神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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相変わらず進まない
主人公、喋る、マジ喋る


作戦会議な第16話

「はい、それでは作戦会議を始めます」

 

「おー」

 

俺の宣言と共にのほほんさんが拍手をし、つられて一夏と箒も拍手する。

 

時間は夜。一夏は約束通りの時間になると箒と共に部屋へ訪れた。

 

 

 

部屋の隅でひたすら「イケメンは皆殺しだ」と、某揚げ物老害司令ばりに不吉な事を呟いていたらしい俺をのほほんさんが発見して電気を出しそうな黄色いネズミ人形を俺に投げつける事で俺は正気を取り戻したという話があるが省略させてもらう。

 

 

のほほんさんの手により正気を取り戻した俺はその後のほほんさんと共に食堂へ向かうと、のほほんさんの友達である谷本さんと夜竹さんと四十院さん、そして隣の席の相川さん達と夕食を一緒にした。

一緒にした、というよりは俺とのほほんさんが一緒に食堂へ来たところを偶然居合わせて強引に彼女達が付いてきた、というのが正しい。

 

 

ちなみに夕食はチキン南蛮定食。

美味しかった。

 

美人との食事。

ハニトラの疑惑さえ無ければ純粋に楽しめたのだが……ちくしょう、L5状態のK1ってこんな感じなのか。

そりゃ帰れ帰れ言うわな。俺の場合は帰りたい、だけど。

 

 

案の定、食事の最中に模擬戦の事を聞かれた。

ここにいる子たちは俺と一夏を応援してくれている。

だが教室で女子に笑われた出来事からわかるように、内心では俺達を馬鹿にしている生徒も少なくは無いようだ。

そりゃそうだ。今は女尊男卑の世の中だし。

あいつらの言葉って文字で表すと一字一句に絶対wがついてるよ。

「勝wつwとwかwほwんwきwでwいwっwてwるwのw?」って感じで。

 

頑張るか、模擬戦。

男だってやれることを証明しなきゃあな。これは負けられない。

 

 

 

夕食を食べた後に部屋へ戻り、自前のノートパソコンを使いセシリア・オルコットについての情報を集める。

この世界って検索エンジンがグーグル先生じゃないんだよね。そのせいでググれカスが使えないんだよなぁ。

 

とりあえず合同演習や博覧会など、セシリア・オルコットの専用機であるブルー・ティアーズが少しでも関わっている情報を徹底的に集める。

スペックなどはさすがに載っていなかったが、俺には画像一つあれば充分だ。タイプくらいなら絞る事が出来る。……まぁ、前世の知識で色々知ってるからあんまり意味無いけど。

 

「私も手伝うー」と協力を申し出てくれたのほほんさんと共に、一夏達が来るまで俺達は情報を集めていた。

 

 

 

そして今へ戻る。

来客用のテーブルに座布団を四つ。

俺の正面に一夏。のほほんさんの正面に箒。という配置だ。

 

 

「で、あれだ。話に入る前に聞きたいんだが二人は今日の放課後に特訓したらしいな。なにしたんだ?」

 

俺は右隣に座る箒に聞いた。

箒は「うむ」と頷くと一夏を一瞥し、話し始めた。

 

「一夏の実力を見ようと思って武道場にて剣道をしていた」

 

「結果は?」

 

「一夏の実力はIS以前の問題だと思い、今日はずっと剣道をしていた」

 

箒の言葉に一夏は「うぐっ」と苦しそうな声を上げる。

そんな一夏に俺は声を掛ける。

 

「箒から聞いたことがあるけど一夏って剣道やってたらしいな。なんで中学で辞めたんだ?」

 

まぁ、中学で剣道辞める奴なんて珍しく無いけど。

 

「中学は三年間帰宅部でバイトしてたんだ。家計の助けにするためにさ」

 

俺の質問に「待ってました」と言わんばかりに自信満々に答える一夏。

その答えに箒はバツが悪そうな顔をする。

あ、ちゃんと一夏から理由を聞いたのね。

 

「なら仕方ないな。よし、特訓の話は終わりだ」

 

俺はそう返し、特訓の話を終える。

 

 

「ほい、それでは本題に入ります。今日の朝未明、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットと俺と一夏の二人で来週の月曜日にISを使っての模擬戦をする事が決定しました。この会議では、どうやってオルコットさんに勝つかを話し合いたいと思います」

 

俺が一気に話し終えると、三人とも真剣な表情になる。

 

