神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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久しぶりに書くと、書き方を忘れる


最終確認の第39話

 

日曜日。

俺は一夏とシャルルを連れて学園を出ていた。

 

 

「でかいな……」

 

「ぼ、僕もいいのかな?」

 

「輝さんに呼ばれたんだからいいんだよ。さっさと入ろうぜ」

 

 

現在三人でラビアンローズの本社前に来ている。

デュノア社の件で輝さんがシャルルと話をするためだ。一夏はおまけで付いてきた。

 

 

ラビアンローズの正面入り口へ突入する。

一夏とシャルルが後に続く。

 

自動ドアがスライドして開き、冷房の冷たさを肌に感じつつ受付へ向かった。

 

「おはようございます、ルナさん」

 

「あ、鋼夜くん。おはよー」

 

受付嬢の一人に声を掛ける。

黒髪ショートのこの女性は鏡ルナさん。同じクラスの鏡ナギさんの姉である。

事務仕事を天職と呼ぶ変人だと社内では有名である。

 

「社長に連絡をお願いします。あと、来客証明を二つ」

 

ルナさんは俺の言葉に笑顔で頷き、頼んだものを渡すと内線の電話をかける。

 

「はい、これ。首からかけといて」

 

俺はルナさんから受け取った来客を示す札を二人に渡す。

二人は指示通り、それを首にかけた。

 

「鋼夜くん。社長が上で待ってるって」

 

「了解しました。一夏、シャルル、着いて来てくれ」

 

ルナさんの言葉を聞いて、俺は二人を連れて近くのエレベーターに乗り込む。

ボタンは最上階。

 

「おぉ、50階もあるのか……」

 

一夏がエレベーターの中を見て驚きの声を上げた。

 

「外国の方がもっと高いと思うけどな」

 

100階建てのビルとか聞いた事あるし。

 

「そうだね。デュノア社はもっと大きいかな?でもラビアンローズってISだけを開発する会社じゃないんだよね?」

 

シャルルの質問に俺は頷く。

 

「元々は何でも屋みたいなものだからな。ISを動かす試験場は離れた別の場所にあるから、デュノア社よりは不便だし」

 

そんな事を話しているとエレベーターが止まった。

最上階に到着したようだ。

 

エレベーターから出てしばらく廊下を歩くと「社長室」と書かれた扉の前に到着した。

 

「準備はいいか?」

 

振り向いてそう聞くと二人とも頷く。

それを確認した俺も意識を切り替え、扉をノックする。

中から「入りなさい」という声がしたので扉を開けて部屋へ入る。

 

「失礼します。デュノアと織斑の二人を連れて来ました」

 

「ご苦労様。二人ともそこに座りなさい」

 

部屋へ入ると既に輝さんが応接用のソファに腰掛けている。

輝さんは一夏とシャルルに対面のソファに座るよう促した。

俺は輝さんの隣へ座る。

 

「わざわざ来てもらってすまないね。西条輝だ。ここ、ラビアンローズの社長をやってるよ」

 

「は、初めまして。シャルル……いえ、シャルロット・デュノアです」

 

「お、織斑一夏です!」

 

二人はどもりながらも挨拶を交わす。

そんな二人の様子を見た輝さんはクスリと笑う。

 

「そんなに緊張しなくて大丈夫さ」

 

「は、はい」

 

輝さんの言葉により二人の緊張はいくらか和らいだようだ。

 

「鋼夜くん、お茶を持ってきてあげなさい」

 

「了解しました」

 

輝さんに言われて俺は部屋を出てこの階にある給湯室へ向かった。

さすがにあの部屋の冷蔵庫を使う訳にはいかない。二人はあくまで来客だ。

 

 

冷たいお茶を用意して部屋へ戻る。

既にデュノア社の件について話し始めており、一夏もシャルルも、真剣な表情で話を聞いていた。

 

まぁ、話といっても大した事ではない。

 

まずはシャルルが学園に送り込まれるまでの出来事を話した。

 

そして取り引きの事。

ラビアンローズのする事に全面的に協力すること、デュノア社についての情報を提供すること。

その代わりラビアンローズは彼女を保護する。

 

そのような内容の会話を交わす。

話し合いは一時間くらいで終わった。

だいたいの事は俺を通じて話がお互いに入っているので、最後の確認のようなものだ。

途中で一夏が質問していたが、特に変わったことは無かった。

 

 

 

「よければ、見学して行かないかい?」

 

解散かと思われたが、輝さんの提案により二人は会社の工場を見学する事になった。

秘書の霧島さんが二人を一階まで連れていった。

 

俺?

