誰も助けてくれない -Can you hear me?- 作:麒麟犬
そこを誰かが通っていたのであれば必ず痕跡は残る。例えばなんてことのない、変哲のない森の道があったとしよう。そこを兎が通ったとする。兎を餌とする動物はそれをどうやって追跡するのか。鼻がきくものなら嗅覚を駆使し、目が良い物なら足跡を辿る。鉄血なら残されている人間の足跡を踏みつぶしながら探すだろうが、目で足跡を辿りつつ聴覚で不審な音を探るだろう。
いつもなら追われる立場にあるローガンだが、今回ばかりは色々と違う。地下に入った彼がAR15達の後を追う為にまず注目したのは、まず倒れている鉄血の戦術人形の骸である。損傷はそれぞれ異なるが、彼らの敵対の対象となるのはAR15達しかいないので迷う必要はない。
倒されている鉄血達の後を、パン屑を追って急ぐ。右へ、左へ、真っ直ぐ。道中で敵に出くわすことも一切なくスムーズに追跡していく。
やがて銃声が聞こえるようになるとローガンは音のした方を走り出した。銃声は一種類だけのものではない。タンッタンッ!と軽い音があれば、ズダダダダダッ!と重い銃声もある。走っているうちに鬱陶しくなったので頭にかぶっているニット帽を脱ぎ捨てた。
突入する前であればフラッシュバンを投げ入れてから入るなどするのが定番ではあるが、先にAR15達が突入しているため今は関係ない。半分閉じかかっていた扉を蹴破ってカスタムM4を構える。
「間に合ったようだな……!」
一度銃声が止むたびに焦りが募っていたのだが、考えていた事態になっていなくて安堵した。とはいっても、AR小隊の全員が取り押さえられてしまっている状態だが。
「ローガン……!?」
「ようやく来たか。遅刻だぞ、ローガンさんよ」
二丁のハンドガンを両手に持つ女がこちらに視線を向け、ニタリと笑みを向ける。墜落現場で見かけた鉄血のハイエンドモデルであった。
「時間の指定をしなかったのはそっちの落ち度だろ?」
「たしかにそうだな。AR小隊の二体しか来なかったのはなぜかと思っていたんだが、質問は受け付けてくれるか?」
「わりいがそいつはお断りだ!」
サイトにハンターを捉えて引き金を引く。発射された銃弾のコースの先に間違いなくハンターを捉えていたが、それを読んでいたのかハンターは体を半歩片足を後ろへと引いて回避した。舌打ちしたローガンは二発、三発と続けて発砲。しかしどれも悉く回避され、距離を詰められた。顎を狙うかのような一撃が来たのをなんとか避けるがギリギリであったためカスタムM4を庇い切れなかった。愛銃は部屋の上部からハンターの背後へと飛んでいく。二撃目となる正拳を首を動かして避けたローガンはその腕をつかみ背負い投げの要領で力任せにぶん回した。ハンターは受け身を取ったことで事なきを得て、ローガンはナイフとP226を抜いた。
「ほう、話では聞いてたが『アッシュ』を相手取ったことだけはあるな。狙いは正確、近接戦闘もバッチリだ。そんじょそこらの奴らに後れを取らないだろうな」
「……そいつはどうも」
「だがまだ動きにキレが見られないな。それがなぜかはわからないが……まあいいだろ」
ハンターはそう言うとハンドガンを一丁しまった片手でなにかのボタンを取り出し赤いボタンを押した。途端、ドンッ!とローガンが入った扉が爆発し瓦礫によって崩れた。つまり、退路を断たれたのである。
「知ってるか?本物のハンターは、黙って獲物を待つものだ。集中して銃を構えて、狙ってる先に獲物が飛び込んでくるのを待ち構える。私の戦い方そのものさ」
「そうかい。なら俺はその狩人を正面から戦うことになる獲物ってわけか」
「そうさ。それと安心しな。アンタの周りにいる雑魚共には手出しをさせないさ。エクスキューショナーじゃないが、アンタとはタイマンで戦いたいから、ねっ!」
再びホルスターにしまったハンドガンを取り出したハンターは同時に銃撃をかましてきた。殺意が収束していくのを感じ取ったローガンはすぐさま横へと走り出す。ダダダンッ!と放たれた弾丸が先程までいた位置の背後の壁を穿った。経験と直感による回避を行ったローガンを追うようにしてハンターはハントガンを連射するが、それよりも早く彼は最寄りの柱へと隠れた。
「いいねいいねぇ!ただ撃って隠れるだけの一兵とは全然違うじゃないか!」
さて、これからどうするとローガンは考える。現在手持ちの装備はハンドガンのP226とナイフ、四つのスモークグレネードにC4爆弾が三つ。予備の弾倉はあるが、正直あれほどのハイエンドモデルを倒すには全然足りない。かといって、考えなしでカスタムM4をまた回収しようとしてもハチの巣にされるのが関の山だ。一人で戦わず、取り押さえられているAR小隊の全員を助け出し共闘する。それは勝利する上での絶対条件。だがそれもスモークグレネードを巻いてそれに乗じて救出しようとしても、先程のように高速で同じく突っ込まれてジ・エンド。