「向こうはイギリスの代表候補生で専用機持ち。対してこっちは素人二人がかろうじて専用機を持っているだけだ」

 

と、ここで一夏が手を上げる。

ていうか俺が進行役なの?別にいいけど。

 

「はい、一夏」

 

「おう。素人丸出しですまねえが、代表候補生ってどれくらい凄いんだ?」

 

「構わねえよ。代表候補生は国から支援を受けて万全の、しかも充分な訓練を受けていて、IS搭乗時間は三百は越えるらしい。これだけでかなり手強いが、しかもオルコットさんは専用機持ち。エリートだと自分で言うだけはあるって事だ」

 

「お……おう。で、どれくらい凄いの?」

 

「……ハンバーガー三個分?」

 

「…………」

 

「とりあえず、凄く凄い」

 

「……おう」

 

一夏は理解したのか理解してないのか、よくわからない表情だが引き下がった。

正直お前の強さの基準が分からないんだよ。

まさか全部織斑先生で換算してるんじゃないだろうな?

 

 

「はいはーい、こうやんはどれくらいISに乗ったの?」

 

と、今度は左隣ののほほんさんから声が上がる。

 

「一応基礎は履修したが、代表候補生や長年乗ってる人には敵わないよ。知識は詰め込みだし搭乗時間も詰め込み。かろうじて三桁いってるかいってないかだ」

 

「つまり、オルコットは鋼夜が三人分ということか?」

 

箒、その例えはやめてくれないか?

 

「おー、こうやんが三人分かー」

 

のほほんさんもやめなさい。

 

 

「あー、次いくぞ。次は機体についての話だ。布仏くん、例のものを」

 

「は~い」

 

俺の指示でのほほんさんがノートパソコンを机の上に設置し、画面を二人に見せる。

 

「これ、セシリアか?」

 

と、一夏が聞く。

パソコンの画面には青いISを纏ったセシリア・オルコットの姿が映っている。何気にドヤ顔。

 

「ああ、とある軍関係のパレードでの写真らしい。さすがに明確なスペックとか戦ってる映像は調べられなかった」

 

と、次々と画面を切り替えながら説明する。

 

「さて、オルコットさんの機体の名称は『ブルー・ティアーズ』。蒼い雫って意味らしい。で、色んな画像やイギリスの開発ラインを見るからにこの機体は射撃重視の機体だと思う」

 

「なぜ、そのように思う?」

 

箒から疑問の声が上がる。

 

「いい質問だ。オルコットさんの画像にはこの青いライフルが映っていることが多い。ていうかぶっちゃけいつもコレしか持ってない」

 

と、俺はオルコットさんが装備しているスコープ付きの青いライフル銃を指差す。確かレーザーライフルだったよね、これ。

 

「そしてブルー・ティアーズという機体はイギリスが研究しているBT兵器の使用を実現化した試作ISなんだ。それにオルコットさんは俺たち二人掛かりが相手でも気にも留めなかった。機体が多人数との戦闘も想定されているものだとしたら納得できる。多人数との戦闘も視野に入れて作られたなら射撃メインの機体という考えにもなるしな」

 

と、ここで箒と一夏の両名から手が上がった。

 

「ほい、まずは一夏」

 

「びーてぃー兵器ってなんだ?」

 

「操縦者のイメージを反映、具現化して独立稼働ユニットを操作する兵器だ。簡単に言うと頭で動かすラジコンだな」

 

「おお、分かりやすいな」

 

一夏はうんうん頷く。理解してくれたようだ。

 

「で、次は箒」

 

「なぜ多人数想定の機体が射撃メインなんだ?」

 

「じゃあ逆に聞くが近接装備だけで射撃装備を持つ数人の相手に勝てるか?なお、互いの実力、機体スペックは同じものとする」

 

「気合いで」

 

「ねーよ」

 

「千冬姉なら」

 

「あの人と比べんな」

 

確かにあの人ならなんでもできそうだけども。

生身で一人で武装集団とか鎮圧できそうだけども。

 

 

「まぁもしかしたら使ってないだけで武器はまだあると思うがさすがに資料が無いので何も言わないでおく。下手に予想立てて混乱するのも嫌だしな。とりあえずこの機体はBT兵器を使う射撃メインと想定する」

 

俺がそう締めくくると皆頷いた。

異論は無いということだろう。

 

