神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅
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原作より先に終わる外伝スピンオフのソーシャルゲームがあるらしいので最終話でも初投稿です



終わりのない最終話

吾輩は転生者である、名前は如月鋼夜。

 

輪廻転生かはたまた神の悪戯か、紆余曲折を経て現世で事故死した後にインフィニット・ストラトスの世界に転生したで候。

 

主人公の織斑一夏大嫌い侍でありヒロインに興味ありません侍の拙者はIS学園逝きを避けるため奔走するが結局強制イベントにより学園逝きを余儀なくされて非常に残念無念ナリよ。

 

原作逝き判明の後に拙者、原作ラスボスの篠ノ之束博士に拉致され怪しげな会社に強制連行。

ラスボスを手懐けるハリキリ♂ボーイ(29歳職業CEO)と言葉を交わしていると明かされた衝撃の真実ゥ!

 

「拙者、同じく神によって遣わされた転生者。義によって助太刀致す」

 

「流派東方不敗!」

 

俺と輝さんは†ズッ友†になった、我等友情永遠不滅。

離れ離れになる筈だった家族は輝さんの会社のラビアンローズが引き取り、更には専用機を用意してくれるという事で快適な学園生活を保障された俺だがハニートラップ問題が浮上し荒れた。

 

「俺は織斑一夏、よろしく!」

 

「ざけんな」

 

無理矢理送り込まれた学園でunicorn系男子の一夏と出会う。

 

「その声は我が友、箒氏ではないか?」

 

「如何にも、私は篠ノ之道場の箒である」

 

中学の頃に一緒のクラスだったモッピーと再会する。

入学初日に授業がある学園の黒さを感じているとイギリスからのお嬢様が話し掛けてきた。

 

「男子には学もありませんの?まったく生きやすいものですわね、ふらやましいですわ」

 

「もちろん俺らは抵抗するで?」「二人で」

 

話しかけてきたついでに喧嘩を売られた俺達!ISを用いた模擬戦は1週間後!いったいどうなっちゃうのー!?

約束の1週間後、俺も一夏も専用機が届いたのは試合直前。戦闘中に慣らせと担任は言うがそれを許されるのはスーパーコーディネイターだけ!

 

「さぁ、踊りなさい!セシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる舞踏曲(ワルツ)で!

 

「ダンスは……苦手だな」

 

やめて!ブルー・ティアーズのビットで、四天と白式を撃たれたら、シールドエネルギーが無くなって最悪ケガしちゃう!

お願い、負けないで一夏と鋼夜!二人が今ここで倒れたら、男の意地や千冬さんの誇りはどうなっちゃうの?

エネルギーまだ残ってる。これを耐えれば、セシリアに勝てるんだから!

 

次回「セシリア墜つ!」

次回も恋にドロップドロップ♡

 

 

「おい、何を惚けている」

 

凛とした声が耳元で響き、視界の端で銀色の髪がひょこひょこ跳ねる。

 

臨海学校のプログラムは全て終了し、お世話になった旅館へ挨拶も済ませていま現在俺は学園へ戻るバスの中。

いったい誰のせいでふざけにふざけたこれまでの振り返りをする羽目になっているのか、俺は隣の席ではなく自分の膝に座る目の前のラウラへ視線を移す。

 

「せっかくの夫婦同衾の時間だ、少しは夫に尽くさないか」

 

「待てラウラ、どこでその言葉を覚えた」

 

「クラリッサからだ、夫婦が一緒にいる時に言うらしい」

 

たしかにその言葉は一緒に居る時に使う……ベッドの中で一緒にいる時にな!

 

「どうした、まだどこか具合が悪いのか?」

 

何も言い返さない俺を見て体調不良を考慮したのか、ラウラは振り向いて俺の顔を覗き込んでくる。股間の調子が今すぐにでも悪くなりそうだよチクショウが!