前回アッシュというハイエンドモデルとの戦闘になったときは、ケイドとの共同戦線であったためある程度自由がきいた。とはいってもこちらがC4爆弾を仕掛けた建物に誘導してもらい、完全に誘い込まれているところを見計らい爆破して潰しただけだったのだが。
現在の戦闘状態は明らかにワンオンワン、一対一である。やりようはいくらでもあるが、それをするには一人でやるには手が足りない。こうして牽制するのも合わせて撃って移動しても、物資を消費して時間が経つだけである。しかし三回目の牽制射撃と移動をした時だった。走っている最中に初めて顔を合わせた時から闘志を見せた少女がこちらを見ていたのである。まるで、信じてずっと待っているかのように。
彼女を信じるだけの価値はあった。
ローガンは二つのスモークグレネードのピンを抜くと、一つは自分の足元に、もう一つはその少女の下に落とした。バシュンッ!と煙が発生したと同時にローガンは走り出す。そしてうつ伏せになっているその少女を取り押さえているリーパーの喉元をすれ違いざまに掻っ切ると、そのまま止まることなく走り出す。その際、ローガンはあるものを少女の目の前に落とした。
やがて戦術人形としての脚力を全開にしたハンターがローガンの元に突っ込んできた。蹴りを横っ腹に食らい、彼は横に数メートル転がる。
「ガ……ハァ……!」
呼吸の仕方を忘れてしまったかのような錯覚に陥る。肺に酸素を送り込もうとしても、食道のどこかに蓋が生まれて遮っているかのようだった。
「……おいおい、一対一の状態で背中を見せる阿保なのかアンタ」
やがて体が思い出したかのように急激に肺に空気が送り込まれる。ローガンは大きく咳をするかのようにえづいた。
「まったく、急に冷めてきたよ。鉄血にも響いたその二つ名はただのまやかしだったのか?がっかりだよ」
「……そう、思うか?」
おもわず笑ってしまう。
「なあ、狩りをする時の狼ってのはどう動くのかてめえは知っているか?」
「……知るかよ。今じゃ、生存している動物ってのは絶滅危惧種のようなもんじゃないか」
「だったら教えてやるよ。狼ってのは、単独でやるにしても群れでやるにしても、共通している部分がある。それはな、群れから弱っている個体を引き離すことさ」
ローガンはハンターの方に笑みを浮かべる。どういう笑顔なのかはわからないが、彼女は怪訝な表情である。
「奴らは脚がそんなに早くなくても持久力なら他よりも一線を引いている。狩りが成功する可能性は低いが、巨大な群れにもなれば成功率は十割なんだそうだ。さて、ここで問題だ」
さらに、ニヤリと口角を上げる。
「俺は今、どうてめえを狩ろうと考えていると思う?」
その瞬間だった。ローガンからすれば右斜め前、ハンターからすれば左斜め後ろの方からタンタンッ!とP226の銃声が響きハンターのボディに傷を与えた。
「なん……!?」
ハンターが振り返ってみてみれば、そこには銃を構えるAR15が。そう、スモークを投げた先で彼を信じて待っていたのは彼女だったのだ。
「この、人類の道具がぁ!!」
片手の拳銃を撃とうとするが、それをローガンが許すはずもない。すぐに飛びつき、構えていた拳銃を持っている手にナイフを突き立てた。ハンターは短く悲鳴を上げはしたものの、すぐにもう片手の拳銃でローガンを撃とうとした。それをナイフを持っていない右手で押さえる。
「ローガン!!」
「今はいい!他の奴らを助けろ!!」
頷いたAR15はすぐに照準をAR小隊を取り押さえつつも反撃しようとしているリーパーやヴェスピドに合わせ、トリガーを引いた。次々とバタバタと倒れ、彼女のチームメイトは自由になる。
「ようやく自由になれたよ!」
「反撃開始だ!指示を出せM4ォ!!」
「SOPIIは私と一緒にハンターを半円に囲んで!M16姉は彼のカバーを!AR15は―――」
迷いない指示を、信じるチームメイトに送る。
「―――彼と攻撃を!!」
「ラジャー!」
「おっしゃあ!!」
「了解よ!」
指示を了承し、行動を開始する。それぞれの名を冠する銃を拾ってから彼女達の動きは早かった。SOPIIはM4の指示通りに半円になってハンターの隙が生まれるものなら撃ち、M16は近接戦闘で危うくなったローガンの盾役として動いた。そしてAR15は―――
「ローガン!これを!」
「おう!」
自分の愛銃を拾ってからはローガンのカスタムM4を彼にパスし、自分も直接攻撃に加わった。
受け取ったローガンはチャージハンドルを引き、フルオートでハンターを撃った。バババババッ!!と銃弾が至近距離でハンターに風穴を空ける。
「舐、めるなぁあああああああああああああああああああああああああ!!」
しかし鉄血のエリートであるハンターも負けていない。すぐさまローガンに照準を合わせ発砲としようとするが。
「させるかぁああああああああああああああああああああああああああ!!」
気合一閃、その言葉が似合う一撃をM16はハンターにお見舞いする。ガゴォンッ!!と頑丈な盾として特注した銃のアタッシュケースをハンターの横っ面にぶつけたのである。
「SOPII!」