俺は輝さんに引きとめられたので、そのまま社長室に残った。

 

 

「お疲れ様です」

 

「うん、これでしばらくは一安心かな」

 

そう言って輝さんはソファに腰掛けたまま大きく伸びをする。

 

 

「彼女も大変だね」

 

「俺たちがそれを言うのも変ですけどね」

 

「本人の同意ありとはいえ、僕たちは彼女を利用してる立場だからね」

 

俺の返事に輝さんは苦笑いしながら答えた。

 

「未だに世界に影響を及ぼすデュノア社を傘下におけるメリットは大きい。それこそ、強引な手を使ってでもね」

 

ちゃんと彼女との約束は守るから、と輝さんは付け加えた。

 

トーナメントまであと数日。その日にラビアンローズは学園に来るであろうデュノア社の関係者に接触する。

 

 

「そこで、鋼夜くんに重大な任務がある」

 

「なんでしょうか?」

 

真剣な表情になる輝さん。

真面目な話になる気配を感じ取った俺も表情を変える、

 

「フェニックスに調べさせたところ、実は今度のトーナメントの日のIS学園には夫人自らが来るらしい」

 

「なん……だと……」

 

夫人ってデュノア夫人?

問題になってる人が直接?なんで?

 

「流石に向こうも勘付いたようだよ。それに今は彼女がここ、ラビアンローズに一夏くんや鋼夜くんと一緒に入ったのは決定的とも言えるしね。彼女がこちら側に来たのは完全にバレたと考えていい」

 

「あぁ、それもそうですね」

 

輝さんの話を聞いて納得する。

彼女には会社への報告を辞めるように言っている。流石に向こうも気付いたみたいだ。

 

「だから鋼夜くんには彼女を見張って欲しい」

 

「輝さん、それは俺では無く一夏に言った方が良いのでは?」

 

輝さんのお願いを聞き、俺は疑問に思ったので思ったことを返す。

さっきの会話では二人にそんな事は言っていなかった。

それに、シャルルといつも一緒に居るのは一夏だ。何故、俺なんだ?

 

「ああ、確かにそうするのが普通かもしれない。……だが、一夏くんは優し過ぎる。万が一の時には彼女を止められないかもしれない。そしてシャルロットさんは精神が非常に不安定だ。覚悟したとはいえ、実の父親を陥れるんだ。その心の隙を利用されては危険だ」

 

「……まぁ、それなら色々事情を知ってる俺が適任ですよね」

 

輝さんの答えを聞き納得する。

確かに二人ともにそういう節はある。

 

「向こうも焦っている。だからこそ、何をしてくるか分からない。学園も完全に安全ではない。特記事項だって適当な事を吹き込んで嘘でもいいから彼女本人の同意を得られたらこちらは打つ手無し。……だから、お願いするよ」

 

確かに、シャルルは貴方を許すとかなんとか言って学園の保護から引きずり出されたら完全にアウト。

恐らく彼女は存在を消され、事件にならず会社内で揉み消されるだろう。

 

不安定な今のシャルルならば相手の甘言に釣られる可能性がある。

 

そして一夏は踏み込みが足りない。

あいつは優し過ぎるからどこかで遠慮して大切な事を逃すかもしれない。ていうかシャルルの変化とかに気付かない可能性の方が高い。

 

なるほど、俺が適任だ。

 

 

「なるほど分かりました。お任せあれ」

 

「ははっ、頼んだよ」

 

大袈裟に敬礼して答えれば、輝さんは笑って返す。

 

 

 

「トーナメントの方はどうだい?タッグになったって聞いたけど」

 

デュノア社についてはひと段落ついたので、輝さんがトーナメントについての話題を振ってきた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒと組みましたよ」

 

「あぁ、ドイツの子か」

 

相手の名前を聞いた輝さんはそこで意外そうな顔をする。

 

「でも、その子って鋼夜くんの話だとかなりの問題児じゃなかったかい?次の騒動の発端だって言ってたよね?」

 

「まぁ、色々ありまして。ボーデヴィッヒと組んだのは騒動とかのフラグを折るためですよ。あと、あいつは一年の中だと一番強いですし。やるからには優勝目指したいですから」

 

「なるほどね」

 

答えを聞いて納得した表情で頷く輝さん。

一夏を合法的にボコれる、という超私怨的な理由は言わないでおいた。

まぁ、言わなくても伝わると思うし。

 