 

「大丈夫、大丈夫だから」

 

ラウラを前へ向かせて頭をポンポン撫でる。ラウラはよほど嬉しいのか「ふふふ…」と隠しきれていない笑みをこぼしながら受け続ける。しばらくはこれでよし。

後ろの席ののほほんさんや斜め前の相川さんからの視線が痛いが気にしてはいけない。

何故このような状況になったのか、それは男子に秘密で行われていた旅館から帰るバスの座席決めじゃんけん決定戦のせいだ。

1組女子参加のこのじゃんけん大会でラウラは見事に1位を獲得し俺の隣へと席を移した。ちなみに一夏の隣は激闘の末にセシリアがもぎ取った。

 

改めて目の前に座るラウラ……の、後頭部に視線を写す。

女性特有の甘い香りを漂わせながら彼女はご機嫌で頭をピョコピョコさせている。

なんだかんだでこのゲルマン忍者、勘違いを含んでいるとはいえ俺に対する好意を一番表に出していると言える。実際キスされたし。

今までは原作の流れを先取りすることに集中していたが俺の知る範囲が終わった今、そろそろみんなに対して向き合っていかなければならないだろう。そうでないと一夏みたいになってしまう。

 

さて、ではまず目の前の彼女、ラウラ・ボーデヴィッヒについて考えてみよう。

年齢に対してやや不釣り合いな幼い身長と身体つき、サラサラと伸びる銀の髪に鋭さを残す赤い瞳。眼帯を身に付け毅然とした立ち振る舞いの彼女は一見すれば近寄り難いがその本質は乙女そのもので誰よりも純粋だ。ポンコツを発揮するのはご愛嬌。

俺に対する好意も高く、すぐに行動に移し俺の唇を奪ってきた。

一夏の方に行くかもしくはライバル止まりだという俺の予想を見事に裏切ってくれた。

正直、告白に近いこと……いや、それ以上のことをしてきた彼女の想いに応えるのが一番なのだが悲しきかな、この身は既にニュータイプ。行動に移せずとも想いを寄せる彼女達を感じ取ってしまう。

 

後ろの席ののほほんさんこと布仏本音。

ダボっとした制服や着ぐるみが似合うほんわか癒し系少女。そのバストは豊満でありその雰囲気と合わさり最強の母性を誇る。お菓子とお昼寝と可愛いものが大好きな優しい彼女に何度助けられたことだろうか。

最初は会長の計らいによる監視兼護衛だったのだろうが彼女に助けられたのは本当だし俺も感謝している。

彼女がもっと積極的だったならばこの状況に陥る前にその気持ちに応える未来もあったかもしれない。それほど彼女には心を許していた。

 

通路を挟んだ隣の席の相川さん。

転入した時からずっと隣の席だった彼女。他のクラスメイトや原作キャラを除くとよく話しかけてくれたし協力もしてくれた。

他のクラスメイトから聞くところによると一目惚れらしい。俺に一目惚れ、という前世では無い経験に最初は戸惑ったが彼女の純粋な気持ちは嬉しいものだった。

 

別の車両の簪さん。

最初は原作キャラと知らなかった彼女。別クラスの俺にISの操縦について教えてくれたし海に落ちた俺を助けてくれた。

気付いた時にはのほほんさんと一緒に想いを寄せてきていた。アニメの趣味も合うしいい意味で控えめで大人しい。落ち着いた雰囲気から繰り出された臨海学校の水着姿は死ぬかと思った。

 

 

以上の四人。全員レベルが高い美人揃いでハイスペックである。

無理、選べない。

なんでこんな事になってしまったのだろうか、窓の外から見える海を見ながら黄昏る他になかった。

 

世界で二番目の男性IS操縦者。ラビアンローズ所属のテストパイロット。気配り上手のインテリイケメン。成長真っ盛りのルーキー。

大層な名前を色々と聞くが俺自身の中身はいつだって変わらない、前世で無色透明な人生を歩んできた漫画とゲームとアニメが好きなただの一般人だ。

俺に想いを寄せている彼女達は果たして俺の前世を知っても変わらないのだろうか?いや、そもそもISを持ってる男性だから気になってしまっただけでそもそも前世のままの俺には目もくれないのでは?

 

「ダメだダメだ」

 

かぶりを振って思考を追いやる。

前世のことを知っているのは俺だけだ、俺だけしか知らない事で勝手に悩んで勝手にダメージを受けてどうする。気にしない事に決めたんだ、もう。

 

心配するラウラや他の女子の視線やスキンシップなどを必死に躱し続け、バスはサービスエリアに入り休憩の時間となった。もちろん俺は「トイレ」と言い残してバスを飛び出した。

 

「どうするか……」

 

トイレに向かい用を足し、バスには戻らず自販機コーナーの前でボーっと考え込む。いっそ輝さんに連れて帰って貰おうかな、帰り道一緒だし居るんじゃないかな。

そう思って端末を開いてSNSのアプリを起動し輝さんを呼び出せばちょうど来ていたようで駐車場に置いてある高級車を見つけて助手席のドアを開いて乗り込む。

 

