今までのベストプレイスを諦め、探しだした、新ベストプレイスで読書…。俺超クール…、んな訳ないか。
誰にも邪魔されない、心地好い時間。邪魔していいのは、雪ノ下だけ。ゆきのん超好き。…、自分で思ってもキモイ。
「あら?比企谷様…、比企谷さん、こちらにいらしたのですか」
見つかった…。見つかってはいけない人に見つかった。
「もう、『様』でも『さん』でもどっちでもいいぞ、綾瀬さん」
「では、比企谷様で」
「んで、何か用でも?」
「いえ、比企谷様とお話ししたかったので…」
「俺と話をしても面白くないと思うがな」
しばらく、綾瀬さんが話し俺が相づちを打つ、そんなことが続いた。
「あの、比企谷様」
「ん?」
「比企谷様は、私の容姿のことを聞かないんですね」
「なんだ? 誉めてほしいのか?」
「いえ、あの、金髪で青い瞳だと、色々と聞かれる方が多いので」
「まぁ、そんだけ美人なら男からはチヤホヤされて女からは嫉妬されるだろうな。それに大企業の令嬢だったら尚更だ」
「…ご存知だったんですね」
「一見、恵まれてるように見えるが、大変なんだろ?」
「…はい」
「下を向くなよ。美人が台無しだ」
「ひ、比企谷様!」
やべぇ、お兄ちゃんスキルで頭撫でてしまった!
「す、すまん」
「い、いえ、大丈夫です。なにより、頭を撫でられるなんて、久しくなかったので、嬉しかったです」
「そ、そうか」
「はい」
「そ、それでだな。俺の身近にも似た境遇のヤツが居るんだがな…」
「…比企谷君」
「ひぃ!」
「あらぁ、雪乃さん。ごきげんよう」
「文子さん、こんにちは」
「脅かすなよ、雪ノ下」
「それで、文子さんは『私の』比企谷君に、何かご用かしら?」
「私の?」
「私の恋人の比企谷君に何かご用?」
「まぁ、雪乃さんの恋人だったんですね」
「まぁな」
「素敵ですね。私も比企谷様の様な恋人が欲しいです」
「文子さんも、見る目があるわね。でも、彼は渡さないわよ」
「そうですか。それは残念です」
「悪いな」
「では、私も恋人にしてくださいまし」
「へ?」
「は?」
「私と雪乃さん。二人の恋人というのはどうでしょうか?」
「イヤイヤイヤ。オカシイよ。倫理君的にオカシイからね」
「文子さん、何を言ってるの!彼は私だけの恋人よ」
「でも、父のご友人は何人も恋人がいらっしゃいますわよ」
「そ、それは…」
「ですから、よろしいですよね?比企谷様」
「い、いや、それはだな…。ゆ、雪ノ下、助けてくれ」
「と、とにかく、ダメなものはダメよ!」
その後、講義の時間になり、逃げるようにその場を後にした…。