そしてネタ回
時は飛んで、今日はIS学園の入学式。
俺は学園行きのモノレール乗り場の入り口に居た。
「ついにこの日が来たね」
そう声をかけてきたのは輝さん。
ラビアンローズ所属のテストパイロットになってから今日まで訓練漬けの日々だった。
先輩パイロットさん達から優しく手ほどきを受け、日々頑張ってきたが輝さんの存在があったからここまで来れた。輝さんは癒し。あと、俺はホモじゃない。
「頑張れよ、親友」
「たまには連絡くれよな」
泰河と玲児の親友二人も見送りに来ている。
IS学園の入学式は一般の学校より早い。
なので、彼らがここに居るのは不思議な事ではない。
「ご両親の方は来られないけど、君の入学を祝っていたよ」
今、この場に居るのは俺を含めたこの四人だ。
結論から言うと両親と俺は離れ離れにならなかった。
ラビアンローズが管理する土地に護衛付きで暮らす事になり、父さんがラビアンローズに務める事になったが、家族の縁が切られることは無かった。政府が引き下がったらしい。
「ラビアンローズって凄い会社だろう?お父さん重役になっちゃったよ」「趣味に精が出せるわ」と、逆に二人から感謝された。
まぁ、喜んでくれてなによりだ。
「ありがとうございます」
俺は三人に礼をすると、必要最低限の荷物が入ったスポーツバックを担ぎ、モノレール乗り場のホームへ向かう。
ちなみに、着替え等の大体の荷物は既に学園に運びこまれているらしい。
いざ、IS学園への一歩を……
踏み出さなかった。
スポーツバックをその場に下ろし、回れ右。
その場からダッシュで駆け出す。
親友二人の脇を抜け、外へ脱出
「逃げるな!」
「これで何度目だ!」
出来なかった。二人に捕まった。
親友二人は俺の行動などお見通しと言わんばかりに手際良く俺の逃走を妨害してきた。
「やだ!小生やだ!絶対行きたくない!HA☆NA☆SE!」
「キャラがブレてるよお前」
ジタバタと暴れ、二人の拘束から逃れようとするが離れない。
逃げようとするのはこれが初めてではない。
何故逃げようとするのか?それは今日の早朝まで遡る。
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「おはよう鋼夜くん」
「おはようございます」
今日の早朝に俺は社長室に呼ばれた。
理由は勿論、今日がIS学園の入学式だからだ。
「いよいよ今日だね」
「ええ、やっとこの日が来ましたよ」
俺と社長は応接用のソファに座ってコーヒーを飲みながら会話している。
「あ、そうだ。ハニートラップには気を付けてね」
いつもの他愛ない会話。
その途中でふと気付いたように輝さんは言った。
「ハニートラップ?」
なにそれ、初耳。
「簡単に言えば、色仕掛けだね。君やISの情報は貴重だから、女の子を使って色々してくるかもしれない。ルパン三世の峰不二子と言えば分かるかな?」
おーけいわかった。
わかりたくないけどわかった。
ぎぎぎ、と壊れたからくり人形のようにゆっくりと首を輝さんに向ける。
「恋愛、ダメなんですか?」
「IS学園は女の子だらけだからね。でも代表候補生は目立った真似は出来ないから大丈夫なんじゃないかな?それに代表候補生ってヒロインでしょ?」
そう言ってニッコリと微笑む輝さん。
違う、違うんだよ。
「童貞、捨てれないんですか?」
「気持ちは分かるけど、既成事実は一番怖いんだ。そういうのは厳禁だよ」
へー、そっかー、恋愛ダメなんだー。
ふふふ、ふふっ、ふふふっ。
あははははははははははははははははははは。
「ラブコメの世界で恋愛出来ないとかふざけんなぁぁぁァァァァァァァ!!!こちとらそれが楽しみで今日まで頑張って来たんだよ!!返せよ!俺の生きがい返せよ!」
俺は立ち上がり、咆哮を上げた。
叫ばずにはいられない!
