フォーリナー
外宇宙、もしくは別次元より飛来した存在を根ざすサーヴァントクラス。
地球、さらに言えばその一円に類する内的宇宙に連なる真理から外れた、異邦から呼び寄せられた存在に縁深い英霊。 しかしーーー
深いーーー
深いーーー
ここはどこだ?
あれはなんだ?
なぜ・・・・私はここにいる?
くらい闇の底に向かって、一つの魂が落ちていく。
長い、永い、ながい時間ずっと落ち続ける。
うっすらと影が見え、やがてそれはどんどん輪郭をはっきりとさせたいった。
これ・・・は・・・
すべての無限の中核で冒瀆の言辞を吐きちらして沸きかえる、
最下の混沌の最後の無定形の暗影にほかならぬ―
すなわち時を超越した想像もおよばぬ無明の房室で、
下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と、
呪われたフルートのかぼそき単調な音色の只中、
餓えて齧りつづけるは、あえてその名を口にした者とておらぬ、果しなきーーーーー
魂が見たのは絶望だった。
魂が見たのは命の冒涜だった。
魂が見たのはこの世で最も邪悪なものだ。
魂が見たのはこの世で最も美しいものだ。
こんなものが、この世に存在するのか・・・?
魂にはその姿の全てを知覚することができた。本来であれば、それを目にしたものは狂気の世界へと落とされる。
その存在を知覚したくないと、命そのものが拒絶するからだ。
この魂も例外ではない。
恐怖を覚えた。
絶望を知った。
闇を見た。
だが、それ以上に魂の中から湧き上がったのはーーーーーー。
認めないーーーー。
命を、愛を、心を冒涜するお前をーーーー。
私は決して認めないッ!!!!!!。
ーーー高らかな怒りだった。
しかしその本質は曰く、狂気の内にありながら純粋さを失わない者、狂気に呑まれながら逆にそれを呑み尽くした者とされている。
「ケン・・・イシカワ・・・さん?」
「まぁ、今回は本人では無く俺を依代としての召喚だけどね。
そう、君に助けられた。最初のサーヴァントだ」
そういうと〇〇ーーーケンイシカワは倒れていたマシュとリツカに手を差し伸べる。二人は口をあけてぽかんとしており状況を飲み込めてない事が見て取れた。
しかしそんな放心状態もすぐに魔獣の叫び声とともにふきとび、二人はその方向に目を向けたままケンの手を握り走り出そうとする。
「と、とりあえず話はあとです!今はあのモンスターから離れないと!」
「〇・・・ケンさんはとりあえず安全なところに・・・!」
「おっとっと。まぁこんな状況じゃあ混乱してしまうよな。でも今は逃げるときじゃないぞリツカくん」
ケンは走り出そうとするリツカの肩に手をやり瞳を覗き込むと、腕に宿った令呪を掴んだ。
「リツカくん、これから先君には今よりもっともっと残酷な未来が待っている。そして君は決してそれらから逃れることは出来ないはずだった。だが、今ならその運命から逃れる事ができる!」
「ケ、ケンさん、今はそれどころじゃーーー」
「だからこそ君に問おう。もし君がこれからの戦いから逃れたい、味わいたくないと言うのなら俺は君を日常に戻す事ができるが・・・・・どうする?」
それを聞き、リツカは頭の中が真っ白になった。
戻れる?
あのいつもの明日がまたやってくる?
「・・・」
「さっきの君の言葉を聞いて俺も考えた。そもそも君しかこの世界を救えなかったのであって本当は君も巻き込まれただけの子供だ。戻れるのならその方がいいと、俺は思う」
「先輩・・・」
マシュがリツカを見る。本人は少し俯いて地面を見ている。
「リツカくん。今なら、今ならまだ引き返せる。だからーーー」
「ケンさん、そんなわけにはいかないです」
ほんの少しの沈黙。しかしリツカの口から出た言葉は拒絶の一言だった。
ケンの言葉、それはきっと真実だ。短いあいだに彼になにがあったのか、今の自分には想像できない。
しかし彼の瞳。会ったときは茶色だったその色は今、うっすらと緑の光を放ちながら螺旋を描いていた。この瞳がなにを意味するかはわからない。だが駆け出しで魔術を教わった自分ですら、それがただの虚言でないことを悟らせるほど、その光からはなにかを感じさせた。
だがそれでもリツカは首を縦に振ることはなかった。
なぜか?
