果物の木箱を抱え様々なところに水が入りえづきながらも必死で浮上すると早速海賊たちとの戦いが始まっていた。俺は木箱と共に岩に上がる。目がいい俺だからこそ見えるがアイツ等ならここは見えないはずだが‥‥‥‥少し不安だな。
木箱を隠して俺は参戦するフリをするとしようか?
『コナクソーッ!』
ああこの声は自分が一番強いんだとか他の護衛の悪口を言っていた68番だな。胸から血が吹き出てる。だがその血を使って目潰しをして一人斬り殺したな。なかなか頭が回るのかそれとも単なる偶然か...あっ倒れた。そしてそのまま胸に剣突き刺されたから死んだな。
戦況はいい感じに相打ち状態になっているようだな、このまま隠れたほうがよさげだ。
『ヌルイゼェェェェェェ!!!』
あれは確か戦闘狂の52番だな、3人相手にしているぞ?!化物かよ!しかも52番の獲物は鉄の拳みたいな奴で射程が短いっていうのに。
あぁでも虚勢か、防戦一方じゃないか。
『‥‥‥‥シッ!』
レイピアとか言うんだっけかあの細い剣、司令官替わりの53番はそれで戦っている。こう見ていると皆武器が違うのによく訓練とか出来たもんだな。
あ、剣飛ばされた。ざまあ見やがれ。
さて、見た所完全に拮抗しているとは言い難くなってきたな。やはり数の差は恐ろしいるこのままだと海賊がこの島でのさばることになってしまうな。だからといって今あの戦いに飛び込むのは馬鹿としか言い様がない。
「さて、どうしたもんか‥‥‥‥そうだ!」
いいことを思いついたので俺は果物箱をしっかりと隠すと直ぐに森の方へと向かった。
現在、海賊たちは島にある少ない海岸で戦っている。地面は砂地で動きにくく必然的に攻撃を避けることができずにただの斬り合いとかしている。
そしてその海岸は岩を一部分だけを切り取ったように存在しているので横には高い岩肌が存在し、俺はそこにいる。
出来ればこのまま護衛たちが死んでいくのをただ眺めたい気持ちもあるものも海賊が残るのもいただけない。なんとか死んでいただくために、俺は策を講じさせてもらう。
俺の手元にあるのはいくつもの拳サイズの岩、この高さから落とせば人を殺すのに十分な凶器となる。それを片手で掴み、しっかりと狙いを定め...投げた。
岩は空を切っていき、その音に反応し空を見上げた間抜けな海賊の顔に命中した音がする。それに反応して全員がこちらを見やるだろうが俺は既に下から見えない位置に隠れていた。
そうしてしばらくすれば海賊たちの声は次第に小さくなり、ついに戦闘の音は聞こえなくなった。だから俺はゆっくりと顔を出す。
そこには海賊たちと何人かの護衛の死体、そしてその近くでヘタリこんでいる生きている護衛を見つけた。護衛の数は2人までに減っておりその状況に俺は哂った。俺はそのままその護衛に目掛け、岩を投げた。
いくつも投げた、用意していた数がなくなるまで投げ続けた。一投目が当たったあとも投げ続けた。片方の護衛はそれに気がついて直ぐに逃げようとしたが疲れ果てた足と砂が動きを奪う。そして転び慌てて空を向けばそこには大量の岩。護衛は情けない声を出して動かなくなった。
「...はは」
その光景をこの目に焼き付けていると次第に声が漏れてきた。
「ハハハハハハハ!!」
生まれてこのかた、こんなに大きな声で笑ったのは初めてだった。
「ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
今、この状況が俺にとっては天国に感じた。
喉が枯れても、笑い続けた。
ただひたすら、感じたことのない高揚感を味わっていた。
一時間程笑っていたのではないか、そんな気がしながらも俺はその笑いを渋々止めた。そういえばまだあのトカゲ野郎が生きていたな、とっとと終わらせてもっと高揚感に浸ってやろう。そう言って俺は館に向かった歩き出した。
◆
館は木製、地下には俺たちの住処がある。
まぁ‥‥‥‥出口封鎖して燃やすか。他の奴隷どもとパニック起こしてくれりゃいいしと近くにあった木の棒や鍬、海岸で拾った武器などを一番大きなドアに詰めていく。
外には海賊が来たためか珍しく人がいない、好都合すぎる。
さて、火はどうするかと思ったが灯りのたいまつを使えばいいな。松明を置いておく鉄製の道具ごと館につけそこに藁を置けばすぐに火なんて上がる...訳でもなかった。どうやら表面に火事防止の何かが施されているようだ。
しょうがないので小刀で壁を少し削れば燃えた。
次第に上がっていく悲鳴、館のいたるところから煙が上がっていくのが見えるとまた笑いが起こってくる。ああ、快感だ。でかい館一つがもえる所業を自分がしたと思うと笑いがこみ上げてくる。そして脳裏にはトカゲ野郎共の苦しんでいる姿が自然と思い浮かんでくる。
「あぁ、心地いい」
そう漏らせば館からの悲鳴で打ち消される。ここにいる奴隷達には大して恨みもないが運が悪かったと思ってくれ。
「アチチチチチチチ!!!」
再び笑っていた所で館から体を抑えながら一匹のトカゲが館の窓から出てきた。どうやら腹を決めたらしい、だが既に手遅れのようだ。全身には割れたガラスが突き刺さり体のあちこちには大きな火傷が見える。これは手を出さなくても死ぬ、がやはり殺しておくか。そう思い近づけば俺の気配に気がついたのだろう、トカゲが必死で口を開いた。
「たのム!なンでもじてやるからダズゲデグれ」
「聞く気はない」
「?!」
どうやら、声で俺だと気がついたらしい。こういうところには鋭い奴だ、と俺は思った。
「ぞノゴえ!77バン!!」
「その通り、じゃあな♪トカゲ野郎」
「マッ!!」
その言葉を最後まで言わせず、俺は奴の首を海賊から奪った剣で切り落とした。
我ながらうまく切り落とせたとは思う。
さて、奴隷達は地下だから煙でいぶり殺されたか?使用人たちももう脱出しないと医療器具も揃ってないこの島じゃ死ぬだろうしあの果物箱でも取りに行くとするか。
そう思い後ろを向こうとした瞬間、体を衝撃が襲った。
「ガッ!?」
完全な不意打ちに何も出来ずに地を転がる。
なんとか痛みに耐え顔を上げ目を開けばそこには
「何しやがッ」
「―――それはこっちのセリフだろ、クソガキ」
海賊が一人、俺の眼前に剣を突きつけていた。
今回の教訓、調子に乗りすぎると痛い目にあうよ。
今回の主人公77番君はまともな教育など受けていないため倫理観のかけらもありません。だけど決して燃やすのが好きとかそういことではないですよ?