誰も助けてくれない -Can you hear me?-   作:麒麟犬

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弾幕っていいよね


60.足取りは軽やかに -What a mess!-

今日になって何度目かわからないブザーの音をヘッドホン越しに聞くと、肺に溜めていた息を吐いて構えていたライフルを下ろす。装填していた弾倉を外しては本体の薬室に入っていた最後の一発を排出し、安全装置を掛けてから離れのカウンターの上に置いた。その横では何丁もの同サイズの銃器が証明に照らされて黒光りしており、それぞれが存在感を主張しているかのようであった。

ローガンが改めて無言で一丁ずつ見ていると、ここに来てから風船ガムを膨らませては破裂させていたバルソクが言った。

 

「どうだいマスター、ロシア製のアサルトライフルとかサブマシンガンを一通り試してみて。ここの基地が置いているのだけではあるがそれなりに数はあっただろ」

「どれも悪くないっつうか、良いものばかりであったのは素直な感想だな。手入れがまあまあ行き届いているってのもあるが、銃そのものの性能による総合的な評価もアメリカのと遜色ない。下手するとこっちの方が良いかもしれないな」

「用途に合っているのは当然だが、ロシア産の銃が生み出された過程にはアメリカと張り合う意味合いもあるんだ。他国の銃よりも優れている、なんてことを堂々と言えるぐらいの設計者たちの意思がそれぞれにあるんだろうさ」

「まあそうなんだろうな。見かけだけのハリボテみたいなのを下手に作ってしまうようじゃ、ライバルに一気に差をつけられてちまう。これはこういったものづくりとかだけの話じゃないけど、そうした競争は何処にでもあるってもんだよなー」

 

シャカシャカと音楽が聞こえてくるヘッドホンに繋がっている音楽プレイヤーの電源を切ったバルソクに近くの自販機で買ったコーラを放って寄越す。受け取った彼女はガムをちり紙に包んでからプルタブを起こして開けて一気に呷った。人間よろしく、喉元を鼓動させて数秒間に渡って炭酸飲料を口にして離したかと思うと一息、そしてお約束と言えるゲップを口を閉じたまま静かにした。

ローガンは缶コーヒーを手にテーブルを挟んだ向かい側に座ってからその一連の動きを見てから言った。

 

「一応確認させてもらうけどバルソク、お前は女子というカテゴリに入るメンタルの持ち主の人形だよな。俺が言うのも何だが、諸々はしたなくねえか?」

「ワタシは確かに気品とは無縁さ。でも一応ギターを弾いている時とかは別人みたいだとか言われるぐらいなんだぞ。マスターだってその時のワタシを見て意外と言ってただろ~」

「そうだけどよ、訓練とか任務中を除いてお前が女子らしくしている様子を見た覚えが俺はねえよ。結局はどうでもいい話として片付けられはできても、やっぱり時折考えちまう」

「それでワタシとマスターの仲が悪くなることはないだろ。さすがに見えちゃいけないような所が晒されているようなら隠すなり治すようにはするが……」

「なら今の自分の姿を見てどう思う?」

 

バルソクは姿勢を固定しながら自分を写しているカウンター横の鏡を見た。要略すれば以下の通り。

1.片腕を背もたれの上に置きながら体重と一緒に椅子の背もたれに寄りかかっている(しかもやや斜めに傾いている)。

2.タイツを履いてはいるのだが、スカート姿で足を組んでいる。

3.今日の待ち合わせに遅刻寸前だった為、髪の手入れが粗雑であることが窺えるぐらいボサボサになっている。

4.上半身が部屋着のシャツであるせいか、襟元がヨレヨレなのが目につく。

結果、今の姿に品位があるとは言えない。

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………なるほど」

「お前、スオミとかみたいな可愛い部類じゃなくてカッコイイ方にルックスが振られているからいいけど、そうじゃなかったら割と致命的じゃねえか。今日含めて数日間がオフなのはお互い様だけど、その辺はやっぱり他の目もあるんだしキッチリした方が良くね?」

「んだよー。そう言っているマスターはいつものような仕事着じゃんか。せっかくの休暇なのにちょっとは違う服を着て来いよ、弄り甲斐がないだろ~」

「銃をぶっ放すっつうのに別のを着てこないと駄目だったんか俺。というか基地内でそこまで気合の入った服装でいるのは違うだろ」

「そうじゃないんだよマスター。いつものベストを外しただけの戦闘服の上に季節に合わせてミリタリージャケットを着ているのは悪くないけど、あくまでマスターは実用的な面でしか見ていないだろ。もっと美観的に自分を見ろよ」

 

ふむ、とローガンは先程のバルソクのように鏡に自分を写してみて自身を俯瞰してみる。上下一体で紺色の戦闘服で黒のブーツという自分の立ち姿、そして遠くでハンガーに掛けている暗色がメインの薄手のジャケットを見やった。

美観と実用という、使う物には付き物でありながら相反している二つの要素について数舜思考。そして、

 

「わからん」

 

その一言でニマニマしていたバルソクが椅子からコケて椅子までもが横倒しになった。コントであるように派手に地面に転がった彼女は『そっかー、わからないかー……』とぶつぶつと言い出すので、とりあえずローガンは放置。