「ケンさん。ここは俺の、俺たちが歩んできた世界です。」
「全人類のみんなを助ける仕事。そんな責任が伴う以上、今貴方に任せた方がいいのかもしれない」
「でも俺はーーー」
理由?それなら今画面を見ているあなた達が一番知っているはずだ。
彼が戦うと決めたのは、正義なんて重たい理由ではない。
名声を得たいなんて浅すぎる理由でもない。
そう、彼はいつだってーーー
「生きるという願いを、誰かに押し付けるわけにはいかないんです」
生きるために戦ってきたのだから。
その言葉を聞いてケンはその口角を上にあげた。
そうだ。その一言だ。だからこそ俺は、俺たちは君と共に歩みたいと願ったのだ。
「でもーーー」
「ん?」
その言葉の後、リツカはまた言葉を紡いだ。
皮肉な事に、この世界でその願いはけっして一人では成し遂げられない願いだ。
今の彼の腕では自分の命さえ手が届かないかもしれない。
だからこそ彼はーーーーー
「それは俺一人、いや、俺たちだけではダメなんです」
「こんなこと言うのは筋違いだと思います。でもそれでも俺は貴方に願います。」
皆んなと手を取り合ったのだ。
「どうか、俺たちに力を貸してください!」
それは、あの時と同じ一言。
最後の瞬間、答えてあげれなかった一言だ。
そして、そんな俺の一言は、もう決まっている。
「了解だ、マスター!!」
オープン、ゲェェェットッ!!!!!
その声を上げると同時に、謎のエネミーに突き刺さっていた巨大なドリルが高速回転を始めた。そしてあたりに残骸となったワイバーンを撒き散らした瞬間、ドリルは一瞬で三つの影となって上空に飛び上がった。
同時に自分の前に三つのうちの一つ、赤い巨大な影が降り立った。
サーヴァントとなった身体能力で飛び上がり影の上ーーーーーコックピットへと自身の体を滑り込ませた。
今目の前に広がる狭い空間。計器の明かりに照らされるそこは、少し汚れていて、人によっては良さなどわからないだろう。
だがその空間こそ、 男にとってかなわないはずの夢だった。
自身の世界では決して叶わない夢。
それを胸に、彼はレバーに手を置く。そして指に力を入れて彼は外にまで聞こえるかのような声と共にーーーーー
「ゲッターロボ!!発進」
レバーを思いっきり動かした。
天高く三つの戦闘機、(ゲットマシン)が飛び上がる。その高さはやがて雲の上まで達し、やがて編隊を組み始める。
白い戦闘機、ジャガー号の後ろから黄色の戦闘機ベアー号が近づいて行く。影はやがて一つになり辺りに余剰で発生した電撃を噴き出させた。
そう、二つの戦闘機は合体したのだ。
するとジャガー号から機械仕掛けのマニピュレーター、コアフレームが飛び出した。
ゆっくりと迫り上がるフレーム。やがてそれを覆い尽くすように赤い装甲板、デジタルプレートが鉱物のようにまとわれてゆく。
それと同時にベアー号のロケットブースターも、内部に収納されたコアフレームと繋がりやがてプレートがその姿を変えて行く。
「チェェェェエエエエエエエエエエンジッ!!!!」
人形のような形となった2機。そこに 赤い戦闘機、イーグル号も一つとなったことで、それはついにこの世界に姿を現した。
40mはあろう巨体。
赤、白、黄の三色のうち赤を基準とし、まるでマントのような飛行補助翼をたなびかせる。
パネルの隙間からは緑に輝く明かりが漏れ、顔に当たる部分は幾何学模様のような形で構成される。
鬼のような二本のアンテナ。そして優しそうでもあり、角度によっては相手を睨みつけるかのような形のメインカメラ。
それは、合体ロボの原初にして頂点
進化の化身
奪還者
そしてーーー我らのスーパーロボット!
