神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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輝「我がラビアンローズの技術開発力は宇宙一ィィィィィィィィィィ!!!!!」
鋼夜「割とシャレにならない」


機体説明の第19話

「なかなか良い勝負だったよ」

 

「ま、頑張ったんじゃないか?」

 

試合が終わり、ピットに戻って来た俺を出迎えてくれたのは輝さんと姉御だった。

一夏も一緒に戻って来ている。

オルコットさんは一夏に降ろされるなり、そそくさとその場から立ち去った。ヤツに関しては何も言いたくない。

 

「なんで武器が刀一本だったんですか」

 

戻って一番に聞いたのが四天の装備について。

 

「最初から全武装オープンなんて、つまらないでしょ?」

 

うわぁ、本当に俺の予想通りだったよ。

マジで刀一本で倒させる気だったのかこの人。

 

 

「んじゃ、順序が飛び飛びですまないけど『四天』について説明させてもらうよ」

 

すると姉御が携帯端末を取り出した。

 

「そいつはラビアンローズが設計、製作した第三世代型のISだ。コンセプトは『あらゆる状況、場所への対応』を元にしてある。換装することでより様々な形態となりあらゆる状況に対応する事を考えている機体だ。今回は何も換装していないが、それでも既存の量産型ISを上回る性能を持ってるよ」

 

ほう、なるほど。

つまりは量産機のいいところを残してより性能高い機体を作ろうぜ!って事か。

 

 

俺は無人の状態で展開してある自らのISに目を向ける。

 

形式は部分展開のIS。

一夏の白式と同じく白をベースに、青と赤のトリコロール、俗に言うガンダムカラーの塗装が施されている。

機体の背部には大型のメインスラスターが二つと方向転換に使用する小型のスラスターが二つ搭載されている。

機体の肩の部分には非固定武装として二つの大型シールド『天岩戸』が搭載されてある。

 

ガンダムじゃないか。

 

 

「フランスのラファールをパク……もとい、参考にしたから機動性は折り紙付き。でも運動性は当初の予定よりちょいと下がったけどね」

 

「いや、それでも充分凄いと思うんですが」

 

姉御が携帯端末を操作して四天のスペックを俺に見せてきた。

あんなに搭載しても運動性がなんとラファールより少し上です。

どこがちょいと下がったんでしょうね。

 

「武装は全部ラビアンローズ製だよ。まぁ、アンタも一応は社員なんだから把握してるだろ」

 

四天の武装は、

俺が最初に使った近接ブレードの「篝火」

一次移行してから使ったアサルトライフルの「泉花」

今回は使わなかった、ビーム拳銃の「召雷(しょうらい)」が二丁。

ビーム兵器は最近作られた試作のものだ。拳銃とは名ばかりで、なんとか片手で持てるが少しでかい。

そして非固定武装のヴァリアブル・フェイズシフト搭載防御兵装「天岩戸」だ。

 

「天岩戸」以外は知っている。

初期で入っていた武装はこれくらいだった。

 

「四天は換装するのを前提で作られているから拡張領域(パススロット)や容量が大きい。ま、換装分の容量を圧迫しない程度に自分に合う武装を詰めりゃいいさ」

 

そう言って姉御は持っていた携帯端末を閉じた。

 

 

「仁室くんご苦労様。後は私が説明しておくよ」

 

「頼みます、私は先生方と少し話して来ますんで。……おい、鋼夜」

 

姉御は端末を輝さんに渡すと俺の方へ向かって来ると背中に手を回して密着し、顔を近付ける。

アニメとかでよく見る、秘密の会話をする時によくやるアレだ。

 

姉御、近いです。あと当たってます。それと凄い良い匂いがします。

 

「スイッチの入った社長の意味の分からない会話についていけるのは社内広しと言えどお前くらいだ。辛いかもしれないが……頼んだ」

 

