神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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ニセコイ見てた筈なのにISを見ていると錯覚してしまった俺は悪くない(錯乱)

箒「こんなのただのダイジェストよ!」
鋼夜「だったら見ればいいだろう」

会話ばっかりの、詰め込み過ぎの、本当にダイジェストな回


お話する第7話

 

転生者カミングアウトの後、お互いの自己紹介を再開した。

 

 

「ガンダム、好きかい?」

 

その途中で社長さんは机のカップに入ったコーヒーを口に含むと、俺に聞いてきた。

 

「うん、大好きSA☆……好きです」

 

……しまった、ついチャー研ネタで反応してしまった。

俺は恐る恐る社長さんの反応を待った。

 

「気にするな!」

 

社長さんは笑顔で宣言した。

まるで絶体絶命の状況下の砂漠でオアシスを発見した時のような、言葉の通じない異国で日本人を見つけた時のような、そんな笑顔だ。

 

この時、俺の中で何かを確信すると共に何かが弾けた。

 

「トゥッ!」と、俺。

 

「へァーッ!」と、すかさず社長さん。

 

「「モウヤメルンダッ!」」

 

最後は二人一緒。

 

 

「流派東方不敗は!」

 

 

 

「王者の風よ!」

 

 

「全新!!」

 

 

「系裂!!」

 

 

「天破侠乱!!」

 

 

「「見よ!東方は紅く燃えている!!!!」」

 

 

分かる人には分かるネタをひとしきりこなした俺と社長……いや、同志輝さんと熱い握手をした。

人は分かり合えると心で実感した瞬間だった。

 

 

「さて、話を戻そうか。僕はメカとかロボットが好きでね。この世界に来る前はそういう世界に行ってたんだ。最初はファーストガンダムの世界に行ったね。いやあ……懐かしいなぁ」

 

輝さんは話を再開した。

分かり合えた俺達は先程までの固い雰囲気から、友達との会話のような軽い雰囲気に早変わりしていた。

 

なるほど、輝さんがこの世界に来たのもメカ、というかISがあるからか。

 

「全作品のガンダムの世界に行ったんですか?」

 

「いや、宇宙世紀や割と最近のガンダム世界には行ったけど全部では無いなぁ。それに私は技術者側、というかMSが好きだからね。本編にはあんまり関わって無い……な、うん、多分」

 

「会社の名前がラビアンローズなのも、その関係?」

 

「まぁ、ラビアンローズは思い入れがあった場所だからね」

 

「具体的には?」

 

「エマリーに惚れたんだ」

 

「具体的過ぎます」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、大事な話をしよう」

 

輝さんとの熱いガンダム談義も一旦落ち着いたところで、輝さんが真剣な表情になる。

 

「分かっている通り君は二人目のIS操縦者となってしまった。政府の情報規制で君の存在を知る者は少ないが、完全とはいかない。君は今、危険な状態なんだ」

 

ISは女性しか起動できない。だが俺は動かせてしまった。何故なのか?世界の奴らはこぞって俺を調べたがるだろう。下手すりゃホルマリン漬けもあり得る。せめて輪切りに、あ、やっぱしなくていいです。

 

「それは分かります。でも、輝さんはどうして俺の存在が分かったんですか?」

 

しかし今の輝さんの言い分だと、何故俺の事を知っていたのか。

輝さんは初対面のはずなのに俺の名前を知っていた。

二人目の出現が分かっていても素性までは分からないはずだ。

 

「ああ、君の学校にISを貸し出したのが偶然にもうちの会社でね。社員から報告があったのさ。まぁ、二人目の出現は分かっていたから君が何処に居ても私達は君を見つけるつもりだったよ」

 

と怖い事をさらりと言う輝さん。

ていうか政府の情報規制が(笑)状態じゃないか。速攻でバレてるじゃん。

 

 

「じゃあ、束博士は……」

 

束博士。俺をターゲットとか言っていたあの人。養豚場の豚を見るような目をしていたあの人。

 

「……君が発見された時に私がついうっかり二人目の存在を言ってしまってね。まぁ、彼女ならいずれ自分で見つけるだろうからソレは良かったんだが……つい「会いたい」と呟いたら「じゃあ連れてくるよ!」と目にも止まらぬ速さで部屋を出て行って……。正直すまないと思っている」

 

「あ、いえ……」

 

