不良優等生 上杉君   作:えぬに

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最新話の一花さんをみて無事死亡。


前田と上杉君

キーンコーンカーンコーン

 

昼休み前の最後の授業が終わるチャイムが鳴る。

 

先生「今日はここまでだ。宿題を出しておくからしっかりとやるように。」

 

授業終わりの号令の後、一気に教室が騒がしくなる。学校の昼休みというのは学生にとっては待ちに待った時間。昼食を食べ、空腹から解放された後、まとまった時間を思いのまま自由に過ごせる。寝たり、喋ったり、遊んだり…。午後の授業を戦い抜くための英気を養うためにはなくてはならない時間だ。

 

五月「上杉君、ちょっといいですか?」

風太郎「なんだ、質問か?」

五月「はい、ここなんですが…」

 

俺と五月は同じクラスなので、最近ではこうして休み時間を利用して五月の質問に答えてやることが最近の日課になっていた。以前は一人でさっさと食堂に行って一人でいつもの定食を注文し、一人で勉強していただけなので、人と話すようになったのはいい傾向だ。なんせ、俺の周りには五つ子以外誰も寄り付かないからな。

 

なんて思っていたやさきに、面倒な奴がやってきた。

 

前田「この教室に上杉ってやついるか?」

 

…。

 

風太郎「おーい、上杉居るか?」

五月「貴方ですよね?」

風太郎「あ、確かあいつ今日風邪で休みだったわ。悪い、また明日出直してきてくれ!」

五月「ですから貴方ですよね?」

 

空気読めよ、そんなこと分かってんだよ。

 

前田「おうコラ、上杉。てめぇに用があんだ、ちと(ツラ)貸せコラ。」

 

風太郎(お前のせいでバレたんだけどどうしてくれんの?)ヒソヒソ

五月(私が言わずともバレてたと思いますけど…)ヒソヒソ

風太郎(ああいった見るからに馬鹿そうな奴は俺の顔なんて1日で忘れるもんだろ?)ヒソヒソ

五月(流石に失礼すぎません?)ヒソヒソ

 

風太郎「なんだよ、今勉強で忙しんだけど?」

前田「いいから来いよコラ。すぐ終わるからよ。」

風太郎「やだ。」

前田「子供か。」

風太郎「お前が言う?」

前田「あ?文句あんのかコラ?」

風太郎「あ"?」

 

やっぱりこいつだけはぶん殴らないと気が済まん。それが人に物を頼む態度かよ。お互いに睨み合っていると五月が

 

五月「喧嘩は良くないですよ?二人とも落ち着いてください、周りに迷惑です!」

 

止めてくれるな五月、俺はこの礼儀知らずのコラ野郎に家庭教師として教育的指導をしないと。

 

「お、おい、あれ止めた方だ良くね?」

「中野さん勇気あるなぁ。」

「上杉と前田が睨み合ってるとかやばすぎる…」

「どっちも顔怖い…」

 

…。

 

風太郎「…屋上でいいか。」

前田「やっと来る気になったかよ。」

 

お前の為じゃない。俺の学校生活を守るためだ。

 

風太郎「悪いな五月、質問はまた放課後な。」

五月「え?あ、はい…。」

 

そう言って俺と前田は屋上に向かう。

 

周りから、おいとうとう前田と上杉タイマンするんじゃね?観に行こうぜ!などと聞こえてきたが、とりあえず睨みをきかせて黙らせ、野次馬に来ないよう釘を刺しておいた。

 

俺はこうして、また大切な何かを失っていくのであった…。

 

グスン…

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

風太郎「…で?何の用だよ。」

 

とりあえず俺にぶっ飛ばされる前に遺言を残す猶予くらいはくれてやろう。

 

前田「単刀直入に言う。中野さんに告白しようと思う!」

 

…は?

 

風太郎「は?何の告白?」

前田「付き合ってくれって告白だ!だから、中野さんと付き合えるよう俺に協力してくれ、上杉!」

風太郎「なぜ俺?」

前田「中野さんと親しそうな奴、男じゃお前ぐらいしかいないだろ。昨日も一緒に帰ってたしよ。」

 

確かに、あいつら基本的に姉妹の誰かしらといるからな、男友達は見たことがない。

 

風太郎「…だが断る!」

前田「なんでだゴラァ?!」

風太郎「逆になんで俺が引き受けると思った!?」

前田「そこは…その…あれだ!」

風太郎「語彙を増やして出直してきやがれ!」

 