「うん!」
ガガガガガガガ!!と射線上に誰も被らなくなったことでM4とSOPIIが銃撃を浴びせた。装填されているマガジン内の弾薬が尽きるまで、である。だがまだ倒れない。
そこでAR15がマガジンを装填、ボルトキャッチのボタンを押して空の状態からのリロードを完了させた。
「終わりよ、ハンター!!」
放たれた一発は、未だに足掻こうとするハンターの眉間を正確に貫いた。
ビーピピ、ピガガガガ……と機械音を発しつつも銃を持ち上げようとするが、やがて完全に動作を停止した彼女は仰向けにドシャリッ!と倒れる。
油断せずローガンが接近し、拳銃を遠くへ蹴り飛ばす。そしてハンターの、鉄血工造ののみならず全ての戦術人形の心臓部であるコアをボディから取り出し、それを銃撃でもって破壊した。ヴィイイイイイ……と音を立て、発している仄かな光は消失する。
「……ハンター、KIA。繰り返す、鉄血工造エリート『ハンター』、KIA」
静かに発せられたローガンの報告は、静まり返った地下の大空洞に響き渡った。
「ようやく……ね」
「や、やったの……?」
「間違いない、私達も目の前で見ただろ?」
「ええ……勝ったのよ、私達は」
静かに余韻をかみしめるものだと思っていたローガンだったが、SOPIIから勝利による熱の発散が始まりそれが伝播していった。
「やった、やったよぉ!ローガンと私達AR小隊の勝利だぁ!!」
「よっしゃあ!久しぶりにハイエンドモデルなんて大物をぶっ倒したぞ!帰ったら祝杯だ!」
「二人とも、帰ってからのことを考えるのはいいけど、今は帰ること自体を考えないとよ」
「なんだAR15。お前は嬉しくないのか?色々と厳しかったりしたが感無量じゃないか」
「嬉しいに決まってるじゃない。ただ……」
「あ~、わかった!AR15、もしかしてだけどローガンともう一緒に―――」
「そそそそそSOPII!そんなことないし私は別に―――!」
「まだ何も言ってないよ~?」
「~~~!!SOPII-!!」
三人が何かを言ってるが、一日分の疲労が人間であるローガンに一気に重石を掛けた。倒れるほどではないが、壁に寄りかかりたくはなった。重い脚を近くの柱まで運ばせ、ローガンは背を預けて溜息を一つ吐いた。
「ありがとうございます、ローガンさん」
声を掛けられたためそっちに視線を向けてみると、こうして顔を合わせるのは初めてになるM4が微笑みながら立っていた。
「こうして私達AR小隊がこうして全員無事でハンターを倒すことが出来たのは、あなたのおかげです」
「……別に俺がいなくてもなんとかなったんじゃないか?」
「いいえ、そんなことは絶対にないです。あなたが来なければ、私達全員やられてましたから。強いあなたが来てくださって本当に良かったです」
「だが……」
「M4の言う通りさ」
さっきまで少し遠く離れてたところで勝利に震えていた三人が歩み寄ってくる。
「さっきの戦闘のみならず、救出に来た面子であんたがいなかったらこうはならなかっただろうさ」
「うん。私を助けてくれてスープまでも食べさせてくれたのはローガンだしね!」
「だからこそ言えるわ。救援に来てくれたのがローガン、あなたでよかったって」
「……そうか」
兵士として以前に、男であれば憧れる多くの人からの感謝の台詞を多く浴びる英雄としての自分。それは虚像で実現させることはできないエゴでしかない。しかしこうして、数としては少なくても自分が手を差し伸べた人から『助かった』、『ありがとう』という台詞を聞いただけでこうして満ち足りた気分になれる。今そうなっていることにローガンは思わず笑みがこぼれた。
「さて、AR15じゃないが帰り道をどうにかしないとだな。誰か何か策はないか?」
「瓦礫をどうにかしないとですね。爆薬で爆破してはさらにまずいことになるでしょうしどうしましょうか」
「手で掘り返す、というのはあくまで最終手段ね。もっと効率的な方法があると思うんだけど……」
「ね~、指揮官のお土産に奴らからなにをとっていけばいい~?」
そこからはもう元のAR小隊の雰囲気というか、空気になっていたようだった。SOPIIは倒した戦術人形から何を持ち帰ろうか悩んでいる間にM4とAR15があれこれ案を出してM16がまとめる。グランドでは見られない、和気藹々とした部隊の様子であった。
さて俺もなにか考えないとだな、と身を乗り出したローガンの視界の端で何かが映った。そちらに視線を向けてみれば、一枚の扉であった。嫌な予感が止まらなくなったローガンは早足から走り出し飛び込んだ。
扉の向こうは明かりが一つもない暗闇の世界だった。だが、ローガンはそこにあるものがわかってしまい、よろよろとそこに歩く。近づいたことでさらにその存在がわかってしまった。
