珈琲   作:おたふみ

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少し修正しました。


十三話

予備校の帰りに声をかけられる。

 

「比企谷」

「えっと、川、川、川…川岸さん?」

「川崎だけど、殴るよ」

「やめてください。死んでしまいます」

「まぁ、いい。アンタ、今日も寄り道するのかい?」

「まぁな」

「あの…、わ、私も行っていいかな?」

「かまわないが、どこへいくか知ってるのか?」

「前に店に入るの見かけて、私も行ったことあるから」

「そうか」

 

「いらっしゃい。今日は嬢ちゃんも一緒か」

「予備校が一緒なんで」

「まぁ、ゆっくりしていきな」

 

「比企谷の煎れたコーヒーも美味しかったけど、ここのは格別だね」

「俺も練習してるんだけどな」

「ふ~ん」

 

「ひゃっはろー!比企谷君」

「いらっしゃい」

「げっ!雪ノ下さん」

「こんな美人のお姉さんを捕まえて『げっ!』とはなにかな~」

「雪ノ下さん?」

「あぁ、雪ノ下の姉だ」

「そっちの娘は誰かなぁ?雪乃ちゃんがいるのに、浮気はダメだぞ」

「雪ノ下とは付き合ってないので、浮気もなにもありません」

「お嬢さん、注文は?」

「え~と、ブレンドでいいわ」

 

「それで、何か用ですか?雪ノ下さん」

「未来のお義姉さんに冷たいなぁ」

「そんな未来はありません」

「もう!比企谷君が女の子とここに入るのが見えたから」

「川崎はそんなんじゃ、ありません。只のクラスメイトです」

「ふ~ん、川崎さんはそうでもなさそうだけどね」

「た、只のクラスメイトです!」

「比企谷君に手を出したらダメだからね。彼は雪乃ちゃんの彼氏になるんだから」

「雪ノ下には、友達申請を二回も断られてるんですから、彼氏になるわけないでしょ」

「『本物』だったかしら…。それはどうなのかな?」

「くっ!」

「やれやれ。お嬢さん、それぐらいで勘弁してくれ。ここはコーヒーとタバコと会話を楽しむ場所だ」

「え~、会話楽しんでるじゃない」

「彼が楽しんでるようには見えないんだがね」

「私は楽しんでるわよ。邪魔をしないで」

「邪魔じゃない。常連さんに助け船を出しただけだ」

「マスター。気にしないでください」

「そうはいかないな。ここは俺の店だからな」

「マスター、ヤバいですって!この人は…」

「大丈夫だ、坊主。お嬢さん、気に入らないかね」

「えぇ、とっても…」

「お嬢さん、もう少し大人になりな」

「それ、どういう意味かしら?」

「言葉の通りだ」

「貴方、私を怒らせたいの?」

「いや、常連さんが困ってたからな。お嬢さんに喧嘩を売った訳じゃない」

「そのお嬢さんて言い方も勘に触るわね」

「そう、カッカしなさんな」

「一々勘に触るわね」

「少し冷静になってもらおうか。ちょっと失礼」

「スマホなんか出してどうする気?」

「ちょっと、友人に助けてもらうのさ」

「あ~、俺だ。すまんな忙しいのに…。店に厄介な客が居てな。ちょっと相手に電話代わる…。ほら、お嬢さん話してくれ」

「もしもし、代わりました。貴方、この店のオーナーか何かなの?」

 

すると、雪ノ下さんの顔色が青くなる。

 

「はい、すいません。後程ご説明したします。失礼します…」

「お嬢さん、そういうことだ」

「…はい」

「マスター。誰に電話したんですか?」

「お前の親父の悪友だよ」

「あ~」

 

「お嬢さん、これ飲んでみな」

「はい。いただきます…。凄く甘い…。でも懐かしい味…」

「お嬢さんが小さい頃に、父親に連れられて来たことがあるんだよ。その時、こいつを飲ませたら、美味しそうに飲んでたよ」

「あ、思い出しました。この店だったんですね。大変失礼いたしました。いつ、私だと気がついたんですか?」

「店に入った時からだよ。俺にしたら、あの時の可愛らしいお嬢ちゃんだったよ」

「そう…でしたか…」

「あんまり、気に病むなよ。煽った俺も悪い。また来てくれよ」

「はい、ありがとうございます」

「その時は、余所行きの顔じゃなくて、肩の力を抜いて、コーヒーだけを楽しんでくれ」

「!!!…はい。今日は失礼します」

 

「マスター、ちょっと電話かけますけど」

「かまわないぞ」

 

「あぁ、親父か。雪ノ下さんて連絡できるか?あぁ、陽乃さんを責めないように伝えてくれ。そう言えばわかる。帰ったら説明するから。悪いな」

 

「お前も甘いな」

「助けてもらってることもあるのでね」

 

「比企谷、どういうことだったの?」

「悪い川崎。雪ノ下さんが行き過ぎたことをしないように、マスターが釘をさしたってところかな」

「お、いい読みをするな」

「まったくわからないんだけど…」

「川崎、わからない方がいいこともある。今はコーヒーを楽しもうぜ」

「???…。わかったよ」

「マスター、さっき雪ノ下さんに出した甘いコーヒーって俺も飲んでみたいす」

「あぁ、まってな」

 

「ほらよ、おまたせ」

「いただきます。…甘くて美味い」

「だろ。MAXコーヒー好きのお前さんなら、好きな味だ」

「ひ、比企谷、一口貰ってもいい?」

「い、いや、そんなことしたら、か、か、か、間接キ…」

「小学生じゃないんだから、気にしないの!」

「あっ!飲みやがった…」

「甘い…。でも美味しい…」

「マスター、このレシピは…」

「こいつは教えられないな」

「えぇ…。わかりました。盗みます」

「おう。がんばれよ」

 

甘いコーヒーを研究した後、二人で帰路についた。

 

―――――――――――――

 

おまけ

 

 

(あっ、電話だ)

「もしもし」

『比企谷さんすか?大志っす』

「大志君、どうしたの?」

『姉ちゃんが壊れたっす』

「どういうかとかな?」

「帰ってきたら、部屋でヒャッホーとか奇声を出してて…」

「あぁ、たぶんお兄ちゃんのせいだよ」

「お兄さんとなにかあったっすか?」

「一緒にコーヒー飲んで来たとか言ってたよ」

「あぁ…。姉ちゃん、お兄さんのこと好き過ぎ…」

「そうだね…」




―――――――――――――

マスターVS陽乃を、上手く表現出来ない(;o;)

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