なぜ俺はこうも馬鹿の相手をしないといけない。[[rb:あいつら> 五つ子]]だけでもうお腹いっぱいだ。

 

前田「…お前、中野さんと付き合ってんの?」

風太郎「え?いや、別にあいつらとは知り合いなだけだが。」

前田「え?あいつ"ら"?」

風太郎「え?」

 

…ああ、こいつ知らないのか。あいつらが転校してまだそんなに日が経ってないから認知度は低いのだろう。

 

風太郎「中野って五つ子だぞ。」

前田「…え?」

風太郎「だから、お前と同じクラスの中野一花は五つ子で他にも4人の姉妹がいるんだって。昨日俺と一緒にいた他の奴見ただろ?」

前田「えぇ、五つ子とかどんな確率だよ…信じらんねぇ。だからお前は中野さんのこと名前呼びだったのか。」

 

…なるほど、要はこいつ、同じクラスの一花に惚れてて名前呼びしてる俺に嫉妬したわけだ。だからあんな初対面なのに喧嘩腰だったのかよ…

 

…てかなんで俺、いつのまにかこいつとこんな喋ってんだ?帰っていいかな?

 

風太郎「まぁ、そういうことだ。俺とあいつらはただの知り合いってだけだから告白なりなんなりどうぞご自由に。ただ俺は協力はしない。面倒だし。じゃあな。」

前田「ちょ、おいまてコラ!だったら勝負だ!」

風太郎「へ?勝負?」

前田「俺とタイマンしろ!俺が勝ったら協力してもらう!もし俺が負けたらお前の言うことなんでも聞いてやるよ!」

風太郎「あ?俺は喧嘩なんてやらん。それに、別にお前に叶えて欲しいことなんか無…」

 

まてよ、本当にこいつを野放しにしていいのか?俺はこんな仮説を立ててみた。

 

前田が一花に告白→一花にとって前田は好みだったため、二つ返事でOK→二人は晴れてカップルに→恋愛なんぞにかまけて勉強しなくなる→AKATEN待った無し→結局進級出来ず→家庭教師をクビになる

 

…有りうる。 (*作者から:前半は100%有り得ません)

 

それを考えたらこいつを今ここでぶっ飛ばして告白しないようにお願いすればいいんじゃないか?

我ながら脳筋だが…。

 

風太郎「…気が変わった。その勝負うけてたつ。」

前田「お?やる気になったみたいだな、昨日会った時からお前とは一度やってみたいと思ってたんだ。お前、昨日は強いくせに警察に通報なんてせこい真似しやがってコラ。」

風太郎「なんで俺が強いってわかるんだよ。」

前田「見りゃ分んだよ。お前の手の甲、皮が厚くなってんじゃねえか。相当喧嘩慣れしてるみたいだな。」

 

前田の割には鋭いな。

 

風太郎「やる前に条件がある。」

前田「なんだよ。」

風太郎「一つ、俺らが喧嘩したってのはお前と俺だけの秘密、他言無用で頼む。二つ、俺が喧嘩慣れしてることも他言無用で頼む。」

前田「なんだ、別にそれぐらい構わねぇ。」

風太郎「決まりだな。」

 

あーあ、しばらくは喧嘩しないって決めてたのになぁ…。まぁ、ぼちぼちやるか。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

風太郎「…」

前田「…」

 

お互いに構え、相手の出方を見る。

 

前田「…来いよコラ。」

 

…の野郎、一撃で終わらせてやる。

 

風太郎「…」ダッ

 

風太郎ブゥンッ!!

 

ゴッ!

 

前田「っ!」ボタ...

 

先手必勝。俺は一撃で沈めるつもりで思いっきり拳を食らわす。

 

 

前田「…いいパンチだゴラァ!」

前田ブオッ!!

 

だが、前田も負けじと同じくパンチを放つ。

 

風太郎(なっ!こいつ[[rb:気絶し> おち]]ねぇ!)

風太郎スッ

スカッ

 

俺はすかさず避ける

が、

下を向いた俺の顔面に前田は容赦なく膝で蹴りを入れる。

前田「おらっ!」

風太郎(!やばっ、蹴り…)

 

ドスっ

風太郎「がっ…」ボタ...

 

顔を蹴り上げられ、上を向く。

そこに前田が追い打ちをかけ、

前田の拳が俺の鳩尾に入る。

 

前田シュッ!

ドスッ!

風太郎(くっ!)

 

負けじと風太郎も一撃を入れる。

 

風太郎「〜〜っだらぁ!」

風太郎シュッ!

ゴッ!!