 

「でも、彼女は代表候補生で専用機持ちだよね?よく同じ専用機持ちである鋼夜くんと組むのが認められたね」

 

気になったのか、ふと輝さんが疑問を口にする。

だよね、そこ気になるよね。

 

「これ、トーナメントについての詳細です」

 

俺はポケットに折り畳んで入れていた紙を取り出し輝さんに渡す。今言った通り、今回のトーナメントのルールが書かれている。

 

「時間とフィールドと競技ルールと……あれ?これだけ?レギュレーションは無いの?」

 

紙に一通り目を通した輝さんは首を傾げる。

 

「はい。無いんですよ。専用機持ち同士代表候補生同士で組んでOK、武装は制限無しで積めるだけ積んで良しです」

 

「えー……それはやり過ぎでしょ。せめて組む相手の制限くらいはするべきなんじゃないかな。ちなみにこのトーナメントって強制……だよね。僕たちみたいなのが見に行くんだから当然か」

 

「ええ。山田先生に聞いてみたら、まずは好きにやらせてみるそうです。一年はあまり注目されないとはいえ、見る人は居ますから」

 

下手に制限を付けて一人一人の個性や特徴見極めるため、そしてそれを潰さないためだそうだ。

よって、こんな無法地帯が出来た訳だが。

 

「ただでさえ差があるのにISの練習も触れる機会も俺たち専用機持ちより少ない一般生徒は涙目ですよね。もしかしたら何かする前に封殺される可能性があるんですから」

 

個性とか持ち味とか輝きとかを見せる以前の問題だと思うの。

俺がもしラビアンローズに拾われないで専用機も与えられてなかった一般枠なら余裕でやる気を失うレベル。

 

「まぁ……これ以上は言わないでおくよ」

 

さすがの輝さんも口を噤んだ。

 

正直、一般生徒は怒っていい。

優勝景品があるから多分、誰も何も言わないんだろうけどね。本当、優勝したら一夏に告白云々のアレが無かったら暴動が起きてたと思う。

 

 

ツッコミはもう充分と思い、俺は話題を切り替える。

 

「そういえば、念のためにドイツの方もお願いしますね」

 

「分かってるよ。『VTシステム』のことだよね?……やっぱりどこの奴も同じことを考えるんだな」

 

火星ジオン軍を思い出すなぁ……と輝さんは呟く。

そうだね。あいつらも同じような事してたね。

 

今回の騒動の原因はドイツが作った変なシステムだ。

アレさえ発動させなければ今回はデュノア社を除けば平和に終わる。

事後処理も頼もうと輝さんに話を持ちかけた次第だ。

 

 

「まぁ、ドイツは私じゃなくて束がやるだろうね。彼女は少し前に気付いていたみたいだ」

 

束さんか。

ここはアニメで見た通りかな?

確か「ちーちゃんの偽物を作るとは有象無象の分際で、生意気なんだよぉ!」って感じで生産工場を見つけて爆破したんだったか。

 

「まぁ、何も起こらないのを祈るだけだよ」

 

「そうですね」

 

 

 

こういう言葉はだいたいフラグになる。知ってる。

でも、祈らずにはいられない。

 

 

 

「あぁ、鬱だ」

 

一夏とシャルルを追いかけるために輝さんに別れを告げ、下りのエレベーターに乗りながら呟いた。

 





普通にレギュレーションが無いってヤバくね?
専用機持ち同士で組まれたら経験も機体のスペックも差があり過ぎる一般生徒涙目だし
最低でも専用機持ちもしくは代表候補生同士で組むのは制限するべきだろ
しかも武装制限無いと専用機持ち内でもシャルが圧倒的に有利だし

まぁ、そうすると一夏とシャルが組めないからなんだろうけども
ぶっちゃけシャルの代表候補生設定は本当に死にスキル
シャルの経歴の矛盾もだいたいこれのせいだし本当にいらなかっただろこの設定

判明してる代表候補生のセシリアと鈴はどうせ試合に出さないしラウラは抽選にさせるんなら、原作はシャルの代表候補生設定を捨てて制限をやっとくべきだったと思う


まぁ、原作はそもそもイベントはまともにやる気がないというかどうせ中止になるから設定適当なんだろうなぁ

襲撃者が普通に来たり性別詐称が普通に入学するしテロリストが普通に入ってくるし主人公はホモだしあの学園どうなってんだよ(今更)

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