「次は模擬戦での立ち回りだ。一夏が斬る。俺が撃つ。以上」

 

「……は?」

 

俺の作戦を告げると一夏はポカンと口を開けた。

 

「うむ、シンプルだな」

 

箒はうんうん頷いている。

 

「シンプルだねぇ~」

 

のほほんさんは笑っている。

 

「いやいやちょっと待て!適当過ぎないか!?もうちょっと、こう、あるだろ何か!なあ!?」

 

しかしそこで気を取り直した一夏が俺に食って掛かる。

おいおい机を叩くな詰め寄るな、お前はオルコットさんか。

 

「そうは言うが一夏。お前、連携訓練する時間あるのか?基礎すら知らないのにか?そもそも空飛べるのか?銃撃てるのか?専用機はどんなタイプだ?ていうか体力持つのか?」

 

「…………すみませんでした」

 

俺の怒涛の反論を受けて一夏は頭を下げ、申し訳なさそうな顔で自分の席に戻った。

 

「俺も悪かった。まぁ、俺がお前に合わせる形にしよう。剣道やってたならそれを伸ばそう。付け焼き刃にしかならんが大方はマシだ」

 

そして俺はちらりと箒を見る。

 

「一夏はそのまま箒に教えて貰え。その方がいいだろ」

 

「なに!?」

 

俺が箒を指名すると箒は驚いたのか、素っ頓狂な声を上げた。

 

「俺はいいけど……箒はいいのか?」

 

「な、しし、しょうがないな!そこまで言うなら私が見てやろう!同門のよしみだ!鋼夜からの許可も出たしな!」

 

うわー、めちゃくちゃ嬉しそう。

いまの箒は顔赤くして腕組んで一夏から顔そらしてる。ナイスツンデレだ。

 

「おう、よろしく頼むよ箒」

 

「ふん、手加減しないからな!」

 

「そういえば高校から突きが解禁だったな。箒、突き多めで頼む」

 

「了解した」

 

「ちょ!?」

 

俺の提案に声を上げたのは一夏。

高校生の剣道から突きが解禁され、打突部位に新たに喉元が加わる。

突きはモロに入ると痛い。

 

「一夏、これも訓練だ」

 

突きは銃と同じ点の攻撃に近い。

突きに対応出来るようになれば射撃にも少しは対応出来るのではないか?と考えたのだ。

 

 

「訓練か……ならISに慣れないといけないんじゃないか?模擬戦前にISに乗りたいな」

 

と、一夏がふと思いついた事を口にした。

話題を変えたいんだろう。このままいくと無茶振りな訓練が追加されると思って。

 

 

あー、ついに来たかこの質問。

 

「一夏、すまんがそれは無理そうだ」

 

「え?なんでだよ?」

 

「昼休みに山田先生に聞いたんだ。そしたら学園の訓練機は全部予約がいっぱいだって……」

 

「なん……だと……」

 

いつから訓練機に乗れると錯覚していた?

昼休みに山田先生の手伝いをした時に訓練機の事を聞いたのだ。そしたらこの答えが返ってきた。

 

「専用機が間に合うことを願うしかないのか?」

 

「そうなるな」

 

一夏ははぁ、とため息をついて机に倒れ込む。ドンマイ。

 

 

「あ、でも山田先生が放課後の補習授業をしてくれるって。あれ、俺も受ける事にするから」

 

「あー、あったなそれ。……はぁ」

 

補習とは一夏の参考書の件の事である。

一夏は織斑先生より参考書を一週間で覚えろと言われている。

あの参考書の厚さを思い出したのだろう。角で殴ったら間違い無く人が死ぬよ、アレ。

 

 

「あー、喋った。今日はここまで。次回は未定で。はい解散」

 

俺が解散を宣言し、今回の会議はお開きとなった。

 

模擬戦、頑張りますかね。

 

……あ、そうだ輝さんに電話しとこ。

 




鋼夜の観察眼!
次回は刺激のある回にしたい

確かブルー・ティアーズはコンセプト上は一対多を想定してるらしい
ちょっと開発者を小一時間問い詰めたい
どうみても支援機の装備だろ、ブルー・ティアーズって
むしろ一対一でもキツいだろ


主人公のISを考えてたらいつの間にかMS化してる……なんでや……MS化はしないって言ったのに……

皆さん好きなガンダムとか居ます?
私はガンダムヘブンズソードです
鋼夜の脇役趣味は自分の趣味でもありますので、うへへ

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