珈琲   作:おたふみ

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大学編・その17

数日間のコーヒーショップ

アルバイト継続中…。

 

「おい坊主、綾瀬興業っていったら『北の雪ノ下・南の綾瀬』の、あの綾瀬だろ」

「そうなんスよ。なんで俺に絡んできたのか…」

「お、客が来たぞ」

 

「いらっしゃいませ」

「やぁ、比企谷」

「…」

「あれ?比企谷?」

「マスター、ぶぶ漬けお願いします」

「ヒドイじゃないか」

「なんだよ、葉山。何しに来た」

「俺だって、評判のコーヒー屋ぐらいは来るさ」

「お前は来たことあるだろ」

「冗談だよ。優美子と待ち合わせだ」

「お前、変なこと思いださせるな」

「あ!…、す、すまん」

「な、気まずいだろ」

 

「はいよ、コーヒー」

「ありがとう」

「そのキラキラスマイルはどうにかならんのか?」

「なんのことだい?」

「もういい…。それと、葉山は綾瀬文子って知ってるか?」

「あぁ、パーティーで何度か会ったかな」

「どんなヤツだ?」

「天然の小悪魔…かな?」

「なんだそれ?」

「本人に、その気がないのに、周りを引っ掻きまわす」

「なにそれ怖い」

「でも、海外留学中じゃなかったかな?」

「よく知ってるな。だが、帰ってきてる。しかも、ウチの大学に」

「会ったのか?」

「あぁ、向こうから声をかけてきた」

「気をつけろよ」

「気をつけようがないんだが…」

「あはは…」

 

「お邪魔するわ」

「おう、雪ノ下。いらっしゃい」

「やぁ、雪ノ下さん」

「…」

「あ、あれ?」

「マスター、この男にぶぶ漬けを」

「二人ともヒドイな…」

 

「と、まぁ、葉山に綾瀬さんの話を聞いていたんだ」

「なるほどね」

「雪ノ下さんも、あのタイプは苦手だろ?」

「そうね。悪意なくまわりを引っ掻きまわすタイプね」

「葉山と同じ感想なんだな」

「あら、そう。遺憾ながらそうね、遺憾ながら」

「雪ノ下さん、なんで二回言ったの?」

「大事なことだからよ」

「イメージとしては、雪ノ下さんと一色を足して二で割った感じか?」

「そんな感じかしら」

「超怖いし苦手なんですけど…」

 

「隼人~♪」

「やぁ、優美子」

「雪ノ下さんも居たんだ。この前はどうも」

「三浦さん、こんにちは。先日は挨拶もせず、すいませんでした」

「あのタイミングで挨拶するって、どんな強心臓だよ」

「まったくだよ…。優美子も雪ノ下さんも…」

 

「んで、またヒキオのモテ話なの?」

「ちげぇよ!」

「まったくよ。三浦さんからも何か言ってくれないかしら」

「おい、雪ノ下」

「まぁ、ヒキオも天然だからね」

「比企谷の場合は、鈍感と言った方がいいかな」

「バッカ。俺は敏感だぞ。敏感過ぎて、空気読んで俺が空気になるまである」

「貴方ってひとは…」

「んだよ」

「まぁ、いいわ。綾瀬さんには充分に気をつけてちょうだい」

「わかってるよ。雪ノ下、ちょっと耳貸せ」

「なにかしら?」

「俺はお前だけ見てるから大丈夫だ」

「!!!…バカ」

「?」

「雪ノ下さん、顔真っ赤だけど、大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ。比企谷君がズルいだけだから」


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