 

前田「っっ!」ブシュッ

前田グラァ…

前田「うお…?」

 

風太郎「ゲホッ、ハァ、ハァ…」

前田「ペッ」ビチャッ!

 

こいつ、強い…!俺のさっきの一撃、目を瞑るどころか俺をずっと見てやがった。普通ならびびって目を閉じるぞ…

 

前田「…おいコラどうした、来いよ?」

風太郎「…の野郎ぉ」

 

風太郎(俺はこいつを倒して、あいつらには自分の勉強に集中させる!)

前田(俺はこいつに勝って、中野さんと付き合う!)

 

風太郎(俺の借金返済の…)

前田(俺の恋路の…)

 

二人(邪魔はさせない!)

 

風太郎「「倒す!」」前田

 

 

 

 

それからは屋上では、しばらく殴り合う音が響き渡った。

 

ゴッ!

ザッ!

 

バキ! ドシュ!

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

風太郎「ハァ…ハァ…」

前田「う…」

 

数分間の殴り合いの後、前田は地面にひれ伏し、俺は立っている。

 

辛くも俺は勝利した。

 

風太郎(くっ…体がバラバラになりそうだ…なんつー重いパンチしてやがる。)

風太郎(あ、やばっ、もう無…り…)

 

何回も体に良いやつ(ダメージ)を貰ったため、流石に足に来ていた俺はたまらず仰向けに寝そべる。

 

前田「…あ"あ"っくそ!俺の負けだ!」

風太郎「勝っても嬉しくねぇ…ああもう、この後の授業どーすりゃいんだよ…」

 

身体中はボロボロ、顔からは血がダラダラ、手も痛くてペンを握れそうもない。何より疲れた。正直今となっては喧嘩しなければよかったと後悔している。後の祭りだが。

 

前田「おい上杉。」

風太郎「あ?なんだ。」

前田「…約束だ、お前の頼みなんでも一つ聞いてやるよ。」

 

喧嘩に夢中で忘れてたわ。自分から言うなんて律儀なやつ。

 

風太郎「じゃあ、一花への告白を…」

 

と言いかけて俺は言うのをやめる。正直、学生恋愛なんざ俺にとっては理解に苦しむが、何故かこいつの告白をやめさせるのは間違っていると感じてしまった。

 

前田「あ?なんだよ。」

風太郎「いや、何でもない。何でも一つか…」

前田「早くしろよコラ。」

 

…ぐぅぅ。

 

前田「…」

風太郎「…じゃあ、飯を奢ってくれ。焼肉定食が食べたい。」

前田「飯だぁ?まぁ、それぐらいならいいけどよ。今から食いに学食行くのか?」

風太郎「もう少し回復してから行く。ほんとに疲れた…」

前田「俺もそうするわ…」

風太郎「…なあ前田。」

前田「あ?」

風太郎「お前、なんで昨日あんな袋叩きにされてたんだ?」

前田「…反撃して学校外で問題起こすとヤバイだろ。」

風太郎「校内は良いのかよ。」

前田「うっせ。」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「ちょっと、あの席やばくない?」

「上杉と前田ってどんな組み合わせだよ…」

「何で二人ともあんなボロボロなの?」

「怖すぎる…」

 

あの後しばらくして、俺たち二人は学食で焼肉定食を注文して食べているのだが…

 

風太郎「おい、一緒に食ってると仲良いって思われんだろ、どっか別の席で食べろよ。」モグモグ

前田「ああ?誰の金で食ってると思ったんだコラ。そんぐらいいいだろ。にしても、学食のおばちゃんが言ってたいつも注文してる焼肉定食の焼き肉抜きってなんだよ。お前注文のセンスありすぎかよ(笑)」モグモグ

風太郎「ほっとけ…」モグモグ

 

何故か喧嘩したらみんな友達みたいなハートフル青春物語みたいになっているが、断じてそんなんじゃないからな。

 

風太郎「口の中切ってるから焼肉がしみるな…」

前田「俺も…お前のパンチ重すぎだ…なんで飯もろくに食ってねぇのにそんな力あるんだよ。」

風太郎「知るか。」

前田「ていうか、お前やっぱ喧嘩強いじゃねぇかコラ!」

風太郎「あー!あー!お前、そのことは言うなって!!誰かに聞かれるだろ?!」

前田「あ?んだよ、変なやつだな…。ああ、それと上杉。」モグモグ

風太郎「なんだ。」モグモグ

前田「昨日は助けてくれてありがとよ。」モグモグ

風太郎「…へいへい。」モグモグ

 