「連れて帰ってください」

 

「うーん、無理かなぁ」

 

開口一番に頼み込むもあっさり却下。

 

「肉体だけでなくメンタルがもたん時が来ているのだアキラ!それが何故わからん!」

 

「シャアの真似をしても駄目でーす」

 

迫真の物真似を披露して懇願するも輝さんは口の前で指を交差させてバツを作り拒否した、なんでさ。

 

「連れて帰りたいのは山々だけどね、先に会社ですることがあるのさ」

 

そう言うと輝さんは肩を竦めてみせる。

 

「鋼夜くんが福音を墜とした事が知られて鋼夜くんの人気が急上昇、学園には干渉出来ないから学園ではなく企業側にスカウトや勧誘の連絡が色々なとこから殺到してるとこ」

 

「うーわ、ゲンキンなやつら」

 

相変わらずなアホな大人たちの行動にため息をつきながら吐き捨てる。

一夏だけ居ればいいだろ、とか言って学園から俺を追い出そうとしたり研究所送りにしようとしてきた奴ら絶対忘れないからな。

 

「まぁ、その辺は鋼夜くんに任せるよ。別に今すぐ決めなくてもいいことだし、三年間学園で考えてから決めても大丈夫さ」

 

そう言って輝さんは心配するなと頭をポンポンと叩く。本当にこの人が居てくれてよかったと心の底から思う。

もっと輝さんと一緒に居たい気分だがそろそろバスへ戻らなければならない時間となった。

 

「じゃ、近々夏休みの予定について話し合おうか」

 

「はい、ではまた」

 

そう言葉を交わして車のドアを閉めて輝さんと別れた。名残惜しい気持ちはありまくりだがもう少しの辛抱だと割り切るしかない。

 

「あの……」

 

覚悟完了しながらバスへ向かっていると声を掛けられた。そちらへ振り返ると学園の制服姿の女性。赤い髪を三つ編みにして垂らしているのが特徴的だ。確か3組のクラス代表の人だったと思う。

「なに?」と返事をすると3組の代表はビクッと肩を震わせる。確か男の人が苦手だと聞いたことがある。でも俺を呼ぶなんて何の用があるんだろうか。

 

「ありがとうお嬢さん。ごめんなさいね、用があるのは私なの」

 

3組代表の後ろから金髪の女性が現れる。どうやら彼女が俺を探すように頼んでいたらしく、3組代表は女性に一言残してそそくさと立ち去った。

長い金のブロンドの髪に水色の眼、タイトスーツの上からでも分かる豊満なバストと細いライン。絵に描いたような外国人の女性と二人きりになる。

 

「いきなりごめんなさいね?でも、ここを離れる前に貴方にお礼を言いたかったの」

 

「福音の……ですか?」

 

皆まで言わずとも俺は察した。俺の言葉に彼女、銀の福音の搭乗者ナターシャ・ファイルスは頷いた。

 

「そうよ。でもお礼より先に貴方達に多大な迷惑をかけてしまったわ……謝って済む事ではないでしょうけど、本当にごめんなさい」

 

「いいんですよ、全部テロリストが悪いんで。貴女も福音も、何にも悪くないですよ」

 

頭を下げて謝罪するナターシャさんに気にしていない旨を告げる。実際に悪いのは亡国機業の連中で実際福音は巻き込まれたのだ、悪くない。

 

「やっぱり、貴方はそう言ってくれるのね」

 

顔を上げた彼女の目尻に小粒の涙が溜まり、彼女はそれを指で拭った。

ああ、やっぱり、彼女も悔しかったんだろう。いや、この一件で一番悔しいのは彼女の筈だ。輝さんから聞いた話によると福音は暴走を起こしたため二度と暴走しないようコアごと冷凍処理される事が決定した。福音の暴走の理由、その最中に起きた戦闘の出来事、冷凍処理、全て全てが悔しい筈だ。

 

「あの子を止めてくれてありがとう、如月鋼夜くん」

 

少し赤い目元を見せながらナターシャさんは微笑んで右手を差し出した。握手を求めていること、感謝していることはわかっている。

だが、俺にはその手を取ることが出来ない。

 

「俺は……」

 

福音を止めることが出来なかった、と言葉を続けることが出来なかった。

ナターシャが一歩近づく。差し出された右手が伸びて俺の肩を掴む。左手は頰に添えられる。ナターシャさんの水色の瞳と視線が交差する。コロンの香りと共に彼女の整った顔が、唇が近付き、触れた。