おそらくハンター達が発見した時はまだ生きていたのだろう。それを証明するかのように拷問の後が見受けられた。もし既に死んでいるのであれば尋問するために痛みつける意味がない。では、奴らは何を聞きだろうとしていたのか。言うまでもない、ローガンのことだ。ハンターはAR小隊の救出に現地入りしていた隊員のうちの一人が二つ名持ちのローガンであることを知っていた。ハンターには『戦い』と言わず『狩り』と呼んで楽しむ趣向があった。自分の戦い方を実行するために、彼から情報を聞き出そうとしていたに違いない。だけど彼は口を割ろうとしなかったのだ。自分の仲間を、誰にも明かせないことに苦しむローガンという相棒の為に。彼は、ケイドは、一人でここで戦っていたのだ。
「……ローガン」
追いかけてきてくれたのだろう、背後の扉の方からAR15の声が聞こえる。
誰もいないから泣けると思ったのに、一番見られたくない奴に来られてしまった、ローガンはそう思った。
「……すまねえけど、今は一人にしてくれないか」
「……駄目よ。みんなでここから帰るのよ」
「頼む、あとでちゃんと合流する。だから―――」
「今ここで一人にしたら、あなたが壊れてしまうじゃない。それだけは、私も嫌だから」
それはまるで女神からの福音のようであった。一人の少女は青年が抱えきれない痛みを自分も持つために傍に歩き、ケイドを抱えて蹲るローガンの頭をそっと自身の胸元へと優しく抱き寄せた。花のような甘い香りと体温が痛みに耐えようとするローガンを包みこむ。そこでもう限界だった。
「もういいのよ、独りで我慢しなくて。もう泣いていいから―――」
―――ああ、なんてずるいのだろうか。こうして意地を張り続けてきたというのに、この子は……。
「―――頑張ったわね」
ローガンは泣いた。ただ相棒を失ったことによる喪失感だけでない。ここまで踏ん張り続けてきたのをわかっている、それを認めている。その上でもう頑張らなくていいとAR15という一人の少女は言っているのだ。それに何も感じないなんて真っ赤な嘘だ。
戦争という、今では当たり前となっている日常。そこには人間であっても戦術人形であっても死が溢れている。そこでどっぷりと身をさらし続けることになるのであれば、心の支えになるものが無ければ耐え続けることなどできるわけがない。
ようやく、自分がやってきたことは無駄でなかったのだと、誰かに認めてもらえるのだと知ることが出来たローガンはただただ泣き続けた。
自分に枷を課してしまったことで誰かに助けられることがなかった一人の青年が、ようやくその枷を外してもらえたのである。
―――☆―――
あれからもう一ヵ月、いやまだそうなってはいないがもうすぐでなろうとしている。
グリフィンに帰還した私達を待っていたのは、心配してくれていた指揮官と多くの戦術人形の皆であった。今まではなんてことはない、会話でしか関わってこなかった子たちが泣きながら私が戻ってきたことに喜んでくれた。きっと、疎外感を感じていたのは私だけだったのだろう。
それからはまず一日だけ休暇をもらった。私達は戦術人形ではあるが、疲れを全く感じないわけではない。SOPIIはシャワーを浴びたら泥沼に沈むように眠っていた。姉さんは昼間なのに『酒呑んでから寝る』と言ってきかなかったが、それにトンプソンが付き合って問題がなかったようだったので大丈夫だったのだろう。M4は私と事後処理にあたって必要なものの段取りを組んでいたのだが、指揮官に無理やり休まされた。私達があの地区、今まで観測したことのない不明のハイエンドモデルの反応の調査を始めた時は緩く送り出したのに、こっちが言うこと聞かない時の強引さには少々言いたいことがあるのだが、まあいいだろう。
翌日はひたすら事後処理としての事務仕事であった。起こった出来事を報告としてまとめたり、消費した弾薬や物資の量。たった二日ほどグリフィンを留守にしたことによるつけは大きかった。やっとすべてが終わったときには、もうすぐで業務時間が終わる頃になって夕日が私達の部屋に差し込んでいた。そしてその日の晩はお祭りのような騒ぎ。スプリングフィールドのバーを使って、グリフィンの全ての戦術人形が私達の勝利を祝ってくれた。私の方にも、どんなボスだったのか、どう立ち回って勝利に漕ぎ着けたのか。全部聞き出すまでやめないと言った感じに私も全て話した。使用した武器、戦略、そうして運ばれた事態の顛末。そして、ローガンのことも。
……そう、ローガンのことも話さなければならない。
あの人があの後、グランドが寄越した迎えに大人しく乗って帰還していったのを見送ったのを私は今でも覚えている。聞いてた話では、私達が絶体絶命の事態になる前にグランドから脱退するという意思を残していたとのこと。私もそれを聞いたときは驚いた。組織というのはそうそう、簡単に抜けることなどできるわけがないのだから。帰還してからはケイドのこともあってしばらく塞ぎこんでしまっていたみたいだが、独房から出された際には少々立ち直ってた様子を見せたという。それからは司令官との問答の後、グランドという組織を正式に脱退したのだという。その際、私達の指揮官が彼の身柄をこちらで預からせてもらうと言ったのだという。なんでも、現在のグランドの司令官はローガンのことをぞんざいに扱い、下手すれば殺すことにもなりかねないことまで何度も躊躇なくやっていたそうだ。あの迫撃砲による支援、今でも私は忘れていない。あの時ローガンが私を守ってくれなければ間違いなく修復するのにも時間がかかるどころか、できない状態になりかねなかった。そういった意味ではローガンには感謝してるし、彼とはこれから先もうまくやっていきたいと思う。この気持ちは、決して戦術人形としてではなく人間として抱く気持ちとして間違いの筈がないのだから。