ちなみにだが、前田がなぜ一花を好きになったかというと、いつも目つきで怖がられる自分にも同じように接してくれたことがきっかけらしい。だが俺との喧嘩で負けたので、俺に告白はまだ早かったってことか、などと訳の分からない理論で告白するには至らなかった。

 

…本当に理解できん。

 

 

 

五月「…あっ!上杉く…」

 

 

前田「お前ヨォーーー」ワイワイ

風太郎「それは言うな!ーーー」ワイワイ

 

五月「…」

五月(え、いつのまにか仲良くなってる…)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

五月「裁判長、みてくださいこの上杉君の怪我を。どうみたって喧嘩したようにしか思えません!」

一花「ほぅほぅ、確かにこれは怪しいですなぁ。」

風太郎「ち、違う…これは、その…階段から転げ落ちただけだ。」

 

今の状況を説明しようか。

喧嘩したこと普通にバレそう。

そりゃそうだよ、怪我してんだもん。というわけで、今は中野家にて五つ子裁判が行われている。裁判長は一花、裁判員は三玖と二乃、検察官は五月、弁護人は四葉だ。

…どうしよう、俺の弁護人が四葉の時点で勝ち目がないんだが。

 

五月「では、前田君の怪我はどう説明するつもりですか?」

風太郎「それは…あいつも俺と同じく転んだ。」

五月「なるほど、二人して階段から転んだからあんなに仲良くなったと。」

風太郎「あいつと仲良くなった覚えはないんだが…」

五月「でも、前田君と二人でお昼を食べていましたよね?」

風太郎「その場の流れでそうなっただけだ…」

二乃「十分仲良しじゃない。」

三玖「怪しい…」

四葉「…」ボ-

 

ちくしょうこの弁護人役にたたねぇ!ぼーっとしてやがる!

 

一花「フータロー君は前田君とはどんなお話をしたのかな?」

風太郎「えっ…それは言えない。あいつの名誉に関わるからな。」

 

正直あいつの名誉なんてどうでもいいが喧嘩した理由が理由だけにこいつらに話したくない。あいつの名誉を建前に黙秘権を行使する。

 

一花「んー、それだと白黒つけ難いなぁ。」

五月「いえ、これはよくある雨降って地固まるってやつですよ!男同士拳を交えて分かり合えたからあんなに仲良くなったと考えるのが自然です!」

 

ちょっと何言ってるのか分からない。分かりたくない。こいつって性格が真面目だから割と熱血系が好きだったりすんの?

 

一花「弁護人は何かある?」

四葉「…ありません!」

風太郎「何しに来たんだ。」

 

もう、お前にはガッカリだよ…

 

一花「えー、これ以上言うことは無いようなので、裁判員のみなさん、判決を。」

三玖「どっちでもいい。」

二乃「有罪。」

 

このクソ裁判員どもが!

 

風太郎「おい、明らかに証拠不十分だろ!推定無罪だ!」

一花「被疑者に発言権はありませーん。」

風太郎「弾劾裁判でクビになっちまえこのエセ裁判長。」

一花「はい、有罪。」

風太郎「職権濫用!」

一花「お父さんに連絡しちゃおっかなあ〜」

風太郎「ちょっとまて、俺が喧嘩してたと限らないだろ。」

一花「そんなことは関係ないのだよフータロー君、私が有罪って言えば有罪になってしまうのだ!」

風太郎「ぐっ…」

一花「私がお父さんにフータロー君がヤンキーだって言ったらクビになっちゃうかもねぇ。」

風太郎「それだけは勘弁してください…」

一花「そ、そんな土下座しなくても…。冗談だよ。でも、言わないかわりに何か見返りがあってもいいかな、なんて。」

風太郎「何かってなんだよ…」

一花「それはフータロー君が決めて?」

風太郎「…」

 

五月「…なんか、上杉君が可哀想です…」

二乃「別にいいんじゃない?クビにしちゃえばいいのよ。」

三玖「流石にそれは可哀想。」

四葉「え、上杉さんクビになっちゃうんですか!?それは嫌です!」

 

ならもっと助けろ。

 

風太郎「じ、じゃあ、俺が出来ることなら一回だけなんでもする。」

一花「本当に?言質取ったからね?あと、お姉さんだけじゃなくて、みんなにも適用だからね?」

風太郎「あ、ああ…。」

 

 

 

…上杉風太郎の奴隷生活の始まりだ。

 

ちくしょうこの姉妹本当に嫌いだ!

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