そして先程まで自分が触れていた銃の方に視線を移した。

 

(にしてもどうしたものかな。どれも良い代物だというのはわかるんだけど、俺的にはどうも型に当てはまるようなものが無いな)

 

事の始まりについては、先のフロリダの地下における作戦の最中のことから振り返らなければならない。

会敵したエクスキューショナーとアッシュの追跡したが鉄血の爆破による罠に誘い込まれた。それによる落石から生き残ったものの、ローガンが装備していた『ハニーバジャー』のストックがガタつくどころか、銃内で不具合を窺わせるような音が起きたりしてそのままの使用が躊躇われるようなことになり、その場では再度使うことなく持ち帰ることになった。

手入れを怠ったことで銃が発砲できなくなるのはまだ良いが、最悪は内側から爆発するなりして至近距離から破片を浴びるなりして怪我することにだってなりかねない。その事を考えればあの時の判断は正しかったとローガンは思う。あの銃が悪化するなりして修理しても使い物にならなくなるのはローガンからだと一番避けたいことであるのだから。

それ以降は貸し出された『AK-74M』を使用することで生き残ることができたのだが、帰還して落ち着いてから銃をバラしてみると内部のパーツが幾つか衝撃で折れたり歪んだりもして破損してしまっていた。幸いというか、グリフィンは各々の戦術人形が保有している銃のメンテナンスや修理ができるよう、オイルだけでなく各部における部品などがある程度まで出揃っているのではあるのだが、北米支部には『ハニーバジャー』のそれは置かれていなかった。この基地にその銃を持つ人形がいないことが起因しているのではある。

となれば時間を問わなければ外部へ必要な物を発注、もしくは早期にまた使えるようにしたいのであれば銃そのものを丸々出すしかない。

ローガンも手入れの為に『ハニーバジャー』を分解していたので多少なりとも内部はわかるが、損傷具合からして自分が手を付けるにしてはリスクが大きすぎた。なのでそこまで悩むことはなく、グリフィン北米支部が認めている中で一番信頼できるミリタリーショップに預けることとなった。

そして手続きや前報酬などを送り、返って来るまでの代わりを探すことになって今に至る、というわけだ。

 

「うむむむ……もう少し話したいけどこの話題はここまでにしておくか。冗談は抜きにしてさ、マスターって組み込まれる部隊内だとバンバン前に出るし、基本サブマシンガンのようにコンパクトめのやつとかがいいのかもしれないな。『ハニーバジャー』だってストックを伸ばしても基本的にアサルトライフルよりも短いんだし」

「だけどそっちだと射程が心許ないだろ?近接戦闘(CQB)とかで屋内に突入するならともかく、野戦とかじゃ威力が落ちてやりにくくなる。バレルを切り詰めてショートバレルにするという手もあると言っちゃあるが、今回はそこまでする必要はないんだしなぁ……」

 

アサルトライフルとサブマシンガンの大きな違いの一つ。銃身の大きさという外観的な違いに目が行きがちで忘れてしまいそうになるのは、それぞれで使用する弾薬の口径とそれと銃による射程距離の長さだ。

我儘で実用的に考えてみれば、やはり重量は軽くて射程距離は長距離に対応でき、そしてコンパクトで取り回しが良い、というものになる。

しかしそんな全ての意見に応えた銃はここにはない。あくまで、ロシア製の小銃、という点に限ってのはあるが。

ローガンが頭をガシガシと描いていると、脇に来たバルソクが言った。

 

「銃器保管所を覗いてみればマスターが気に入りそうなものはいくらでもあるんだしさ、ワタシの国で生まれたということに縛られなくていいよ。言い出しっぺはこっちだけど、これ以上悩ませてしまったんじゃ時間の浪費でもったいないしさ」

 

バツが悪そうにしているバルソクの言った事にローガンは顎に手を当てて逡巡する。そして首を左右に振った。

 

「せっかくの進言だけど、お前が色々と手伝ってくれたんだしもう少し考えてみるよ。他の銃に触れるのにいい機会だと思えばそう悪いことじゃない」

「いやでも、こういうのは本人が自由に選ぶことだろ。外野から変な条件を付けて視野を狭めさせられるようなもんじゃないか」

 

傍から見ればそう見えてしまっても仕方がないと言える。ただ実情を見れみれば、単に悪者銃というローガン個人としてのイメージがあるロシア製の小銃から代用品を選ぶ、なんてだけだ。生まれの地に対して負の感情を抱かれるのは決して気持ちのいい話ではない。

だからバルソクはいくらか払拭できるように、こうして自分の手伝いをしてくれているのだとローガンは思っていた。

 

「そういうお前は、架空の話による俺の勝手な偏見に付き合ってくれているだろ。俺からすれば、フリーであるお前を我儘に巻き込んでしまっているこっちの方に負い目があるってもんだよ」

「そんなことは……!」

 

ない、と言い掛けたところで何かに気付いたように口を開けたまま静止する。そんな彼女にローガンは苦笑しながら言った。

 