――――――
サァ……と風が吹いた。 頬を撫でるような風と眩い太陽、雲が一つもない快晴の空の下にローガンは歩く。数メートル離れているところには五つの墓標が建っていた。『エレナ・テールソン』『ジョナサン・ベルベット』『レン・ウィーズリー』『カイル・オコーネル』、そして『ケイド・コナー』。墓の前にそれぞれ花を添える中で、ケイドの分の花だけが持ちきれなかったため一度運転してきた車に戻ったのである。
ローガンが歴代の相棒たちの墓場としたのはグランドの基地から北東に位置する丘に来ていた。数日前にケイドの遺体を聞いていた彼の故郷の方に頭を向けてやり、手厚く葬ったローガンはこうして戻ってきた。
もうここには来たくない、ここに来る度その思いは今になっても変わらない。ここに来るたびに胸の痛みは消えない上にさらに苦しくなるのだから。
「ローガン」
一緒に来てくれたAR小隊の一人、SOPIIがローガンの腕に手を添える。まるで、ここにいるのは独りじゃない、私もいるのだと言っているかのようだった。
無論、SOPIIだけではない。あの地域にいたAR小隊の全員がケイドに花を捧げていた。最後は、ローガンのみである。
「……ああ、わかってる」
重い脚を動かし、ケイドの前にまで来たローガンはしゃがむと皆と同じように花を置いた。
「……謝ってもさようならは言わないぞ、ケイド。お互いに敬意を払うことはなかったから敬礼もなしだ。お前には―――」
右手の拳を軽く、彼の墓石に当てる。
「―――こいつでいいだろ?」
―――いつしか、お前に目覚ましの全力パンチを食らわしてやるよ!ママも真っ青なグーパンだ!
朝目覚めた時にいつ食らわされるかわからなかったケイドの全力の拳。こちらからはどついたことがあっても、彼から肉体的なコミュニケーションを図られたことは、今思えば拳を合わす以外に一度もなかった。
「……ったく、あの時の朝だけ警告なしに全力でぶん殴ってくれればよかったのに。でもいいさ……また来る」
ローガンは立ち上がり、背後の方へ歩き出す。歩き出すと、傍にずっといてくれたSOPIIもついて来る。
「……終わったか?」
「ああ、悪い。時間をかけちまって」
「謝る必要はありません。大切な仲間を相棒であった方を失ったのですから。私だって小隊の誰かを失ったらあなたよりも悲しむことになります」
「それ聞くと、俺が何も悲しんでないように聞こえるぞ」
「そんなこと言わないでよ。M4だって、ローガンに気を使っているんだから」
「ローガンだってわかっているのさ、SOPII。今はこうしておどけていないとやっていられない。そうだろ、ローガン?」
「……すまん、M4、M16」
「謝るのはいいですけど、まずはその目の下の隈を消すようにしてください。ますます痛々しく見えますから」
姉のような物言いではあるが、口調が優しいためローガンは苦笑した。聞いた話では臆病な性格であるというのになんだかんだで、やはりAR小隊の隊長として面倒見がいいのだろう。
「それで、もうグリフィンに戻るのか?ローガン」
「前にも言ったけど、ちょっと寄りたいところがある。ケイドが残した『パン屑』だ。これを調べるのに関しては俺一人でもいい」
「本当に行くのか?鉄血が、ハンターが残した罠なんじゃ……?」
「暗号が俺とあいつで決めていたものだったんだ。間違いなく、鉄血のものじゃない」
「私達はあなたと帰還するように言われています。あなた一人で行かせるわけには……」
作戦終了後に回収したケイドの遺体にあった、一世代前の形をした彼の端末をひらひらとローガンはこの後の要件を申し立てるが、M16とM4は苦い顔をしている。
彼女達AR小隊は今回の墓参りの件に参加した参拝者であり、ローガンの護衛なのである。グリフィンの指揮官からは、『彼を決して一人にしないように』と言われていたのである。しかしM4達も思うところがあるため、彼の言うことには可能な限り尊重したいと思っていた。さてどうしようかと彼女たちが考え始めると―――。
「……私が行くわ」
―――一番ローガンを労る少女、AR15がそう申し立てた。
「ローガンは一人でいいと言っているし、M4達の気持ちもわかる。だけど、今のローガンを一人にすることはできないから、AR小隊からは私だけで行く」
「……いいの?AR15」
「もちろん。そうすれば、指揮官からの指示に背くことにはならない。それにローガン、今自分がどう皆に映っているのか、わかってるわよね?」