「ち、ちょっと落ち着いて鋼夜くん。代表候補生は目立った真似が出来ないから、それだけで身の潔白を証明出来てるんだよ?ヒロインと恋愛出来るんだよ?……多分」
慌てて弁解、もといフォローを入れる輝さん。
だが違う、全然違う。
「その身の潔白が証明されているヒロインは全員主人公に惚れるんですけどぉ!?そもそも俺はヒロイン全員に興味無いし一夏のラブコメ騒動に巻き込まれたく無かったから最初は原作に関わりたく無かったんだよ!」
ISに乗れるのは確かに魅力的だよ。
それにモブとはいえ、一人一人が美人だったと記憶しているIS学園。
ひっそりと美人モブと恋愛したかったという密かな下心で原作介入してもいいかな、って思って今日まで頑張ってきたんだよ!俺は!
前世で「脇役スキー」「ヒロインキラー」「ギャルゲー殺し」と呼ばれた俺を舐めるなよ!初めてやったギャルゲーのリトバスで好きになったキャラはクドでも小鞠ちゃんでも無い、佐々美の取り巻き三人だぞ!凄いだろ!自分でも悲しくなった!
「俺は主役になれなくていいんだよ!エンディングか何かで主人公とヒロインの結婚式に、先にモブキャラと結婚してて画面の端っこで嬉しそうに主人公とヒロインを見守る親友ポジでいいんだよ!ていうかそれがいい!IS学園なんかに行ってられるか!俺は部屋に帰るぞ!」
「だ、ダメだよ!鋼夜くんの事はもう世間に発表しちゃったんだから!」
「んなもん知るかァァァァ!!!くぁwsでfrgtyふじこIp;@」
「ゲキガンパンチ!」(物理)
「たわらばっ!」
俺の記憶は一旦、ここで途切れている。
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以上。今日の早朝の出来事。
それから何度か逃亡を図ったがことごとく阻止された。
わざわざ見送りに来た親友二人に事情を説明したが二人は阻止隊の方へ裏切った。ナンテコッタイ。
「死なば頼朝!お前らも学園に来い!」
「お前の事情は分かったよ!俺達も一緒に行ってやりたいよ!」
「でも事情が事情だ。受け入れるんだ鋼夜。メールでも電話でもいい、愚痴とか相談とか聞くからさ」
ああ、悲しきかな。親友の気遣いが痛い。
俺は最高の友を持ったよ。
でも学園には行きたくない。
いや、学園に行く意味が無いのだ。
俺は前世で満喫出来なかったハイスクールライフ(もちろん恋)をやりたかったのと、ISに乗れるから学園に行こうと、原作に介入しようと思ったのだ。
だが恋愛はダメときた。ならば残るのはISのみ。
だが正直、学園に行かなくてもISには乗れる。てか実際、昨日までラビアンローズの特訓施設で乗ってたし。それにハニトラ蠢く高校生女子軍団より、ラビアンローズの先輩操縦者たちの方が遥かにマシである。
さて、楽しみが無い状態で、死亡フラグ&面倒なイベント盛りだくさんの学園に行きたいか?
答えはノーである。
だから、学園に行く意味が無いのだ。
なんで俺こんなに悩んでるの?俺なにかした?
あーもう、どれもこれも全部織斑一夏が悪い。なんもかんも一夏が悪い。お前がさっさと誰かとくっついてりゃ良かったんだよ!だからホモって呼ばれるんだよ、あのホモ野郎が!
「ホモのくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何が二人目だ!俺はふ◯◯◯かよオラァァァ」
「止めろ!今ここに人は居ないからいいが止めてくれ!」
「あとさりげなく自虐すんな!」
俺は他の生徒とは時間をずらして登校するため、今このモノレール乗り場には俺達以外に誰もいない。他の生徒は既に学園に居るだろう。
時間をずらしたのは未だに俺を狙う奴がいるから、だそうだ。
「玄武剛弾!」(物理)
「げじゅぺんすとっ!」
いつの間にか近付いていた輝さんの一撃により意識が遠のいてゆく。
最後に視界に入ったのは怒りのオーラを全身に纏った、笑顔の輝さんだった。
輝さんは怒らせてはいけない。教訓にし…よ……。
そして俺は意識を手放した。
主人公がIS学園に行かない(物理)
タイトル回収完了
鋼夜くんの(苦痛に満ちた)IS学園での日常がはっじまっるよー
鋼夜くんの知識はアニメ一期だけです、ここ重要
あと鋼夜くんはヒロイン勢をdisってる訳では無いです
もしそれだったら序盤で箒に話し掛けませんし
ガンダムかっこいいよね、でもボールが一番だよね
って感じです