輝さん、貴方も苦労してるんですね……。

 

「あ、じゃあ束博士とはどういう関係で?」

 

これも気になった事。

束博士は指名手配されている。アニメしか見てないが束博士は一人で行動していたはず。

それに見た限り束博士と輝さんは仲が良いように見える。

専用の通路と隠れ家(俺が拉致られた際に通った道。束博士が勝手に改修したらしい。確かに正式な社長室の扉が落書きされてたら色々ヤバい。ちなみに隠し扉は社長室側からだと見えない)があるくらいだ。

 

 

「白騎士事件は知っているね?」

 

「はい。……束博士と織斑千冬が引き起こしたと言わてれるんですよね」

 

「うん、その通りだよ」

 

俺の問いに社長は難しい顔をしながらも答えた。

アニメの最後で事件についての意味深な会話をしていたのを俺は覚えている。

 

「知っているならいい。束はISを世界に公表した。しかしISは評価されなかった。……物好きな一つの企業を除いてね」

 

「まさか……!」

 

輝さんは俺の想像が答えだと言わんばかりにニヤリと笑う。

 

「そう、その物好きな企業がここさ。でもまぁ、企業一つじゃ満足しなかったんだろうね。結局事件は起こり、ISの有効性は証明されたが束はISの製造方法を唯一知っている重要人として世界から追われる事になった。……まぁ、その時の縁で顔と名前は覚えて貰ったのさ」

 

「で、今に至ると」

 

話を聞いて納得した。

ISは元は宇宙へ行くためのパワードスーツ。ガンダムの世界に居た輝さんにとっては興味の湧く対象だったのだろう。

 

「ああ。しかし皮肉なものだね。宇宙開発のために作られたISは軍事用に転用され、各国はISの開発資金を宇宙開発へ回していたものから取っていったんだから」

 

そう言って輝さんは遠い目をする。

 

確かにISは軍事利用、というか兵器としては開発されているがISを宇宙で使うという事は聞いた事が無い。

 

 

「さて、なんやかんやで大事な事を言い忘れてたよ」

 

遠い目を辞め、再び真剣な表情で俺を見つめる輝さん。

 

「私は君をラビアンローズのテストパイロットとしてスカウトしたい。もちろんタダで、とは言わない」

 

「では、お願いが二つあるんですがいいですか?」

 

俺の返答に輝さんは微笑む。

 

「ふふ、交渉とは中々やるじゃないか。いいよ、叶えられる範囲なら協力しよう」

 

「ありがとうございます。では一つ目なんですが、専用機が欲しいです」

 

「その点なら抜かりはない。君の出現に合わせてちょうど我が社の試作ISの開発が間に合うようにしておいた。君がIS学園に入るまでには完成するよ。君の要望が取り込めないのが残念だが、しばらくは我慢してくれ」

 

俺が望んでいた以上の答えを出す輝さん。

 

「充分過ぎますよ、ありがとうございます。二つ目は、家族についてなんです」

 

家族。この世界で、俺をここまで育てくれた両親。とても感謝している。

 

「なるほど、重要人保護プログラムの事だね?」

 

輝さんの問いに俺は頷く。

俺がIS学園へ行き、存在が明らかになれば俺の両親は重要人保護プログラムによって家族離れ離れになるだろう。

 

前世の俺は親孝行出来ずに死んだ。

今世の俺は家族をバラバラにしようとしている。

とんでもない親不孝者だよ俺は。

 

「はい。俺をここまで育ててくれた、大事な家族なんです。無茶なお願いだということは分かっています。でも、それでも、お願いします!」

 

そして俺は頭を下げる。

しばしの沈黙。

緊張が辺りを包む。

 

「やれやれ、そこまでされたら本気になるしか無いじゃないか。政府に掛け合ってみるよ」

 

輝さんの言葉に俺は頭を上げた。

 

「君は優しい子だね」

 

輝さんは満面の笑みを浮かべながらそう言ってくれた。

そして、俺の前に再び手が差し出される。

 

「ありがとう、ございます。……そして、よろしくお願いします」

 

泣いてたかもしれない。呂律が回ってなかったかもしれない。酷い顔だったかもしれない。

でも、俺は確かに、その手を取った。

 

 

 

 

 

「いけないいけない、つい話が弾んでしまったよ」

 

