とある春うららかな日、一年一組の教室は今日も騒がしい。最近では中国は梁山泊からやってきた二組の娘もちょくちょくきて織斑一夏争奪戦を繰り広げている。ちなみに参加者は『ミスブシドー』こと篠ノ之箒、『格闘娘々』鳳鈴音、あとたまに紫兎と4組の娘、他多数。
「よくも飽きないねモッピーも鈴も。あの若さがうらやましい」
そう呟くは一組のお姉ちゃんこと谷本癒子。相対する机には7月のサマーデビル?櫛灘さんが座っていた。
「羨ましいって……アンタも同い年でしょうが。そんなこと言ってるとホントに老けて見え……あ、スイマセンゴメンナサイオネイチャンハワカクテキレイデス」
「やあねえお世辞なんて。まあ事実だけど」
いけしゃあしゃあという馴染みに櫛灘さんは心の中で『チッ』と舌打ちをする。言ったのはお前だろうがと内心にて愚痴りながら会話を続ける。
「綺麗な綺麗な癒子さんや、私にぶつくさいうならアンタも参加してきなさいな。モッピーと二組に迎撃されなければ、だけれども」
隣を見れば今日も今日とて織斑一夏を巡り殴り合い宇宙が演じられている。格闘娘々は何やら滑空し蹴りを入れようとしたが、ブシドーに切り払いを受け思うように反撃に出れないようだ。織斑一夏はそれを止めようとしているが馬耳東風、たまに被弾しておりライフは一桁である。
「いやね、織斑君見てるとさ、なんかそういった恋愛感情とかじゃなくて、こう、甘やかしたくなるというかね?」
「うわ―ブラコン?」
「違うわ!シスコンよ私は!」
いやそれはおかしい、と櫛灘さんは苦笑する。コイツには病院が必要だ、というより病院が来い。そう思わずにはいられない程のアレだった。
「アンタさ、『お姉ちゃん』なんだからもうちょっと慎みもとうよ。こないだも妹さんから苦情の電話が来たんだけど」
「え?弟妹の体調管理は姉の義務でしょうが」
駄目だコイツ、取り付く島がない。サマーデビルはそう考え、後日馴染みの妹に作戦の失敗を伝えようと決意した。
「漫才やってる暇あるなら助けてくださいよう」
「おやどうした『フルアーマー』、自慢の装甲板でもやられたか?」
櫛灘さんの机に緑髪に赤カチューシャ、メインに赤縁眼鏡の娘が不時着した。名を岸原理子という。
「酷っ!扱いと説明が!」
「やかましい、こちとら立ち絵もなけりゃあだ名も癒子(コイツ)に取られそうになったのよ。文句ある?」
「あー……なんというか、ゴメン」
「いや、いいよ。そう素直に謝られるとこっちが困る」
そういえば助けを呼んでいたな、何だろう。そう思い出し聞いてみる。要約すると、サイド織斑においてMS少女数名が暴走してその誘爆を喰らったらしい。哀れフルアーマー、チョバムアーマーという名の教本の山は役立たずだったようだ。
「ドンマイ、フルアーマー理子。勉学なんて実戦ではモノの役にも立たないって実証されて良かったじゃない」
「良くない!というより教本でガードなんかするか!あとフルアーマーいうな!」
「いやその名付け親織斑君やし、諦めたら?」
まあ諦めたらそこで試合終了だけどね、と内心毒づく。よくよく考えてみれば癒子も織斑君の右隣、被害はなかったのだろうか。いや、ないないと前を見れば癒子の姿がない。何処行ったあのブラコンいやシスコン違う両方だ。
「織斑君大丈夫?やけにボロボロだけど」
「Oh……谷本さん。聞いてくれまいか。幼なじみが殺し愛すぎて俺の生命がヤバい」
テメエコノヤロウ、上手いこと漁夫の利捕りやがった。死に体の織斑君に対しすかさずフォローを入れている。癒子……恐ろしい娘っ……
「何気に美味しい位置だよね癒子。後ろの私とは偉い違い」
「お前それ私の前で言うなよ、当てつけか?声もデザインもわからない私に対する嫌みかコラ。喧嘩なら買うぞ」
「メンゴメンゴ」
ぶっ飛ばしてぇ、そう思いながら私と理子の二人でゲルト……お姉ちゃんが弟(一夏)を慰めつつウェヒヒと笑いながら悦に浸る姿を生暖かく見守っていた。織斑先生がヤクザキックを癒子に喰らわすまで。
そろそろ転校生来るんじゃね?そう思いながら、私は窓からの景色を見て笑った。
モブが可愛い。気がつけば彼女らについて調べていた自分に気づく。