珈琲   作:おたふみ

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十五話

『休日とは木の影で休む日である』なんて考えを巡らせている日曜日の朝…。

 

「やっはろー、ヒッキー」

「おはよう、由比ヶ浜」

「早く起きて着替えてよ」

「いや待て。まず、お前が俺の部屋に居ることを説明してくれ」

「小町ちゃんに教えもらったよ」

「そっちじゃねぇよ。理由の方だよ」

「今からね、ウチに行くの」

「断る」

「ダメ!ゆきのんだけズルイ!」

「うわぁ…。なんだろう、このデジャヴ感…」

「雪ノ下はどうした?」

「実家から出れないみたいだよ」

「今、凄い悪い笑い方しませんでしたか?」

「気のせいだよ!早く着替えてよ!」

「俺の着替え見たいのか?」

「ヒッキー!何言ってるの!キモイ!」

 

 

「由比ヶ浜、お待たせ」

「でね、その時優美子がね」

「ほうほう」

 

5分経過

「そしたら、戸部っちがね」

「ふむふむ」

「マッカンあったかななぁ」→あったかなぁ

 

10分経過

「ママったら、パパにね」

「マジですか」

「朝のマッカンうまぁ」

 

15分経過

「姫菜が池袋行こうって誘ってきてね」

「池袋?」

「歯磨き♪歯磨き~♪」

 

20分経過

「そしたら、昨日ゆきのんから電話が来てね」

「私もビックリしました」

「リア充のトーク力パネェ…」

 

30分経過

「パパとママに相談したら、ヒッキーを連れて来いって」

「なるほど。それで今朝にいたるんですね」

「やっと話が着地したな」

「ヒッキー!聞いてたのマジキモイ!」

「ゴミぃちゃん、盗み聞きはポイント低いよ」

「待ってただけで、なんなのこれ…。行かなくてもいい?いいよね?」

「ダメダメ!行くよ!ヒッキー!」

「いってらっしゃい、お兄ちゃん。結衣さん、またです」

「2日連続休日出勤なんて、俺マジ社畜…」

 

 

「ただいま!」

「お邪魔します」

「ヒッキー君、いらっしゃい」

「い、いきなり抱きつかないでください!」

「マ、ママ!」

「結衣は、これぐらいのスキンシップしないの?」

「普通はしないよ!」

「う~ん、ママはパパと毎日ギュ~ってしてるわよ」

「あはは…。仲の良いご夫婦なんですね」

「ワンワン♪」

「おぉ、subway元気だったか?」

「違うし!サブレ!」

「そっか、悪かったな鳩サブレ」

「鳩もいらないし!」

「ワンワン♪」

「この首輪…」

「前にね、ヒッキーがプレゼントしくれた首輪だよ」

「使ってくれてるんだ。サンキューな」

「えへへっ」

 

「八幡君、いらっしゃい」

「先日はどうも」

「よく来てくれたね。…下には負けられないからな」

「何かおっしゃいましたか?」

「何でもないぞ、うん」

「ヒッキー!キッチンに来て!」

 

「どうした?」

「今日はね、ヒッキーとクッキーを作りたいんだ」

「ほう、なるほどな。いいんじゃね」

「結衣とヒッキーの『初めての共同作業』ね」

「なんスか、そのケーキ入刀みたいな…」

「マ、ママは向こう行ってて!」

「はいはい」

 

 

「うん。上手く出来たんじゃねぇか」

「うん、美味しい!」

 

「ヒッキー君はコーヒーでいい?」

「はい、いただきます」

「これを結衣と八幡君で作ったんだ。大したモンだ」

「由比ヶ浜…。結衣さんは、やれば出来る娘なんで」

「良かったわね、結衣」

「やっぱり、結衣と八幡君は相性が抜群だ。やはり、八幡君には結衣を嫁に…」

「ここでもかぁ…」

「えへへ…。ヒッキーと…。えへへ…」

「おい!由比ヶ浜!帰ってきてくれ~!」

 

由比ヶ浜家の日曜日は賑やかに過ぎていきました…。

 


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