「どうしてこうなった。」
今現在、私織斑一夏の心境を表すならばまさにこの言葉が適確と言えよう。
本来であれば、今ごろは藍越学園の入学式に出席して中学の同期と世間話に花を咲かせていたはずだ。
だが、周りを見ても女子しかいない現実に自らの立ち位置を悟る。
『ざわ…ざわ…』と自身を見る周りの目はまさに上野のパンダを見に来た観光客そのもので、席に座り僅か10分の間にて精神をガリガリと削られた。もう少しで当たり棒が見えそうなところまで。
別嬪さんに見られるのは特段悪い気はしないが、何事にも限度はある。今がその時だ。
「OVA一作目かぁ、格好良いよねブラックゲッター」
不意に頭上から声がしたので顔を上げれば、そこには見知った姿があった。
「おう、やっと来たか。待ちくたびれたよ」
周囲が騒がしくなったが、余り気にせず会話を続ける。何せ半年振りの再会である。気持ちも弾む。
「たった半年じゃないか、大袈裟に過ぎない?」
「いやいや、一角獣は寂しいと死ぬんだぞ?」
そこは兎だ処女厨と在らぬ罵倒を受けたが、あまり気にしないことにする。バ〇ージさんごめんなさい。
「あ、そういえばほ……」
違う話題を出そうとした直後、扉が開き、遮った。SHRの時間だ。
「それでは自己紹介をお願いしますね」
副担任の山田先生の言葉を皮切りに、出席番号順に皆々自己紹介をしていく。そこは流石のIS学園生であり、姿勢を崩さず名前と抱負を述べていく。
(しかも、容姿も見目麗しいときたら、ね。パーフェクトだ)
先程までの周囲からの目線や「お話」は見間違え聞き間違えだったのだろう。きっと、おそらく、メイビー。
「はい、では次は……」
前の席の子の自己紹介が終わり、次はいよいよ私の番となった。
受験時の面接もそうであったが、一番緊張するのはこの瞬間だ。
「織斑一夏です。よろしくお願いします」
席から立ち、まずは名前を申告。軽いジャブにて周囲の反応をうかがうが、どうやら自分のは女子にはストレートらしい。
だから野獣の眼光を向けたり、オリジナルスマイルを展開するのはやめてくだしあ。
「えっと……」
無言の圧力がきつい、このクラスプレッシャーかけてきおる。ス〇イクのゲームで一線張れるよ、番長的なアレで。
「何故かISを起動させてしまい、本校に入学することとなりました。」
とりあえず再動し、自己紹介を続けた時扉がまた開いた。
「ふむ、続けて」
その御姿を捉えた刹那、クラス全体に動揺という波が揺れた。そして声を聴き、沈黙となる。
「えっと、千、そちらにおられます織斑先生の弟 でもあります。戦乙女の係累として恥ずかしくないよう、頑張ります」
視線の中には、我が意を得たりとばかりに頬に紅をつけるのもいたが、スルーする。言葉だけじゃ伝わらないもの。
おい教壇の賢姉様、子供の頑張りを微笑ましく見守る母の顔でこっちを見ないで下さい。えくぼができます。
そして後ろの朋輩二人、何故笑うかな。泣くぞ。恥も外聞もなくただひたすらに。
「はい、ありがとうございます。では次……」
山田先生優し過ぎる天使か。僕の心を盗んだ犯人は、電車に二駅のところではなく此処にいた。
などと山田先生を心の中で称賛していたが、朋輩その1の順がきたので視線を向ける。
「篠ノ之箒、篠ノ之博士の妹です」
短いながらインパクトは上々のようで、賢姉様登場時と同様に周囲が騒がしくなった。
「ISについてこの学園でよく学び、博士の目指した夢を達成させたい。今はそれが目標です。若輩ではありますがよろしくお願いします」
おぉ、さすが、と周りから感服の口音が鳴る。立ち振る舞いも堂に入っており、どことなく武士、侍の感がある。あっぱれ坂東武者、いざ鎌倉。
政子はいらぬと、思考したがテールがこちらから見えなくなった。おのれ政子。教科書にて顔を会わせた時は目にもの見せん。
「そして一夏、織斑一夏とは将来を誓いあった仲でもある。皆、その、すまない」
ちょwwwおまwww
見切り発車にてすいません。
次も自己紹介プラスアルファになります。