神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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シャルロッ党の皆様、お許し下さい!


衝撃告白の第34話

 

「はぁ!」

 

「なんの!」

 

打鉄の射撃武器であるアサルトライフルの『焔備』から吐き出される銃弾を肩部のアンロックユニットであるVPS製の大型シールド『天岩戸』を前方に展開して防ぐと同時に今まで持っていた近接ブレードの『篝火』を粒子に戻し、ビームショットライフルの『散雷』に切り替える。

 

「おらぁ!」

 

ビームの散弾が吐き出され、それは相手が操る打鉄へ殺到する。

 

「まだ……!」

 

なんと相手はシールドを前へ突き出し、アサルトライフルから近接ブレードの『葵』に切り替えてビームの中を突っ込んできた。

 

「もらった……!」

 

一気に俺の前まで詰め寄ると、ブレードを大上段に構えて振り下ろす。

 

「なんとぉ!」

 

『篝火』の展開は間に合わないので『散雷』を掲げて銃身でブレードを受け止める。

 

と、そこでアリーナの使用時間終了を知らせるアナウンスが流れてきた。

 

お互いに武器を下ろし、粒子に戻してピットに戻った。

 

 

 

 

 

「やっぱり強いね、簪さんは」

 

「鋼夜くんもすごいよ……ISに乗って数ヶ月とは思えない」

 

「簪さんのおかげだよ」

 

俺がそう言うと簪さんは少し微笑んで「ありがとう」と言ってくれた。

 

四天を待機状態にさせてISスーツから着替えた俺は今まで対戦していた簪さんと一緒に整備室に来ていた。

 

今日の訓練は簪さんの専用機『打鉄弐式』を製作するために必要な機体のデータを取るためだったのだ。

 

「ごめんね、付き合ってもらって……」

 

「気にしないでいいよ。そうだ、四天のデータも使う?学園にある量産機はあらかたデータを取ったと思うし、同じ日本製だから相性はいいと思うよ?」

 

俺がそう提案すれば彼女は驚いたような表情を見せる。

 

「いいの?会社に何か言われるんじゃ……」

 

「その辺は大丈夫だよ。むしろ簪さんの事情を話せば喜んで協力するよ、うちの会社は」

 

前に輝さんに話したら「技術者の風上にも置けない」って言ってたし。

倉持が弐式を放置した理由がアホ過ぎるからフォローのしようがないというね。

 

弐式製作に他企業の俺が関わって倉持が何か言うかもしれない?そもそも弐式を放り投げて簪さんに押し付けた倉持が今さら何かを言える立場ではない。

 

「でも……」

 

「俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。はい」

 

渋る簪さんに半ば無理やりに四天のデータが入ったUSBを渡す。

彼女も観念したように、それを受け取った。

 

「……ありがとう鋼夜くん。私、頑張るね」

 

「おう。手伝って欲しい事があったら教えてくれな」

 

 

お礼と共に向けられた彼女の笑顔に少しドキッとしたのは内緒だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「む~」

 

「どうした、のほほんさん」

 

簪さんと別れて部屋へ戻れば、黒い着ぐるみパジャマ姿で不機嫌なのほほんさんがベッドの上でうなっていた。

 

「なんでもないですよ~だ。かんちゃんとこうやんは仲が良いのに私だけ未だにかんちゃんに避けられてることなんて気にしてないですよ~だ」

 

思いっきり口に出していることはツッコんじゃいけないのか。

 

「俺にそう言われても……まだ簪さんに避けられてるの?」

 

「ぷっぷくぷ~」

 

頬をふくらませ、不機嫌気味に頷くのほほんさん。

 

そう。簪さんの事を紹介してもらった時にそのような事をちらりと聞いた。

そして会長やらの件を聞いた時に、はっきりと「避けられている」と言った。

 

 

「別にのほほんさんは会長に何か言われた訳じゃないんだよね」

 

「うん。私は純粋にかんちゃんのお手伝いがしたいの」

 