姉御は妙にシリアスな表情でそう言う。

輝さんの意味の分からない会話とは、俺の世界で使われていたネタの事である。

輝さんは発作と称して様々なネタを口走る。だがそんなものは同じ世界出身の俺以外は理解できない。そのせいで輝さんは社内では変人扱いされている。

この世界で「バルス!」って言っても通じないんだぜ?世界の「バルス!」が。

 

ちなみにジョジョは通じる。この世界にはジョジョがあるからだ。

やはりARAKI先生は偉大であるという事が判明した。

 

 

「わかりました」

 

「じゃ、頼んだ」

 

姉御はそう言い残し、俺から離れるとピットから出て行った。

 

 

「鋼夜くん、何かあるかい?」

 

「四天って何をモデルにしたんですか?」

 

笑顔で聞いてくる輝さんにさっそく質問をぶつける。

 

「ストライクとインパルスだね。換装するの前提で作ったから」

 

正直、カラーリングとVPSとハード・ポイントシステムとビーム二丁拳銃の時点で予想はしてました。

 

「じゃああの……ゲシュタルトヴィッヒパンツみたいなシールドは?」

 

フォビドゥンの後ろについてる饅頭みたいなシールドしやがって。

 

「『ゲシュマイディッヒパンツァー』ね。まぁ、あれとはちょっと違うんだけど。本来は四天を換装パーツと一緒に届けようと思ってたんだけど間に合わなくてね。あのままだとパッとしない速さだけのISになるからさ……急造で仕上げて装備させたのが『天岩戸』さ」

 

「急造でフェイズシフト装甲作れる方がおかしいと思うんですがそれは」

 

「それにはちょっと仕掛けがあるんだ。それに、IS用じゃないけど技術は既に確保してたからね。あ、四天をしばらく預かる事になるけどいいかな?フェイズシフトのデータを纏めなきゃならないんだ」

 

ラビアンローズは大企業だ。

ISだけではなく様々な分野が存在している。

特徴としてラビアンローズは「ISのために新技術を生み出す」のではなく「生み出した新技術をISにも使えるか試す」という方針である。圧倒的技術力を持つラビアンローズだからこそ出来る事だ。

フェイズシフトも元々は別の用途に使うのだろう。

……自分で言っておいてなんだがフェイズシフトってIS以外の何に使うつもりだったんだろう。家の壁とか?電気代が凄い事になりそうだ。

あ、でも色が付くって部分は使えそうだ。

 

 

「別にいいですよ」

 

「ありがとう。さて、次は装甲とかの材質について説明しよう」

 

「フェイズシフト装甲じゃないんですか?」

 

俺の質問に輝さんは首を横に振る。

 

「フェイズシフトはソレの一部に過ぎない。お見せしよう!これがラビアンローズの科学の枠を集めて開発した夢の装甲、『多機能搭載可変性ナノスキン装甲』だぁぁぁぁ!」

 

端末のグラフやらなんやらが写った画面を見せながら高らかに宣言する輝さん。

 

「な、なんだってー!?」

 

ナノスキン装甲といえば∀に出てくる装甲で、簡単に言うと損傷してもその部位をナノマシンが治す装甲である。

その装甲が多機能搭載でしかも可変性だって!?

 

「…………それって、どう凄いんです?」

 

「ふふふ、この世界にはナノマシンが存在していたから色々やりやすかったよ。修復のためのナノマシンをISの機能の補助に回し、ナノマシンが機体の仕様に合わせて様々な役割を果たす事でこの装甲一つで色んな機能を使用する事が可能なのだ!」

 

「なん……だと……」

 

VPSも再現可能とか便利過ぎるだろナノマシン。

これがGジェネOW帰りの実力だと言うのか。

 

「まぁ流石に一つの機体にフェイズシフトとラミネートを一緒にー、とかいう併用は無理だけどね。今回は試験的にVPSの機能を天岩戸に使用してみたよ」

 

「シールドだけなんですか?機体にVPSは使って無いんですか?」

 

俺の質問に輝さんは困ったような顔をする。

 

