奉仕部部室は平常運転中。一緒に生徒会長兼サッカー部マネージャーが居るのも、もはや平常運転。
今日はコーヒーを飲んでいる。3日に1回はコーヒーである。
「比企谷、居る?」
「えっと、川、川…川瀬さん?」
「川崎だけど、殴るよ」
「やめてください、死んでしまいます」
「サキサキ、やっはろー!」
「川崎先輩、どうもで~す」
「川崎さん、そこのヒキ、ヒキ…。彼に何かご用かしら?」
「おい、完全に忘れるな。俺と川崎はこれがデフォルトだ」
「まったく…」
「川崎、コーヒー飲むか?」
「いいのかい?」
「特に依頼もないしかまわないわ」
「なんで、川崎先輩には、すっと出すんですか?」
「あ?みんな飲んでるのに、川崎だけ出さないのは、おかしいだろ」
「ブーブー!」
「はいはい、あざといよ」
「ほいよ」
「ありかと」
「美味しいね」
「ありがとよ」
「それでね、比企谷に京華から手紙を預かってきたから、はい」
「けーちゃんからか。どれどれ」
「ヒッキー、私にも見せて!」
「これは、比企谷君かしら。アホ毛があるわよ」
「子供が描いても目が腐ってますよ」
「うるせぇ。どれどれ」
【はーちゃんへ いつもあそんでくれてありがとう】
「改めて、手紙にされると、嬉しいな」
【おおきくなったらはーちゃんのおよめさんになりたいです】
「…貴方、幼稚園児になにをしてるのかしら…」
「ヒッキー!キモイ!」
「先輩、シスコンからロリコンに鞍替えしたんですか…」
「子供の言うこと真に受けるなよ」
【はーちゃんがくるとさーちゃんもたのしそうなのでさーちゃんとけっこんしておにいちゃんでもいいです】
「さーちゃん?」
「誰?」
「さ、さ、さ、…沙希?」
「こ、子供が言ってることを真に受けちゃダメだよな、な!比企谷!」
「あ、あぁ、そうだな」
「ヒッキーは、私の…なのに…」
「比企谷君の…は私なのに…」
「結衣先輩?雪ノ下先輩?」
「コーヒーごちそうさま!私は帰るね」
「お、おい!川崎!…。まったく、子供は何を言うかわからんな。って、お前らどうかしたか?」
「な、なんでもないわ」
「そ、そうだよ、ヒッキー」
「先輩、デート1回で許してあげます」
「なんで、一色とデートしなきゃならんのだ。葉山を誘えばいいだろ」
「そうだよ、いろはちゃん!」
「そうよ、一色さん。この男にまともなデートなんて出来ないのだから、私がしっかり調教しないと…」
「ゆきのん、ズルイ!」
奉仕部は下校時間まで騒がしかった。
川崎沙希は京華を誉めてあげようと思いながら 帰宅した。