いや原作知識なんて無意味じゃねーか! 【永久凍結】   作:光車

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九話 大坑道から出よう!(3)

「エー、ちゃん?」

 

ミー姉は一人で抑えるって言おうとした、と思う。

でもそれでは、ミー姉が死んでしまう。

私は、オー兄やみんなと帰りたいだけじゃない。

ミー姉とは一日話しただけ。

それとあと少し。

 

だけど、とても楽しかったから。

だから。

 

「そんな簡単に諦めないでよぉ!私は、私はぁ!みんなで帰りたいんだからぁ!私はハッピーエンドが好きなの!」

 

そして、息を吸う。

 

「だから私は絶対、みんなで帰るんだからね!」

 

 

そう言って、私は魔法を発動する。

これまでのような注意を引くだけの攻撃じゃない。

 

相手を殺すための、本気の攻撃!

 

「幻想の意思よ、敵を惑わし滅びを与えよ!“滅幻”!」

 

闇系統のオリジナル魔法。

幻覚効果と物理効果を併せ持つ、私の闇属性魔法での最高傑作。

それが滅幻。

 

滅幻は、対象に幻覚を与え、五感全てを狂わせる。

その上で、最高位魔法クラスの威力の闇属性攻撃を叩き込む。

そんな魔法だ。

 

だが、五感が狂っただけでは防御力は下がらない。

そして、滅幻だけでは火力が足りない。

三頭竜は、耐えることができてしまう!

 

五感破壊効果は長くは続かない。

続いて1分。

だったらその間にミー姉に最高火力の魔法を放ってもらう!

 

「ミー姉!あれを倒す事は出来る!?」

「へ!?む、無理だよ!魔力が足りない!」

 

その言葉にオー兄が反応をする。

 

「ミレディ!じゃあ魔力さえあれば奴を殺せるか!?」

「うん!魔力さえあれば、切り札使えばいけると思う!」

「ならOKだ。魔力は僕がなんとかするし、天井も僕とエシェルがなんとかする!“神の目”がある限り、奴はあそこを動かない!」

 

滅幻の効果がわかってないみたいだけど……、まあいっか。

その言葉に、私は頷きを返し、「わかった」と言い、引斥魔法で崩落をある程度止める。

そしてミー姉は「は?へ?」と混乱しているようだ。

 

「ミー姉!しっかりして!みんなで帰るにはこれしか方法がない!」

「そうだミレディ!生きてさえいればどうにかなる。僕達がどうにかしてみせる!」

「っ!で、でも!」

 

ミー姉は往生際が悪い。

さっき私が全否定してあげたのに、まだ拘ってる。

自分一人で抑えるって。

私は言おうとする。

ミー姉が死んだら意味がないって。

けど、それより前に。

 

「エシェルも言ったが、君が死んだら意味がないだろう!これが、みんな救われる最善の道だと、僕達は信じる!だから、ミレディ!君も僕達を信じろ!」

「ッ!」

 

ミー姉は、ようやく認めた。

コクリと頷いたミー姉を見て、オー兄は言った。

 

「カウント10だ。合わせろ!」

 

オー兄はまず“神の目”の近くまで移動。

それから、傘の石突きを通路側の天井に向けて射出。石突きは凄まじい勢いで天井へと突き刺さる。

射出した石突きからはワイヤーも伸びており、それを通して石突きを錬成し、返しを作って完全に固定した。

 

「コリン。怖いだろうけど、何があっても僕達がどうにかするから、頑張るんだよ?」

「うんっ。大丈夫だよ、お兄ちゃん」

 

会話を終えた後、ワイヤーを黒傘から外し、近くの岩石に結びつける。

そこに練鎖を伸ばして錬成で即席のゴンドラを作成。

更に錬成で近くに寄せ、コリン達をそこに乗せた。

 

オー兄は最後にコリンの頭を撫でると、一気に空中へ躍り出た。

真っ直ぐにこちらへ向かい、その途中。

「——六式“大嵐”・範囲展開!——“錬成”!」

錬成でまず解かれた傘地部分が無数の金属糸へと戻り、大嵐によって均等に吹く風に乗って天井へと吹き付けられていく。

それが錬成により癒着するように張り付く。

 

「ミレディ!奴をぶちのめせ!」

「もうっ、いきなり過激になっちゃって!」

 

悪態をつきながらも、どこか楽しげなミー姉は重力魔法を解く。

少しずつ鳴動と天井の崩壊が始まる。

三頭竜はまだ動けない。

五感全てが狂っているから仕方がないが。

視覚も、嗅覚も、味覚も、聴覚も、痛覚も、全て。

しかしそれでも本能的にか、己の大切な財宝を奪おうとする者共を叩き潰そうと、ミレディの方向を向き、顎門を開ける。

 

「自慢の逸品をくれてやる」

 

骨組みだけとなった黒傘をオー兄は投げて。

黒傘は三頭竜の頭上でスパーク、直後に大爆発を起こした。

明らかにロマン効果な自爆。

だが、それは今事実役に立っている!

 

時間稼ぎは十分すぎるほどできた。

天井へと駆け上がるオー兄と落下するミー姉が空中で交差。

その瞬間、ミー姉が渡されたのは魔力の塊かと思うほどの鉱石。

ミー姉は一瞬驚いたものの、不敵に笑う。

 

私は最後の時間稼ぎとして、滅幻と引斥魔法を更に強化。

それはもうギリギリで、もうすぐ暴発するが、もう問題ない。

 

後はミー姉達に任せるだけ!

 

「——“錬成”‼︎」

「——“黒天窮”‼︎」

 

落下しようとする天井をオー兄が錬成し、そして立ち上がろうとする三頭竜をミー姉が黒天窮で押しつぶした。

それによって天井は元通り、三頭竜は——地面ごと消滅していた。

 

その決着はとても静かで。

「「……」」

ついでに二人も無言だった。




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