いや原作知識なんて無意味じゃねーか! 【永久凍結】   作:光車

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十話 大坑道から出よう!(4)

「……確かに怪物をぶちのめせとは言ったけど、奈落を作り出せとは言ってないような……」

「うっ」

「これどうするんだい?フロア崩壊とか、そういうレベルじゃないよ?僕の錬成でも、流石に修復できないからね?」

「な、なんだよぉ!私だってやり過ぎたとは思うけど!元はと言えば、オーくんのせいじゃん!」

「ぼ、僕?やったの君だろ!責任転嫁はやめてくれ!」

「い〜や!オーくんのせいだね!あの宝石———」

 

私は二人の言い争いを外から見ながら、先程の現象を考える。

先程の現象、その原因。

それは、オー兄が渡した『魔力の塊とも思える鉱石』だ。

 

あれは、間違いなく神結晶だった。

私も神結晶を見たことがあったからわかる。

あれは、神結晶だった。

 

——神結晶。

それは、自然界で偶発的に発生する神話の鉱石。

千年以上の時をかけ生じた魔力溜まり。

その魔力が結晶化したものが、神結晶だ。

それが数百年経って魔力が飽和すると、ありとあらゆる怪我や病気を直す霊薬、神水を生み出す。

私は以前、神結晶を偶々見たことがある。

座標転移で遊んでいた時。

世界の裏側とかに行って遊んでいた時、偶然あったのだ。

それが何故出来たのかはわからないが、偶々見たもの、それが神結晶だった。

神結晶は何故神水を出すか。

それは飽和した魔力が鉱石の力によって魔法陣を形成し、水を生み出すからだ。

その魔法陣は詠唱の必要のない魔法陣であり、私でもなかなか解析できない。

事実、今でも解析は難しい。

 

まあそんな事はどうでもいい。

つまり、この説明を簡潔に纏めると。

神結晶は要は最初は只の魔力の塊が結晶化しただけのものなのだ。

 

だから、理論上は作れてもおかしくはない。

 

だけど。

だけど!

 

理論上は作れても、つまりそれは机上の空論。

だった、筈なのに。

 

オー兄はあっさりとそれを覆した。

 

二人の話をよく聞けば、6年前に作り始めたというし………。

もう色々おかしい。

 

そして。

 

「取り敢えず、ここを出よう。ミレディ、神結晶を返してくれるかい?」

「ちょっと何言ってるか分からないや」

 

………ん?

ちょっと待って。

よく見てみれば、魔力感知が反応しない。

神結晶が、ない。

 

「……ミレディ。神結晶を、返してくれ」

「……オーくん。私は過去を振り返らない女」

「思いっきり、僕に昔語りしてただろ。神結晶はどこだい?」

「……あ、あそこ、かな?」

 

ミー姉は、奈落の底を指差した。

 

………。

…あっ。

ああっ、ああああ!

 

原作のオルクス大迷宮はここ。

ここは65階層。

奈落がある。

神結晶が落ちた。

 

……これが無かったら本編の主人公生きてないじゃん。

 

ま、まあ。

どうせ下手したら数千年も先の事なんだし。

 

放置だ放置ぃ!

今から取ってくることもできるけど。

それをやったら原作メンバーが死にかねないので辞める。

 

「……簡潔な説明を求める」

「自分の魔法の威力にびっくりした。思わず持ってた物を放り投げた。それが神結晶だった。以上」

 

ジトー。

そんな擬音が聞こえそうな程、オー兄はミー姉をジト目で見つめる。

やがてオー兄は溜息をついて。

 

「まあ、みんな無事だし、神結晶くらい別にいいか」

「よっ、オーくんの男前!」

「よかったね、ミー姉」

 

ミー姉は笑い、それにつられて二人も笑う。

そして、即席ゴンドラの中から恐々と私たちに手を振っているコリンに視線を向け、オー兄は「まあ、何はともあれ」

と言い、

 

三人でハイタッチをした。

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