「「いやあSHRは強敵でしたね」」
「霧が濃くなってきたな……あと久しぶり、箒、シャル」
ハモんなお前ら。打ち合わせでもしてたのか、良いシンクロ率だ。
「そうだろうそうだろう、何せさっき練習したからな」
「まじで打ち合わせしてたのかよ」
もうホントこいつはね、馬鹿かと。今日日ネタ出しに此処まで労力を使う奴見たことないわ、いやごめん見たことあるわ。
しかし箒よ、さっきは江北武士だの、鞍馬天狗だの思ってしまったが。うん、綺麗になった。ガキの頃の自分にグッジョブしてやりたい。
「かわいくなっちゃってまぁ……」
「あ、一夏、馬鹿」
シャルが『やっちまったなぁ』みたいな顔をしつつ、自分を馬鹿呼ばわりしてきおった。
「普通、そのアッピルは廊下か屋上でやるのが相場でしょうが」
「アッピルいうなし。素直に感じたから言った。反省はしない」
あと後悔も。どっかで青髪短髪が奇声を発した気がするが、『後悔なんてあるわけない』
「君はいつか刺されるね。雨の中ずぶ濡れで通り魔に」
やめてよして、中学んときのトラウマが発動するから。ブロックワードもいいとこだよ。『か、母さん……』とかいっちゃうよ私。
「うん、そしたら『母さん、だってアハハハ』って言ってあげる」
タヒねシャル。この鬼畜眼鏡よ、月夜ばかりと思うなよ。
うん、さっきからボロカスに言ってるが、半年ぶりだからか凄い落ち着く。
姉さんも自宅にはあんまり帰ってこれなかったし、鈴は鈴で『私より強い奴に会いにいく』とかいって中国は梁山泊にいってしまうし。
え、弾?屋上でやりあって現在通院中ですが何か?まぁ嫉妬の炎がなんちゃら言ってたからクリスマスには復活するだろうけど。
つまり寂しかったってことだよ。言わせんな恥ずかしい。
「この泥棒猫」
「お母様!」
おい授業しろよ。いや違った、姉さんにシャル二人してノリ良すぎ。
「言わねばならん気がした」「以下同じく」
以心伝心もここまでくると、プライバシーも何もないわな。カゴテリー扱いされるわ。
「うん?なら本気でプライバシーも無いものにしてやろうか?」
「ほほう、具体的には?」
「机の引き出しの二重底「やめてください死んでしまいます」な?」
ちくしょう何故バレた。漫画に書いてた通り、下からボールペンの芯で蓋を開けないと引火する仕組みにしたのに。
「ホームセンターで買う物を見ればわかる。というかデュノアに聞いた」
裏切り者がいた、しかも身内に。シャル、誰にチクっている、ふざけるなぁ。
「いや下手したら火事になるから。まさか本当に実行するとは思わなかったけど」
ですよね。あれ結構作るの難儀したんだわ、真面目に。
「すこしよろしいでしょうか?」
身内3人で談話してたら、知らない人が話し掛けてきたでござる。
「あの……通じておりますでしょうか?」
うん聞いてる聞いてる、綺麗な声音してる。貴族のお嬢様っぽいし、フロイラインとでも返してみるかいやこれドイツ語だ。
「大丈夫、ちゃんと通じてるよ。ミスオルコット」
ここでシャルがインターセプト、なんかひらめいた気がする。
「おお、オルコットさんかその節はどうも」
よくみたら知り合いじゃないか。しかも欧米留学んときの。時計塔の子だわ。
「ええ、お久しぶりです一夏さん」
すまん、謝るからその『覚えててくれたのね!』的な表情で安堵しないで。罪悪感半端ないの。
「素敵やん一夏、甲斐性なし」
黙らっしゃい、美周郎。手紙書いて吐血させっぞ。いやあれは演義だったか。
「いやいや、国際色豊かな伴侶をもつ種馬にはいわれたくないから」
「「は……?」」
奇しくもオルコットさん
と台詞がダブってしまった。というより気づいてないのかお前。
「……グスッ」
ほら、泣きそうになってるじゃないかオルコットさん。貴公子に言外にアウトオブ眼中される、これはキツイわ。
オルコッ党の皆さまごめんなさい。