Fate/reselect 作:Fate/reselect出張所
私はどこにでもいる無気力系天才美少女、佐藤真波!
ある日、いつもどおりの日常を送っていると左手に不思議な痣が浮かんだ!
そしてそれは、日常の終わり・・・非日常の、始まりの合図だった!!
それから、私はこの街でとある情報を手に入れる!
亜種聖杯戦争? 英霊? 何だか良くわからないけど退屈な日常とはおさらばね!
だから私は・・・
???「今更まだるっこしいわぁい!!」バーン!!
佐藤「ヒェ! お約束のモノローグに口出してきた貴方は一体!?」ビクゥ
SS『ドラゴン学校 ~これで君も亜種聖杯戦争マスターに~』
ドラゴン先生(以降、D先生)「という訳で、これから君に亜種聖杯戦争のなんたるかを教授します」クワー
佐藤「・・・ここ、学校? 私の教室そっくりだ」キョロキョロ
D先生「ああ、質問は受けつけるから。その時は挙手だよ」
佐藤「というか、貴方誰ですか? なにその覆面・・・紙袋?」ハイ
D先生「今はドラゴン先生とだけ覚えて欲しいかな。というか、随分余裕あるね君」
佐藤「唐突に先生を名乗る和装の覆面さんに学校に拉致されたので、ちょっと頭が追いついてないです」
D先生「仕方ないよね・・・でも仕方がなかったんだ」
D先生「このままじゃあ、君は右も左も分からないまま亜種聖杯戦争に巻き込まれ、マシュマロみたいにフワッフワな考えのまま腕ごとその痣を奪われたりするからね」
佐藤「何ですそれ、こわ! これ、そんなに危ないものだったの!?」ガタッ
D先生「そうならないよう、突然始まった聖杯戦争から初心者を助けるのがこのドラゴン学校だよ」
佐藤「お、おお・・・一気にやる気が満ちてきた・・・左腕が謎の震えが、これは必要だと訴えてきます」
D先生「じゃあ、早速授業を始めるからねー」
『第一回、亜種聖杯戦争って? ~根源は一つでも、元祖の付くラーメン屋は幾星霜~』
D先生「じゃあ、兎にも角にもこれから起ころうとしている亜種聖杯戦争について話そうか」
佐藤「はーい・・・あ、亜種ということは、元祖もあるんですか?」
D先生「うん。これについては、本編のプロローグで簡潔に纏められている・・・よいしょ」ガッタン
聖杯戦争。
二百年も昔、アインツベルン、間桐、遠坂の三家の魔術師が構築した、あらゆる願望を叶える聖杯を召喚させる儀式。
その儀式の歴史は血に濡れている。聖杯を手に入れるには、聖杯に認められた七人の魔術師は使い魔であるサーヴァントと共に、ただ一組になるまで戦い勝ち残らねばならないからだ。
七人の魔術師は聖杯に三画の令呪を与えられる。そして聖杯の力を借り、この世界に名を残した存在、英霊をサーヴァントとして召喚することができる。サーヴァントはそれぞれにクラスを持ち、他のクラスを持つ六組と覇を競うことになる。
剣士のクラス、セイバー。
弓兵のクラス、アーチャー。
槍兵のクラス、ランサー。
騎兵のクラス、ライダー。
魔術師のクラス、キャスター。
暗殺者のクラス、アサシン。
狂戦士のクラス、バーサーカー。
つまり聖杯戦争は、異なる時代に名を馳せた英霊七騎が現界し、聖杯を求めて戦う殺し合いなのである。
アインツベルンら三家は、日本、冬木市に満ちた霊脈を基に、過去数度に渡ってこの聖杯戦争を行った。そのシステムは回数を重ねる中で他の魔術師に評価され、今ではそのシステムは真に優秀であると認められた。
血を血で洗うような闘争の中でそのシステムは盗まれ、そして現在では世界中で三家が構築したシステムを模倣され、規模も質も様々な亜種聖杯戦争が執り行われている。