「……ああ」
さっきの隈の件もそうだが、今のローガンは少々弱弱しく見えてしまう。ある程度は鍛えられていた彼の体は前よりも痩せてしまっており、頬もこけてしまっている。一か月前の作戦時の彼を知っているものであれば心配するのも当然だった。
「だから、一人で行こうとしないで。どこか遠くへ行くのであれば私に言って。必ず、私も行くから」
真っ直ぐなブルーの瞳にローガンは射抜かれる。その瞳に、刃向かうことはできなかった。
それからは用が終わり次第また所定のポイントに集合するということで話はまとまり、ローガンは助手席に、AR15が運転となった。M4達が先に行ったのを確認し、発進する前にローガンは自分の私物である端末を車のスピーカーに繋いだ。
「……この間、俺の元に直接送られてきた音声データだ。一応警戒してウィルスとか調べたけどなんともなかったよ」
そう言いながら、ローガンは再生した。
ジジッとノイズを発し、録音されているデータが車のスピーカーから発せられる。
『―――聞こえるかしら、『狼王ロボ』……いや、ローガン・ブラック。油断していたとはいえ、私を一度行動不能にした挙句にはハンターの撃破をやってのけるとは思いもしませんでした。敵ではありますが、あなたには敬意を表します。こちらで入手したデータによると、あなたは自分の成果を謙遜してしまう癖があるので自分一人でやったわけではないと言うでしょう。ですがあなたが戦って得てきた経験による観察眼、推察、直感は間違いなく一級品です。ですから私はあなたにこう言いましょう。あなたはグリフィンに並んで私達の脅威となりました。まだ、何も終わってません。私達が開けたパンドラの箱による災厄は、まだ始まったばかり。あなたがもし私達を追うのであればまずは『オアシス』を探しなさい。そこに行き着けば、パンドラの災厄に繋がる最初の足掛かりが得られるでしょう。やるのもやらないのもあなた次第ではありますが、私個人としてはやると信じています。私はアッシュ、また顔を合わせれる時を楽しみにしてますよ。御機嫌よう―――』
ピーッと電子音が鳴り再生が終了する。一度聞いた内容ではあるが、ローガンはアッシュが言っていたことの意味を再確認していた。
「今のが、一ヶ月前は姿を現さなかった……?」
「ああ。お前たちを捜索している間も、いつ襲撃してくるのか警戒していたんだが結局は来なかった」
「内容を聞く限り、あのエリアのどこかで見てたってことよね」
「間違いなくな。それに、お前も乗っていたヘリを墜としたのはアッシュの可能性が高い。ハンターのハンドガンじゃせいぜい運転席のパイロットを撃ち抜くのが精一杯だ」
「……そうね。音もなくヘリのローターになにか爆発物が当たったことしかわからなかったけど、あれをハンターがやったとは到底思えない」
「あれから一ヵ月になるのに、またわからないことが出てきやがった。『パンドラ』に『オアシス』……」
「どちらともオールドネットの検索にも引っかかるような単語ね。まさかそのままの意味で使われているとは思えないし比喩で言っているのかしら」
「……さあな」
重い溜息を同時に二人で吐き、お互いに顔を見合わせて苦笑する。ローガンがAR15に先に聞いてもらった理由としては、AR小隊の中で彼女を現時点で一番信用しているからだ。もちろんM4やSOPII、M16の他の面々も信じていないわけでないが、彼女達にはない違う信用も寄せている。それに今自分は他人から見ても弱っている、そう見えてしまっている。いずれは皆にも打ち明けていかなければならないが、まずはここから始めていこうと思ったのだ。
「とにかく、まだ全部終わっていないことはわかっているんだ。そう考えればなんてこともないかもしれないな」
「謎だらけだけどね……。さてローガン、『パン屑』の続いている先は?」
「ええとまずは―――」
ローガンのナビに従ってAR15は走らせる。ローガンからすれば、久しぶりに気分転換ができるようなドライブをしているような感覚だった。
―――☆―――
私が車を走らせた先にはスタートした位置から北上したところにある古びた廃墟だった。近場には私とローガンが初めて出会った公園があったりする場所である。
「ここって……」
「知っている場所?」
「ああ。以前ここで夜を交代で仮眠取って休んでた場所だ。にしてもなんでここなんだ……」
「なにかの間違いという可能性は?」
「いや、示されている座標はここで間違いない。どうパターンを変えてもここに行き着く」
そう言いながら進んでみる。中はやはり荒れておりやや歩きにくい。転がっている物の間に足を突っ込みつつ進むといったような、雪の中を歩いているような気分であった。
やがてローガンが先頭で警戒しつつ進んでいくと行き止まりになった。
「進んでいく道はこっちしかない……。どういうことだ」
ローガンがぶつぶつと呟きながら考えている間に、私は行き止まりの室内を探索する。とはいってもガラクタばかりで目に止まるような物はない。
