「まあ、自分の事を多少なりとも不幸だと思ったことはあるよ、だって皆死んじゃってるのに俺だけ生き残ってさ、人類最後の生き残りとしての役目とか言われてこんな仕事押し付けられて、正直最初はモチベーションなんてこれっぽっちも無かったよ、人類も地球も終わっちゃったんならそれでいいじゃんって、そういう結末ならそれでお終いでいいじゃんって、そう思ってたよ。
でも、でもさぁ、見たからさ、色んな事を、見てしまったからさ、酷いものを、だからさ、もうなんか黙ってられなくなって、無我夢中だったんだよ、立ち止まる暇さえ無かったよ、必死こいて知ってる奴も知らない奴も助けて来たよ、ただ一心に、それ以外の事は全く考えずに、愚直を極めていたさ、そしたらさ、『ありがとう』って『また会おう』って、色んな奴らに言われたんだ、この俺が、こんな俺がそんなことを言われたんだぜ?、その場で感極まって泣いても良かったんだ、そもそも会った時点で握手の一つ求めてもおかしくなかった、だって相手は『あいつら』なんだ、どんな権力者も、どんな大富豪も、この至福を味わうことは叶わないんだから。
その時から俺は考えたんだ、自分のやること以外の事を、やるべき事じゃなく出来る事を、今だから言えるけど、不謹慎かも知れないけど、俺はこの仕事を出来てとても良かったと思うよ、俺個人としてなら、地球と人類が滅んだ価値はあったと思う、前の自分じゃ絶対に出来ないし考えもしなかった『自分に出来ること』を初めて出来たんだからさ、だから俺はこの仕事を続けてるんだ、やるべき事と出来る事の為にね、君達がどう思うかは分からないけれどこの仕事を続けてるとさ、もう善悪なんて分かりやすいジャッジには関心が無くなるんだ。
この世界には優しさが溢れている。
この世界には憎しみが潜んでいる。
希望は世界を照らす。
絶望は世界に蔓延する。
正義は邪悪を滅ぼす。
邪悪は正義に牙を剥く。
善は悪を拒絶する。
悪は善を肯定しない。
俺はそれを紡ぐ君達を見ているだけで心安らぐのさ、何かを殺すのも助けるのも俺にとっては同じなんだ、そこに君達の意思があるだけで俺は幾億の絶望に立ち向かえる。
だから存分に己を誇示してくれ、君達を阻むもの全てを俺が粉砕しよう、君達は自由にどこまでも行ける、クソッタレな神様連中のおもちゃと遊ぶ必要なんてないんだ、君達は君達の意志で、言葉で、感情で世界を感じてくれ、それが、それだけがただ一人残された、三次元からの使者が贈る激励だよ」
こんだけでもう頭いっぱいです。