佐藤「要するに聖杯制作者達の内ゲバ・・・じゃなかった、聖杯争奪のバトルロイヤルなんですね」
D先生「そう。冬木市で行われていた原点、通称『冬木の聖杯戦争』は過去の英雄を召還、使役できるという点だけでもシステムだったんだ」
D先生「七人の魔術師に使役された、各クラスに当てはめられた英霊。その戦いの勝者に与えられるのが聖杯だった訳だね」
D先生「だけどそのシステムは、西暦1930頃に行われた第三次聖杯戦争にて参加者の一人、ダーニック・プレストーン・ユグドミレニアによって盗まれ、世界中に拡散することになるんだ」
佐藤「第二次世界大戦・・・が、起きるかって辺りですよね?」
D先生「そう、第三次聖杯戦争自体も、ダーニックとナチスドイツによる聖杯強奪事件が起き、有耶無耶になってしまってる」
佐藤「うへぇ・・・国家が絡んだ乱戦になったんですね」
D先生「うん。『冬木の聖杯戦争』は第二次大戦のゴタゴタで今や聖杯の所在さえ分からず、伝説のものになってしまってるよ」
D先生「まあ、つまり亜種聖杯戦争の始まりは『大体ロン毛のおじ様のせい』で説明がつくんだ」カツカツ
“最期のヤケ糞テンション、凄かったね”
佐藤「一気にブッチャケましたね・・・あと、その黒板の字は一体・・・」
D先生「何となくね・・・ああ、そんな彼は確か、二人の聖人と英雄らに袋叩きにされたって話だから」
佐藤「結構な天罰当たってんじゃあないですか!?」
『第一回、亜種聖杯戦争って? ~集まれ!ウジ虫共!!~』
D先生「次は本題、その拡散されたシステムを基に発展した亜種聖杯戦争についてだよ」
D先生「第二次大戦、冷戦と世界各地での紛争によって後押しされながら、世界中の魔術師達によって多くの亜種聖杯戦争が起こったんだ」
D先生「それらは当初、『冬木の聖杯戦争』と比較してもあまりにも陳腐な出来だった」
D先生「英霊の数が二、三騎だったなんてのはまだ成功の部類で、その英霊がまともに戦えない状態だったり、暴走したり・・・」
D先生「多くは聖杯どころか、勝利者への報酬と呼べるものさえなかったんだ」
佐藤「そんな状態なのに・・・魔術師達は亜種聖杯戦争を続けましたんでしょうか?」ハイッ
D先生「やっぱり、万能の願望機ってのがそれだけ眩しかったんだろうね。根源を目指す彼らには」
D先生「魔術師とは、世代を跨いで万物の根源を求める求道者・・・とは言え、近道のチャンスがチラつけばそれに飛びつく連中もいるさ」
D先生「事実、亜種聖杯戦争の最初期の参加者は、魔術師として衰退しつつある家系だったり、直系でない魔術師だった場合が多かったそうだよ」
佐藤「ダメ元のドリームチャンス、って感じだったんですね・・・」
D先生「それに、第二次大戦や冷戦を通じて急速に進化していく科学技術に、焦りを拭えなかった者も少なくなかっただろうね」
D先生「そうやって後のない連中が命がけで積み上げていった失敗によって、亜種聖杯戦争は精錬されより完成度の高いものに昇華していったんだ」
佐藤「あいつの屍を超えていけ!って感じなんですね」
D先生「それでも準備だけで半世紀以上掛けてた『冬木の聖杯戦争』と比較しちゃ、やっぱりお粗末なものなんだけどね」
佐藤「半世紀・・・!? スケールが違い過ぎない!?」
D先生「そんな感じで、話を現在に戻そうか」
D先生「現代、亜種聖杯戦争は原点の聖杯戦争と比べて、より戦争としての側面を強めたものとなってしまっている」
佐藤「戦争としての側面・・・?」
D先生「本来の聖杯戦争は、マスターと英霊をセットにして一つの陣営だった。けど、今やその陣営により多くの人間が関わることになった」
