俺は強欲   作:駄文書き

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死んだと思ったか?
スランプだよ大佐ぁ...


-4

 気が付けば、俺は砂浜に大の字になって倒れていた。

目を覚まして周りを見渡してみれば今までいた島とは違うのというのを雰囲気で俺は感じ取った。結局、俺はどうしてここにいるのだろうか。

 

そんな疑問を頭がよぎったがどうせ答えてくれる人間は周りにいないのであるし知っても仕方がないので心の奥底にしまうこととした。

そして今一度改めて状況を俺は確認した、

 

・持ち物

なんかベタベタする剣

ほぼ布きれ同然の服

 

・周り

砂浜←今ここ

森、かなり木が高い

隣になんか変な服着たおっさん

 

………ちょっと待て、なんかいるじゃねぇかよ。

俺は今の今までその存在に気が付くことが出来なかったおっさんの方を見つめた。

白を基調とした服、その背中には………正義?変なデザインだ。

 

「おーい、おっさん。生きてるかー?」

 

そう言いながら寝ているおっさんの頬をぺちぺちと叩くが一向に起きる気配なし、死んでるのか?

 

「(構ってる余裕はないな、さっさとここがどこか付き止めねぇと)」

 

俺は海賊刀を抜き、刃こぼれしていないかどうかを見て直ぐに森の中へと入っていった。

 

 

 そして、10分もたたずにまた砂浜へと走って戻ってきていた。

息を切らしてだ、先ほどまでの俺は恐らく人生最大級に走りぬいたと思う。

 

あの森の中は生態系がおかしい、そう言いたかった。俺の腕ぐらいある巨大な昆虫や見たことのない獣が大勢いた。そしてそいつらは森の中で互いに殺しあっていた。

そんな奴らは俺を見つけた瞬間、襲い掛かってきた。お蔭でただでさえ布きれ同然であった服は囮に使い喪失、食い物を見つけようにもあいつらが邪魔過ぎて滞る。

詰みだ、そうため息をついて気が付いた。

 

あのおっさんは何処に行った?

 

慌てて周りを見渡すが何処にも見当たらない、まさか食われたのか?

そう考えた瞬間、まだ日が落ちていない紅い砂浜を影が覆った。空を見れば先ほど見た獣よりずっと大きな奴がいて、俺は死を悟った。

抗おうにも体がビクついて一指も動かない、獣は俺の丁度横に降り立った。

 

だが、いつまでたっても痛みどころかその獣の鳴き声さえ聞こえなかった。

ゆっくりと首を回し、確認してみればそこには確かに獣がいた………首から血をだし死んでいたのだが。

 

「………は?」

「おお?どうしたガキ」

 

俺の驚きの声とともに獣の上に誰かが乗った。

紫色の短い髪、その顔は引き締まっていて明らかに強いというオーラを纏っているのは

 

「さっきのおっさん!?」

「おっさんはねぇだろこのクソガキ」

 

軽くも重たい調子の声で俺の頭には衝撃が走った。

げんこつ、というやつだ。

 

 

 

 そこから、俺はその海軍大将という立場にいるおっさんを質問攻めにしていた。どうやって獣を倒したのか、ここは何処か、というかこの島は何なんだ、と言えばおっさんは

 

「この拳でだ、それは知らん、そういう島なんだろ」

 

と全く参考にならない情報が戴けた。厳格そうに見えるが少し馬鹿なのだろうか。

とにかく、このおっさんは載っていた船が突如暴れている海王類という海の化け物たちにに襲われてしまったらしい。本来ならこのおっさんにとっては全く持って相手にならない程度の敵らしいのだが何故おっさんまでのみこまれてしまったのかと聞けば、俺が原因らしかった。

どうやらこのおっさんはその海王類とやらに飲み込まれながらも無意識で暴れている俺の姿が見えてそれで助けに来たようだった。

 

「………ありがとよ」

「別に言い、それが"正義"だ」

 

そう言いながらおっさんは俺の頭をガシガシと乱暴に撫でた、正直言って嫌いな部類には入るがここでこのおっさんを敵に回してもしょうがないので我慢する。

 

「ガキ、お前名前は?」

 

その途中でおっさんは俺に名前を聞いてきた、さてどうしたものか。

別に77番が恥ずかしいという訳ではないのだが素直に言うのも癪だ。だがこれといっていい偽名も思いつかないので少し拗ねながら言う。

 

「77番」

「………そうか」

 

その記号を聞いて俺がどういう人間だったのかわかったようだった。それ以上、おっさんは俺のことについては聞かなくなった。

居づらくなった俺は、海軍について尋ねてみた。

 

「おっさん、海軍ってなんなんだ?」

「だからおっさんは.........まぁいい、海軍ってのはな」

 

そこから、海軍大将(自称)のおっさんによる海軍の説明が始まった。

要約していえば、海の安全を"正義"の名のもとに守る組織だそうだ。正直に言って胡散臭いの一言に尽きる。

"正義"、この言葉は野望を失いあそこで生きていくことを決めた奴隷達の中でも多く使われていた。

だからこそ、その言葉は俺の嫌いなワードランキングの中でも上位に食い込む言葉だ。

 

「納得いかない、そんな顔をしてやがるな」

「………"正義"ってものほどやすっべらい言葉もないだろ」

 

その言葉をぶつければ、おっさんはこう返した。

 

「ああ、薄っぺらい奴が使えば薄っぺらい"正義"しかうまれねぇ、そんな薄っぺらい"正義"を潰すのも俺たちの"正義"だガキ」

「………おっさん、あんた名前は?」

 

「俺か?俺の名はゼファー、ほら肉が焼けたぞガキ」

 

ゼファーが渡してきた肉は、人生の中で一番美味かったことは悔しいので言わないこととする。

 

 




ゼファーさん(64)の登場でした。

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