「お前のと同じ話だよ。俺達がしているのは、あっちが『悪いことしたな』なんて考えている事でも、もう一方が良しとしているっつう話だ。俺はロシア産のから悩みながらも銃を選ぶのを良しとしているし、お前は俺に付き添っていいと考えてくれている。本音を持って接しているこそすれど全てをぶつけているわけじゃないから誤解が生じてしまう。人間社会における仲違いの一例だ」

「あ~……つまりはお互いさまってことか?いい意味で」

「ちょっと違うけど、まあそういうことでもいい」

 

バルソクのような人形にはわかりづらいことなのかもしれない。しかし人間関係の構築というのはローガンを始めとした人類からして避けられない課題だ。一歩間違えれば信頼関係にヒビを入れて亀裂を生み、それがさらに大きくなって谷のような深い溝となる。人は誰にでも好かれることはできないといっても、そのようなことは少ない方がいい。

ローガンの脳裏にチラつく経験談を振り返ってみれば、どれもが苦々しい記憶でしかなかった。

 

「だから気にするな。俺も俺で別に気に病む必要はなかったってことで受け取るからよ」

 

甦る記憶を振り払うようにそう言うと、バルソクは少しばかり逡巡した後にぎこちなく笑みを作って頷く。

仲違い、というワードには最近の任務に関連しての覚えがある為か、彼女もそこから茶々を入れることなく並べられている銃器に視線を落とし悩み始めた。

砂漠で耐え忍ぶ者達を守るべく戦った女リーダーに思いを馳せて感傷に浸ってしまうのはもう済んだこと。忘れはしないが心を痛めるのは一先ずこれっきりにしておこう、とあの場でローガンは踏ん切りをつけて眼前の問題に向き直った。

 

「それでどうするんだ。マスターの銃に対する要望って近接戦を想定して取り回しが良いことと威力もそこそこある奴が良いってことだろ。アサルトライフルで取り回しの良い形状って……」

「『ブルパップ方式』か」

 

引き金も含めたグリップと弾倉の前後の位置関係が反転した銃の形状を指しているのが『ブルパップ方式』というものである。『M4A1』や『AK-47』などの小銃の通常形状と比較すると、弾倉の交換がしにくい、格闘戦に置いてリーチが短くなったりするというデメリットがあるがローガンにとっての希望を全て満たす銃の方式である。

第二次世界大戦から提案されたその方式は通常のと比較すると少数派の方に入ってしまうが、その形状を好んでいたり屋内戦を主軸としている人からすれば信頼を置くことが出来る。

 

「ロシアにもブルパップのアサルトライフルがあったんだっけか」

「ああ、何丁かあった筈だ。『A-91』とか『ADS』に……あとは……」

「『OTs-14』」

 

その銃の名を口に出したのはローガンでもバルソクでもなかった。一瞬二人で顔を見合わせてからその声の発信源へと顔を向けてみると、そこには腕を組んで微笑んでいる美女がいた。特徴なのはその端正な顔だけではなく、金糸のような長い髪にすらりとした体躯だってそうだ。その凛とした風貌から自分では手を出せない高嶺の花、貴族のようなイメージを持たされてしまうだろう。

その美女はこちらに歩み寄りながら言った。

 

「まさか、ちょっと会ってない間に私の顔を忘れたなんてことはないわよね。あんなにもドロドロした戦いを一緒に潜り抜けたというのに」

「……んなわけねえだろ」

 

ハリーの奴、サプライズのつもりだったのかとローガンはぼやく。報連相を俺なんかから叩き込まれるようなことをされるのは腹立たしいだろうに。

 

「何時、こっちに来たんだ。事前に言ってくれれば歓迎パーティでも企画してたぞ」

「ついさっきよ。それと予定では一週間後ぐらいにここに来ることになってたんだけど、あなたたちがしばらくオフだって聞いたから早めに来たの。ローガン、あなただって遅いよりも早い方が良いでしょう?」

「多めに自由時間を取れるというのなら、たしかにそうだな。後手後手に面倒事に手を付けることになるよりかは早めに片付けた方が気が楽だ」

「私を迎えるのが面倒だっていうことじゃないわよね?」

「ちげえよ」

 

初対面とは違って柔和な雰囲気を感じるようになったのは、あの場で心の内と彼女の過去を知った上で激励したからかもしれない。平行線であった仲がそれで何処かで交わるようになり、それがこうした再会を生み出したのか。

いや、そんなのは一旦横に置いておこう。

 

「久しぶりだな、グローザ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリフィン北米支部特有なのかどうなのかはローガンには知る由もなかったのだが、この支部の食堂は機能性を重視した美観性を脇に置いた造りにはなっていないらしい。白塗りでシンプルなテーブルとイスのワンセットだけでなく、飲食店にあるような家族で卓を囲うようなボックス席まで用意されているのはここだけ、というのがグローザの談。しかもその一つ一つが趣の違う、木目と重厚感のあるシックなものから和風のようなアジアンなどのデザインがあったりしていて、そういったインテリアを好む人には好評である。