ふと歩き回っていた時だった。部屋の一角で足元に違和感を感じそちらに視線を落とす。一見すればなんてことのないただの床にしか見えないが、そこに足を乗せてみると明らかに違う。具体的に言えば、踏んだ床の向こうが空洞になっているかのようである。
その一角を調べていると、壁際の方に持ち上げるための取っ手のようなものがあった。そこを掴み上に持ち上げてみる。するとドアのようにこちら側に開き、中から階段が現れたのである。
「ローガン!」
すぐにローガンを呼んだ。彼は呼ばれたことに驚いたのかビクリと体を震わせてこちらに振り返った。それが昨日までのグリフィンでの日常であれば笑いのネタになってただろうが、今は関係ない。
彼はこちらが手招きすると寄ってきて私が見つけた隠し扉の階段に驚いた様子を見せた。
「まさかこんなのがあったとはな……」
「どうするの、このまま進む?……もしまだ……」
精神的に辛いのであれば今日は戻ろうと続けようとしたところで、ローガンは首を横に振った。
「……進もう。ここまで来たんだ、最後まで追いかけてみるさ」
「……わかった。でも、無理はしないで」
わかってるさ、とそう言ったローガンだけど、きっと彼はわかっていないだろう。もしものときは全力で止めようと思いながら私はライトをつけた彼に続いた。
階段はそんなに段数がなく、降りた先は様々な武器があった。アサルトライフルにサブマシンガンにスナイパーライフル、さらにはSOPIIも持っている、アサルトライフルのアンダーバレルに取り付けることが出来るM203グレネードランチャーまでもが置かれていた。
「色とりどりね……」
「あいつ、どこからこんなに集めていたんだ……」
あまりの光景に私もローガンも言葉を失ってしまう。私は普段の装備で事足りるが、ローガンがスモークグレネードをうまく使うように新しい何かに挑戦してみたいとこれらを見てみると思う。
私も開いた口が塞がらない状態で見ていたのだが、奥にある作業台の上に一丁の銃が置いてあるのが見えた。ローガンと共に見てみると、それは私が持っているコルトAR15のバレルとハンドガードを短く切り詰めてコンパクトな形に凝縮したようなアサルトライフルだった。その銃の傍にあったメモ書きをローガンが読んでいる間に私はその銃を置いた状態で観察してみる。
バレルの先端にサイレンサーが取り付けられており、アンダーバレルには銃の反動を抑えるための垂直グリップ。フラッシュライトに加えて近代では新開発されてきているリフレックスがACOGの上部にあるハイブリッドサイトが取り付けられている。アタッチメントだけじゃなく、銃の内部構造の方もよく手入れされており弾を装填すればいつでも使える良い銃であった。
一体どうしてこれほどのものがここに……と私が考えようとしたところで、ローガンの方を見てみると彼は声も音もなく涙を流していた。
「ローガン……?」
「……あいつめ、とんでもない置き土産を残してくれやがって」
泣き笑いのような表情を浮かべたローガンからメモを受け取り、私も読んでみる。
それは、ケイドからローガンへと宛てた純粋なメッセージだった。
『よう、ローガン。これを読んでいるってことは、オレが死んだかなんかでアルファチームにはお前だけが残った状態なんじゃないか?そうじゃなかったとしてもいいんだが、きっとオレはもうお前の近くにはいない。だからここにオレの本音を記しておこうと思う。正直お前さんの銃にナイフで刻まれているカウントがちと気に入らなかったんだ。いや、ちとどころじゃない、かなりだ。オレは銃の手入れはそんなにしないのはお前も知っているが、わざわざ自分で傷を増やしてどうするんだと思ってたんだよ。だけどあとになってからわかったんだよ。オレがお前とバディを組む前にもお前の良くない噂を聞いたりしてたからな。それがわかってからは、オレが死んだらそこに加わってしまうことがわかってしまってな。オレは今までの奴と違う、それを証明するためにもガラクタから色々なものをかき集めて使えるパーツを組み立てていったよ。その銃の設計図を見つけてからは特にな。そんでその銃の名称の由来を知ったときはお前にぴったりだって思ったよ。策を巡らせて理知的なことをするだけじゃなく、敵の方に正面から突っ込んで無茶なことまで平気でやってのけて生還するお前にな。その銃には自分で傷をつけるなよ。細かいことが苦手なオレが丁寧に組み上げた上に細かいところまで仕上げたんだ。思い入れがあるのかどうかは知らないけど、いつかはそれを捨ててありのままのお前で誰よりも強く生き抜いてくれ。そんじゃあな―――ケイド』
ああ、なんということだろうか。あの軽薄そうであって女に弱いのがまるわかりだったケイドという男は、ローガンが他に見せたくないと抱えていたものを察していたのだ。そしてそれを踏まえた上で自分が死んでも乗り越えて欲しいと、生きて欲しいと残していたのだ。
「……ローガン」
彼の名を呼び、肩に手を置く。するとローガンは置いた私の手の上に自分の手を重ねた。