シリアスな雰囲気を切り替えたかったのか、難しい顔を笑顔に変えてそう言った。

輝さんの言葉で、ふと部屋に備えられている時計を見れば既に18時を過ぎていた。

 

「あ……」

 

思い出した、帰りどうしよう。

束博士に拉致られて着の身着のままだよ俺。

ていうか親が心配してそう。絶対してる。

 

「親御さんへ連絡するのかい?」

 

携帯を取り出すと、輝さんが声をかけてきた。

 

「ええ、一応。迎えに来てくれるかどうかは分かりませんが」

 

「……本当にすまないね」

 

「いや、輝さんは悪く無いですよ……」

 

ほとんど束博士のせいだと俺は思う。

 

「ほうほう、では全部束さんが悪いと言っちゃうんだね?」

 

唐突に誰かに肩を掴まれる感覚がした。

そして自分のすぐ後ろから聞こえる第三者の声。

 

「ああ、全部君が悪い。それと彼から離れてくれないかい?」

 

「あちゃー、あっくんってば手厳しいね」

 

いつの間に俺の背後に現れたのだろうか、束博士が肩を掴んでいたようだ。

束博士はしぶしぶといった表情で俺から離れると輝さんの隣へ立った。

 

「待ってろ、と言っただろう」

 

「だってお話しが長いんだもーん」

 

嘆息しながら束博士に注意する輝さんだが当の本人はどこ吹く風といった様子で笑って受け流す。

 

「ほーんと不思議だよねー。あっくんの言ってた通り、いっくん以外の子が出てきちゃった。ねね、この子調べていい?」

 

笑いながら、さらりと怖い事を言う束博士。

しかも相変わらず目が笑っていない。

何をされるかは分からないが恐らく彼女に捕まったら最後だろう。

 

「彼は我が社に迎え入れる事にしたんだ。手を出すなら、たとえ君だろうと許さない」

 

「冗談だよじょうだーん」

 

束博士を抑えた輝さんすげぇ。

「あっくんが言うなら仕方ないよねー」と呟くと、束博士はくるりとこちらを向く。

 

「えーっと、如月鋼夜くんだよね?長いから「こうくん」でいい?いいよね?はい、けってーい」

 

「え、ちょ、え?」

 

「束さんの事は好きに呼んでくれていーよ☆」

 

束博士のマシンガントークに圧倒される俺。

や、ヤツの目が養豚場の豚を見るような目から新しい玩具を見つけたような目になってやがる!

 

「じゃ、じゃあ、束さんで」

 

「んー、まぁいっかな。よろしくねー、こうくん」

 

初対面の時のように無理やり握手され、手をブンブン振り回される。

 

「IS学園に行くんならちーちゃんといっくんと仲良くしてねー。あ、あと……」

 

束さんは手を振り回すのを辞め、俺に近づき。

 

引き続き(・・・・)箒ちゃんをよろしくね」

 

そう、耳元で囁いた。

ゾクリと、背筋が寒くなる。

 

束さんは何事も無かったかのように笑顔に戻ると「じゃ〜ね〜」と言い残し、部屋から去って行った。

 

「……あ、帰り……」

 

「……親御さんには私から話そう。携帯を貸してもらえるかい?」

 

俺は携帯を取り出し家族に連絡を入れる。

繋がった瞬間の母さんの怒鳴り声で一瞬耳を携帯から離した。

父さんも母さんも本気で心配していたようだ。まぁ、本当に拉致られたし。

 

事のあらましを両親に伝え、輝さんへ携帯を渡す。

 

両親と輝さんの交渉の結果、俺は輝さんの家に一晩泊めて貰える事になった。やったぜ。

 




輝邸(豪邸)

輝「アストナージさんは僕の師匠でもあり尊敬する人だよ」
鋼夜「……サラダでした?」
輝「ああ……サラダだったよ」

鋼夜「ISの世界に来る前はどこの世界に?」
輝「GジェネレーションOW」
鋼夜「やべぇよ……やべぇよ……」

輝「どんなISがいいんだい?」
鋼夜「人類を導くISで」
輝「流石に無理かな」

二人は幸せな会話をして終了


次回からIS学園へ飛びます、キンクリします
このままだと主人公が一向にIS学園に行かないので
空白の期間は回想か何かでやります(適当)

そういえばまたランキングに載ってました
こんな作品と作者ですが、よろしくお願いします

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