俺が前にプレゼントしたベアッガイの抱き枕を抱きながらのほほんさんは頷く。

どうでもいいが、可愛い。

 

「じゃあ今度、俺から話してみるよ」

 

「ありがとう~」

 

パタパタとパジャマの袖を振りながら笑顔でお礼を言うのほほんさんさん。

こちらこそありがとう。その笑顔だけで俺はあと十年は戦える。

 

 

俺のメンタルが崩壊寸前になった時に励ましてくれたのは彼女だ。

ただ人形を投げられただけの気もするが、助けられたのは本当だ。

 

のほほんさんによるこの癒し空間が無ければ俺は潰れていたかもしれない。

のほほんさんが俺と相部屋なのは恐らく会長の命令だろう。それに感謝したい。

 

 

 

「鋼夜、いるか?」

 

しかし俺の癒しの空間は突然訪問してきた一夏により崩壊した。

 

俺に用があると言う一夏に対して嫌な予感を覚えたが、俺は不機嫌になりながらも黙って一夏に付いていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

案内された一夏とシャルルの部屋へ入ると中にはシャルルが居た。

ジャージ姿で、女性特有の胸のふくらみがある状態の。

 

俺はそれを見て一瞬で全てを理解した。

 

「いいか、落ち着いて聞いてくれ」

 

「シャルルは女なんだろ。知ってるよ」

 

ドアの鍵を閉めた一夏が恐る恐る切り出すが、俺は言わんとしていることを先読みして言葉を遮った。

 

「え……知ってたのか?」

 

「気づかない方がおかしいレベル」

 

面食らった表情の一夏に対してため息をつきながらそう答える。

気付けよ。いや本当、マジで。

 

「あはは……やっぱりバレてたかぁ」

 

自嘲気味に笑うシャルル。

まぁ、一夏と違って少し丁寧に接し過ぎたからか?シャルルも気付いていたようだ。

 

「呼ばれた理由はだいたい分かった。口裏は合わせるしこの事は誰にもバラさない」

 

避けては通れない道とは薄々感じていたが、厄介事を避けるためと二人を安心させるために求められているであろう回答を告げる。

 

「……理由、聞かないの?」

 

と、理由を聞かれると思っていたのか。シャルルが俯いていた顔を上げて問いかけてきた。

 

「余計な詮索はしない方がそっちもいいだろ?」

 

「そうだぞシャルル。無理しない方がいい」

 

「ありがとう二人とも。でも、もう一夏に話しちゃったから、どうせだし話すよ」

 

俺と一夏の静止に弱々しい作り笑顔を浮かべて彼女は自分の出生から今に至るまでを語った。

 

前世の知識と同じく、彼女はデュノア社長と妾の間に出来た子供で、母親が死んだ後にシャルルのIS適性が高いことを知ったデュノア社が彼女を引き取り、その後に男装させてこの学園に送り込んだという内容だった。

 

俺は無言で、無表情でそれを聞いていた。

 

「……こんなところかな。僕については。今まで嘘ついててごめんね」

 

一通り話し終えたシャルルは微笑んだあと、深々と俺に頭を下げた。

 

「そうか。じゃあ俺は帰る」

 

「……いや、ちょっと待て待て!」

 

適当に流して部屋を出ようとしたら一夏に止められた。

 

「なんだよ」

 

「いや、もうちょっと何かあるだろ!こう、さ!」

 

一夏は俺がシャルルに対して慰めの言葉か何かをかけると思っていたのか、自分でも何が言いたいのか分からず身振り手振りで伝えようとする。

 

「それはシャルルに言ってくれ」

 

「……え?」

 

俺はため息を吐きながらそう告げた。

まさか自分が呼ばれるとは思わなかったのか、シャルルは驚いた表情でこちらを見る。

 

「なんだ?笑えば良かったか?……なあシャルル。お前、これからどうするんだ?」

 

「どうって……」

 

「学園の特記事項でIS学園はどこの干渉も受けないから三年間は大丈夫だ」

 

シャルルの代わりに生徒手帳を手にした一夏が答えた。

 