D先生「それと同時に、英霊が召喚される前の情報戦や資源の確保が重要視されていったんだ」
D先生「想像してみると分かるよ。自分の知らない場所で聖杯戦争にマスターとして参加する時、何が必要か」
佐藤「えっと・・・まず、拠点となる隠れ家に、敵の情報に・・・」
佐藤「・・・あ、そっか。サポート役がいる」
D先生「そう、英霊を召還する為の触媒の提供、開戦後に拠点とするべき場所の確保、英霊を戦わせる為に必要な魔力確保、敵の情報収集・・・」
D先生「英霊に戦闘を代行させてるとは言え、マスターがやるべきことは意外に多いんだ」
D先生「だから、その補佐として誰かを同行させる。そうしているうちに、陣営は大きくなる」
D先生「とは言え、そこは用心深い魔術師。リスクを考えて、多くの魔術師は雇っても数人だろうけどね」
D先生「・・・ほら、弱った隙を突かれて、指を圧し折られながらマスター権の譲渡を迫られたら・・・嫌だろう?」カツカツ
“美しきホクロ――それは自陣営を飲み込むブラックホール”
佐藤「何ですか? その具体的な例・・・」
D先生「・・・ダッシュ線って何だか、きのこの香りがするよね」ウンウン
佐藤「なに言ってんだ、この紙袋?」
佐藤「でもサポート役なんて、『冬木の聖杯戦争』でも必要だったんじゃ・・・」
D先生「確かに、『冬木の聖杯戦争』においてもサポート役として聖杯戦争に関わった人は多いよ」
D先生「ただ、当時の聖杯戦争は高水準であり、魔術師の界隈から見てもそこまでの知名度もなく行われていた秘儀だったんだ」
D先生「一流の魔術師は暗示によって一般人を騙したりできるし、拠点となる工房を得る資金やコネも潤沢」
D先生「『冬木の聖杯戦争』の参加者の魔術師達は、一人である程度のことは賄えてしまえていたんだ」
佐藤「えっと・・・それが全世界に普及し、水準を落とした聖杯戦争だと出来なくなった」
佐藤「それは全体の質が落ちてしまったのと、準備に時間を掛けられなくなったから・・・ということなんですかね?」
D先生「うーん、100点」グッ
D先生「あと、普及したが為に、そういうサポートを生業にする連中が出てきたことを予想すれば、もう300点」
D先生「周知されてしまったシステムが為に、情報線がモノを言う為にマスターへの監視が強くなってしまったことを挙げれば100点だったよ」
佐藤「あの・・・何点満点の、100点だったか聞いても良いですか・・・?」
D先生「本編でも、この亜種聖杯戦争の普及に伴って増えた職業が登場しているよ」
D先生「物資や情報を売る、『商人』のアダム。それに本作ではマスターとして参加しているけど、読水竜也も『運び屋』もこれだね」
佐藤「『運び屋』・・・商人ってのは何となく分かりますが、『運び屋』というのは随分とざっくりとした名前ですよね」
D先生「『運び屋』は、亜種聖杯戦争においてはマスターの切り札足り得る重要な物資の輸送・・・特に英霊召還の際に使う触媒の運び手としてそう呼ばれるね」
D先生「触媒は、召喚する英霊の縁のある代物・・・触媒が分かれば、英霊の真名もある程度は特定できてしまうって訳さ」
佐藤「だから調達するにしても、人目につかないようにプロに任せるって訳ですね」
D先生「触媒の調達をする『古物商』、そして聖杯参加者にそれを届ける『運び屋』。二つは亜種聖杯戦争で、最も需要が増えた存在だろうね」
佐藤「でも、自分で用意した方が安全じゃあないんですか?」
D先生「もちろん、そういう考え方もできるね。ただ、魔術師だって研究を次代に継ぎながら栄えていった連中だから、家宝として触媒にできそうな代物を持っている一家は多い」