「ゲッタアアアアッワンッ!!!!!!」
そう、ゲッターロボの完成である。
リツカは見た。
太陽を背に遥か彼方からこちらに降りてくるその影を。
やがて輪郭をはっきりさせたその影は、自分たちを捕食しようと迫る化け物に向かって、蹴りの姿勢のまま突撃した。
そう、その影の名はーーー
「ゲッターロボ!!」
あたりに轟音が響き渡り、激しく土煙が舞い上がる。
その闇の中に輝く二つの眼光。ゲッター1は遠くに吹き飛ばされた怪物を見つめており、立ち上がったのを確認すると同時に巨大な足を走らせた。
そしてあたりに轟音が響く。
「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️⁈」
声にならない音を鳴らしながら口に当たる部位から茶色く変色した大量の血液を撒き散らした。
怪物の胸には巨大な腕が突き刺さっており、ゲッターロボはそれを引き抜くと同時に腕のカッターが引っかかるのも御構い無しに引き抜いた。
返しのようになったカッターと共に内臓をあたりに散らす。
それと同時に怪物は紅蓮の焔のをゲッターロボに吹きかけた。
「うああッ⁈」
「先輩!!私の後ろに!」
二人は現在ゲッターロボの後ろにいる。
衝撃と爆風はマシュの盾によってほとんど塞がれているが光と爆音はどうしようもない。
リツカは耳鳴りとチカチカする視界の中なんとかマシュの盾に捕まった。
それにより盾はより安定して二人をその災害から守る。
「マシュー!ゆっくりこの場から離れよう!今の俺たちだとどうしても邪魔になってしまう!」
「り、了解です!先輩、あれってまさか・・・」
「ああ、ケンさんは多分マシュと同じ・・・・」
そんな中二人は炎を遮る巨人を眺める。
鋼をも溶かすであろう熱線。それはワイバーンの臓器を直結したことにより放たれるもので、仮にそれを食らえば人骨すら散りへと化すだろう。
だが、そんな中でもゲッターロボは構わず歩みを進めた。
歩く
、
歩く歩く
、走る!
再び怪物の体、否。口の中にゲッターロボはその拳を突き入れた。噴射口を抑えられ隙間から高温の熱が燃え広がっていく。苦しそうにもがくことも御構い無しに、背中の不自然に盛り上がった羽のようなものをわしずかむ。
怪物は、自分の視界がおかしくなっていることに気づいた。
その感覚に疑問符を上げる。何故ならこれは今まで、投げ飛ばされるという感覚を知り得たことがなかったからだ。
生まれたばかりの存在であるから当たり前ではある。しかし不定形で群体であるこれはそのような事態を想像できないのだ。
◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️
生き物の声とは思えない叫び。
そんな中でも怪物は全身の触手を伸ばして全身を絡みとろうとする。
「そんなものでなぁ!」
コックピットの中のケンがスロットを起動させる。するとゲッターロボの肩の部分から何かが構築され始める。マニピュレーターがそれを掴み無理やり引き出す。
「こいつをどうにか出来ると思うなよ!!!」
ゲッタートマホークッ!!!!
一瞬の間をあけ、眼前まで迫っていた触手はバラバラに引き裂かれた。
ゲッタートマホーク。
ゲッターロボに搭載されている携帯兵器である。もともと作業用に開発されたものではあるがこれは戦闘用に調整されて構築されている。
その刃にはゲッターロボのエネルギー源であるゲッター線を含んだ特殊金属で構成されており、振り降ろすと同時に刃からエネルギーがあふれる。形成されたエネルギーの刃は対象の構築する原子の隙間に食い込む。
そう、この斧は科学的に切れないものはないのだ。
「捕らえたぞ!」
胴体と思わしき部分にトマホークを抉りこむと同時に怪物を抱え込む。このまま戦い続けても街に被害が出るだけ。
「ここだと邪魔だよなぁ!」
ゲッターウイング!!
ゲッターロボの背部からマント状の補助翼、ゲッターウイングが展開される。それと同時にイーグル号のロケットエンジンがマントの下で起動し巨体を空へと浮き上がらせた。
そのスピードはどんどん上がって行き、やがて雲の上へとーーー
「たとえ俺がこの世界の異物であるとしても!」
「たとえこれが只のエゴでしかなくても!!」
「俺は抗う!助けてくれた彼らのために!」
「俺を救ってくれたあの人のために!!!」
その後彼方へと投げ捨てた怪物に向かってゲッターロボは構える。やがて無限に降り注ぐそのエネルギーは一部へと収束し緑の光を出し始めた。
そう、俺は、否。俺たちは運命というものに全てを奪われた。
だから取り返すのだ。
残酷な運命から。
取り戻すのだ。
奪われたもの全てを。
そう、
俺は、いや、俺たちは!!
奪還者
「ゲッターロボだッ!!!!」
ゲッターロボから放たれた緑の熱線。
ゲッタービームと呼ばれるそれは、やがて怪物へと吸い込まれ
その存在を跡形もなく消し去った。
次回エピローグ