「一夏、お前は黙れ。俺はシャルルにどうしたいか、どうしてほしいかを聞いているんだ。でないと俺はなんにもできないんだが」

 

「僕は……」

 

俺の問いに答えず言葉を詰まらせるシャルル。

 

「このままフランスへ帰って親子仲良く牢屋行きか?罪も無い会社の社員も巻き込むのか?復讐したいと思うならそれも一つの案だな。一会社員でもある俺から見れば迷惑極まりないし普通に殺意が沸くレベルだ」

 

「そんな……僕は……」

 

「おい鋼夜!」

 

一夏が怒鳴るが無視して俺は言葉を続ける。

 

「正直な、どうでもいい身の上話をされて勝手に俺を面倒事に巻き込んでおいて何なのこれ」

 

「鋼夜ぁ!」

 

 

 

「一夏さん、いらっしゃいます?夕食をまだ取られていないようですが、体の具合でも悪いのですか?」

 

我慢できなくなった一夏が怒鳴り、一触即発の空気になるが、そこに救世主とも思える第三者の介入が。

 

 

「セシリアか?俺だ、鋼夜だ」

 

セシリアの気配を読んでいた俺は適当に返事をする。

そしてジェスチャーでシャルルに隠れるよう指示を出す。

シャルルは何のことかを理解すると即座に布団を被った。

今のシャルルは誰がどう見ようと女にしか見えないからな。

 

「鋼夜さん?どうして一夏さんのお部屋に?」

 

「シャルルが具合悪いらしくてな、なんか呼ばれた」

 

と、ここで一夏にもジェスチャーで何か言うように指示を出す。

 

「そ、そうなんだ。シャルルの様子を見てたから夕食はまだなんだ」

 

多少慌てているが、一夏もなんとか合わせてくれた。

 

「まあ、そうなんですか?」

 

「ああ」

 

「そ、そういえばそんな時間か」

 

セシリアが引き取ることを願い、必死にごまかす俺と一夏。

 

「まだ夕食はとっていないということですね?ではわたくしも夕食はまだですし、ご一緒しませんか?」

 

よしきた!いけ一夏!

 

「わ、わかった!もう少しシャルルの様子を見るから先に行っててくれ。後で行くから」

 

「む……分かりましたわ。先に行って待っています。デュノアさん、お大事に」

 

不満気な声を漏らしたが納得して彼女は部屋の前から去っていった。

 

「はぁー」

 

「ふぅ」

 

緊張の糸が切れ、一夏やシャルルからため息が漏れる。

 

 

「さっきは色々言い過ぎた。頭冷やしてくる」

 

「あ、うん……」

 

「……行くぞ、一夏」

 

「あ、ああ」

 

シャルルに向き直り、そう一言告げて一夏と共に部屋を出た。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「鋼夜」

 

「怒るなよ」

 

部屋を出た途端に詰め寄ってきた一夏を落ち着かせる。

廊下で話をするのはマズいのでこっそりと寮の外へ移動する。

 

俺と一夏は適当なベンチに腰掛けて話を再開させる。

 

「お前の言いたい事は分かる。でもな、これはシャルルの問題なんだ」

 

「でも、仲間が困っていたら助けるもんだろ。俺はシャルルを放っておけないんだ」

 

そう言う一夏の瞳には強い決意が見て取れた。ああ、確か一夏は親がいないんだったか。どおりで。

 

「むしろなんで鋼夜は怒ってるんだよ!シャルルは今、弱ってるんだぞ!」

 

「あいつの態度にイラっときたから。なあ一夏、さっき学園の特記事項を提案したのはお前か?」

 

怒鳴る一夏の言葉をバッサリ切り捨て、さらに問いを重ねる。

 

「ああ、そうだよ」

 

怒りの感情を滲ませながら一夏は答えた。

 

「なんで、それを提案した?」

 

「なんでって……シャルルのために決まってるだろ!あんなの理不尽過ぎる!」

 

「落ち着け一夏。じゃあ最後の確認だ」

 