スプリングフィールド自身が外部との連絡任務に動員されているので、彼女がマスターとなっているカフェは閉まっていた。なので硝煙の臭いが充満している屋内射撃場から場所を移し、落ち着いて話ができる場所を流れでここに行き着いたというのが大筋である。

 

「ここの指揮官って福利厚生にどれだけの資金をつぎ込んでいるのかしら……」

「さぁなぁ」

 

知らないことには答えられないので、ローガンはテーブルに頬杖をつきながら適当にそう流した。

今明かされる、衝撃の真実ぅ!……とはいかずとも、そういった意味で北米支部は人形の頭数だけでなく異質じみていることを知らされた。ローガンとしては、はぁん……、というところだが。

 

「ほーい、頼まれていたブラックコーヒーと紅茶。相反する二つの飲み物を同時に持ってきましたよーっと」

「突然だけどさ、イギリス紳士がコーヒーを泥水って呼ぶのは単なる見た目だけの偏見じゃね?」

「あそこの国では味の評価としてそう言うだけであって、口にせずにそう言ってしまうことはなかなかないわ。一応イギリス式の淹れ方というのがあるから、人々には親しまれてはいる筈よ」

「これを毛嫌いしている紅茶派の人しか知人にいなかったから知らなかったな……」

「あのさ、その話題とコーラにしたことでアウェーになりそうなワタシの身になってくれない?炭酸ブクブクで甘味料たっぷりのこれで太ったりしないの、とか聞いてもいいからさ」

 

歓談などをするにはせめて飲み物があった方が良いとしてお使いをバルソクに頼んでいた。その彼女の方に円形のテーブルを挟んで正面を座るグローザから視線をスライドすると、射撃場で奢ったのと同じメーカーで中身も同一の飲料が置かれていた。

内心で頭を捻って一言。

 

「うん、偶には甘い炭酸飲料もいいよな」

「真顔で当たり障りのなくて面白みのないことを言われたよちくしょう。いやそりゃあ、こんなかまってちゃんみたいなことを言われたらそんな反応になってしまうのもわかる気がするけども!」

「仮にも俺だってここ来てからずっとお前たち人形と卓囲って飯食ってるんだぞ。辛いものとかで身体とかメンタルで反応が出るというのは知っているんだし、今更そんな体型の事を言われてもよ」

「知らず知らずの内に女性にとってのタブーという地雷原に足を向けているんじゃないかしらあなたたち。それともわかっていてやっているの?確信犯?」

「いやいやそんなことは……ってこれじゃマスターが言ったように品位が損なわれたりする?」

 

ローガンは咳払いをしてコーヒーを一口。グローザからの非難がましい視線がちょっと痛いので口笛を吹きながら明後日の方へと顔を向けて一息つく。

あれこれ考えているイヤホンマシンガンが首を捻っている間にと思い、話題の転換も謀って突然の来訪者に聞いた。

 

「ハリーとは顔を合わせたか?」

「ええ。予定とは大きく違うということで慌ててはいたけど、スオミが粗方の受け入れの準備をもう進めていたみたい。書面上の手続きはもう終えたわ」

「お互いにご苦労なことで……つうか、本部はよくオーケーしたな。お前ってほら、内部の機密情報を保持しているのだから、お偉いさんは首輪をつけて目の届くところに繋げておきたいんじゃないのか?」

 

ローガンの記憶では、グローザは自身のメンタルモデルに保存された長年の記憶を保護すべく、グリフィンという組織の内部情報を保持している。もし自身を故意による破壊などを目論んだ場合にはそれをネット上に拡散する、なんて脅しまで上層部にしていて、現在進行形でそれが有効であることも教えてもらった。

自分達にとっての爆弾のスイッチが手元にない以上は、その持ち主を目の届く監視下に置いておきたいのというのが自然ともいえる。条件は明確であってもそれが必ず守られるという保証はどこにもないのだから。

だからグリフィン上層部の幹部たちはグローザを本部に拘置しているつもりだろう、とローガンは考えていた。

 

「本来なら、ね。あなたがチームの中核となっている『シャドー隊』の入隊に待ったをかける幹部は、たしかに過半数どころか四分の三を超えていた。そういった結果が出た以上は、私が北米支部に来れることはない筈だったわ」

「じゃあなんで?」

 

グローザは目を閉じて紅茶を口元に運び、そのカップとセットになっているソーサーへと戻す。小さく一息をつき、バルソクの次にこちらを真っ直ぐ見て言った。

 

「私の編入に賛成派である幹部の一人が言ったの。『グリフィンへの圧力を打開するには、今蓄えている戦力を開放するしかない。このまま秘めたままでは具体的な打開策が浮かんでくるどころか、事態の混迷化が進んで取り返しのつかないことに成り得る』と」

「圧力?誰からのだ」

「そこまでは私にはわからない。でもグリフィンにそうプレッシャーを掛けることのできる対象は限られているわ。大規模なテロリスト、鉄血のエリート、それから」

「……ロシア政府」

 

先日オアシスから聞いた情報の話が脳にフラッシュバックする。頭に詰め込んだ細かいことまでが文字や絵となって目に浮かんできたそれにローガンは頭を左右に振るって今は払い落とした。

 