柔らかく、少し湿った独特の感触が唇に。

 

触れ合ったのは短い間。ナターシャさんはスッと唇を離すと続けて耳元で囁いた。

 

「貴方の声、ずっと聴こえてたよ」

 

そう言い残すとナターシャさんは完全に俺から離れる。そして頰を少し染めながら再び微笑む。

 

「また会いにくるからね?私の可愛い騎士(ナイト)様」

 

そう言い残してナターシャさんは手を振りながら去っていった。

後に残された俺は呆然と立ち尽くす他になかった。

人生二度目のキス。まだ感触の残る唇を指で撫でる。

 

まさかこんな展開になるとは……思ってもいなかった。

普通にお礼言われて終わりだと思っていた。ニュータイプの機能もオフにしていた。いや、察したところでアレを避けるのかと言われると困るが、うむ、どうしてこうなった。

 

 

いや、本当、どうしてこうなった?

今のやり取りが行われていたのは駐車場で、バスと程遠くない場所。

今は休憩時間だったが時間が終わりそうだったので帰る途中に呼び止められた。しかも3組代表は俺の場所を知っている。

つまり「休憩時間になっても如月がいないぞ!」「あっちにいました!」「よし呼びに行くか!」という流れは容易に想像出来る訳で……。

 

俺は感じるまま(・・・・・)に辺りを見回した。

 

「嫁よ、これはどういうことだ?」

腕を組み仁王立ちでこちらを見つめるラウラ、その赤い瞳には怒りを滲ませている。

 

「こうやん……」

うるうる、と濡れそうな瞳から涙を零す3秒前ののほほんさん。泣かないでくださいお願いします。

 

「……」

真っ白に燃え尽きた相川さん。隣で谷本や四十院さんが肩を揺すって必死の蘇生を試みている。

 

「うぅ……」

キッ、と怒りの表情で俺を睨みつけるのは簪さん。しかしその怒りのほとんどは自分に向けてのものであり怒っても怒りきれない遣る瀬無さを感じる。

 

 

以上、ニュータイプの機能を弱めてもビンビンに伝わる4名の感情。

もちろんこの4名だけでなく他のクラスメイトの雑多な感情も伝わってくる。多数のエキストラにも今のやり取りは見られたという事だ。

 

「ハハッ」

 

目元を手で覆いながら天を仰ぐ。乾いた笑いも漏れる。

本当の本当に、どうしてこうなった?俺はただ、幸せになりたかっただけなのに。平和な第二の人生を送れるならば、それで良かったのに。

 

「……鬱だぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

すっかり口癖となったフレーズを叫んでその場から駆け出す。それに釣られて女子達が一呼吸遅れてから追いかけてくる。

 

俺の知っているアニメの範囲は終わったが、俺の苦痛な毎日はそう簡単には終わらないらしい。





最終話でヒロインをブッこむスタイル。
3組代表が遂に本編に登場。
ラウラのキスシーンに続いて二番目に書きたかったシーンです。アニメや他の二次創作で忘れ去られるナターシャさんをどうにかしたい、ならば自分で書いて満足するしかねぇ!
本来ならばまだまだ続く予定だったのですがリアル多忙により執筆の時間が取れず更新の幅が不安定になってきましたので、半ば打ち切りという形で本編については筆を置かせていただきたいと思います。

本編は、終了です。
一巻一巻原作の流れに沿っていく長期連載のスタイルが自分に合っていないと感じました。なので一応、着地地点として切りが良い福音戦で本編は終了。後は不定期で時系列も飛び飛びになりますが外伝や短編という形で「神様転生した者だが毎日が苦痛」は続きます。
アーキタイプ・ブレイカーのキャラとも絡ませたいですし最低限回収したい設定や伏線もありますので。
もう少しだけ、続きます。

数日後に本編終了後の時点での設定を上げます。そちらも是非お目通し頂けると幸いです。

連載から完結まで5年近い期間となりました。
私自身は軽い気持ちで書いた作品ですが想像以上の反響で私のメイン連載作品ともいえるものになりました。
原作を読み返しキャラの行動や設定に気を付けながら主人公や原作キャラをどう動かすか、毎回考えるのは大変でしたが楽しかったです。
拙い文章ながらも、失踪寸前でも、完結まで漕ぎ着けられたのはこの作品を手に取り読んでくださり応援してくださった皆様のお陰です。本当に、本当にありがとうございました。


2018.8.11 八雲紅







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