身を乗り出して迫る一夏を抑えながら、深呼吸して再び問いかける。

 

「シャルルは、お前に助けを求めたか?」

 

「はぁ!?んなもん関係無いだろ!目の前で困ってる奴がいるんだ!仲間を助けるのが悪いのかよ!?」

 

今更何を聞いているんだ、という顔で一夏は俺の胸ぐらを掴んだ。

 

「……はぁ、分かった。落ち着けよ」

 

観念したように俺が両手を上げれば一夏は慌てて俺から離れる。

 

「っ……スマン。熱くなり過ぎた」

 

「俺も同じでおあいこにしよう。……一夏、シャルルはお前に任せる。俺は関わらない方がいいだろ」

 

ベンチから立ち上がり、寮へ向かって歩き出す。

背後で一夏が何か言っているが、今は聞く気が起きない。

 

俺は夕食も取らずに部屋へ帰った。

 

 

のほほんさんは夕食のために食堂へ向かったからか、いなかった。

いまはそれでいい。

 

背中からベッドに倒れこみ、深いため息をつく。

 

嫌になる。自分でもどうしてあんな態度を取ったのか分からない。

シャルルの態度が気に入らなかったのは本当だ。

 

最初は、罪もない無関係のデュノア社の社員を巻き込もうとしたシャルルに腹が立っただけだった。

 

 

しかし話を聞くうちに俺は気付いた。いや、感じてしまった。シャルルの感情を。

 

彼女は諦めている。抵抗せず状況に流されるままに過ごしている。自分の意志など既に消えていた。

これだけならまだ良かった。

 

それなのに俺は彼女から「自分は救われて当然」という感情も読み取ってしまった。

彼女は現状を変えようとせずに流されたまま悲劇のヒロインを気取って生きている。

 

なぜ抵抗しないのか。なぜベストを尽くさないのか。なぜ自分の本心を告げないのか。なぜ自分を隠すのか。

 

それが許せなかった。

 

 

思い当たる節はある。

彼女は一回も自分の気持ちや感情を俺や一夏に打ち明けていない。「助けて」とも「放っておいてくれ」とも言っていない。泣いてもないし悲しんでもいない。

 

一夏の提案に乗っかり、流されただけだ。

 

それに俺や一夏が止めたのに彼女は俺に自分のことを話した。巻き込んできた。

話して楽になりたかった、もしくは無意識のうちの行動なのかはわからないが悲劇のヒロインを演じて俺に助けさせようとした可能性はある。

 

 

「ハッ。鈍感過ぎるのは論外だが、敏感過ぎるってのも考えものだな」

 

そう自嘲気味に呟き、目を閉じる。

 

 

正直、一夏が怒るのも無理は無い。

一夏からしてみれば俺がいきなりシャルルに追い打ちをかけるみたいに怒ったんだから。

第三者から見れば大体俺が悪く見える。

 

 

明日からどうしよ。二人とは気まずくなるな。

とりあえずシャルルのフラグ阻止は失敗だな。印象が悪くなり過ぎた。

一夏とのフラグは時間の問題だろう。

 

この流れだとなんやかんやでボーデヴィッヒも無理かもしれない。

 

箒、すまん。




石投げないで!ちょ、顔はやめ、アッー!


原作でシャルが自分の本心も何も言わずに流されてるのはさすがに許せませんでした

彼女自身は自分の気持ちとか本心を言ってないですよね?
「助けて」とか一言も言ってないし
大浴場で「ここにいたい」って言ってたけどあれ一夏が「ここにいろ」って言ったからそうしただけですし

(主人公のシャルルートは)ないです

ていうか気付けば主人公がヒロインのフォローをして回っている風潮



箱買いしてもシャドールが出ねぇぞどうなってんだKONMAIこの野郎!(ガチャガチャ
ペンデュラムのホロとかいらんわ!
シャドールシャドール言うけどテラナイトも大概じゃねえか!
KONMAIは音女シリーズ増やせよ(ガチャガチャ

そしてHEROお前ら性能壊れすぎ

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