D先生「ただ、そうなると必然、その触媒は一族の研究に則したものになる。ルーン魔術を研究する一族は、英雄が刻んだ古いルーン碑石とかね」
D先生「秘蔵の触媒がブリテンの騎士王だったり、ギリシャの大英雄だったり、はたまた極東の聖人や、この世全ての悪だったり・・・」
D先生「そんな“何でもあり”は、聖杯戦争の御三家であるアインツベルンくらいしか出来ない真似だろうね」
佐藤「じゃあ、英霊が誰であるかを隠す為にも、他所から秘密裏に仕入れるのが重要になる・・・」
D先生「そして、それを極秘にマスターの手元にってのが、読水ら『運び屋』ってことだね」
佐藤「なるほど・・・」パラッ
佐藤「その『運び屋』が、本編では自分が参加する聖杯戦争で触媒を盗まれてるんですけど・・・」パラパラ
D先生「・・・悲しい、事件だったね・・・」カツカツ
“セイバーの触媒を用意できた所は評価したげて”
佐藤「他にはどんな仕事が増えたんですか?」
D先生「有名どこだと、死霊術師がこの亜種聖杯戦争で活発に動き回っているね」
佐藤「死霊術師? 何だか体がムズムズしますが・・・それって、死体を操ったりする奴ですか?」
D先生「大体そんなイメージで良いけど・・・彼らはこの亜種聖杯戦争に対し、魔術師として最も好意的な反応を見せてる連中だ」
D先生「なんて言ったって、滅多に得られない魔術師の死体を手早く手に入るチャンスだしね。上手く行けば、殺す手間どころか追手の心配さえ戦争のゴタゴタで省ける」
佐藤「ただのハゲタカじゃあないですか・・・」
D先生「もちろん、そういう『死体漁り』が出てくればこその職業もある」
D先生「つまり、死んだ一族の死体を解析され、魔術刻印・・・一族の研究成果を盗まれないよう死体を回収するのを請け負う魔術師もいる」
D先生「もちろん、その多くは死体に精通した死霊術師って話だ」
佐藤「それって、マッチポンプじゃあ・・・」
D先生「需要と供給は、商売の基本だからねぇ・・・」
D先生「他には・・・魔術師ですらないこともあるけど、マスターや英霊を殺す『殺し屋』ってのもいるかな」
佐藤「出来るんですか、それ・・・?」
D先生「マスターを殺すのが最も手っ取り早いというのは、亜種聖杯戦争の初期からの通説だよ」
D先生「それに亜種聖杯戦争の英霊だって、必ずしも十全に戦える絶対強者とは限らない。弱点さえつけば、勝ち目はあるだろうね」
D先生「とは言え、英霊殺しは相当レアなケースだろうね。それこそ、亜種聖杯戦争の収集がつきそうもなく暴走して『監督役』が要請を出したとか・・・」
佐藤「『監督役』?」
D先生「その話はまた今度ね・・・」カツカツ
“香辛料と時間が足りないよ”
『第一回、亜種聖杯戦争って? ~放課後~』
キーン コーン カーン コーン
D先生「じゃあ、今回はここまで」
D先生「次回も遅れずに来てね」
佐藤「えっ、次回もあるんですか? というか拉致された訳ですが・・・」
佐藤「・・・いや、まあ良いや。とにかく、やらなきゃならないことは分かりました」
佐藤「令呪を宿した素人の私は、まずは仲間を集める必要があるんですね!」ガタッ
佐藤「まずは街にいる胡散臭い連中に、片っ端から魔術師ですかって聞いてきます!」パタパタ
D先生「え・・・えっ、ちょっと・・・」
D先生「・・・行っちゃったね。・・・ん?」
・・・あ、死霊術師? えっ、令呪? 持ってますよ。
・・・あれ? すっごい胸が苦しく・・・きゅう。
D先生「・・・・」
D先生「よし、助けに行こうか」ガタッ
次回に続く・・・?