「その一言で場の流れが好転したということなのか?まだ色々とごたごたしていたみたいには考え付くが」

「頭がお堅い、または日和っている人はまだいたようだけど、数日間にわたる会議で賛成派が過半数を上回ったわ。そこからはもうとんとん拍子。ヘリアンさんとは以前から示し合わせていたから、変に妨害される前に出立したの。ハリー指揮官に話を通す前に予定を早めてしまったのはたしかに私の落ち度だったけど、このことを説明したら納得してくれたわ」

「ちょっと待った。たしかに今言ったことでここに来るまでの経緯はわかったけどさ、グリフィンという組織内でも世界に分散する基地から別のとこに移動するわけだからI.O.Pにも申請しないとじゃないといけないんじゃ?」

 

バルソクの質問にローガンが首を傾げていると、こちらの様子に気付いたグローザが説明してくれた。

 

「知っての通り、私達はグリフィンと提携しているI.O.P社の戦術人形よ。民間軍事会社(PMC)というと傭兵たちが企業という形を為して、依頼があれば現場に戦闘員として人そのものが送り込まれる。でもグリフィンは人間ではなく戦術人形を投入するという形態を取っている。それはわかっているわよね?」

「ああ。戦闘効率とか諸々を見ても、どちらの方が全体的に良い結果を出せているかというのはもう既に公開情報としてあるからな。俺達人間は急所に怪我を負わされれば致命傷となってすぐに戦闘不能になるが、お前たちは幾分頑丈なこともあってまだ戦うことが出来る。備えられた継戦能力にプラスして人間と同様に経験さえ培えれば、人類側の犠牲が減ってもう万々歳だ」

 

ローガンが言った事にグローザは頷いてバルソクに目配せし、自分は再び紅茶を口にした。バトンタッチされたことに気付いたイヤホン少女は硬直して少し赤面。あ~……う~……、と呟いてはローガンの方をチラチラ見てはもにょもにょし始めた。

そして何かを決心したかと思うと、アクションを起こす。イヤホンを外し、上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し始め……。

 

「えっはっ?お前何してん?お前いきなり何してんの!?」

「うるさい!マスターはそこで騒がずに待ってろ!」

「馬鹿だろお前!白昼堂々服を脱ごうとする奴がいるかさっさともっかい着ろってんだ!!」

 

どったんばったん!!とローガンは上司としてだけでなく男としての体裁を保つ為にも勢いよく立ち上がり、抵抗を試みようとするバルソクの上半身に椅子に掛けられたばかりの上着を被せようとする。が、彼女とて戦術人形で、身体能力は人間であるローガンよりも上だ。

少し意外なことに、器用にもバルソクはシャツの裾を掴みながら片方の肘と足で一定以上の距離を保ってみせ、スピードがやや落ちはしても脱ぎ脱ぎ続行。

 

「マスターだって男だしラッキーじゃんか!異性の脱衣が見れるし若い女の肌を拝めるんだからさ!!」

「こんなんじゃラッキースケベじゃなくてアンラッキーの方だろ!何も役得どころかご褒美感も毛ほどもねえからさっさと隠せえ!!」

「ええいワタシだって恥ずかしいに決まっているだろパーンチ!!」

「ネーミングセンスう!!」

 

横っ面に鉄拳を受けたことによって暗色コウモリ野郎は吹っ飛び、すぐ横の別のテーブルたちへとクラッシュした。衝撃と痛みと共に目の前に星が舞ったが、こちらとて十年以上も戦場を生き抜いてきた人間である。すぐに起き上がっては脱兎のごとく駆けだす。ただし、それはこの場に起こった危機的状況を放って逃げ出すというものではなく、別の何かから逃げる為にしたこと。

……いや、この場合はミサイル突貫と言った方が正しいだろうか。本人とて自分がやろうとしていることしか頭になく、周囲を顧みていないのでもあるのだし。

 

「言う事を聞きやがれやおぉらぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「ただのパワハラじゃねそれ!?」

 

そんなの知ったことじゃないとばかりにローガンはバルソクへと突進し、着弾するのと同時に両の腕を以て腰から拘束する。力任せに脇に抱えるように力むと体感的にバルソクの脚が離れたかのように思えたので、床にねじ伏せるべく重力に引かれるがままに力を加えた。

だがしかし、相手は曲がりになりにも戦闘用の人形。人間では対処できない敵にも応戦できるように設計された存在であり、搦め手を用いない真っ向勝負では分が悪いというものだ。

バルソクの両手は自身が着ているシャツを掴んでいたのでローガンは咄嗟に封じられている状態として認識してしまった。彼女がすべきことの優先順位を逆転してしまえばフリーになり、一気に状況が変わるというのに。

 

「ワタシでも脈絡も理由もなしに服を脱ぐわけないってんだ察しろよバァアアアアアアアアアアアアアカァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

心からの叫びを耳にした時には、ローガンは縦方向に回転しながら宙を舞っていた。気持ちの悪い浮遊感を体全体で感じ取るよりも先に背中から床に落下し、洒落にはならない衝撃と鈍痛にその場で丸まって悶絶する。

 

