BLEACH 〜Higher Than That Moon〜   作:虹捜索隊

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戦場に咲く蓮華草③

 

 

ーー希代ーー

 

 

 

 

 

「だれ、、、?」

 

ーーあなたが強くなりたいと願う理由は何ーー

 

 

 

 

 

「えっ、、、それは、、、」

 

「守りたいから、、、」

 

ーー誰をーー

 

 

 

 

 

「私の大事な人達を。」

 

ーーどうやってーー

 

 

 

 

 

「四番隊に入って、傷を癒して、、、」

 

ーーそう、わかったーー

 

ーーまた会いましょうーー

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あ、起きた!」

 

「四楓院先生ーー!大前田起きました!」

 

希代が目を開くと視界には真っ白な天井と、左の方には担任の青鹿の顔があった。

 

 

声のする方へ顔を向けると、入り口付近にいる夜一が振り返ってこちらに向け歩き始めていた。

 

「随分と長かったのう。」

 

 

「こ、、、ここは、、、?」

 

「救急室だ。」

 

青鹿は起き上がろうとする希代の背中を支えながら答える。

 

 

「お主あれから5時間ほど意識が持っていかれておったのじゃ。」

 

「ご、5時間!?」

 

希代の感覚では一分にも満たっていなかったのにも関わらずだ。

 

 

「ここまで長いとはのう。彦禰以来じゃ。」

 

 

ーーいや、彦禰以上かーー

 

 

「で、何があったのじゃ?」

 

「え、、、?」

 

「意識を失う者はよくいますが、倒れる者は初めてでしたもんね。」

 

青鹿は混乱する希代に代わって間接的に夜一に説明を求めていた。

 

 

「左様。意識を失うというよりは、精神世界へ入り込み意識が斬魄刀との対話と集中している、という方が正しい。」

 

「その状態とはすなわち、斬魄刀と何らかの意思疎通を図っている状態とも言える。」

 

「しかし、その状態で意識を()()()()ことはない。」

 

「皆平衡感覚を保ち、意識を持ったまま精神世界へと入る。」

 

「意識がなければ精神世界には入れない、、、。」

 

青鹿は一人呟いた。

 

「その通りじゃ。だからこそ、何が起こったのかを聞いておかねばならん。」

 

 

「声が、、、声が聞こえたんです、、、。」

 

 

「うっすらと、、、遠くで、、、私の名前を呼ぶ声が、、、。」

 

 

「あとは、、、思い出せない、、、、」

 

起きたときは鮮明に覚えていたのに、ほんの数分で記憶がほとんどなくなっていた。

 

「あれ、、、何で、、、?」

 

「待ってください、、、絶対に、、、思い出しますから、、、」

 

 

「無理に思い出す必要はない。また一ヶ月後に知ればいい。」

 

夜一は苦悶の表情を浮かべる希代の頭に手を置いた。

 

「急ぐことはない。」

 

 

その言葉に希代は小さく返答する。

 

「急がないと、、、いけないんです、、、」

 

 

「ん?何か言ったか?」

 

 

「いえ、、、」

 

 

 

 

〜夕刻・学生寮自習室〜

 

 

 

「あ、あの、、、先輩、、、、」

 

「鬼道訓練の評価を、、、」

 

希代はいつものことながら四賀田に怯えながら話しかけた。

 

 

すると四賀田は思い切り机を叩き立ち上がった。

 

「うるっさい!!!」

 

「なに!?あんた始解の訓練のことで調子乗ってんの!?」

 

「ふざけんなっ!!!」

 

四賀田は勢いよく席を立つと苛立った様子で部屋を後にした。

 

 

希代は呼び止めることもできず、四賀田の後ろ姿を見つめることしかできなかった。

 

 

すると、、、

 

 

 

「大前田さん。」

 

 

「はっ、はいっ!」

 

突然名を呼ばれて、少し驚いてしまった。

 