「あー、当初はその予定だったんだけどね……コストに合わなかったんだ。稼働時間が物凄い短くなるし、それにISの装甲って薄いし四天は部分展開のタイプだからさ……実弾のダメージは無効に出来ても衝撃まではどうにもできないし」

 

「なるほど……確かに」

 

「一番の理由は、ぶっちゃけ実弾を無効化する時の振動で絶対防御が発動する可能性があるんだ。だから全身をフェイズシフトにするのは馬鹿らしい。って事になったよ」

 

「うわぁ……」

 

「ハイパーセンサーと連動して被弾する部分を予測してその部分だけに電流を流す方法も思い付いたんだけど、そうまでして機体の装甲にフェイズシフトを使う理由が無いんだよね。それなら非固定武装にバッテリーを内蔵してVPSの機能を組み込んだシールドをフォビドゥンみたいにアームで固定すれば展開範囲は限られてくるけどかなり実用性のある装備になるからね。これで衝撃の問題もクリア出来たという訳さ」

 

とりあえず装甲と輝さんの発想が凄く凄いのは分かった。

 

 

「どうしてISとSEED系の機体はこんなに合うんですかねぇ」

 

「コンセプトが一緒だからじゃないかな?ほら、後ろに取って付け」

 

「それ以上はいけない」

 

 

その後、二、三言会話をして四天を輝さんに渡して更衣室でシャワーを浴びて俺は部屋へ戻った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おめでとー」

 

「ありがとう。今日勝てたのも、のほほんさんの協力のおかげだよ」

 

「えへへー」

 

部屋に戻るとのほほんさんが大量のお菓子を用意して待っていた。

「こうやんの勝利を祝ってプチ祝勝会を開くよー」との事。

 

 

「ジュース買ってくるよー。こうやんは待っててね」

 

「いや、それくらい俺が」

 

「こうやんは祝われる立場なんだからだめだよー」

 

そう言ってのほほんさんは部屋を出て行った。

今のご時世には珍しい、いい子じゃないか……。

俺がしみじみとそう思っていると、部屋の扉がノックされた。

 

「いま開けます」

 

のほほんさんは祝勝会って言ってたから誰か呼んだのだろうか?

とりあえず扉を開けて来訪者を確認する。

 

最初に目に入ったのは外国人特有の綺麗な金色の髪。

それだけで誰が来たのか、俺は察した。

 

「こ、こんばんは……」

 

「……こんばんは、何か御用ですかオルコットさん」

 

少し無愛想な返事になってしまった。

そう、訪ねて来たのは今日の対戦相手だったセシリア・オルコットである。

いま一番会いたくない人だった。

 

ちなみに今二番目に会いたくないのは箒。理由は申し訳ない気持ちでいっぱいだから。

 

「少しお話しがあります。お時間、よろしいでしょうか?」

 

真剣な表情で訪ねてくるオルコットさん。その目には当初に存在していた軽蔑など、人を見下しているものが無くなっていた。

 

「いいよ」

 

俺は二つ返事で了承した。

 

「はい……まず初めに、これまでのご無礼の数々について謝罪します。申し訳ありませんでした」

 

そして深々と頭を下げるオルコットさん。

あのオルコットさんが頭を下げた。驚いた。

 

「……あぁ、いいよ。俺もつい色々言ったしさ、こっちこそ謝るよ」

 

「いえ、鋼夜さんが謝ることはありませんわ。私の発言であなた方を不快な思いにさせてしまったのは事実です。ですから……」

 

何気に俺を名前で呼んだよ。

やだ、数時間で何があったのこの子。

 

「頭を上げてくれ。俺は別に気にしてないから。でも、謝るなら一夏の方にもな」

 

「一夏さんの方には既にお伺いしましたわ。「俺は気にしてないから、鋼夜の方に行ってやってくれ。あと、これからよろしくな」と」

 

すると、オルコットさんは少し顔を赤らめながらそう答えた。

そうですか、”一夏さん”ですか。

 

……パターン青、フラグです。

ていうかなんなの?俺が努力して、模擬戦二人掛かりで更にお互い活躍して、確率をむちゃくちゃ改変して、そもそもバトルに勝って即惚れるという展開を天文学的な数字でないと実現しないレベルでのフラグをことごとく引き当ててフラグ建築しといて回収しないってなんなの?バカなの?死ぬの?

