いや原作知識なんて無意味じゃねーか! 【永久凍結】 作:光車
「エー、ちゃん?」
ミー姉は一人で抑えるって言おうとした、と思う。
でもそれでは、ミー姉が死んでしまう。
私は、オー兄やみんなと帰りたいだけじゃない。
ミー姉とは一日話しただけ。
それとあと少し。
だけど、とても楽しかったから。
だから。
「そんな簡単に諦めないでよぉ!私は、私はぁ!みんなで帰りたいんだからぁ!私はハッピーエンドが好きなの!」
そして、息を吸う。
「だから私は絶対、みんなで帰るんだからね!」
そう言って、私は魔法を発動する。
これまでのような注意を引くだけの攻撃じゃない。
相手を殺すための、本気の攻撃!
「幻想の意思よ、敵を惑わし滅びを与えよ!“滅幻”!」
闇系統のオリジナル魔法。
幻覚効果と物理効果を併せ持つ、私の闇属性魔法での最高傑作。
それが滅幻。
滅幻は、対象に幻覚を与え、五感全てを狂わせる。
その上で、最高位魔法クラスの威力の闇属性攻撃を叩き込む。
そんな魔法だ。
だが、五感が狂っただけでは防御力は下がらない。
そして、滅幻だけでは火力が足りない。
三頭竜は、耐えることができてしまう!
五感破壊効果は長くは続かない。
続いて1分。
だったらその間にミー姉に最高火力の魔法を放ってもらう!
「ミー姉!あれを倒す事は出来る!?」
「へ!?む、無理だよ!魔力が足りない!」
その言葉にオー兄が反応をする。
「ミレディ!じゃあ魔力さえあれば奴を殺せるか!?」
「うん!魔力さえあれば、切り札使えばいけると思う!」
「ならOKだ。魔力は僕がなんとかするし、天井も僕とエシェルがなんとかする!“神の目”がある限り、奴はあそこを動かない!」
滅幻の効果がわかってないみたいだけど……、まあいっか。
その言葉に、私は頷きを返し、「わかった」と言い、引斥魔法で崩落をある程度止める。
そしてミー姉は「は?へ?」と混乱しているようだ。
「ミー姉!しっかりして!みんなで帰るにはこれしか方法がない!」
「そうだミレディ!生きてさえいればどうにかなる。僕達がどうにかしてみせる!」
「っ!で、でも!」
ミー姉は往生際が悪い。
さっき私が全否定してあげたのに、まだ拘ってる。
自分一人で抑えるって。
私は言おうとする。
ミー姉が死んだら意味がないって。
けど、それより前に。
「エシェルも言ったが、君が死んだら意味がないだろう!これが、みんな救われる最善の道だと、僕達は信じる!だから、ミレディ!君も僕達を信じろ!」
「ッ!」
ミー姉は、ようやく認めた。
コクリと頷いたミー姉を見て、オー兄は言った。
「カウント10だ。合わせろ!」
オー兄はまず“神の目”の近くまで移動。
それから、傘の石突きを通路側の天井に向けて射出。石突きは凄まじい勢いで天井へと突き刺さる。
射出した石突きからはワイヤーも伸びており、それを通して石突きを錬成し、返しを作って完全に固定した。
「コリン。怖いだろうけど、何があっても僕達がどうにかするから、頑張るんだよ?」
「うんっ。大丈夫だよ、お兄ちゃん」
会話を終えた後、ワイヤーを黒傘から外し、近くの岩石に結びつける。
そこに練鎖を伸ばして錬成で即席のゴンドラを作成。
更に錬成で近くに寄せ、コリン達をそこに乗せた。
オー兄は最後にコリンの頭を撫でると、一気に空中へ躍り出た。
真っ直ぐにこちらへ向かい、その途中。
「——六式“大嵐”・範囲展開!——“錬成”!」
錬成でまず解かれた傘地部分が無数の金属糸へと戻り、大嵐によって均等に吹く風に乗って天井へと吹き付けられていく。
それが錬成により癒着するように張り付く。
「ミレディ!奴をぶちのめせ!」
「もうっ、いきなり過激になっちゃって!」
悪態をつきながらも、どこか楽しげなミー姉は重力魔法を解く。
少しずつ鳴動と天井の崩壊が始まる。
三頭竜はまだ動けない。
五感全てが狂っているから仕方がないが。
視覚も、嗅覚も、味覚も、聴覚も、痛覚も、全て。
しかしそれでも本能的にか、己の大切な財宝を奪おうとする者共を叩き潰そうと、ミレディの方向を向き、顎門を開ける。
「自慢の逸品をくれてやる」
骨組みだけとなった黒傘をオー兄は投げて。
黒傘は三頭竜の頭上でスパーク、直後に大爆発を起こした。
明らかにロマン効果な自爆。
だが、それは今事実役に立っている!
時間稼ぎは十分すぎるほどできた。
天井へと駆け上がるオー兄と落下するミー姉が空中で交差。
その瞬間、ミー姉が渡されたのは魔力の塊かと思うほどの鉱石。
ミー姉は一瞬驚いたものの、不敵に笑う。
私は最後の時間稼ぎとして、滅幻と引斥魔法を更に強化。
それはもうギリギリで、もうすぐ暴発するが、もう問題ない。
後はミー姉達に任せるだけ!
「——“錬成”‼︎」
「——“黒天窮”‼︎」
落下しようとする天井をオー兄が錬成し、そして立ち上がろうとする三頭竜をミー姉が黒天窮で押しつぶした。
それによって天井は元通り、三頭竜は——地面ごと消滅していた。
その決着はとても静かで。
「「……」」
ついでに二人も無言だった。
本日も四話投稿終了!
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