声の下方へ振り返ると、そこには茶髪でセミロングのいかにも穏やかそうな女学生が立っていた。

 

「四賀田は怖い?」

 

 

「あ、あなたは、、、?」

 

「私は薙崎(なぎさき)朱美(あけみ)、3年生。」

 

「、、、、!!」

 

学院内のことに疎い希代でも知っている名だった。

3年生にしてすでに席官入りが固いと言われている女学生だ。

 

 

「お、お疲れ様です、、、」

 

「まぁ、とりあえず座ろっか。」

 

希代が恭しく頭を下げると、薙崎は椅子を引き、希代に座るよう促した。

 

 

「四賀田はね、私が2年の時に付いてた後輩なんだ。」

 

 

「私もさ〜、一年の時はよく怒鳴られて、寮に戻っては泣いて。これを繰り返してたなぁ。」

 

薙崎は明るい口調ではあったものの、若干苦笑い気味だった。

 

「頭も要領も悪くて、私は普通の人が普通にできることができないんだっていつも悩んでた。」

 

「それで私、半年経っても全く成長しない上に、人と話すのも怖くなって一ヶ月程休学してたの。」

 

「それでなんとか復帰したんだけどさ、一発目の授業がその先輩との組手で、そりゃもうコテンパンにやられてね。」

 

「さらにみんなの前で怒鳴られて、、、私その場で倒れちゃったの。」

 

「恥ずかしいよね!今でも情けないよ!!」

 

薙崎は無理に笑っているようにも見えた。

 

「で、そのとき組手の指導にあたってた6年の先輩が慌てて救急室に担いでくれて。」

 

「その先輩は《何かあったの?話してみて》って言ってくれて、、、」

 

「その先輩に悩みを相談したんだ。」

 

 

「そしたら特別にその先輩が私の付きの先輩になってくれるってことになって。」

 

「その先輩はもう卒業後に席官入りが内定してて、始解も習得済みだったから時間もあったしね。」

 

始解習得と聞いて、希代はピンときた。

 

「その先輩ってもしかして、、、」

 

「そう、錆面(さびつら)先輩。」

 

「私は錆面先輩に付いた後半の半年で、5年生と同じ実力が付いてたの。」

 

 

薙崎は穏やかな顔で遠くを見つめていた。

 

「自分自身に驚いたわ。そして安心した。」

 

「私も咲ける花だったんだ、ってね。」

 

 

そして薙崎は希代の方に顔を向ける。

 

「その時に錆面先輩がよく言ってた言葉がね、、、」

 

 

ーー血に染めて力で押し倒すのは簡単ーー

 

ーー本当に難しいのは諭すことーー

 

ーーそして前者は相手の為にならず、後者は相手の為になるーー

 

ーー誰でも平等に()()なれるーー

 

ーーその機会を奪うようなことはしてはならないーー

 

 

「指導も同じなんだってさ。」

 

「だから私は四賀田に諭しながら指導した。」

 

「四賀田が間違えるたびに、否定することなく諭し、その意味を考えさせた。」

 

「自分で言うのもなんだけど、四賀田は学びやすい環境にいたと思う。」

 

「だからこそ、四賀田は優秀になり、、、、勘違いをしてしまった。」

 

 

「安心して。四賀田も最初はあなたと同じで分からないことだらけだったから。」

 

「四賀田には私からも遠回しに言っておくから。」

 

すると薙崎は何かを紙片に書き始める。

 

そして書き終えると席を立ち、紙片を希代に差し出した。

 

「六番隊区画のこの広場に行ってみて。」

 

それは住所番地と公園名が書かれたものだった。

 

「あそこは貴族街で綺麗だし、きっと気分も晴れるはずよ。」

 

 

「くれぐれも無理はしないように!じゃあね。」

 

 

「あ、ありがとうございます、、、!」

 

 

希代はもらった紙片に目を通す。

 

「何で読むんだろう、、、」

 

「こうごうだに公園、、、かな、、、?」

 

 

To be continued..........

 

 

 

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