れれば自由の身です!」
「ちなみにこの義魂丸は義骸に入ると溶け出し一体化する様になってますから!」
「まぁただ、霊圧はほとんど残らず人間とほぼ同じになりますが。」
さすが浦原喜助、すぐ壁を越えてきたな、と誰もが思っていた。
「ならもう許可とかいらないんじゃない?」
クールホーンが腕組みをして七緒に問いかけた。
浦原がその質問に答える。
「いえ、石田サンは外世部隊の副部隊長ですから、しっかりと通すところは通しておいた方がいいでしょう。」
人数や情報が増えややこしくなってきたところで七緒が総括確認に移る。
「では確認しますね。
①京楽隊長が四十六室から許可をもらう
②砕蜂隊長と夜一さんがチルッチさんを連れ出す
③2日間他隊の隊舎で匿いながら義魂丸への転移を待つ。
④義骸に入る
⑤石田さんと結ばれる
以上です。」
「ちょっと待って!なんであいつと結ばれることになってんの!?」
「あんたあのメガネのこと好きなんでしょ!?」
それまでだんまりを決め込んでいたリルカがチルッチに問いかけた。
「見てたら分かるよ。そっくりだから、、、。」
「な!あんた達がそういうこと言うから、、、そういう感じに、、、」
「お主赤くなっとるではないか、初心よのぉ。」
「あたしをからかうな!」
〜黒崎医院〜
「石田、お前あの娘のこと気になってんだろ?」
「な、な、何を言うかと思えばなんだって?」
「お前でもそんなにテンパることあるんだな。」
「お前をお前のまま見てくれるんじゃないか?」
雨竜はうつむき自分に言い聞かせる様に呟いた。
「相手は破面だぞ?」
「関係ないだろ。お前とその娘がどうしたいかが重要だろ?」
「僕たちがどうしたいか、、、」
「まずはお前がどうしたいかだな。」
〜四十六室〜
「ですから!涅隊長の非人道的な骸部隊はやめさせるべきです!」
「知っておるぞ。涅の破面と石田という滅却師が相思相愛なのであろう?そんな仮想敵同士で、もし尸魂界に害を与える存在となったらどうするつもりだ!?」
「却下!!」
「ごめんよ、、、七緒ちゃん、、、」
①京楽隊長が四十六室から許可をもらう ×
夜一と砕蜂は十二番隊隊舎裏門付近の草むらに隠れていた。
「こうなったら許可なしでも連れ出すしかない。」
「行くぞ砕蜂!」
その時スピーカーから大音量でマユリの声が響く。
「君たちが来ることなど知っているヨ。」
「な!門が閉まっていく!!」
②砕蜂隊長と夜一さんがチルッチさんを連れ出す ×
「今まで通り自由な外出時間に出て、それから外に留まればいいのよ!」
乱菊が半ばヤケクソの様に叫んだ。
「砕蜂隊長と夜一さんが見つかってからチルッチさん外出できなくなったそうです。」
③他の隊舎で匿いながら義魂丸への転移を待つ。 ×
〜黒崎医院〜
「行くのか?石田。」
「あぁ、涅に勝ったことがあるのは僕くらいらしいからな。」
雨竜は手に
「他に勝てる人がいればいいんだが、僕しかいないなら僕が行くしかないじゃないか。」
「石田、、、、」
〜涅骸部隊詰所〜
「なんか、よくわかんないことに巻き込まれてたなぁ。」
チルッチは遊園地や女性死神協会のことを思い出していた。
「まぁでもあれが普通の人間とか死神の感情なんでしょうけどね。」
「破面や虚にそんな感情なんて普通はない。まぁそれが少ししれただけでも面白かったちゃ面白かったかな。」
なにやら外がざわめいている。
「何か騒がしいわね。」
そこへ、チョビ髭と顎髭を蓄え、バンダナの様な仮面をつけた男の破面が駆けつけた。
「ニーニャ!!何をしている!
「はぁ?」
〜技術開発局〜
「なんだと?」
マユリは思わず阿近の言葉を聞き返した。
「ですから石田雨竜が破面を解放するよう抗議しに来ているそうです。」
「しかも応援を連れて。」
マユリが十二番隊隊舎前へ赴くと乱菊、勇音、雛森、清音、七緒などをはじめとする女性隊士達が集まっていた。
そして雨竜がその先頭に立っている。
「なんのつもりだネ、君たち。」
「お前の骸部隊とやらを解放してもらおう。」
「知っているヨ。君はあの女の破面に惚れているそうだネ。」
「破面と結ばれようとはご先祖もさぞ泣いていることだろう。」
「私は滅却師の先祖のことを思って止めているんだヨ?むしろ感謝してほしいくらいだが。」
「御託はいい。涅マユリ。」
「滅却師の誇りに懸けて僕は彼女を救う。」
「ホウ、、、。」
石田のその言葉に女性隊士達のボルテージが上がっていく。
「いいぞ〜!石田〜!!」
「全く、、こちらは時間に追われているというのに、、、仕方がないネ。」
「搔き毟れ、疋殺地蔵。」
マユリが始解の解号を言い終わった時にはすでに雨竜は消えていた。
「(速いっ、飛廉脚か)」
頭上に現れた雨竜の放った矢を間一髪で交わした。
「残念だったネ。あの時と同じ攻撃が聞くとでも思ったのかネ?」
そして瞬歩で雨竜の背後に移動し、斬魄刀を振り下ろす。
「なにっ、、、?」
雨竜は両腕の神経系を斬られ腕が動かなくなってしまう。
「これで勝負はついた。早く引き上げてもらお、、、」
マユリは腕に力が入らないことに気づく。
「これは、、、
「どうだい?君の麻痺を自分で経験してみるのは。」
「これで勝負はついた。早く彼女を解放してもらおうか。」
「ふん、、、好きにするといいヨ。元々あの女は役に立たなかったからネ。丁度いい。」
マユリは斬魄刀を握ったまま動かなくなった腕を治すため技術開発局へと戻っていった。
「やったーーー!やるじゃん石田!!」
乱菊が渾身のガッツポーズをしていた。
そこへ自体を聞きつけたチルッチが十二番隊から裸足で駆け出て来る。
「あんたなんでここまで、、、」
「これで自由だろ。自分で選ぶんだ。」
「でも四十六室とかいう奴らの許可はもらってないんでしょ?」
「私が許可しよう!」
声を上げたのは貴族の少女、阿万門ナユラだった。
「もう障害は何もないはずだ。」
「だそうだ。それでどうするんだい?チルッチ・サンダーウィッチ。」
雨竜はチルッチの方に向き直った。
「このボロボロの体には嫌気がさしてたところだし、仕方ないから入るわよ、、、義骸に、、、。」
「あたしこれから行くとこないんだけど。」
「現世に行こう。」
「現世かぁ、、、あ〜あ!破面の力どころか霊圧も無くなってただの人間に成り下がるなんてさ!」
「力が無くなってもいい。僕が君を守るよ。」
2人はあの時とは全く逆の表情をしていた。
「何それ。」
「まったく、、、人間の男ってのはみんなそんな風なのかしら?」
〜終わり〜