パワポケランダム彼女候補が攻略出来ない人に喧嘩売ってんの?

 

……確かに、オルコットさんが俺に惚れないかなー、って下心は正直あったよ。あれか、下心あったからダメなのか。俺も男なんだよちくしょう。

 

…………まぁ、流石にピンチを助けられて、しかもそれがイケメンで、女の子の夢のお姫様だっこにイケメンスマイルが追加ならしょうがない……のか?

いや、やっぱり許せないな。

あいつの家に大量のエロ本でも送りつけてやろうか。割とマジで。

あ、ダメだ、千冬さんに焼かれる図しか浮かばない。

 

 

「鋼夜さん?」

 

「……ああ、すまん。ボーッとしてた」

 

内心でやさぐれていると心配した表情のオルコットさんが声を掛けてきた。

 

「そうですか。では改めまして、わたくしの事はセシリアと呼んでください。クラスメイトとしてよろしくお願いしますわ」

 

「俺も鋼夜でいいよ。よろしく、セシリア」

 

そして俺とセシリアは軽く握手を交わした。

 

「あれー、こうやんどうしたの?」

 

すると、ちょうどいいところにペットボトルを抱えたのほほんさんが戻ってきた。

 

「そうだ、今から菓子パひらくんだけどセシリアも参加する?」

 

祝勝会を菓子パに変更。

流石に祝勝会に対戦相手を呼ぶとか当てつけでしか無いし。

 

「おお、セッシーも参加する?する?」

 

のほほんさんはどうやら空気を読んでくれたようだ。助かる。

 

「……ご一緒してもよろしいのですか?というより、セッシーってもしかしなくてもわたくしの事ですの……?」

 

「いいんだよ、クラスメイトじゃないか」

 

「セッシーも参加けってーい!」

 

のほほんさんの強引な押し切りによりセシリアは参加が決定してしまった。

 

最初、セシリアはぎこちなかったが菓子パが終わる頃にはすっかり打ち解けていた。

今度、イギリスの紅茶をご馳走すると言っていた。

 

なんというか、反省したセシリアは普通にいい子だった。

 

一夏関係でジャブを繰り出してみたが手応えはありまくりだった。

反応が分かりやす過ぎた。一緒に居たのほほんさんもニヤニヤしてたし。

 

手遅れみたいだ……もう彼女の恋路の邪魔は出来そうにない。

 

 

箒、すまん……。




鋼夜「それにしてもナノスキンなんてよく作れましたね」
輝「僕の友達にあらゆる金属を複製出来るヤツが」
鋼夜「異文化交流(物理)は辞めろ」
輝「冗談だよ、普通に不眠不休で頑張ったよ」


よく考えなくても主人公ってセシリアを普通に挑発、罵倒してますからね
あれで惚れる方がおかしい
あれで惚れるのはドM


多機能搭載可変性ナノスキン装甲
すごくすごい装甲
難しく考えたら負け

パワポケランダム彼女候補
パワポケ7ブラックの悲劇を忘れてはならない


四天、ボッシュート

原作読み返して分かった事なんですけど、鈴が来る前の時点の一年生だけで代表候補生って四人(うち二人はセシリアと簪)もいるんですね
……あれ?鋼夜の嗜好で行くと名無しの代表候補生二人(低確率で簪)に走る可能性高くね?
でもそれだとオリキャラ×オリキャラになってもはやISじゃなくていいだろ、みたいな事になりますね
と、いうわけでこの作品では現時点での代表候補生はセシリアと簪の二人だけです、鋼夜に救いは無い(ゲス顔)

しかし簪って一巻から専用機持ちとして存在が示唆されてるのに初登場まで専用機のせの字も出来てなかったよね
なんで専用機持ちとしてカウントされてたのか全然わかんないんだけど

キャラ設定とかはそのうち

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