いや原作知識なんて無意味じゃねーか! 【永久凍結】 作:光車
一話 オー兄を驚かせよう!
私はエシェル。
ヴェルカ王国の王都、ヴェルニカに住んでる自称『魔法のエキスパート』!
ついでに言えば、前世の知識も持ってる。
年齢は9歳。
天職は書士。
書士は物を書くだけだし、非戦闘要員なんだけど………。
魔法陣を空中で描くという特殊技能を保持してるから、正確に言えば魔法陣のエキスパートだね。
とは言っても、魔力操作はできるけど、オー兄のような事は出来ない。
オー兄はおそらく魔力操作のスキルを持っている。
でも私は魔力制御スキル。
魔力制御は、魔力操作スキルよりも効率がとても悪い。
具体的には10倍くらい。
最近は慣れてきたからロスが7割くらい減ってるけどね。
あっ、オー兄って言うのは、私と一緒に住んでいるオスカー兄さんのこと。
どっかでオスカーって名前を聞いた事がある気がするけど、気にしないでいる。
別人だろうし。
モーリンお母さんが経営してる孤児院に私は住んでいて、オー兄が作ってくれた小道具で色々遊んでたり………?
あれ?まとめてみると何処かで聞いたような設定…。
まあいっか。
コリン、ケティ、ディラン、ルースという四人と一緒に、計7人で暮らしている私たち。
そんな私たちは…。
オー兄をびっくりさせるためのイベントを企画していた。
***
「それでうまくいく?オー兄が焦る未来しか見えないんだけど………」
私が言う。
時魔法(再生魔法の下位互換。本人は自覚していない。これで完成だと思っている)で未来を視る事は出来るけど、やる気はない。
だって面白くないじゃん。
「ふふん、それが良いのだよエシェルくん?」
私女の子なんだけど………。
いちいち発言がうざいのは、ミレディ。
ん?ミレディ?って思ったけど放置だ!
この人はなんかここに乗り込んできて、オー兄をびっくりさせようとしている。
さっき作戦を嬉嬉と話していた。
やっぱり似ている………。
「とりあえず、私達はオスカーのノックに答えず、ここで待っていれば良いんですね?」
そして結構乗り気なモーリンお母さん。
理由を聞けば、オー兄がびっくりするのは珍しいからだそうだ。
………ほんとに………。
ま、いっか。
そして、その作戦は実行され………ッ!
「みんな、オー兄が帰ってきた!準備して!」
「「わかった!」」
オー兄が帰ってきたので即座に実行されることになった。
***
「みんなっ!母さん!」
………あ〜あ、予想通り。
とても焦ってる。
予想通りなら………。
「おかえりなさい☆ あ・な・た♡ ごはんにする? お風呂にする? それとも……ミレディたん☆にするぅ?」
相変わらずインパクトの強い、そして精神を逆撫でする発言をするミレディ。
聞いてるこっちもウザいと思ってしまう。
にしてもこの冷めた感じは………。
だめだこれ。
予想だと「通報します」になると思うけど………。
「すみません。間違えました」
あ、そうくるか。
みんながニマニマと笑っている。
「待て待て待てぇえい! なに扉閉めちゃってんの!? こんな空前絶後の超絶美少女が新妻風にお出迎えしたんだよぉ!? 感涙にむせび泣くところでしょ! ほらほらぁ、本当はミレディたんのニーソとエプロンの絶対領域を凝視したいんでしょぉ? そうなんでしょぉ? オーくんのえっち!」
イラッ。
煽られてないのに私がイラッとした。
って、あ。
やばい。
「ミレディさんとおっしゃるんですね? どうやら家をお間違えのようです。もうすぐ日も落ちる。早急に帰宅されるのがよろしいでしょう。なお、間違えていなかった場合は、不法侵入ということになります。これはヴェルカ王国に定められた法に反する歴とした犯罪です。三秒以内に退去しない場合は、即通報させていただきますので」
………やっぱり。
頭を抱える私。
若干慌てるみんな。
さっさと出て行けと言わんばかりのオーラにミレディは慌てて、
「オブラートに包めてないよ!?全身から『失せろ』って無言のプレッシャーが放たれてるから!ひどい!オーくんに出会う為に、私は生まれてきて——」
「三秒経ちました。通報します」
そして通信機を取り出しっておい!
マジで通報する気!?
まずっ!
「わぁあああっ。兄さん、待って待って!」
「その人怪しい人じゃな——いや、確かに怪しいというか、変な人だけど、一応、お客さんだから!」
「お兄ちゃん、許してあげて。コリンもごめんなさいするから!お姉さんがうざくてごめんなさい!」
「おにぃ!あたしは無実だから!そのうるさい人が全部悪いんだよ!」
慌ててるうちにみんなが出て行く。
「通報しないで!」ってみんな慌ててるけど、よく見たら通報する気なかったようね。
問題なかったみたい。
ただ、彼女たちが出ていかなければわからなかったけど。
「はあ、全く。私も驚かせてみようかな?」
そして、ミレディの行動によって悪戯心が芽生える。
私はオー兄が使える(と思う)生成魔法から逆算し、作り出した座標魔法(空間魔法の下位互換。こちらは本人は空間魔法の下位互換だと自覚している)でオー兄の後ろに転移。
そして、
「わっ!」
驚かせてみる。
「えっ!?」
オー兄には私がこれを使えると知らないからね。
驚くのも無理はない。
「…全く………」
オー兄は少し疲れたように、困ったように笑った。
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