珈琲   作:おたふみ

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十二話

奉仕部部室は平常運転中。一緒に生徒会長兼サッカー部マネージャーが居るのも、もはや平常運転。

 

今日はコーヒーを飲んでいる。3日に1回はコーヒーである。

 

「比企谷、居る?」

「えっと、川、川…川瀬さん?」

「川崎だけど、殴るよ」

「やめてください、死んでしまいます」

「サキサキ、やっはろー!」

「川崎先輩、どうもで~す」

「川崎さん、そこのヒキ、ヒキ…。彼に何かご用かしら?」

「おい、完全に忘れるな。俺と川崎はこれがデフォルトだ」

「まったく…」

「川崎、コーヒー飲むか?」

「いいのかい?」

「特に依頼もないしかまわないわ」

「なんで、川崎先輩には、すっと出すんですか?」

「あ?みんな飲んでるのに、川崎だけ出さないのは、おかしいだろ」

「ブーブー!」

「はいはい、あざといよ」

 

「ほいよ」

「ありかと」

 

「美味しいね」

「ありがとよ」

「それでね、比企谷に京華から手紙を預かってきたから、はい」

「けーちゃんからか。どれどれ」

「ヒッキー、私にも見せて!」

「これは、比企谷君かしら。アホ毛があるわよ」

「子供が描いても目が腐ってますよ」

「うるせぇ。どれどれ」

 

【はーちゃんへ いつもあそんでくれてありがとう】

 

「改めて、手紙にされると、嬉しいな」

 

【おおきくなったらはーちゃんのおよめさんになりたいです】

 

「…貴方、幼稚園児になにをしてるのかしら…」

「ヒッキー!キモイ!」

「先輩、シスコンからロリコンに鞍替えしたんですか…」

「子供の言うこと真に受けるなよ」

 

【はーちゃんがくるとさーちゃんもたのしそうなのでさーちゃんとけっこんしておにいちゃんでもいいです】

 

「さーちゃん?」

「誰?」

「さ、さ、さ、…沙希?」

「こ、子供が言ってることを真に受けちゃダメだよな、な!比企谷!」

「あ、あぁ、そうだな」

「ヒッキーは、私の…なのに…」

「比企谷君の…は私なのに…」

「結衣先輩?雪ノ下先輩?」

「コーヒーごちそうさま!私は帰るね」

「お、おい!川崎!…。まったく、子供は何を言うかわからんな。って、お前らどうかしたか?」

「な、なんでもないわ」

「そ、そうだよ、ヒッキー」

「先輩、デート1回で許してあげます」

「なんで、一色とデートしなきゃならんのだ。葉山を誘えばいいだろ」

「そうだよ、いろはちゃん!」

「そうよ、一色さん。この男にまともなデートなんて出来ないのだから、私がしっかり調教しないと…」

「ゆきのん、ズルイ!」

 

奉仕部は下校時間まで騒がしかった。

川崎沙希は京華を誉めてあげようと思いながら 帰宅した。

 


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