「おぐぅ……お前なあ……!」

「私のパスが悪かったとしても、彼女が一体どのようにして説明しようとしたのはわかったわ……突飛な行動ではあったけど」

 

ローガンが半眼でグローザの方を睨むが、彼女は肩で息をしているバルソクを見ながら特等席を得た野次馬のように見物を決め込んでいた。さっきまで三人で囲っていたテーブル上にいつの間にかケーキまで置かれている。

紅茶とスイーツ、そして美女。同じ空間に存在しているというのにも関わらず、別時空且つ別域にいる何者かを垣間見ているような気分になる。

なんでだよ。なんで火種を投下した当人が貴族よろしくティータイムを決め込んでるんだよ。脚を組んではふわっふわな生クリームを口に運んでは、「ワタシハカンケイアリマセーン」ってな感じに主張してんじゃねえ。あなたはセレブですか?俺みたいに阿保な真似をしなくてはいいけど、収集をつけるぐらいの気概は見せろよ。ふざけるな、ふぁっきんふぁっきん。

 

「……で、バルソクは何を見せようとしていたんだ。できるだけ肌を露出させない方向性で頼む」

 

なんかもう、色々と傷ついたらしいバルソクがその場でしゃがみ込んで即時の再起不能に陥っている隙にグローザに尋ねる。痛む腰を摩りながらよろよろと体を起こすと、彼女は仕方なしとばかりに溜息を吐き出した。

 

「AR小隊のような特殊任務を命じられる人形は除いて、通常の人形である私たちは唯一無二のものではない。製造工場から出荷されてからの経験で性格とかに多少差異はあってもね。だからI.O.Pは何処にどの個体の人形がいるのか、ということを管理する為にコードを記しているのよ。私たちの身体にね」

 

そう言うとグローザは自分の身体の、人間であればお尻のちょっと上の位置、尾骶骨があるぐらいのところをトントンと軽く叩く。

ローガンはその言葉を自分なりに落とし込んでは噛み砕いては言った。

 

「銃の製造コードみたいなものか?」

「わかりやすく言えばそういうこと。あれも犯罪とかに使われた場合に所有者を特定したりするのに使われているのはあなたも知っているわよね?私たちに刻まれている数字とバーコードは、グリフィンを通じて所属している基地などを記録する為に使われているの」

「ということは……戦地で修復不可能となった時にも活用されたりもするのか?メンタルモデルを他のと間違えたりしないようにする為に」

「そうね。だからこのコードは色々と重要な役割を持っているのよ。それこそ、私に首輪をつけ続けている、ということにもね」

 

これはローガンが後々調べてわかったことではあるのだが、生活補助としての役割をもつ民生用の人形にも備わっているものらしい。小銃ほど簡単に闇市などの裏世界に出回ることはないようにする他、I.O.Pの承認なしに違法改造もされることも防ぐのがこの仕組みだ。そもそも、商品の一つ一つにそれ一つだけの商品コードをつけているというのは流通情報システムが生み出された時から存在しているものなのだから、何の不思議ではない。

しかし、このような管理システムを組んだとしても、悪い意味で狡猾な商売人には完全に効果が及ぶわけではないというのが残念なところだ。

それでもこの仕組みが必要か否か、と問われればローガンは前者だと答える。なにせ、システムに不具合等が起きれば保有している側に危害が及ぶわけでもあり、下手すれば治療しても元通りとはいかない怪我だって負いかねない。まさしく小銃の暴発と一緒だ。

そんなことになれば、製造側の方に落ち度はなかったのか、などとクオリティコントロールも問われることだってあり得る。だから、ローガンが思い浮かべているようなバーコードや数字の羅列はあって当然のものであり、それらを見る度に一々気に留めることはなくても知識として覚えておくべきことだと考えている。

 

「まあ、I.O.Pも戦闘データと引き換えという取引をしたうえで戦術人形(わたしたち)を貸し出しているわけでもないからそれなりに複雑な事情が絡み合っている、てところまで覚えておくといいわ。実際、あなたが介入できるところなんてないでしょ?」

「たしかにそうだが……せめてさ、その重要情報の源をもうちょっと見やすいところに移すぐらいのことはできるんじゃないのか。トラブルがあった際に毎回服を脱がすってのはよ、なあ?」

 

バルソクを流し目で見ると、彼女は茹蛸のように赤い顔になりながらも半眼でこちらを睨んでくる。その非難がましい視線には色々と賛否が溢れるものがあるように感じ、細かく応対するのが面倒に思えた。

 

「心配しなくても、これをスキャンして照合するのは大体はシステムをシャットダウンしてメンテナンスをする時ぐらいなんだし、メンテナンス要員以外に損することはないわよ。……多少はちょっとむず痒いような思いはするけど」

「ということだがバルソク、お前から言いたいことは?」

「……しばらくマスターとは口を利きたくない」

 

つーん、と顔を横に向けて会話を拒否する姿勢を見せられてローガンは溜息をついた。せめて謝罪の意を示しておこうと思って起き上がると、吹抜け構造となっている食堂の二階から電子音が聞こえてきた。