「……帰ろう、AR15。AR小隊のみんなと一緒に」
「ええ……!」
それからは彼はそれまで使っていた遺産をそこに置き、かわりに贈り物として遺されていた銃を取った。マガジンなど必要なものもすべて交換し、そこをあとにする。廃墟を出るまで私達に会話はなかったが、私にはローガンがまた歩き出そうとしているのがわかった。私はそれを止めることも、遮るようなことをすべきでないししたくもない。またローガンが戦うと言うのなら、私は出し惜しみせずに彼の為に戦おう。
車に戻った私達はエンジンをかけ、走り出した。違うことがあるとすれば、今度は私が助手席に座っていてローガンが運転していることぐらいだろう。
横目で彼を盗み見る。未だに目の隈は濃いが、瞳の光は取り戻されしっかりと前を見据えているのがわかった。
「どうした?」
「……ううん、なんでもない」
私の視線に気づいたローガンがそう聞いてくるがはぐらかす。そこからはなんてことのない会話だった。今日の晩御飯は何かとか、明日からは何しようかとか。これからのことを前向きに考えていけるのであればもう心配することはない。
温かいだけでなく尊くて愛おしい想いを胸に、眠りにつこうと思った私は窓際の方に重心を傾ける。
もう一度盗み見て、よかった……と思った私は、ローガンがかけてくれたクラシックの曲を子守唄にして瞳を閉じた。
――――――
車に乗せられたことで振動に合わせて震える銃の名前は『Honey Bader』こと『ハニーバジャー』。由来となった世界一怖いもの知らずの動物に因んで名付けられた銃である。
やってやったよ、こん畜生め。前書いてた作品でも味方となる人が実際に目の前で死んでるのを見てしまうといったような描写はやったことなかったから初挑戦だったけども。う~ん、もうちょっとケイドについて掘り下げとくべきだったよな……。
というわけでここまで読んでくださった方々ありがとうございます。今回は私の中で第一部となる『狼とAR小隊』編でございます。ドルフロの作品なので戦術人形をもっと出すべきだとは思いますが、主人公であるローガンがグリフィンとは別部隊からのスタートであったためゲームでよく目にするようなキャラ達の登場はなかなかできませんでした、本当に申し訳ない……。鉄血のボスとの戦闘シーンですが、よっぽど強い個体じゃないとフルボッコで終わりだよなとかも終わった後で考えたりなんだったり(殴)
ともかく、反省すべき点はこちらでもある程度は承知し次話の制作に活かせたらなとおもいます。
さて、今回までの第一部までのテーマとしましては『戦い、生き残るということ』です。まずは私が作品中で戦場に関しての説明に関してですが、あれらは私が実際にあった戦争をテーマにしたドラマや映画、または小説などを読んだことだったりして得られた主観で私の考えでしかありません。実際の戦場を見たわけではありませんからどうしても想像によるものになってしまいます。ですがドルフロというゲームの世界では、人間ではなく戦術人形のキャラクター達が物語を紡いでいくわけであります。なので私はドルフロの世界観を可能な限り壊さないようにしつつ、自分の考えたストーリーを展開してみました。今作ではローガンというドルフロの中ではイレギュラーの兵士が戦術人形を相手に戦っていきます。当然ながら人間は戦術人形のようにバックアップを取れないため、思ったよりも銃弾で簡単に死んでしまったりします。ローガンはそうなっていく相棒たちを置いて逝かれる気分になりつつも戦っていくので、必ずどこかで精神が磨り減っていきます。実際に戦場じゃなくても親しい者が目の前で亡くなったりした時などはPTSDにもなったり精神疾患を患うことになり苦しむことになります。そういう展開を加えるのも物語を彩る一つにはなるでしょうが、ネットで気軽に投稿できる二次創作の作品としましては重くなりすぎるのでカットしました。だって、仕事でもない楽しんで創作しているのに、そこまで鬱展開にしたら書くのもしんどくなりますもん……。
それでローガンがケイドという友人を失いつつも生き抜き、AR小隊と合流するという展開になりました。実際にドルフロをやっていただけるとわかりますが、物語にはAR小隊が必ずどこかで絡んでくるので、彼女達のキャラクター性が光ります。原作ほどじゃなくても、AR15だけじゃなくM4達も深く関わらせてみたいと思い彼女達にもスポットライトを当ててみた次第です。
真面目臭いことをやった後にネタを挟みたくなるのはSSライターとしての性なのでしょうかね。個人的にコマ〇ドーが好きなので、どこかのスピンオフとかでギャグ100%でやってみたいですね(笑)
後書きとしましては長くなりましたが今回はここまで。次回の方とかも読んでくださると私としましてもとても喜ばしい限りです。
それでは―――
『あのフレーズ、絶対あの曲からとったな』
Three lights down kingsより『デイ・ドリーマー』