正直に言って、油断していた。
余りにも目で見た結果を信じすぎていた。
その結果が今、俺に牙をむく。
「よくも俺様の作戦をぶち壊しやがってこのクソガキ!!」
倒れた背中に容赦なく海賊の蹴りがめり込む、同時に肺から空気が漏れるのを感じてえずくが胃に何もないためか胃液さえも上がってこない。
よくよく考えれば、あそこに海賊は全員いたという思い込みがこの結果を招いたのだろう。あぁ、その代わりに血が出たかのか上手くしゃべることが出来ない。
「ッグゾがァァァ!」
「へっ!そんな剣当るかよ」
立ち上がりながら奪った海賊剣を抜くものも全くと言っていいほど相手にされていない、実力が違うとはこういうことなのだろうか。同じような形だが恐らくあの剣の方が高いというのがその見た目で理解できた。
「オラ」
「しまっぐッ?!」
あっという間に剣をはじかれて腹に蹴りが突き刺さり背中から地面へと吹き飛ばされる。直ぐに起き上がろうとすると、俺の眼前に剣を突き付けられ動けなくなってしまった。
―――もう無理なのか?
そんな考えが頭をよぎった、このままとどめを刺されると思った。
だが、海賊は急に動きを止めた。
「………?」
「木箱、何処に隠しやがった」
「へ?」
木箱って、確か果物が入ってたやつ...だよな?
けどなんで俺が知っていると………あの時扉をたたいていた奴なのか?
「さっさと言えこのクソガキ!!」
「わ、わかったから!」
とにかくまだこいつは俺を殺すとまずい状況のようだ、
ならギリギリまで生き抜いて隙があらば殺してやる。
◆◇◆
「ここなんだな?」
「………はい」
俺が言った場所、海岸近くの岩にたどり着く。何故か水は引いていて岩は海岸からつながっていた。そこまで腕を縛られて道案内をさせられた。正直言って今すぐこの海賊の首にかみついて殺したい程憎悪は膨れ上がっている。
海賊は岩のくぼみに隠してあった木箱を見つけると俺の手をほどき、開けるように命じた。
俺はそれに従い箱を開ける、何もないことを確認すると海賊は俺を押しつけて木箱の中の果物をあさっては捨てていく。何がしたいのだろうか、と疑問に思った次の瞬間に海賊は歓喜の表情になった。
「(何かを見つけのか......って、果物?)」
「うぅん?なんだそりゃって顔してるなクソガキ」
目的のものを見つけたからか、海賊は気持ち悪いほどの笑顔になっていた。はっきり言ってとびかかり顔の皮をひきがしたい程にだ。
海賊は聞いてもいないというのに勝手に説明を始める、
「悪魔の実、こいつはそう呼ばれてる」
「悪魔………?」
「そう、食うだけで悪魔のような力を手にするとか悪魔が宿るとかそういわれている実なのさ。下手したらこれ一個で島一つ買える」
「な?!」
悪魔の実、そんな宝があの中にあったのか?悪魔の力が手に入れば、こんな奴にだって余裕で勝てるのではないか、と頭の中を一瞬にして様々な思考が駆け巡る。
そして一つの解答を導き出す
――欲しい、と。
そして目の前でその実を今まさに口にしようとしている海賊を見て、ついに我慢の限界がカウントダウンを実感しながらおとずれた。
「お?いいぜ実験台にしてやる………って不味いなこれ」
「てんめえぇぇぇぇぇぇ!!!」
海賊がその実をかじりのみこむ頃、俺は懐に潜り込んでいた。そして力一杯の拳を海賊の腹に叩き込む、吐き出しやがれ。
「ぐっ、だがぬるい!」
海賊は一瞬顔をゆがめたがそのまま剣を抜こうと下がる、剣を抜かれたら獲物のないこちらの終わりだ。
させると思うのか、と俺はそのまま下がった海賊にタックルを仕掛けた。
すると、俺のタックルによって海賊は剣を落とし、体が岩から離れ下へと落ちた。だが下には少し海水があり落ちてもあまりダメージになっていないようでまだ生きている。この時の俺はまだ知らぬことだが悪魔の実を食べたものは海水に触れると力が抜けて動けなくなってしまうらしくこの海賊はまさにそんな状況であったのだろう。
俺はそのまま落ちた剣をとり海賊の腹めがけて剣を下に向けて飛び降りた。
「しまっ!!...カハッ」
海賊の体に確かに剣が刺さるのも確認せずにひたすら剣で何度も突き刺した。それに応じて血が噴き出し、体を染めていく。
血が完全に出なくなった頃にはもはや元海賊の体が浮かばない程の惨状となりはてていた。それを確認して、俺は再び岩に上った。
「………フー」
疲れた、そう口に出したらきっと倒れるだろうから言わないでおくがこのままだと本当に死ぬかもしれん。とにかく、何かを口にせねばと海賊が放り投げた果物を皮は向かずに口に入れていく。
その時であった、海賊が口にしたはずの悪魔の実そっくりの実が箱の中に入っているのを見つけた。
こうしてじっくり見てみるとその異様さがよくわかる、普通のみかんのような大きさだが皮に変な模様が描いてあり色も少しおかしい、きっと何も知らずに見れば腐っていると勘違いしてしまったかもしれない。
「どうすっか、これ」
確か売れば島一つほどの値段である、どんな力が手に入るかもわからず食ってしまうのにも少し惜しい。かといって俺が売ろうとしてちゃんと買ってくれるかどうかさえ怪しいのだが。そしてさっき食ったはずの海賊もその力を見せることなく死んでしまった、まさかそんな力なんてないのだろうかとさえ思う。
まぁいい、とにかく食べてみようとくちを大きく開けようとした瞬間突如として空から鷲が襲ってきた。
慌てて回避した所、手に持っていた実が持ってかれてしまった。そのまま飛んでいく鷲に向けて剣を投げると運よくその翼に当たり鷲もろとも少し遠い海に落ちた。
「ったくあの鳥!」
もう死んだであろう鷲に舌打ちをしながら海に入っていく、早くしないと実が沖に流されてしまうではないか。
俺はすぐに海に入り実へと近づく、とんだ邪魔が入ったと考えているとすぐに実へとたどり着いた。だが海の底から来た何かが俺を飲み込んだ。
………悪魔の実?食わせるわけないでしょ。