普段なら気にせずに聞き流す、毎日のように耳にしているその音であって感じることなどない筈。だというのに、言い知れぬ嫌な予感がしたので音源の方に顔を向ける。

 

「………………………………………………………………45、何してんのお前?」

「ん~?何してると思う~~~?」

 

手摺に両脇を引っ掛けては手元のビデオカメラを弄っている戦術人形の少女、UMP45がそこにいた。何時も身に着けている彩度の高い黄色と明度などない黒による組み合わせの警告色の上着を袖に通しては、同色のスカートに学生服のような白いシャツといういつもの服装。それらの色彩配色が本来の意味を為しているのが直感でわかる。

加えて、さっきあのようなことがあったこの場で、出来事を映像という媒体で記録できるそのようなものを手にしているのでローガンは全身から冷や汗が噴き出すのを感じた。

 

「お約束でもなんとな~くで聞かせてもらうけどよ、何時からいたんだ」

「そこのロックンロールが三種類の飲み物をトレイに乗せて来てから」

「つまり最初からじゃねえか盗聴かよおい」

「盗聴じゃないよ盗撮だよ」

「もっと悪いだろうが!!」

 

ガーッ!!と彼女に吼えると、45はケラケラと笑いながらひらりと手摺を飛び越えて空中に身を投げ出した。その瞬間には怒りも失せてローガンは咄嗟に受け止めようと動き出し、真下に辿り着いてキャッチする体勢になる。すると両腕に重力という運動エネルギーも加わった重みがどっとかかった。

無事に成功させることが出来たことに胸を撫で下ろしていると、お姫様抱っこの状態になっている45の笑顔が目に入った。

 

「わお、ちょっと期待していたけど本当にしてくれるなんて思わなかったわ。意外とそこだけは紳士なのねローガンって」

「んなことを言ってるうちにさっさと降ろすぞ。つうか何の予告もなしに飛び降りるなよ、心臓に悪い」

「いーじゃん。これぐらいの我儘、聞いてよね」

 

丁寧に45を足元から降ろすと、彼女はにんまりと笑みを浮かべながら身を翻してクルクルと回った。ご機嫌に見えるその様子にローガンは溜息をつくと、彼女の視線がある一点で止まったことに気付いた。追って見てみると、お茶会に洒落込んでいるセレブ譲に行き着いている。

 

「あなたが『OTs-14』ことグローザ、その中でも『特異体』と言われている個体ね」

「そうよ、はじめまして。丁寧に挨拶をする必要はあるかしら、404小隊のUMP45?」

「しなくていいわよ。何時かあなた自身の視覚による記録メモリから削除するかもしれないし」

「あらそう」

 

ん~?とローガンは首を傾げる。何故だかわからないが、じりじりとしたような、距離を測っているような気配がお互いからしたような気がしたからだ。

……いや、訂正しよう。グローザは自然体で接しており、45の方が一方的に警戒態勢になっているだけだ。猫のように毛を逆立たせている、というわけではないが、前傾姿勢になって何時でも攻撃なり回避なりと行動できる態勢になっている風な雰囲気を感じる。物理的にではなく、精神的にだ。

何がどうなっているのかわからず流れに任せて場を見守っていると、グローザは柔らかい笑みを浮かべながら言った。

 

「安心して。彼の事は『そういう風』には見ていない。私が所属する部隊の隊長だというだけで、信頼関係を築く以上のことはしないから」

「口だけだったらどうとでも言えるよ。その保証はどこにあるの?」

「知っての通り、私は十数年前に指揮官を亡くした人形よ。あの基地内で誓約した唯一の、ね」

 

そう言いながらグローザは自分の左手を見せると、そこには光を反射して鈍く輝く銀の指輪があった。薬指に嵌められているそれがどういった意味を持つのかなど、ローガンでもすぐにわかる。

それで?と45が続きを促すので、グローザは自分の左手に視線を落として語った。

 

「形式としては一般的な人間と人形にある『誓約』だったけど、あの人はこれを私に人間同士による『結婚』として贈るって言ってくれた。それも真っ白で綺麗なウェディングドレスまで用意して、式まで挙げてくれた。だから、私のこの想いは他の誰にも向けないわ」

「固執している、というわけじゃないようだけど……なんだかあれね。その思いに縋りついているようにも見えるわよあなた」

「そう見えるならそれでもいいわ。でも今言った事は紛れもない事実。もうあの人は帰ってこない。だとしても誰かと友達になることだったら、別に咎められることはないわ。それはUMP45、あなたにも当てはまることよ」

 

説教でも叱責でもない。ただただ、それは正しいことなんだと言い聞かせるだけの言葉だった。

感情で一人歩きした45の敗北、というのはもう他の誰が見ても明らか。何故なら、彼女も以前にハリーの父親でグローザの想い人と同じ会社で役職であった、敬愛していたと指揮官を喪ったのだから。45とグローザ。彼女らが感じているのは一人に対する友愛と親愛。抱いている愛はそう二つに分類されてしまうが、親しみという意味合いでの強い気持ちには変わりはない。

過去に囚われていずとも、懸念していたことはなかったようで45は両手を上げて降参の意を示した。

 

「はいはい、私の負け。ただの確認だったんだけど、真正面からそんな悪意がない言葉を言われたらもうどうしようもないわ」

「ふふ。でもあなたとAR15による取り合いは見物させてもらうわよ。恋愛模様って見てる分には面白いのだから」

「別にいいわよ。この戦争だけは、私自身の力で勝たないとなんだから」

 

不敵に笑う45にグローザはフォークでケーキを切り分けては口へと運んで味を楽しみだす。長く綺麗な足を組んでは優雅に一人だけの茶会を始めたことに、ローガンとしてはもう何も言い出せなくなった。

そんな自分に、話は終わったとばかりに45が百点満点の笑顔をこちらに向けてきた。

 

「さーてローガン?私、今日はもうフリーなんだ~。あなたは今日からしばらく休暇なのはもう知っているんだから、これから保護区の方でのお出かけに付き合ってよ」

「ツッコミどころがあるが……えぇ~?休暇だからこそ、俺は個人的にこれからやりたいことやるつもりなんだけど」

「やりたいことといっても単に銃の試し撃ちとかフィジカルトレーニングとかそんなんじゃん。継続は力なり、というので続けるのは良いことだけどさ、偶には私のプライベートに付き合ってくれてもいいでしょ?」

 

たしかに、45とは最近ご無沙汰だ。フロリダでの任務の後も簡単な挨拶を交わしたぐらいでまともな話などしていないぐらいに。

それでも、ローガンとしてもやりたいこととしていくつかをリストアップしている。代替えの銃の選別は勿論、興味深い題材として仕舞っていた本、それかブラックバードなどの輸送チームの面々と雑談するのもいいと思っていたぐらいだ。特に最後においては、役職など関係なく男同士で気兼ねなく喋れるのだから気が楽というものである。

……野郎同士で何やってんだ、と遠くから眺めるようなことはあるが。

 

「ローガン?なんか遠い目になってない?」

「いや~?年上への配慮って大変だよなって改めて感じていただけ~」

 

ともかく、戦場に赴いての激務から解放されたのだから今日一日だけでも自分の為に時間を使いたいというのがローガンの本音だ。休暇は数日、基地内の食の祭典がある日まで続いている。多少は誰かに時間をあげることはあるだろうが、せめて明日まで待って欲しい。でなければ割とゲンナリする。いやマジで。

 

「ロ~ガ~ン、今のあなたに選択権ってあるって思うの?一撃必殺の交渉のカードは私の手の中にあるというのに」

 

45はそう言いながら片手に持っているビデオカメラをひらひらと振って見せびらかしてくる。それ一つだけで、ローガンは既に首輪を掛けられてリードを握られてしまっているのだと知った。

不名誉な様を他人に見せられるのは誰にとっても気持ちの良いものではない。これがばら撒かれればバルソクの釈明があるまで居心地の悪い思いをするのは間違いないだろう。

そもそも、経緯などいくらでも編集して誤魔化せれる、メディアを通じて記録媒体に保存されてしまった時点で察するべきだった。

 

「何か言いたいことはある?」

「……もう仕方ないから付き合ってやるとしてだな。とりあえずそのカメラをぶっ壊していいか?」

「ダ~メ~♪」

 

その台詞にローガンが降参とばかりに肩を竦めると、ベーっと舌を出した45は屈託なく笑った。




時間式で溜まるスキルで固定式のLMGを展開しては弾をブッパして敵を牽制、または制圧。もし時間切れで使えなくなっても予め背中に背負った二丁の通常LMGで弾幕を展開して突っ込むってロマンじゃありません?だって数撃てば当たる、っていいますから。
え、んな頭悪い戦い方しない?その前にARとSRを持って理性的に立ち回る?ああそうですか。
……だってその戦い方、もう疲れたんですもん。それに強武器使ってばかりの連中に、スモーク使ったりの搦め手を駆使しないとまともに戦って勝てませんし……。
てなことでお久しぶりです。やりたいことをやっては気が向いた時には執筆してました。この間からディビジョンコラボが始まった時にはすぐにドルフロを起動したりしては進めて、周回をしながらやってたりとしてました。
ディビジョンというゲームなんですけど、私自身はリリースされてから二年ぐらい遊んでました。特にコラボイベントで題材となっている『サバイバル』というDLCは特に。難易度が高かったけど楽しかったんですよね。
オープンワールドRPG+TPSという組み合わせというだけでなく、ウィルスによる無秩序のアメリカの主要都市で戦う、という世界観のゲーム。それがUBISOFTから発売されたディビジョン、というわけです。トレーラーからして結構おもしろそうな雰囲気を感じて期待していたのが、もう六年ぐらい前になります。このコラボで気になった方は、続編として出ているディビジョン2にでも手を伸ばしてみてはどうでしょうか。あちらもあちらで前作の人物が出てきたりもしていて面白いですし。
それにしても、コラボスキンの416とベクターもいいデザインに仕上がってるなと思いました。416の課金スキンは特に。ニット帽に厚手のコートというだけで、まさにディビジョンエージェントという感じでした。
ディビジョンについて長々と語ってしまいましたが、今回はここで締めさせていただきます。
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